映画「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」を見て来ました。
映画『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと/2022年 日本 監督:中村裕 出演:瀬戸内寂聴』を見て来ました。
今年5月に満100歳を迎えるはずだった寂聴さん。その寂聴さんに17年間密着して取材した監督の中村裕氏、100歳の記念に寂聴さんと一緒に完成した映画を見ると二人で話していたのですが、「生誕100年記念」の映画ということになりました。
寂聴さんの法話は有名ですが、もちろんそのシーンも出てきはするものの、寂聴さんの日常の姿、発言、身体上の変化など様々な瀬戸内寂聴さんを見ることが出来ました。
法話の方では、私、不覚にも何度も涙を流してしまいました。
東日本大震災で消防団員の夫を亡くした奥さんが「毎日泣いて暮らしている。夫がいなくて私はどうして生きていったらいいのか」と涙ながらに寂聴さんに訴えると、寂聴さんは壇上から降りて行ってその人の手を握り、だんなさんは今あなたと一緒に来ていますよと強く握ると、その奥さんの腕にはだんなさんの形見の腕時計がされていて、皆んな涙ながらに見ていると、「大丈夫、あなたも死ぬんだから、あっちで会える。だんなさんはいつもあなたのことをそばで見ているのよ」と励まし、“あなたも死ぬんだから”のところでは会場は泣き笑いになりました。
また、若い女性が「もう生きていけない。私は尼になりたい。」というと、「あんた、尼だけにはなっちゃだめ!それは最悪の仕事。」なんて言って、その女性の肩を強く叩いて「だいじょうぶ、きょう、ここまで来たんだからやれる、生きていける」と励まし、ここでも「尼だけはなっちゃだめ」のところでしんみりとしていた会場は爆笑(^_^;)
また監督との会話の中で、「恋愛は雷に打たれるのと一緒。どこが好きだとかそんなことじゃない。突然雷に打たれたように恋に落ちる。でも、本を読むよりも何よりも、それがその人の人生に大きな影響を与え、勉強になる。」という発言をされていました。
・・恥ずかしながら、ものすごくよくわかりました。
「あの男(女)は、ろくでもない人間だ、やめなさいと言われても、妻子がいるのだと言われても雷に打たれるのと同じなんだからどうしようもない。」・・そうだと思います。
なんだか知らないけど、週刊誌などを見て人の不倫に激怒したりしている人って、結局今まで本当に人を好きになったことがないのだと、私は思います。
寂聴さんの「晩節なんか汚したっていい。好きに行動すればいいの。」という言葉も“寂聴さんらしい”と思いました。
映画の中で、子どものようになったり、真剣に自らの考えを話したり、お酒を飲んでゴキゲンになったり、“えんえん”泣いたりする姿も見られましたが、そのまんまの瀬戸内寂聴さんの姿を見ることができるこの映画、とてもいいものでした。
“大おすすめ”です。
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