安野光雅さんの「空想亭の苦労咄」を読みました。
『空想亭の苦労咄/安野光雅著(ちくま文庫)』を読みました。
著者の安野光雅さんの名を知らない人でも、安野さんの絵を見れば「ああ、この絵を描く人!」と誰もが知っている安野さんの水彩画が思い出されます。
この本の中でも話が出て来ますが、以前NHK-FMの番組「日曜喫茶室」に安野さんは“ご常連”の立場で度々登場し、独特の語り口調で司会の「はかまみつお」さんと、ゲストの方々の語りに加わり、より話に花が咲くような“味のある”お話しをしてくださいました。
この本を読んで、安野さんはかなりの“落語好き”だということがわかりました。
幼少期や、戦争、芸術、闘病や死生観についてまでを自伝のように語るのですが、その多くを落語のネタになぞらえて、落語の語り口調でお話しをするように書かれていました。
こういう書き方をしている本は初めて読みましたが、なかなか面白いし、深い味のある話なのに、読んでいる側には、とても軽快な印象を与える文章でした。
安野さんは、“生きていること”を実に楽しんでおられた、と思いました。
安野さんと深く付き合いがある方が亡くなったときも、自分が亡くなるときはこういうふうにしたいな、ということも書かれているように感じました。
そして、安野さんは昨年、亡くなられました。
あのラジオやテレビでの語り口調、もう一度聞きたいと思いました。
そして何度読んでも面白いこの本、安野さんの想い出と共にまた読み返したいと思います。
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