「行動することが生きることである/宇野千代」を読みました。
『行動することが生きることである -生き方についての343の智恵-/宇野千代著(集英社文庫)』を読みました。
たまたまブックオフにて手に取ったものです。ちょっと見ただけでなんというか、肯定的な印象の文と、あまり悲観的にならない雰囲気が伝わってきて思わず買ったのです。
タイトルどおり“行動する”ことが、すべてにおいて苦難、困難を抜けきる方法なんだ、というふうに私には読み取れました。
“精神を積極的に保つコツ”なんていうのも書いてあって、宇野さんの嫌いな人は「あたし、駄目なんです。生まれつき、文章なんて書けないんです」という人だと書かれていました。
ほんとうに自分のことを駄目だなんて思ってやしないんじゃないか、ただ人前を作って、そう言っているだけなのかも知れない。・・と、おっしゃっています。
自分のことを駄目だ、駄目だと言っているうちに、ほんとうにそのようなことになってしまいやしませんか、ということなのです。
自分は書ける・・、嘘でもそう言い切ることで、言葉の反射によって、自分は書けると思い込むようになる、ということで、私もそんな気がいたしました。
時代が時代なだけに、手紙のことも書かれているのですが、宇野さんが若かった頃の昔でも「近頃は電話で何でもすませるのが普通である」などと書かれています。
「電話」と、その後にででくる「メール」は手紙を完全に日常から追いやりました。
宇野さんの若い頃は、周りに文士がたくさん住んでいて、毎日のように手紙が来たと書かれています。
梶井基次郎からは毎日のように手紙が来た。その手紙を持って萩原朔太郎や、川端康成の家に梶井さんが遊びに来ますよ、と知らせて廻ったことなどが書かれていて、なんだかうれしい話を聞いたな(*^^*)と思いました。
「電話の無かった頃の方が情緒があったような気もする」とおっしゃっていて、その頃の葉書の便りなどを見ると、その人との友情の深さまで思いやられるから、ほんとうに面白いものだと書かれていました。
・・私も、たいせつな人からの手紙や葉書は大事に保管しているのです。
その頃の雰囲気や、交流の様子が今でもよみがえってくるからなのです。
実に心が真っ直ぐに、そして明るく、希望が見えてくるような文ばかりの本でした。
近頃は、こんなこと書く人なんてあまりいないかもしれない。暗いこと、不安なこと、怯えるようなことばかりという気がします。
なので、読んでよかったd(^_^o)
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