「毎日が日曜日/城山三郎」を読みました。
『毎日が日曜日/城山三郎著(新潮文庫)』を読みました。
ブックオフで見つけた城山三郎さんの長篇小説です。実に652ページ。
昭和51年に新潮社から刊行されたものの文庫化で、この本自体が平成19年のものなのですが、既に五十刷を重ねています。つまり大ベストセラーだったのですね。
日本の総合商社に勤める妻子ある男が主人公ですが、巨大な組織とそのダイナミックな機能、日本的な体質と活動が主人公と家族の日常生活とともに描かれています。
描かれている舞台は商社ですが、商社という特殊な企業活動ではあるものの、男なら誰もが何度も通る仕事の厳しさ、人事の厳しさ、家族との生活・人生の中で何度も遭遇する困難は人皆共通なのだ・・と“ひしひし”と感じる物語でした。
人事異動で与えられた職場がどんなところでも、多くの人は必死で働き、頑張り、それでも次から次へと問題が発生し、全力でぶつかっていく。そんな最中でも家族の間では様々な問題・事件は容赦なく襲ってきます。
それを仕事の細部に渡り、さらに関わってくる登場人物についても実に克明に、まるで現実であるかのように書かれている城山さん。
この人の描く小説世界は限りなく広大で、しかも身近に迫ってくるのです。
私も今まで仕事をしてきた各部署でのあまりにも厳しい環境を思い出して身震いしました。
しかも、そんなときにも家族の問題は“待ったなし”でやって来るのですから、人が、家族が生きて行くっていうことがどんなに大変なことなのかというのをあらためて突きつけられた感じです。
私がこの本を読み始め、テーブルに置いておいたら、妻が見つけ「あっ、この本お父さんが読んでいた本だ」とつぶやきました。
妻の父は、63歳で若くして亡くなりました。仕事での役職も上の方にいって、部下に対して厳しくも過酷なことを言わねばならなかったようで苦悩していたということを聞いたことがありました。
きっと、この本をお義父さんも読みながら、自分の仕事での置かれた環境と、家族とのいろいろな問題を考えていたのでしょう。
私が何十年後にその同じ本を読んだというのも何かの因縁かもしれません。
とにかく圧倒的な、仕事と家族を描いた「人生の本」でした。
とてもいい本に出会えたと、今、深く感じているところです。
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