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2022/06/30

「一日一言 -人類の智恵-/桑原武夫編」を読みました。

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『一日一言 -人類の智恵-/桑原武夫編(岩波新書)』を読みました。
これまた、ブックオフにて“100円+税”で、手に入れました。

この本は、人類の歴史上、偉大な行為をした人々の「英知」に輝く言葉、名言を偉人の生没日にあわせ、一年366日に配列し、略伝・肖像を付したものです。
ほんとうに、いろいろな偉人の様々な名言などが網羅されていて、人類の歴史をなぞっていくような感じで読みました。

今の私に響いた言葉をあげてみます。

【壮士】

人為で天下を治めようとするのは、海や河を歩いて渡ろうとし、蚊に山を負わせようとするものである。
・・・民は自然のままに放任するのが一番よいのである。
聖人はこの放任と自由をしっかりとつかんでゆく。


【墨子】

一人を殺せば、不義の行為として、かならず死罪にされる。
この論法でゆくと、十人を殺すものは、十不義を重ねたのであり、十倍の死罪にしなければならず、百人を殺すものは、百不義を重ねたのであり、百倍の死罪にしなければならない。
・・・しかし、大きく不義を犯してひとの国を攻めると、非難しないで、名誉とし、正義とする。
それが不義であることを全然ご存じない。
・・・天下の君子は、義と不義の乱れを見わけなければならないものである。


【トレーズ】

戦争、それは破滅した家庭であり、雨露しのぐ屋根もなく、パンもなく、金銭もなく、仕事もなく、路上をさまよう生活であり・・憲兵であった。
・・・そして私は誓うのだった、私の一切の力をもって、この憎むべき元兇と、戦争と、戦うことを、それを準備しそれで生活している者どもと戦うことを、戦争の永遠のギセイ者である人民を防衛することを!


かなり端折ってご紹介していますが、現在の戦争の状況を見て、とても重い言葉を過去に残していたんだな、と思いました。

なぜ、人類は、何度も戦争をして、結局、市民が犠牲になり、反省をして、そのときに残された言葉があるにも関わらず、そして後々にはその反省の言葉には目もくれず、また戦争に突入していくのだろうかと思います。

今回の戦争がなんらかの形で終結しても、また人類はもっともらしい理由を見つけてきて戦争を始めるんでしょうね。
人類は、地球上でも意外と下等な部類の生き物かもしれません。

 

2022/06/29

「寂聴随想 無常を生きる」を読みました。

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『寂聴随想 無常を生きる/瀬戸内寂聴著(講談社文庫)』を読みました。
1996年に刊行されたものの文庫化です。いつものとおりブックオフにて“100円プラス税”で手に入れました。

この本は、随筆ながら、当時の世相、事件なども取り上げ、“怒り”の寂聴さんの姿も屡々登場いたしました。
薬害エイズに対する国や製薬業界の対応、オウム真理教の事件について、阪神淡路大震災のときのさまざまな出来事に対して、など、感情を露わにするような場面も多々ありました。

私が今まで読んできた寂聴さんの本の中でも一番上記のような印象が強い本となりました。
これを書いたときの寂聴さんが、まだ70歳を越えたばかりであった、ということもあるのかもしれませんが。

「こんなに腐りきった日本は、二十一世紀を迎えられるのだろうかと案じている」などと、書かれていたところもありました。

寂聴さんの本を読んで、いつも思うことは、自分は世間や社会の理不尽な出来事について憤っているのに、“誰か”に遠慮して、そのトーンを下げていやしないか?!ということです。
ほんとうにそれはよくないことだ、と思っていても、遠慮会釈なく物の本質に突っ込んでいかない自分に気づいてしまいます…σ(^_^;)それじゃいけないんだけど。

だから、皆、寂聴さんの本を読んだり、法話を聞いたりして、自分も本当はそう思っているんだ、と力づけられていたのかもしれません。

寂聴さんがいなくなってしまった今、もうこれから起こる事件・出来事について、寂聴さんの歯に衣着せぬ発言を聞くことは出来ません。
だから、意を決して、もっと自分の思うところを前に出して進んでいかなければならない・・そう、あらためて思うこととなった「随想」でした。

力強い本でした。

 

2022/06/27

「ロシア点描 -まちかどから見るプーチン帝国の素顔-/小泉悠」を読みました。

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『ロシア点描 -まちかどから見たプーチン帝国の素顔-/小泉悠著(PHP研究所)』という本を読みました。

私、不勉強で著者の小泉悠さん(東大先端科学技術研究センター専任講師)を存知上げなかったのですが、ラジオでこの方のお話を聞いて、とてもわかりやすく、おもしろいお話をされる方だと思ったのです。

書店でこの「ロシア点描」を見つけたので、さっそく読んでみることにしました。

過去、ロシア科学アカデミーなどにも在籍していた小泉さんは、ロシアにも住まれたことがあり、しかも奥様はロシア人ということで、ロシアの日常の様子などが(今までニュースやその他報道では見聞きすることが出来ないような身近な話題)、そのまま書かれていて、とても面白かった。

スーパーでの買物の仕方、レジがどんな様子か、どんなものが売っているのか。

帝国からソ連、さらに現在のロシアに至るまでの一般の人達の住居の変遷、商売の仕方なども過去の建物などを壊して改築しようとすると、その痕跡が現われて「ああ、昔はこんなことをしていたのだ」などと驚く様子も書かれていました。
この部分を読むだけでも、とても興味深く、ロシアの人達の生き方、物の考え方が今までの知識だけでは想像できなかったところまでわかるような気がしました。

また、元外交官でロシアと関わってきた、あの佐藤優さんが現役時代のロシア人とのやり取りについて書かれた書籍を過去に読んだことがあるのですが、そのときとはロシアの役人達のやり方も、かなり変化を見せていることがわかりました。

とんでもない量の「酒」を飲んで信頼を得た後に、やっと相手との信頼関係が出来るというようなことも、近年はあまり無くなっているようだということがわかりました。

ただし、変わっていないと思ったのは、一度信頼関係を築き上げたあとは、かなりの親密な人間関係となり、意外なほど深いところまで情報を得ることが出来たり、便宜を図ってもらえる・・というのは、変わっていないようでした。

それから、ロシアの地下鉄というものは、かつてドイツとの戦争の時に防空壕的な意味での発展をしていて、地下 70~80メートルくらいに展開されていたこともあり、その名残りがまだある。
また、かつてはロシア政府用の第二地下鉄網が、通常の地下鉄とは別にあったとか、国の重要な大学の地下には政府が地下で運営できるようなものが作られていたとか、地下にはまだまだ謎というか、未知の部分があるようです。
このご時世、そんなことを調べようとしたら、怖いことになるかも・・。

そして、その防空壕として使われる地下鉄の駅・・というと、今現在のウクライナの戦争報道で再現されているのです。
今になって、こんなことになるとは、誰も想像していなかったのではないでしょうか。

余談ですが、私が東京勤務時、国会議事堂や議員会館など、地下道で繋がっていることを仕事上の使用で知りました。
一般人は入ることが出来ませんが、あの大きな地下施設は、まだまだいろいろなところに繋がっているんじゃないかということは想像に難くありません。
日本も何か戦時や戦後にいろいろ考え、地下の戦略的世界があるのかも・・と思いました。

最後に、ロシア人って、ちょっと近寄りがたくて、こわい感じがしていたのですが、実はちょっと仲良くなると、“おせっかい”なくらいに、いろいろ面倒を見てくれたり、心配してくれたり、良くしてくれる人達なのだ、ということもわかりました。

わかりやすくて、読みやすく、今まで知らなかったことがたくさん書いてあり、著者の人柄までわかる、楽しい本でした。

 

2022/06/25

城山三郎さんの「打たれ強く生きる」を読みました。

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『打たれ強く生きる/城山三郎著(新潮文庫)』を読みました。
いつもながらブックオフにて格安購入。昭和58年、日経流通新聞に掲載されたエッセイを再構成したものだそうです。

読んでいると、かつての有名人が続々と登場してきたりして、城山さんの交際範囲の広さに驚きましたが、本田技研の本田宗一郎さんの自宅でのパーティーに呼ばれた時の話には驚きました。

通常、ホテルでのパーティーなどでは、おいしいものといっても、だいたい同じようなものが並んで、だいたいが通り一遍の形をしたものですが、本田宗一郎さんは、自宅庭に川を引き、流れをつくり、そこに鮎の稚魚を放ち、育った頃にパーティーを開催!集まった皆さんにそれを釣ってもらい、その場で焼いて食べてもらうという・・( ̄O ̄;)・・すっごい話でした。

とにかく、お客さんに喜んでもらうために、いろいろ工夫をされていたとのこと。
仕事でも、本田さんの様々な工夫は私たちの知るところです。

城山さんのこういうエッセイや、小説を読んで、いつも感じるのですが、城山さんの物事に対する真摯な対峙の仕方、真面目に丁寧に考えて、実直な文を書く、その姿にはいつも感服します。

文章もとても読みやすいのです。

見習いたいなあ、と、毎度のことですが、思いつつ読了いたしました。

 

2022/06/22

【The Beatles 研究室・復刻版】A Hard Day's Night[B-5]You Can't Do That

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「ア・ハード・デイズ・ナイト」から、「ユー・キャント・ドゥー・ザット」を取り上げます。
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アメリカ公演から帰ってきて、おみやげとして持ち帰ったリッケンバッカー12弦ギターをジョージが早速弾いています。

この曲は完奏したテイクが4テイクで、しかも間に合わせにシングル“キャント・バイ・ミー・ラブ”のB面として録音され、このアルバムではB面最後から2曲目という最も目立たない位置に置き去り状態です。

なのに、なのに、ビートルズのジョンが作った曲の中でも屈指の名曲なのです。
あまりにヤクザなジョンの歌いっぷりがまたかっこよく、ポールとジョージがサビで絡んでくる部分などは、これ以上の愉悦感はないというほどのものを与えてくれます。

おまけに間奏のジョンのリード?ギターはリズムだかリードだかわからないようなワイルドさで、殴る蹴るのかっこよさです。後にもこの手の演奏は“ホワイトアルバム”の「ヤー・ブルース」や“アビーロード”の「ジ・エンド」でのギター合戦、トロントでのクラプトンを従えてのライブでも聞くことができますが、ワイルドなリードギターはジョンの独擅場です。

そして、忘れてならない、ブレイクでのリンゴのフィル・インはロック史上に残るものです。
リンゴはボンゴも叩いています、ポールはカウベルで応援、この頃のビートルズは才能が洪水のように溢れていて(特にジョン)、こんな名曲を目立たない場所に置いていても全く影響無しというおそろしい状態でした。
ビートルズ・ファンならこの曲を知らない人はいませんが、そうでない人もぜひこの曲をご堪能いただきたいと思います。
近年発売された米盤の「セカンド・アルバム」ではデュオ・フォニック(疑似ステレオ)版も聞くことができます。お風呂で歌っているようなエコーが効いてしまっていますが、なかなか迫力を感じました。


〈追記〉2022/06/22

時は流れ、いろいろな録音を今現在聞くことが出来ますので、聞いてみました。

アンソロジー1に入っているテイク。
ジョンの「ワン・ツー・スリー・フォウワッ」っていうカウントで始まります。
ポールのベースがけっこうパワフル。
ジョン独特のギター・ソロはまだ未完成で、ちょっと間が空き、迷っているような部分もあります。
ジョンのボーカルは手応えを感じつつ自信満々に歌っている感じ。

米キャピトル盤「セカンド・アルバム」に入っているもの。
疑似ステレオになっていて、缶の中に入って演奏しているような響きが気になります。
でも、いつも感じるのですが、米盤は“わくわく”するような盛り上がり感があります。

2009年リマスターのオリジナル・ステレオ盤は、安定のミックス。
ジョンのボーカルもはっきり聞こえ、過剰なエコーもなし。
ギター同士のバランスもとても良い。
バックのコーラスの音量・ミックス具合も“丁度いい”d(^_^o)

オデオンのレッドワックス・テスト・プレスもあったので、聞いてみました。
こちらは、バンド感がより出ていると感じました。
ギターのソロ時の高音部も“攻めて”いる録音のように感じました。
全体のまとまりも良いです。

2009年リマスターのオリジナル・モノラル盤。
こちらは、ジョンのボーカルもコーラス隊も非常に情緒豊かに感じます。不思議なことですが、“気持ちがよく乗っている”と感じるのです。ギターもそんな感じ・・。

1964年のハリウッド・ボウル・ライブの録音も聞いてみました。
ジョージのギターのつま弾きが素敵!
ジョンのギター・ソロもワイルドでなかなか良い。
ジョンもポールも興奮気味のボーカルが、臨場感がありとても良い。

上記と同じライブのモノラル録音。
ジョンのボーカルも演奏も前にグイグイ出てくる感じ。ギター・ソロも過激と感じるくらいのミックスで入っています。

BBCライブのボリューム2に入っているもの。
最初に司会者の曲紹介入り。演奏は、割と“一発録り”の雑な感じ。ボーカルも細かいことは気にしないで、どんどん進んで行きます。

正規版の「ライブ・アット・ハリウッド・ボウル」も聞いてみました。
全体に適度なリヴァーブもかかり、ベースの音もちょっとオーバー・ロード気味にミックスされています。
ジョンのギター・ソロはややジョージの奥にいる感じでのミックス。

米キャピトル盤のモノラルもあったので、聞いてみました。こちらは“ど迫力”。
ジョンがガンガン、グイグイとバンドを引っ張っている様子が伝わってきます。
リンゴのドラムもとてもパワフルで、さらにバンドをドライブさせます。
ジョンのギター・ソロは、音が割れても知らんっ!っていうくらいの力の入り具合いがわかる録音です。

 

2022/06/20

「青豆とうふ/安西水丸・和田誠」を読みました。

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『青豆とうふ/安西水丸・和田誠《絵・文》(中公文庫)』を読みました。

安西さん、和田さんという二人のイラストレーターが、互いの文章の話題を“しりとり”形式に受取り、また次ぎの話題を最後に持ってくるという、[面白文章リレー]になっていました。

しかも、安西さんが文を書いたときには、和田さんがイラストをいれる。和田さんが文を書いたときには安西さんがイラストを描くという・・楽しくも夢みたいな構成となっていました。実に面白かった(*^_^*)

また、この本のタイトルは、安西さんが村上春樹さんと居酒屋で一杯やっているときに、この本の話になり、村上さんに「タイトルを考えてくれないか」と所望したとのこと。
で、そのときに村上さんがつまみとして食べていた「青豆とうふ」がいいということになったんだそうです(^_^;)これまたおもしろいエピソードです。

おふたりの話題は豊富で、安西さんが鳥取県倉吉市にある打吹山・長谷寺に行ったときの話は怖かった。

次席家老・荒尾氏の墓地があるということで、雨の中、山をのぼっていると鐘撞櫓があり、誰かが鐘をついたと思うと、そこから白い着物を着た若い女が現われたんだそうです。
怖くて顔を確認せず、そのまますれ違い、雨でかなり厳しい道を滑りながら目指す墓地にたどり着き、そしたらさっきすれ違った女性が白い着物のまま墓地の前でしゃがんでいたんだそうです。

女がゆっくり振り向こうとした時、安西さんは脱兎のごとく駆けだしたんだそうです。
この話題の時の和田さんのイラストもなんだか怖いです・・。

また、和田さんの文で、いろいろなイラストの仕事を和田さんのところに持ち込む人がいて、作品を渡しても支払いがなく、次の仕事を持ち込んで来て、「前の仕事はあと少しで終了するので、その後支払う」みたいなことを言う・・ようするにサギというか、インチキな男の話が面白かった。

このエピソードは和田さんの文なので、安西さんがイラスト担当なのですが、いやもう、そのインチキな男の絵がいかにも“インチキくさく”て笑えました(^_^)

文と絵のバトンタッチが交互に行なわれたこの本、とても楽しめました。

 

2022/06/18

映画「エリザベス 女王陛下の微笑み」を見て来ました。

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映画『エリザベス 女王陛下の微笑み/2021年 イギリス 監督:ロジャー・ミッシェル 出演:エリザベス二世他』という映画を見ました。

英国君主エリザベス2世の在位70周年の祝福の年に公開されるべく製作されたドキュメンタリー映画でした。

内容は、1930年代からこの2020年代までのアーカイブ映像を、パッチワークのようにつなぐことによって作られている「大全」的な映像作品で、女王が若くて美しい時代ももちろん、現在に至るまでの映像は、私も見たことの無いものがたくさんあって、「皇室アルバム」的な見方をすれば、ある程度楽しめるんじゃないかと思いました。

舞台裏的な映像もありましたので、ふだんのエリザベス女王の人間的な魅力なども随所に感じることができました。

ただ、英国王室にとって苦難、試練の時期が何度も在位期間にあったと思うのですが、その部分についての掘り下げ方というか、ほとんど掘り下げていないという印象でした。

たとえばダイアナ妃とチャールズ皇太子のご成婚時の国民の歓喜の様子なども、時間としては、ほんとうに“通りすがる”程度の取り上げ方だったし、ダイアナ妃が亡くなったときの国民の前に姿を現わす女王陛下の様子なども、かなり時間が絞られていて、突っ込んでその部分にふれているということはありませんでした。

なので、90分という、近年では割と短い上映時間でしたが、それでもニュース映像をずっと見ているような感じで、ちょっと退屈してしまいました、私は。

 

 

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あと、私個人が“おっ”と思ったのは、ビートルズがMBE勲章を授かった当時の映像と、ポールマッカートニーが若い頃に感じた女王陛下の印象、さらに最後の最後に流れたビートルズというか、ポールマッカートニーが歌う「ハー・マジェスティ」です。

この曲はビートルズが最後に製作したアルバム(※最後に販売したのが「レット・イット・ビー」です、因みに)「アビー・ロード」のラストに入っているものです。

当時、レコーディング・スタッフがポールから「とりあえず録音したものは、クズでもとっておけ」と言われて、アルバムのテープ最後部に残しておいた、ポールがちょっと“おふざけ”で作った曲で、だからいきなり前の曲のエンディング音が残っていたり、お尻は録音が切れていたりのものでした。
プレイバックしたときにそれを聞いたポールが「おもしろいからそのままにしてリリースしよう」となった不思議な曲ですが・・。

で、話を元に戻して、映画のラストで流れる「ハー・マジェスティ」は“完全版”でした。
近年発売された「アニバサリー・エディション」に入っていたテイクに、さらに冒頭、ビートルズ達の会話や、イントロのやり直しなども入っていました。

・・この映画の趣旨とは離れるけど、ビートルズ・ファンにしたら、絶対に聞いておいた方がいい!というパージョンでしたd( ̄  ̄)

以上、ちょっと横道にそれましたが、映画「エリザベス 女王陛下の微笑み」の感想でした。

 

2022/06/17

石田衣良さんの「小説家と過す日曜日」を読みました。

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『小説家と過す日曜日/石田衣良著(文藝春秋)』を読みました。
いつものとおり、ブックオフにて200円でしたd(^_^o)

この本は、「石田衣良ブックトーク・小説家と過す日曜日」というメールマガジンの1~12号をまとめたものなんだそうです。

それぞれの号の内容としては、毎回「ショート・ショート」「ワイドショーのコメンテーター的発言」「衣良さんと小説の登場人物が二面性を持って語るエッセイ」「読者とのQ&A」「ブックレビュー」「しくじり美女との対話」が盛り込まれていて、いやもう大充実の“濃さ”です。

読んで見て、実際には、これを毎月メールマガジンとして発刊しているわけで、たいへんな作業だと思います。

本と創作の話、時代や社会の問題、恋や性の謎、プライベートに関わる親密な相談・・などなど、衣良さんがおもしろいと感じ、興味をもつことに対する思いは、とどまるところを知らないという感じです。

多岐に渡る内容の中で気になったことを少し取り上げてみます。

定額制の音楽聞き放題や、ドラマ・映画の見放題のサービスについて(いわゆる“サブスク”ってやつです)、聞き放題で月数百円として著作権をもつアーティストへの対価は、割り算をしたらずいぶんと少ないんじゃないか、そして視聴者の多くが似かよったソフトしか楽しまなくなるんじゃ・・とおっしゃっています。

自分でソフトを探し、目の前に“垂れ流されて”いるものを楽しむだけでは、よい趣味や自分なりのセンスを育てる力が弱くなっていく・・とも。

50年代のジャズや、70年代のロックを聴くマニアはごくわずかになって(・・私みたいなヤツですね…σ(^_^;))、恐ろしいことだという石田さんの気持ちはよくわかります。

もうひとつ

音楽の歌詞がくだらない説教みたいになりましたね、とおっしゃっていて、これも同感です。
みんな仲良くだとか、家族最高とか、桜はきれいみたいな歌ばっかりになっていると。
表現レベルがなんでこんなに落ちたのかと言っていて、私はそれに加えて、歌っている人は、日本人で、日本語で歌い、歌っている相手も日本人なのに、何を歌っているのかわからないとものが多いと思います。

なんとか英語みたいに聞こえるように“ウェイ”とか“ドゥエイ”などと歌っているので、歌詞は、さっぱりわからず、時々日本語らしい痕跡を発見(聴)している有り様です。
はっきり言ってみっともないです。こんな発音をふだんしていたら、恥ずかしいでしょう。

「譜割」も、その日本語の単語を解体して発音し、次の単語に半分くっつけたりしているので、何がなんだかわかりません。この“カッコワルイ”歌い方、いいかげんやめてほしいと思いますが、それをやめたら、その曲が“貧相”な曲だということがバレてしまうので、やめられないのでしょう。

などと、グチを言いつつ、今回の石田衣良さんの本についての感想を終わりたいと思います。

 

2022/06/16

映画「大河への道」を見てきました。

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映画『大河への道/2022年 日本 監督:中西健二 原作:立川志の輔 企画:中井貴一 出演:立川志の輔、中井貴一、松山ケンイチ、北川景子、岸井ゆきの、和田正人、田中美央、溝口琢矢、西村まさ彦、平田満、草刈正雄、橋爪功 』を見てきました。

立川志の輔の落語『伊能忠敬物語…』が原作になったんだそうですが、志の輔さんの落語を映画というエンターテインメントで表現しようと企画したのが、主演の中井貴一さんで、中西健二が監督を務めている歴史ドラマとなっておりました。

 

 

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たまたま志の輔さんが落語の公演の帰り道、佐原に寄って、伊能忠敬の記念館を訪れたことから落語を創作することになり、それを聞いた中井さんが企画し、実際に私も見て、とてもいい映画になったものだと思いました。

物語としては、千葉県香取市役所で、伊能忠敬を主人公にした“大河ドラマ”で観光促進をしようというプロジェクトが立ち上がる。
でも、脚本作りをお願いした先生が発見したのは、伊能忠敬が地図完成の3年前に亡くなっていた事実。
これじゃ大河ドラマにならないよ、というところからストーリーは急展開!
伊能忠敬の遺志を継いだ弟子たちの物語が紐解かれていくのでした。“ちゅうけいさん(忠敬のこと)”は生きていることにして・・。

 

 

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舞台は、香取市役所の職員が大河ドラマを何とか実現させようとする現代と、実際に忠敬が地図を作っていた江戸時代と両方がスクリーン上で展開され、しかも出てくる役者はダブルキャストで、これもまた面白いつくりです。
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現代の市役所職員の中井さんや、松山さんが苦労する場面、そして艱難辛苦を乗り越え、時には客席を笑いの渦に巻き込むギャグなども含めながら進行する江戸時代の日本地図を完成させた人々のシーン、これらが交互に現われ、やがてラストの2022年の今見ても圧倒的で素晴らしい日本地図のシーンに(どういう場面かは映画を見てください)涙が落ちました。
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中井さんの側近を演じた松山さんの、今風だけど、“感動しい”の男の演技もよかったし、北川景子さんのキリッとした演技とたたずまいは大向こうを唸らせるような感じでした。

そのほか、出てくる人達は“ひと癖も、ふた癖もある”役者さんばかりで、見応えありましたよぉ~d(^_^o)

千葉県が全国に誇れる人と言えば、この「伊能忠敬」と「長嶋茂雄」です。
ふたりとも常人のレベルを超えるスケールのある人です。
香取市役所、そして佐原の皆さんは、この映画、“自慢”できますねぇ、ほんとにいい映画でした。

100点!!

 

2022/06/15

【はっPのアナログ探訪_0157: 白い色は恋人の色 / ベッツィ&クリス ( Single )】

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ものすごく久しぶりにこの「アナログ探訪」のコーナーを更新します。
懐かしい昭和のヒット曲を取り上げてみました。

近年になって恥ずかしながら知ったのですが、この曲の作詞・作曲は、北山修さんと加藤和彦さんなんですね。
どうりでいい曲です。いい曲というよりも素晴らしい曲だと、最初に聞いたときから思っていました。

 

 

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ハワイのフォーク・デュエット、ベッツィ&クリスのヒット曲で、たぶん当時大ヒットしていたんじゃないかと思います。

北山さんの詞も素晴らしいし、加藤さんのメロディも美しい。
晩年、加藤さんが「ジ・アルフィー」の坂崎さんとこの曲をステージで歌い、演奏しているのを聞いたときは、あまりの素敵な様子に涙が出ました。

どこまでも澄んで、青空の向こう側に歌声が届きそうな、今、レコードを聴き直してもそんな印象です。

 

 

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いい曲は、いつまでも、新鮮で、いつまでも人の心を打ち、いつまでも心に残るものだと、あらためて思いました。
子どもの頃に買っておいてよかった・・。

2022/06/14

【南先生の玉手箱_0044_はじまりと終わりをふりかえって】

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私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
久しぶりに作業の続きに取り掛かりました。
今回は、先生が教師生活の晩年に教師として最初に赴任した学校から管理職になったその時の“現在”までをふりかえった文のようです。


以下、先生の文章です。

  特色ある学校・地域とのかかわり
《私ごと、はじまりとおわりをふりかえって》

S44年から37年、千葉市立誉田中学校、「松の並木や杉木立、麦のほなみに風わたる」・・校歌のとおり、自然豊かな農村のたたずまいの中にあって、発展的な学習とか、授業や行事に、子どもが意欲的にとりくむ工夫、あたりまえのこと、教師が楽しいと思う内容を展開するために、日々の教材研究、時間を工夫して校内・近隣の仲間との実践・雑談の思い出がある。

学校では、日々先輩のうしろ姿、言動の中、学ぶ場面が多かった。

千葉いずみ自然公園ができた頃、教科とのかかわりもあって、写生会、遠足など時間をかけて元気とゆとりが思い出に残っている。

公園の樹木は、今はだいぶ大きくなっている。交通量が少ないこともあったとは思うが、学校から夜間歩行、ひと晩かけて、市原、土気、ぐるりひとまわり、印象に残っている。

地域の自然に触れて、四季折々に半日から一日、近所を散策するなど、今考えてみれば、ゆとりがあった。やりたいことができた。

美術、道徳、学級活動などをまとめて学級のとりくみに工夫ができた。
その日の午後は続けて他の授業をいただいて、学級相撲大会、学期末新番付表の作成など女子も気合いを入れて盛り上がっていた。

一日学級の時間で過した思い出もある。
大規模校、町中中心校の時代も長かったけれども、退職前の3年間、山武郡横芝町立大総小学校で、自然と人気に恵まれた中、管理職時代として地域、児童から多くを学んできた。

立場は管理職であったが、美術、図工畑で、興味・関心の中、授業や行事に児童と共に多くを体験させてもらった。

地域に、生活科などPTA他大変お世話になった思い出が多い。
子どもたちとは、登下校を共にする中で、自然や動植物に触れて、私よりもよほど基本的に自然や命の不思議に目をむけながら知識もある。
そんな中で地域・児童の能力可能性など大切な勉強を共にさせてもらった。

日頃、教師や大人側が一方的に教えている方向や内容とは別のところで学びの基本はすべてに興味、関心、教わる側の主体性の中に大切なことが育まれていくことをたくさん教えられた。

私たちは、教育活動を進める中で、地域にもとより存在する教育力や、それこそその地域にある特色に心をむけるべきと思う。

今になっては、すべてがとりかえしのつかないことばかりだけれども、現場の日常が望ましい人つくりに日々新鮮であってほしいです。


以上が先生の文でした。

先生の最初の赴任地は、私が通っていた中学校で、そこで先生との出会いがあり、今に至り、こうして先生の現役時代のメモや資料を貸していただき、このブログに掲載するという・・長い年月を経た物語のようなことになりました。
私も感慨深いです。

 

2022/06/13

【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Blue's Moods / 1960 》Blue Mitchell

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十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ブルー・ミッチェルのアルバム、「ブルーズ・ムード」です。
再度聞き直して、追記も行いました。


Blue's Moods / 1960
Blue Mitchell

Blue Mitchell/tp
Wynton Kelly/p
Sam Jones/b
Roy Brooks/ds

①I'll Close My Eyes
②Avars
③Scrapple From The Apple
④Kinda Vague
⑤Sir John
⑥When I Fall In Love
⑦Sweet Pumpkin
⑧I Wish I Knew

ジャズ好きの人に大好きなアルバムは、というと、たいてい見栄を張って難解なアルバム、例えばコルトレーンの“至上の愛”とかそこいら辺をあげたりしますが、実のところ一番プレイヤーにかけたことの多いアルバムを正直に答えよ、と言った場合には全然違うアルバムがでてくるのではないでしょうか。例えば“ハンク・モブレー”とかね。

私の場合、一番聞いたのは間違いなくこのアルバムです。
どこに行くにも持ち歩き、“遠出の共”となっています。
自分の気持ちに正直に、一番聞きたいアルバムはこれです。

一曲目から、何気ない雰囲気のピアノで始まり、気分は最高に落ち着いたものになります。しかも、ちょっとだけ哀愁が漂い、このうえないジャズ・タイムにいざなってくれます。
ブルー・ミッチェルはトランペットを張るでもなく、くぐもるでもなく、素直に吹いていて、全くの自然体、淡々としたサム・ジョーンズのベースも最高です。なにしろトランペットが“美しい”です。
何十年も前の話ですが、ラジオのジャズ番組に出た日本人トランペッターの草分け、日野皓正(ひの・てるまさ)さんが、リクエストは?と聞かれ、この曲を選んでいました。
「ジャズ喫茶でよく聞いていた」なんてお話しされていました。
私もリクエストは?と、聞かれたらこの曲を真っ先に思いつくんじゃないかと思います。

二曲目は、さぐるようなトランペットで始まり、軽い早足で進むようなテンポで展開するスインギーな曲です。
ピアノとベースの掛け合いのようなフレーズも、とても格好いい!

三曲目は、チャリー・パーカーの曲で、アップテンポな力強さを感じます。ミッチェルもドラムの活躍に負けず、吹きまくる感じです。
チャーリー・パーカーの曲らしく、フレーズが速い!それをどこまでもストレートに吹きまくるブルー・ミッチェルのトランペットは、とても爽やかで潔く聞こえます。

四曲目は、ブルース。サム・ジョーンズのゆっくりとしたリズムで始まり、ミッチェルとウィントンが抜群のコンビネーションで曲を下から持ち上げるような感じでブルージーに演奏する、オトナな曲です。じっくりジャズを堪能できます。

五曲目は、一転して軽快なミディアムテンポのリズムで、ミッチェルの輝くような音色のトランペットが最高。私の大好きなピアニスト、ウィントン・ケリーが粋なソロを聞かせてくれます。

六曲目は、美しいバラードです。ビクター・ヤングの曲です。
ロマンティックで美しいミッチェルのトランペットにうっとりできます。アルバムを通して聴いていると、ここいらへんで、極上の気分になりつつあるところです。ウィントンのピアノの美しさも負けず劣らずです。

七曲目は、くつろいだ雰囲気のゆったりとした曲ですが、なぜかちょっとセンチになるようなメロディーで、ミッチェルの趣味のよいトランペットソロを聞くことができます。ここで、一曲目を聞いたときのような新鮮さがまたよみがえるので、まだまだ聞きたいという気分にいつもなります。

最後は、スタンダードナンバーをミッチェルのイメージで繰り広げる余裕の曲です。
ウィントンもミッチェルが作り出すこの曲のイメージをこわさずに、見事にサポートしています。
 
今でも、このアルバムは“遠出のお供”ナンバーワンです。

〈追記〉2022/06/13

この掲載の元となるホームページを書いていた頃は、まだCDをクルマに持ち込んで聞いていたのだと思います。
“遠出のお供”なんて書いていますが、今では何千曲も iPhone に入れて Bluetooth で聞いたりだとか、音楽アプリから車内に流したりしているわけで、「きょうはこのアルバムを持って行こう」なんてことは日常から無くなってしまいました。それもなんだか寂しい(-_-)

それにしても1960年のアルバムなのに、今聞いても音はとてもいいです。
薄気味悪い深~いエコーなども掛かっておらず、ドラムの音も太鼓やシンバルごとにマイクをあてて、それぞれにディープな残響を掛けたりすることもなく、ベースも実に自然な音に録られています。
このアルバムが好みだと冒頭から書いていますが、このアルバムのサウンドも自分の好みなんだと、あらためて感じました。

 

2022/06/12

【The Beatles 研究室・復刻版】Let It Be[B-1]I've Got A Feeling

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「レット・イット・ビー」から、「アイブ・ガット・ア・フィーリング」を取り上げます。
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あの1969年1月30日のアップルスタジオ屋上の録音曲です。つまりライブ録音です。

これは、ジョンとポールの曲の合作で、二人が若かった頃「We Can Work It Out」などでやっていたやり方で作り上げた曲と言えます。最後の最後に映画で見たように、あんなに仲が悪そうでも、やっぱり二人は名コンポーザー・コンビであり続けていたようです。

映画の中でポールが何度もギターのチョーキングについて、チョーキングしたものをゆっくり元に戻していく指導をジョージに対してやっていて、なかなかうまくいかなかった部分も本番では見事に成功しています。
ジョージ、いらいらしていたなぁ(^_^;)

ジョージ、本番で見事にうまくいくと、それに合わせるように、リンゴが「どんなもんだいっ!」ってな調子でそのギターのフレーズのあとに気合いの入ったオカズ(Fill In)を入れます。

ポールが心情を吐露するように歌うと、ジョンは自分のパートでまるで部外者のような風な歌い方の対比をみせ、これも面白いところです。しかも韻を踏んでいて、最後の最後までビートルズらしさを見せています。やっぱり若い頃のライブバンドの血が騒いでいたのだと思います。

リンゴのドラムは8ビート基本なのに、16ビートっぽくプレイしたり、サビの部分でクラッシュシンバルの連打を見せるなど、かなりノッていて、ライブらしい、自由あふれるプレイです。これがリンゴのすごいところだと思います。
やっぱり世界で一番好きなドラマーです、私にとって。

「散漫な印象」という言われ方をよくされるアルバムですが、この気合いの入った寒風吹きすさぶ中のライブ演奏を聞いて言っているのであれば、散漫なのは聞いた人の頭の中のような気がします。


〈追記〉2022/06/12

では、その後に色々な録音が私達にも聞けるようになりましたので、いくつかの音源を聞き直してみたいと思います。

「アンソロジー3」に入っていたバージョン。
ポールはシャウトしまくり。ジョンは、割と落ち着いた感じで合いの手を入れる感じでポールを追いかけます。
ジョージは、通常のポールが歌っている部分では、まだギターを入れていない。
ジョージの問題のチョーキングの部分はいまひとつ。
ジョンのソロ・パート部分の声は、ややしわがれた感じ。

グリン・ジョーンズが作ったアルバム「ゲット・バック」に入っていたバージョン。
これもジョージのギターがまだ未完成で、通常の歌の部分にはほとんど入っていません。ビリー・プレストンのオルガンでカバーしている感じです。
問題のチョーキング部分も完璧ではありません。しかも、やや遠慮気味。
ジョンのソロ・パート部分の歌は、“こなれて”きた感じがします。
そして、演奏は中途半端なエンディングでしぼみつつ終了。

続いて、スーパー・デラックス・バージョンの「ニュー・ミックス版」。
これは演奏そのものがクリア。ギターもベースも見違えるくらいのハッキリ度です。
ポールのボーカルも生き生きとしています。
ジョージのギターも運指の様子がわかるくらいです。
ジョンが軽く歌う感じの、この本番編は、よりジョンのリラックス度がわかる感じです。
バンド全体の余裕さえ感じます。

さらに「レット・イット・ビー・ネイキッド」のバージョン。
ジョンとポールの“並び立つ”ボーカルの感じが再現されています。
過剰なエフェクトがなく、ボーカルも演奏も自然です。
なんか、このバージョンは落ち着いて聞くことが出来ます。いろいろなバージョンを続いて聞いて、初めてわかるこの印象!

スーパー・デラックス・バージョンに入っていた「アップル・セッションズ」からも聞いてみます。
まだギターの音も最初にアンプから出しただけ、みたいな音だし、ポールのベースも同様な感じです。
ギターのフレーズもまだ試行錯誤中です。
リンゴのリズムパターンもフィルインも“お試し期間中”みたいな印象(^_^)
ジョンのソロ・パートのボーカルは、ちょっとノドの状態が“いがらっぽい”です。
バンド全体の演奏も、“やや”もたつく場面があります。
私が中高生の頃に、当時“海賊盤”などと呼ばれていたものを新宿まで行って買い求め、それらを聞いていたあの感覚がよみがえります…σ(^_^;)
あの頃は、「大枚はたいて、この不完全な演奏を聞く自分はどうなんだ」と、いつも思っていましたっけ(*^_^*)

 

2022/06/11

椎名誠さんの「モンパの木の下で」を読んだ。

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『モンパの木の下で/椎名誠著(文藝春秋)』を読みました。
いつものことで、ブックオフにて200円で購入。内容は1992年から1993年にかけて週刊文春に連載されたものをまとめたものです。

三十年も前の文ですから、椎名さんもすこぶる元気で、あちこち飛びまわっているし、“飲みまわって”(^^;)いました。

そして、私の大好きな居酒屋の達人、「太田和彦」さんもキャンプの場面に何度も登場し、ひそかに日本酒の美味しいのを持参し、さらに美味しそうな“つまみ”をどんどんつくっている様子が書かれていました。この本の頃は「コンニャク料理」に凝っていたようです(^_^;)

椎名さんが仲間と飲んでいるときの“バカ話”がいつも面白いのですが、今回のなんだかわからんが面白かったのは、以下の『信用してはいかん!』の話。

「作務衣を着ている男を信用してはいかん」と誰かが言うと、みんな「そうだ、そうだ」と納得している(*^_^*)
ちなみに、私も作務衣を着ている男はあまり信用しておりません…σ(^_^;)なんかインチキくさくありません?!d(^_^o)

ついでに「ルイ・ヴィトンのバッグをぶらさげている男が新幹線や空港でかなり目につく。あれはどう見ても恥ずかしい。ルイ・ヴィトンのバッグを持っている男を信用してはいかん!」と、みんなでしっかりと頷きあっている(^_^)
んでもって、これまた私も深く同意d(^_^o)・・いましたっけねぇ、その昔、そんな男が。今はお見かけすることはないけど。

昔の話で思い出したけど、セカンドバッグを小脇に抱え、つま先歩きでチョンチョン歩いている男もいたっけ。
で、ポロシャツの襟を立てているんですよ、そういう男はかならず。・・時々、まだ襟を立てているオジサン(お爺さん)を見かけることがありますが。
こういうのも信用しないランキングに入れてほしいd( ̄  ̄)

あと、誰かが言っていたけど、“半ズボン”をはいている男を信用するなっ!っていうのも心に残る言葉でした。
日曜日にどこでも半ズボンでうろうろしているオヤジ、私もあんまり信用したくないです。
「勝俣州和」さんくらいですかね、信用できそうな半ズボンの男って(*^_^*)

信用しない話で終始してしまいましたが、「モンパの木の下で」、相変わらずドコドコどこでも出かけて行く椎名さんの楽しい本でした。

 

2022/06/10

2015年、村上春樹さんが読者からのメールによる質問に答えた本「村上さんのところ」を読みました。

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『村上さんのところ/回答者・村上春樹、絵・フジモトマサル(新潮社)』を読みました。
これまたブックオフで200円にて購入(*^_^*)

企画で、一定期間中に読者から(世界中から)届いた3万7465通のメールを村上さんが完全読破し(考えられない・・)、3716通に回答し、そのうちの473の問答を掲載したものです。

1ページ四段組なので、読むだけでも膨大な量の活字となります。面白いけれど、たいへん疲れました。村上さんは、質問を読んで、しかも答えているので、強靱かつ不死身の体力をもってこの仕事を成し遂げたのだと思います(^_^;)

質問で多いな、と感じたのは、なぜか学校の先生からの生徒を教えるときの悩み、男女問題で、「告白した方がいいか」というもの、また夫婦間のわかり合えない悩み、村上春樹の作品について世間の理解が低いというもの、自分が何をしたいのかわからないというもの、などでした。

それらの質問に、村上さんは時に丁寧に、時にあっさりと突き放すように答えていました。
この“さじ加減”が絶妙で、達人の域にいる人だと思いました。並大抵の精神力ではありません。

いろいろな質問がありましたが、私個人が面白く読んだものをいくつかご紹介します。
村上さんの回答と共に、私も回答を考えてみました…σ(^_^;)

読者質問:レコードの魅力ってなんですか?僕はCD派で、レコードは体験したことがありません。

村上回答:かなり危険ですから、必要がなければレコード関係には近寄られない方がいいと思います。時間もとられるし、お金もかかるし、普通の人には理解されません。いちおう合法ではありますが、身の安全の保証はできません。それでも体験したいですか?

私の回答:人に聞いているヒマがあったら、とっとレコード・プレイヤーを買って聞いてみろ。レコード盤はデカいので、ジャケットが大きいぞ!見ろ素晴らしいだろ、“ジャケ買い”の意味がわかったと思う。何?プチプチ雑音がするって?不良品かもしれないので、そのプレイヤー、私がもらっておこう。


読者質問:世の中には村上さんの作品や文章を酷評する人もいるのでは。中傷や批判に対し、どのようにして心の中で処理していますか。

村上回答:規則正しく生活し、規則正しく仕事をしていると、たいていのものごとはやり過ごすことができます。朝は早起きして仕事をし、適度な運動をし、良い音楽を聴き、たくさん野菜を食べます。それでいろんなことはだいたいうまくいくみたいです。

私の回答:最初は批判や誹謗中傷を無視し、受け流していますが、それでもしつこく突っかかってきたら・・呪いを掛けます(-_-)・・たいていの人は二~三日は動けなくなります。


最後は私がいちばん村上さんの回答で素晴らしいと思った質問です。

読者質問:本をよく読む人と、本をほとんど読まない人がいますが、どちらの人生が幸せでしょうか?全般的に本を読まない人のほうが、楽天的で人生を楽しんでいるように感じますが、どう思われますか?

村上回答:たとえ不幸せになったって、人に嫌われたって、本を読まないよりは本を読む人生の方がずっと良いです。そんなの当たり前の話ではないですか。

私の回答:じゃ、読むなよ。


長くなりました。以上がこの「村上さんのところ」という本を読んでみての感想です。

 

2022/06/09

映画「太陽とボレロ」を見ました。

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映画『太陽とボレロ/2022年 日本 監督・脚本:水谷豊 出演:檀れい 石丸幹二 町田啓太 森マリア 水谷豊 西本智実 他』を見ました。

水谷豊さんの監督・脚本で、檀れいさんが主演です。
ある地方都市のアマチュア交響楽団の物語で、長年活動を続けてきたものの、近年観客の入りも悪く、年4回あった公演も2回と減り、支援してくれる企業等も減ってきて・・解散という苦渋の決断を主催者・花村理子(檀れい)が下したところから物語は始まります。

花村理子は、急逝した父の事業を継ぎ、ピアニストになるのをあきらめ、故郷に帰り、交響楽団を支えてきたのですが・・。

その花村理子を鶴間(石丸幹二)が、支えてきたが、結局解散という結論は変わらず、でも解散コンサートに向けて皆が動き出すという話です。

もちろん主演の檀れいさん演ずる花村理子の音楽と人生の物語ではあるのですが、楽団員それぞれの想いや、生き方も絡んで、さらにラストのコンサートでは、役者それぞれが自分で練習して吹き替え無しで実際演奏するという・・感動的なラストが待っています。

 

 

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私は宝塚歌劇が大好きですが、檀れいさんが現役トップ娘役だったときは、子育てに忙しく、生で彼女の舞台を見たことがありませんでした。ビデオで「王家に捧ぐ歌」を見たことがあるだけなのですが、堂々とした娘役にお見受けしておりました。

今回の役どころは、必死で企業や役所を回り、オーケストラへの支援を得ようとする様子や、楽団員からの突き上げに対応する様子など、真摯で、そして決断力もあり、人としての強さも見せながら、弱い部分も観客に感じさせる・・絶妙の演技でした。

ものすごく魅力のある女性を演じていました。それに、宝塚当時の雰囲気もそうでしたが、なんだかちょっと“浮き世離れ”した感じも、檀さんの大きな魅力であり、他の女優には見られない特徴だと思いました。

相手役とも言っていい石丸幹二さんも、ミュージカルスターとは思えないような庶民的な雰囲気も“まといつつ”、でも王子様的なものがキラリと光り、これまたふだんは見られないようなキャラクターをつくりあげていました。

二時間以上という長さも感じさせず、変なギスギスしたシーンもなく、淡いトーンの、落ち着いた時間が流れるやさしい感じの映画になっていました。
私にはとてもいい時間を映画で過させてもらったという感覚が残りました。

いい映画でおすすめです。監督の水谷豊さん自ら演じる指揮者も枯れたいい演技でしたよ。

 

2022/06/08

EV時代が来て、発電は大丈夫なのか、と再度問います。

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6月1日のこのブログに「EV、EV」(EV=電気自動車)」って言ってて、皆んなが電気自動車に乗り換えて、そのとき充電できるほど発電は間に合っているの?と、ふつうの人は思う、ということを書きました。

いつぞや、「発電量が逼迫しているから、皆さん節電を」というアナウンスがあったことを、そのときにも書きましたが、書いたそばから、先日、もう政府が「お願い」を始めました。
新聞、テレビ、ラジオなどでも「この夏、・・ついでに冬も節電してくれぇ~っ!」って政府がメディアを通じて国民にお願いしていました。

あんたそれで、やがて皆んなが“お上”に言いくるめられて、ガソリンエンジン車を電気自動車に乗り換えたらどうなるんでしょう、と思いました。

「すいません、電気足りないから自動車乗らないで!」って、言うんでしょうか。
流通関係が大変厳しいことになってしまうのは目に見えています。

先のこと考えてから「電気自動車はイイぞぉ~」って言った方がいいと思います、というのが本日の書きたかったことです。

私、仕事でEVに乗っていたことがありますが、真夏の走行はエアコンも当然使うわけで、その分“みるみる”電池が減っていくのです。
あちこちで、充電不足のクルマが立ち往生するかもしれないです。

EV時代を見据えて、発電量の予測はもちろん、それに見合う発電をどのように実現するのか、いいかげん国民に見えるように動いてもらいたいものです。
充電ステーションのようなものを地域にどのくらいの割合で設置するのか、とか、自宅に充電用施設を設ける場合の補助だとか、ソーラーを利用した充電設備について考慮するとか、アナウンスがほしいところです。

近未来の話ではなくて、もう“今”からどんどん動いていかないと、たいへんなことになってしまいそうです。お前なんかが何言ってんだ!と言われるのは百も承知、二百も合点です。
でも、だぁれも何も発言しないでいると、一日働いてきて、帰宅後クルマを充電し、さあ部屋のエアコン入れて、調理もIHで、なんて皆がやったとたん、「大停電」ってことにならないよう、祈るばかりです。

 

2022/06/06

久しぶりの東京宝塚劇場での観劇を終えて

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このあいだの、このブログで、2年4ヶ月ぶりの宝塚歌劇観劇の感想を書きました。

あのコロナウイルス感染拡大が始まって、公演中止があって、宝塚歌劇もいろいろな試練があって、私は体調を崩して二度の入院・・退院後も体調の回復がなかなか進まず、その間に感染拡大は第二波がやってきて、なんどもなんども寄せては返すウイルス感染拡大の波・・。

自分の体調と、世間の感染状況を鑑みて、そして家族の意見も踏まえ、やっと「宝塚歌劇」へのGo!が出たのでした。

実に2年4ヶ月ぶりの東京宝塚劇場、ドキドキしました。

 

 

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興奮して早く着き過ぎ、開演前に劇場前の日比谷シャンテの本屋さんに寄ってみようと、三階に上がったら、あれ・・こんなところで宝塚歌劇衣裳展!・・前はよくエスカレーターのそばで何箇所かに別れてやっていたのですが、今回は一箇所で4点の展示がありました。今回掲載している写真がそれです。
雪組トップスターの彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さんと、トップ娘役の朝月希和(あさづき・きわ)さんの衣裳です。

その奥に以前はあった書店はなく、あれ?「キャトルレーヴ(宝塚グッズの売店のこと)」がここにある。ずいぶんと広いスペースに余裕の商品展示がなされていました。

 

 

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いろいろブロマイドなどを見ながら時間をつぶし、いよいよ劇場入り口へ。
全員、手の消毒を行ない、自動体温計測器を通過し、チケットは“ピッ”と機械にかざすようになっていて、けっこう感染防止には気をつかっている様子がうかがわれました。

さらに劇場内にあった、さっきご紹介したキャトルレーヴは、閉鎖されていました。
あそこはけっこう「密」だったからなぁ・・、ちょっとさびしい・・。

二階に上がっても奥までは見なかったけれど、スイーツなどの売店は開かれていなかったようだし、お土産物の売店もなかった。

三階の、劇場としては一階にあたる部分でも売店は無くなっていました。

席に着いても、場内アナウンス等で、再三の注意喚起。
会話、談笑はやめて、とか、飲食は原則禁止で、水分補給が必要な場合のみ「可」だとか、やることはきちんとやっていました。

いつものような開演前の騒々しさもありませんでした。

 

 

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宝塚歌劇は、もともと掛け声など禁止ですが、開演中も拍手のみの割と整然とした感じの客席でした。
・・もう当分、劇団員の“客席降り”なんてことはないでしょうね。あれはワクワクしたものでしたが。

というわけで、感染防止に関してはきちっとやられていて、私としても安心して観劇できました。
東京の感染者数も減少傾向に入ったようですし、今後は足を運ぶ機会も何度か出来そうです。

観劇の際には、またその感想をアップしようと思います。
このブログでのアクセス数稼ぎ頭は、なんといっても宝塚歌劇に関するものです。
それがなければ、現在のアクセス数130万件越えはなかったと思いますし。

体調を維持し、機会あればまた観劇に出かけようと思います。

 

2022/06/05

「トイレの輪 ~トイレの話、聞かせてください~」を読みました。

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『トイレの輪 ~トイレの話、聞かせてください~/佐藤満春著(集英社文庫)』を読みました。

これは、著者の佐藤満春さん(お笑いコンビ「どきどきキャンプ」の一員であり、トイレ博士としてイベント出演したりもしている)が、トイレの話を様々な人から聞いていくというものです。これまたブックオフにて110円で購入ヽ(=´▽`=)ノ

インタビューの相手は、ロケで辺境の地に行くことが多い、オードリーの春日さんとか、ノンフィクション作家、冒険家、小説家、トイレメーカーの方、建築家などと多彩です。

大まかに感想を言うと、世界中で日々トイレで用を足すことが出来るのは、ついこの間まで50%に満たず、最近やっと良くなってきたとは言え、せいぜい60%だという。
要するに外で、どこか探して用を足しているのだそうで、特にこれは女性にとってきついと思われ、犯罪にも結びついているとのこと。

また世界を冒険をしているような人は、日本の行き届いたトイレはやり過ぎだということで、椎名誠さんの本などを読んでいても、この話題はよく出て来ました。
劣悪なトイレ状況が今でも世界中にあり、日本人の感覚で世界の旅に行ってしまうと、旅なんて出来ませんぞ!というような結論に達し、そりゃそうだろうけど・・ということになります。

トイレメーカーの方々は世界のトイレ事情を改善し(各国の電気や上下水道事情が悪く課題は多いが)、より快適で、頑丈で、清潔な状態を保ちやすいものを日々つくっていて、それはそれで、人類にとってありがたいことだと大きく頷きました。

また、1980年代頃に多かったとのことですが、“奇妙奇天烈”で“ウケ”をねらったような奇抜なトイレを求めて日本中を巡っている方もいました。
これも実に興味深く、トイレ自体が何畳もある、まるで部屋のようなトイレや、日本庭園みたいな広いスペースに便器ひとつ、みたいなトイレもありました。

で、私が(著者もだった)一番共感したのは、小説家の朝井リョウさんのトイレ話でした。

朝井さんは、すぐに便意をもよおしてしまうので、外出が怖いというか、出歩くと、もうトイレがどこにあるか気になり、仕方なく外に出ることがあると、便意のための“大ピンチ”がやってくるという・・これはたぶん、多くの人が大なり小なり持っている悩みなんじゃないかと思ったのです。

だから、作家という自宅にいてトイレの間近で仕事ができる、その状態が一番いいのだ、というのです。
そのために様々な世界に出て行ったり、人に会ったりする機会を失ってしまっても、それでもその安定した状態がいいのだとおっしゃっています。・・わかる気がする。

この本の中で朝井さんがカミングアウトする、『大事故』の話には、涙が出るくらい気の毒なエピソードが載っていました。
朝井さんが現在のような小説家としての確固たる地位にいる現在で、しかも朝井さんが最も大切に思う人生の大先輩が東京から離れる門出の幹事を引き受けた場での「大便」にまつわる大失態を起こしてしまうのです・・それを書こうにも、もし自分がこの立場だったらと思うと、想像するだに怖ろしく、書くことができません。

この便意が“近い”というのは、文中でも書かれていますが、精神的なものも大きな影響を与えているということで、私にも思い当たる出来事が何度かあります・・だから、朝井さんの気持ちはものすごくよくわかり、著者もこの本の中で一番共感しているのが手に取るようにわかりました。

トイレ話といって、侮ることなかれ!
実に人間にとって奥深い内容の本でした。

 

2022/06/04

2005年発行の「それでいいのか蕎麦打ち男/残間里江子」を読みました。

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『それでいいのか蕎麦打ち男/残間里江子著(新潮社)』という本を読みました。
表題にあるように、2005年発行の本で、いつものようにブックオフにて格安購入。

本のタイトルで言っている「蕎麦打ち男」というのは、“団塊の世代”と言われる1947年から1949年に生まれた人達(著者、残間さんは1950年生まれだが、学年としては1949年の人達と一緒)が、この本発行当時、退職を目前にして、趣味もなく、なぜか「蕎麦打ち」をしている・・という残間さんの説を表わしている(^_^;)ものです。

いましたよねぇ・・こういう人。というか、いまだにいるんじゃないでしょうか。
料理をするわけではなく、蕎麦を打っている姿がなんだか知的に見えたりすると思っているんじゃないか、とか、作務衣なんか着て、求道者的な姿を見せたいというか、自分は人とはちがって孤高の位置にいるのだ、みたいな人。

団塊の世代に多いっていうのは、なんだかうなずけます。

残間さんは、退職後の見通しがあまりよくなくて“逃げている”人だ、みたいな視線を送っています。
蕎麦打ち大会まで、残間さんは取材していますが、蕎麦を商売にする気もなく、趣味にしても・・どうだろう・・という印象を書かれています。本気で蕎麦打ちに取り組んでいる人もその場には居たんですけどね。

蕎麦打ち男をまずは例にあげて、団塊の世代の人達の特徴などを書き連ねている、というのがこの本の内容で、けっこう残間さんは叱咤したり、鼓舞したりという書きぶりです。

で、私がこの本を読んで感じた団塊の世代の印象は、「ここではないどこか」を夢見ているような人、つらいこと、イヤなことを前にすると「自分はこんなところにいるはずではない」と自らをかえりみず、自分を取り巻くシチュエーション、環境に“恨み節”を唱える人・・という感じです(^_^;)自分が仕事をしていたときも、この世代の人達の多くはこんな感じでした。

“死ぬまで青春している”っていうのも、この世代の方々の特徴かもしれません。
様々な困難や、非常事態に襲われても、“どこ吹く風”( ̄O ̄;)他人事のように聞き流している様子もよくお見かけしました。

おのれを客観視することが少なく、自分が“歳を取った”自覚もなく、自分が主役だと思っている・・なんだかいいとこないけど(^^;)・・という気もいたします。

で、結局、大量にリタイアするという時がこの本の出版のあと、やって来たわけです。

どうなったか、・・自分さえよければいい、がっぽりいただいた退職金で好き勝手にやっている、世の役に立とうという人もあまりいない、現役世代に迷惑をかける・・ (・_・;などなど、想像どおりでした。・・私の知り合いのその世代の方々“ごめん”あなたたちは、そんな人ではありませんでしたよ(*^_^*)

ということで、団塊の世代の残間さんによる、団塊の世代への「喝」を入れた本を読んで私が感じたことをまとめてみました。

 

2022/06/03

堀内恒夫さんの「バカでエースがつとまるか!」を読みました。

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『バカでエースがつとまるか!/堀内恒夫著(ベースボール・マガジン社新書)』を読みました。ブックオフで110円で見つけました(*゚▽゚)ノ

堀内恒夫さんは、プロ野球・巨人軍が「日本一9連覇」したときの投手、もちろんエースでした。そして子どもの頃の私が一番憧れたピッチャーでした。

速球と打者の背中から曲がってストライクゾーンに入ってくるカーブに驚いたものです。
オールスターなどでは、初めて対戦する打者がストライクなのに、のけぞって転倒するシーンなども何度も見ました。
守備は抜群に上手く、さらに打撃では自らの本塁打で日本シリーズを勝ったりと、そりゃあすごい人でした。
それゆえに、この本にも書かれていましたが、“甲府の小天狗”とか、“悪太郎”などと新聞に書かれたりしていたのも覚えています。

でもね、読んで驚いたのですが、堀内さんは様々なスポーツ紙を取寄せ、切りぬきは段ボール箱で何箱もして、打者の故障やその他の情報を集め、次の対戦では軸足の故障している打者には、ここを攻めればとか、対策を考え、試合後にはノートに打者への投球について細かに記して、攻め方や失敗したことなどを次の試合への糧にしていたとのこと。

また、登板前夜には、一試合分、打者ごとに丸々、頭の中でシミュレーションして臨んでいたとのことでした。
自分が現役時代に投げた投球は、ほとんど記憶に残っていて、一球一球まで再現出来るようです。“江夏の21球”のライフタイム版です。

それほど投手(特にエース)というのは、常に考えながら投球しているのだということが、今にしてわかりました。

 

 

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私が一番印象に残っているのは、1972年。巨人が8連覇したときの堀内投手です。
それまで二十勝したことは一度も無かった堀内さんが、シーズン26勝して、日本シリーズでも大活躍したんじゃないでしょうか。打者としても大活躍していたと思います。

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写真を二枚ほど載せていますが、これは学生だった私が切り抜いて取っておいたものです。
この年の堀内さんは“ひとまわり”スケールアップした感じがあったと記憶しています。
誰も打てない・・。球は速い。カーブは驚くほどの落差があり、天下無敵でした。
シーズン中に100勝を達成。そして日本シリーズでは王・長嶋以外では9連覇中初めて最優秀選手賞を取った人だと思います。

子どもの頃の私は草野球のユニフォームを買ってもらい、背番号は「18」を付けました。
憧れだったからです。

そんな堀内さんの“歯に衣着せぬ”本音で書いた本、とても面白いものでした。
力強い投手論(エース論)は、堀内さんならではのものでした。
スカッとする爽快な本でした。

 

2022/06/02

宝塚歌劇・雪組東京公演「夢介千両みやげ/Sensational !」を観劇してまいりました。

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宝塚歌劇・雪組東京公演『夢介千両みやげ (大江戸スクランブル)/Sensational !(ショー・スプレンディッド)』を、昨日、観劇してまいりました。

コロナ禍となり、上演中止、その後私が体調を崩し入院、さらに療養中の身で東京まで出かけるのを懸念して、前回の観劇が2020年2月の東京・宙組公演でしたので、実に2年4ヶ月ぶりの観劇でした。
東京に向かう電車に乗ったのも、同じく2年4ヶ月ぶりでした。不安と期待に身体が震えました。

出かけたのは雪組・東京公演。
トップスターは私が療養中に、彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さん、トップ娘役は朝月希和(あさづき・きわ)さんに変わっています。いやもう時は流れた・・。

大江戸スクランブルと謳った、「夢介千両みやげ」は、「桃太郎侍」などの原作のある山手樹一郎氏の代表作とのこと。
チラシなどにも書かれていましたが、これぞ“痛快娯楽時代劇”というもので、実に楽しい演目でした。

 

 

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しかも、宝塚のオーケストラが“洋物”のカッコイイ楽曲でこの時代劇ミュージカルを彩って、テンポも良く、悪い人は出てくるが、“ドジごしらえ”の愉快さがあり、彩風さん演じる夢介の心優しいお人好し、しかもお節介で、喧嘩は嫌いだけど腕っぷしはある(*^_^*)・・うまく彩風さんのキャラクターを生かした主人公設定となっており、登場してくるいい人も悪い人も、みんな夢介が好きになってしまうという宝塚歌劇としても面白いものになっていました。

彩風さんは、木訥(ぼくとつ)だが、男気があり、女性にも優しい主人公をうまく演じて、観客の笑いと共感を呼んでいました。
相手役の朝月希和さんも、“オランダお銀”という異名を持つ名うての道中師(スリ)なのに、彩風さんの不思議な魅力にまいって押しかけ女房になってしまうという面白いキャラクターを、これもまた見事に演じていました。芝居巧者とお見受けしました。

 

 

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若旦那の総太郎を演じた朝美絢(あさみ・じゅん)さんは、なんともお金持ちの放蕩息子を“地”で演じている(^_^;)んじゃないかと思うくらいの“お坊ちゃんぶり”を見せ、だけど憎めないという役どころを満点で演じていました。
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そして、宙組から雪組に組替えでやって来た和希そら(かずき・そら)さんは、お銀の仲間で、幼い弟妹の面倒を見ながらスリをしている少年を演じ、しかも全体の狂言回しもするという難しい役をうまく演じていて、これもまた愛されるキャラクターでした。

雪組は、“和物”は得意中の得意、という印象がありますが、彩風さんの時代となっても、それは変わらないと感じました。
出てくる人達皆が、すっかりその時代にハマっているという気がしました。
ちょっとした仕草など、手先から足の運びまで、実に綺麗で、堂に入っています。
これぞ雪組という、美しくてリズミカルな和物ミュージカル、堪能しました。楽しかった(*^^*)

そして、ショーの「センセーショナル!」は、組子全員の美しい身のこなしが、この煌びやかで華やかなショーをよりいっそう引き立てていました。

全体からくる“圧力”のようなものも、圧倒されるような感じで、スピード感はむしろ今まで以上に感じるくらいでした。

また、特にショーで感じましたが、芸達者な人が多く、“層が厚い”という印象も受けました。

指先まで綺麗な、雪組のきめ細やかなダンスの中に、“キレ”があって“力強い”ダンスの和希そらさんが加わり、群舞でも、銀橋での主力メンバーのダンスでも、隙が無く、しかも流れるようにステージが進行されていて、感服いたしました。

今回の雪組は、芝居とショーという実にオーソドックスな宝塚の公演ですが、初心者も古くからの宝塚ファンも心から楽しめる、娯楽作品となっていました。
こういうのもいいです!

 

2022/06/01

EV、EVって世界も世間も言っているけど、日本の発電は間に合うの?

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ついこのあいだ、軽自動車のEV(電気自動車)が発売されるとアナウンスがありました。
日産と三菱の共同開発車のようですが、それぞれに「サクラ」「EKクロスEV」という名前で売り出されるとのこと。

軽自動車に目をつけたというか、手をつけたのは、ただでさえガソリンスタンドが減少し、ましてや地方ではその傾向はより顕著になっていることから、自宅などで充電できるというのはかなりのメリットがあるからだと思われます。
一人一台のクルマがないと日常生活にも困る地域も多いことだと思いますし。
そして、充電設備を備えたスポットは現在3万箇所までに増えてきたんだそうです。

さらに、この電気自動車を購入すると、250万円というEV化で割高となっているクルマが国からの補助と、自治体からの補助(自治体によって異なる補助金額)も併せると、145万円程度で手に入るとのことで、航続距離は180Kmと短いのですが、買物や普段使いでは、けっこうメリットがあると思いました。

世界的に「〇〇年までに自動車は電気自動車化する」と声高らかに謳われていて、ハイブリッド車の多い日本でも、EV化は避けられない状況です。

で、今回のタイトルにもあるように、電気自動車にどんどん世の中変わっていくのだと言っても、それはもちろん充電あってのことです。

今年に入って、急激に寒くなった時に、国民に対して「節電してくれぇ~」って、発電側で悲鳴を上げていたことがありませんでしたか?!
冷房だけでなく、暖房も調理も、その他どんどん電化し、「オール電化だ」なんて、自慢している人もいるくらいで、発電状況は逼迫しているんじゃないでしょうか。

化石燃料を減少させようだとか、SDGsだとか言っている中、将来の日本の発電はどうなっていくのか、方向性もよく見えていません。

皆が皆、EV車の充電を携帯電話のように始めたら、果たして電気は足りるのか。

・・足りないよねぇ・・。日本中のクルマが充電するんだよ、そんな電気どこにあるんだろう。

なんか調子のいいことばかり言って、クルマはEVに限るなんて言っている人、国やその他エラい人、どれだけの発電量が必要になって、そのための発電所はどこにあるのか、無いのなら、どんな方式の発電所を何処にどれだけ作るのか、関西と関東での電力融通をうまく出来るように考えているのか、などなど、私達国民に明らかにしてほしいです。

クルマの充電したら、その分電気料金何十%上乗せするなんて言うんじゃないだろうな・・・・・言うなきっと。

 

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