「明るい話は深く、重い話は軽く/永六輔」を読みました。
『明るい話は深く、重い話は軽く/永六輔著(智恵の森文庫 光文社)』という本を読みました。
2003年発行となっていますので、約二十年前のものです。
日本中を旅したり、いろいろな人と出会って得た世の中を和ませる秘訣だとか、永さんの話の集大成みたいな本でした。
おもしろかったですよ(*^^*)、私がちょっと感じるところがあった部分を少しご紹介します。
「パソコンを入れた友達に手紙を書いても、返事をくれなくなりました」という葉書をもらい、“寂しい”と感じる永さん・・。
この寂しさがIT情緒的反対派を中高年に増殖させている、と書かれています。
自分のたちの生活に電話が侵入してきたときは、どうだったのか?電話反対派っていたのか?!などとも書かれていますが、電話と現代のITって、文明としては似ているようで、そうでもないような気がします。
私は、ブログ、ツイッター、インスタグラム、Facebook と、いろいろやっているようでいて、手紙もよく書きます。「返事は期待せずに」ですd( ̄  ̄)
返事を書いてくれる人なんて、まあ、いません(^^;)でも、それでもいいんですよ。
書きたくて書いているんだし、この“紙に直筆”の威力がわかる人にはわかるわけで、伝わっているはずです。
次の話題
「ある年の紅白歌合戦をラジオで聴きながら、心を打つ歌詞が流れてきたらメモしようと、紙と鉛筆を用意しておきました。最後までとうとうメモは白紙。言葉がいかに無力になってしまったか、それを哀しく感じました。」
という一文がありました。
これにも、私は同感しました。
歌詞が流れたら・・って言っても、いまや何を歌っているのか聞き取ることさえできません。
なんとか日本語に聞こえないように、英語みたいに聞こえるように発音しているからです。
・・みっともない、格好悪い、の極致です。
それにどうせ聞き取れたって、自分の周囲、半径2メートルのことだけ自分勝手に歌っているだけで、自分さえよければ、という歌詞ばかりです。
聞くに値せず・・。
最後にもうひとつ
「Eメールや携帯メールを使っているから、ちゃんと言葉で会話している、だなんて思っていませんか。あのメールは言葉ではありません。記号の交換。言葉には表情や身振りがあって、意味を補充している。手紙にも形式や、文字の巧拙が出ているから、表情として伝わる。携帯電話はもはや、電話でもなければ、メールでもない。無機質な記号の発信機。」
とありました。いやもう、そのとおりだと思います。
さらに言葉の記号化、符丁化に拍車をかけているのが、略語や省略の横行だともおっしゃっています。
「メアド」だとか「コスパ」だとか、独特の言い方を発明するのは、昔から特殊な仲間社会のものでした。
つまり“ヤクザ”や“芸能人”などの堅気ではないところで盛んでした。
そこだけしか通用しない言葉を創って自分たちのアイデンティティを確認し合うわけですが、そんなもの真似して、これまたみっともない話です。
「やばい」も、あちらの世界の方々の賭博用語ですが、それを知っての“狼藉”かと最初は驚いたのも、今は昔。
いろいろ感じるところが満載の本でした。
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