【The Beatles 研究室・復刻版】Let It Be[B-1]I've Got A Feeling
今回は、アルバム「レット・イット・ビー」から、「アイブ・ガット・ア・フィーリング」を取り上げます。
あの1969年1月30日のアップルスタジオ屋上の録音曲です。つまりライブ録音です。
これは、ジョンとポールの曲の合作で、二人が若かった頃「We Can Work It Out」などでやっていたやり方で作り上げた曲と言えます。最後の最後に映画で見たように、あんなに仲が悪そうでも、やっぱり二人は名コンポーザー・コンビであり続けていたようです。
映画の中でポールが何度もギターのチョーキングについて、チョーキングしたものをゆっくり元に戻していく指導をジョージに対してやっていて、なかなかうまくいかなかった部分も本番では見事に成功しています。
ジョージ、いらいらしていたなぁ(^_^;)
ジョージ、本番で見事にうまくいくと、それに合わせるように、リンゴが「どんなもんだいっ!」ってな調子でそのギターのフレーズのあとに気合いの入ったオカズ(Fill In)を入れます。
ポールが心情を吐露するように歌うと、ジョンは自分のパートでまるで部外者のような風な歌い方の対比をみせ、これも面白いところです。しかも韻を踏んでいて、最後の最後までビートルズらしさを見せています。やっぱり若い頃のライブバンドの血が騒いでいたのだと思います。
リンゴのドラムは8ビート基本なのに、16ビートっぽくプレイしたり、サビの部分でクラッシュシンバルの連打を見せるなど、かなりノッていて、ライブらしい、自由あふれるプレイです。これがリンゴのすごいところだと思います。
やっぱり世界で一番好きなドラマーです、私にとって。
「散漫な印象」という言われ方をよくされるアルバムですが、この気合いの入った寒風吹きすさぶ中のライブ演奏を聞いて言っているのであれば、散漫なのは聞いた人の頭の中のような気がします。
〈追記〉2022/06/12
では、その後に色々な録音が私達にも聞けるようになりましたので、いくつかの音源を聞き直してみたいと思います。
「アンソロジー3」に入っていたバージョン。
ポールはシャウトしまくり。ジョンは、割と落ち着いた感じで合いの手を入れる感じでポールを追いかけます。
ジョージは、通常のポールが歌っている部分では、まだギターを入れていない。
ジョージの問題のチョーキングの部分はいまひとつ。
ジョンのソロ・パート部分の声は、ややしわがれた感じ。
グリン・ジョーンズが作ったアルバム「ゲット・バック」に入っていたバージョン。
これもジョージのギターがまだ未完成で、通常の歌の部分にはほとんど入っていません。ビリー・プレストンのオルガンでカバーしている感じです。
問題のチョーキング部分も完璧ではありません。しかも、やや遠慮気味。
ジョンのソロ・パート部分の歌は、“こなれて”きた感じがします。
そして、演奏は中途半端なエンディングでしぼみつつ終了。
続いて、スーパー・デラックス・バージョンの「ニュー・ミックス版」。
これは演奏そのものがクリア。ギターもベースも見違えるくらいのハッキリ度です。
ポールのボーカルも生き生きとしています。
ジョージのギターも運指の様子がわかるくらいです。
ジョンが軽く歌う感じの、この本番編は、よりジョンのリラックス度がわかる感じです。
バンド全体の余裕さえ感じます。
さらに「レット・イット・ビー・ネイキッド」のバージョン。
ジョンとポールの“並び立つ”ボーカルの感じが再現されています。
過剰なエフェクトがなく、ボーカルも演奏も自然です。
なんか、このバージョンは落ち着いて聞くことが出来ます。いろいろなバージョンを続いて聞いて、初めてわかるこの印象!
スーパー・デラックス・バージョンに入っていた「アップル・セッションズ」からも聞いてみます。
まだギターの音も最初にアンプから出しただけ、みたいな音だし、ポールのベースも同様な感じです。
ギターのフレーズもまだ試行錯誤中です。
リンゴのリズムパターンもフィルインも“お試し期間中”みたいな印象(^_^)
ジョンのソロ・パートのボーカルは、ちょっとノドの状態が“いがらっぽい”です。
バンド全体の演奏も、“やや”もたつく場面があります。
私が中高生の頃に、当時“海賊盤”などと呼ばれていたものを新宿まで行って買い求め、それらを聞いていたあの感覚がよみがえります…σ(^_^;)
あの頃は、「大枚はたいて、この不完全な演奏を聞く自分はどうなんだ」と、いつも思っていましたっけ(*^_^*)
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