「その時がきた/山本夏彦」を読みました。
『その時がきた/山本夏彦著(新潮社)』を読みました。
平成8年発行の本なので、二十数年前のものです。
ブックオフで200円で見つけたのですが、山本夏彦さんの本は、通常の書店ではまったく見なくなり、ブックオフなどの古本を扱う店でも見かけることは、ここ十年以上に渡ってほとんどありません。
何か理由があるのかと思うこともありました。
山本さんが亡くなったあとに、残された手帳などから「夏彦の影法師」という本を息子さんが書かれていますが、それを読んだときにも何か“奥歯に物が挟まったような”・・何かあるんじゃないか、という印象がありました。
結局、ほとんど書店・古書店で山本さんの本を見かけなくなった理由はわかりませんでしたが、ちょっと謎です。
考えられるのは、今、山本さんの本を読んでみると、政治的なことでも、日常生活のことでも、言葉づかいでも、男女のことでも、いろいろなことについて遠慮会釈のないことを書いています。
今だったら“炎上”必至です。
そういう本を置けない・・ということは・・ないと思うんだけど。
実は買って来て気づいたんですけど、過去にこの本、読んだことがありました…σ(^_^;)
忘れちゃうんですよね(^_^;)
清水幾太郎の「私の文章作法」に書かれていた言葉にふれている部分があって、私も山本さん同様気になりました。
〇言葉に好き嫌いのある人なら文章が書けるようになる見込みがある。
というものです。
山本さんも、「原点」「ふまえて」「出あい」「対話」のたぐいは千金を積まれても用いないと言っていて、私もあまり使いたくない言葉かもしれない・・。
永井荷風も若者の口まねして言うことはあっても、書くことは断じてないと言っていると書かれていました。
そうねぇ、私も若者の使う言葉は自分の身に沁みていないので、使わないことがほとんどです。
コスパ、エモい、バズる、などはたぶん生涯使うことはないと思います。
山本さんは大正生まれ、一般家庭に電話のない時代の、よその家への訪問についても書かれていますが、そんな昔の話を聞くと、携帯のない時代の生活についても私には思い出されました。
根本的には、いつの時代にも普遍的にあることについてよく書かれた山本夏彦さんの本。
久しぶりに思い出しながら読みました。
« 参院選投票日を前に恐ろしいことが起こりました。 | トップページ | 【はっPのアナログ探訪_0158: PRIMITIVE LOVE / MIAMI SOUND MACHINE ( LP )】 »
「言葉」カテゴリの記事
- 「夏彦の写真コラム」傑作選(2) 阿川佐和子編 を読みました。(2023.10.18)
- 「叱る、だけど怒らない/永六輔」を読みました。(2023.10.15)
- 「かなり気がかりな日本語/野口恵子」を読みました。(2023.09.18)
- 「ラジオ深夜便 新 珠玉のことば ~ラジオが教えてくれた名言100~」を読んでみました。(2023.08.21)
- 外山滋比古氏の「知的な聴き方」という本を見つけ、読んでみました。(2023.08.20)
「書籍・雑誌その2」カテゴリの記事
- 「京都でひっそりスピリチュアル/桜井識子」を読みました。(2023.12.05)
- 「しあわせのねだん/角田光代」を読みました。(2023.12.02)
- 「眠れぬ夜のラジオ深夜便/宇田川清江」を読みました。(2023.11.30)
- 加藤諦三先生の『どうしても「許せない」人』を読みました。(2023.11.27)
- 伊集院静さんの「あなたに似たゴルファーたち」を読みました。・・この文を書き終えたときに伊集院さんの訃報が入ってきました・・。(2023.11.24)
« 参院選投票日を前に恐ろしいことが起こりました。 | トップページ | 【はっPのアナログ探訪_0158: PRIMITIVE LOVE / MIAMI SOUND MACHINE ( LP )】 »
コメント