【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Quiet Kenny / 1959》 Kenny Dorham
十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ケニー・ドーハムのアルバム、「クワイエット・ケニー 」です。
今回、再度聴き直して一部文言等を追加・修正いたしました。
Kenny Dorham/tp
Tommy Flanagan/p
Paul Chambers/b
Art Taylor/ds
①Lotus Blossom
②My Ideal
③Blue Friday
④Alone Together
⑤Blue Spring Shuffle
⑥I Had The Craziest Dream
⑦Old Folks
⑧Mack The Knife
実際にリアルタイムでジャズ喫茶に行き、このアルバムをリクエストした方は、『静かなるケニー』と、このアルバムを呼んでいたことと思います。
邦題からしてはやくも名盤の風格があります。
最初の『蓮の花』という曲はソニー・ロリンズの演奏でも有名です。
ロリンズは“Asiatic Raes”というタイトルにしています。導入部分が東洋的な雰囲気を彷彿とさせます。
このアルバムと言えば、この“蓮の花”と“マック・ザ・ナイフ”ですが、その他の曲もいかにもモダン・ジャズといった曲ばかりで堪能できます。
My Ideal は訥々と始まるケニーのトランペットでいきなりジーンとさせます。語りかけるようなケニーのペットを聞くだけで満足度が急上昇です。
ちょっと“くぐもった”ようなケニーのトランペットの音がリリカルな曲調をより詩情豊かにしていると感じました。
Blue Friday が始まると、いかにも当時のジャズの雰囲気が伝わってくる感じがします。
ケニーのトランペットのさまざまな音色や、テクニックが次から次へと展開されて、ケニー・ドーハムのジャズを堪能出来ます。
Alone Together もトランペットのフレーズに身をまかせて静かに聞きたい良い曲です。
Blue Spring Shuffle は、ポール・チェンバースのベースで始まり、アート・テイラーのリズムが曲を引っ張り、ケニーのトランペットが歌い出す感じの冒頭が格好良く、あとは実に自然な流れで曲が展開されていきます。スネア・ドラムの音なんか最高!
ジャズ喫茶で聞いているような気分になります。
I Had The Craziest Dream は、ちょっと“こもった”ようなケニーのトランペットの音が物語性を感じさせ、何かストーリーを語っているような雰囲気の曲です。
Old Folks は美しい曲で、当時のお客さんはケニーにこの曲を必ずリクエストしていたようです。得意なこの曲を十分の間合いを取ってたっぷりと聞かせてくれます。
曲の世界観が聞いている者の心の中に広がっていく感じがします。
さて、ハイライトの『蓮の花』は先に書いたように東洋的な雰囲気の名曲です。アドリブの部分に入っていっても詩情的なケニーの演奏を聞くことができます。そして、テクニカルなプレイも随所に登場して、最後まで飽きさせません。フラナガンのピアノもリリカルな演奏に“華”を添えます。
聴き直してみると、意外やポール・チェンバースのベースが素晴らしい音色と共に生き生きと活躍しています。
そして、アート・テイラーのドラムも、これまた意外やアグレッシブで、この曲の良さをさらに見直すことになりました。
もうひとつのハイライト『マック・ザ・ナイフ』は、これもロリンズが“モリタート”という別名で録音していて、それも有名です。ロリンズのものも良いですが、静かなるケニーのシンプルでソフトなこの録音も捨てがたい良さがあります。
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