【The Beatles 研究室・復刻版】Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band[B-4]Good Morning Good Morning
15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「サージェントペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」から、「グッドモーニング・グッドモーニング」を取り上げます。
ジョンがケロッグのCMを家でゴロゴロしているときに見かけて、それをモチーフに仕立て上げた曲です。
まずはニワトリが鳴いて曲が始まり、4/4、5/4拍子というジョンお得意の変拍子がこの曲の特徴です。
リンゴはいとも簡単にこの変拍子をこなし、スネアのロールや、クラッシュシンバルを巧みに使ってこの曲の柱となります。
ジョンはブラスセクションも所望し、この曲の勢いの良さをさらにブラッシュアップさせます。ブラスセクションは、コンプレッサーで音を潰し、ものすごい圧力を感じさせるものに変貌させます。
さらに、ポールはギンギンにディストーションのかかったリードギターを披露し、ジョージの出る幕はありません。
リボルバーのタックスマン以来のトレブリーな“これでもか”状態のかっこよいギターです。
そして、ラストはニワトリや象や馬、ネコ、牛、狐を追う狩人などが固まりのようになって右スピーカーから左スピーカーにもんどりうつように転がっていきます。(※注:ステレオ・バージョンの場合)
痛快というか、愉快というか、たかがケロッグのCMを見ただけでここまで曲を作ってしまうジョンの「天才」にはおそれ入るばかりです。
誰がそれだけの材料でこんなロックンロールを作りましょうか?
この曲を批判する人もいますが、この曲はビートルズの、ひいてはジョンの天才ぶりを証明したものだと思います。
アルバムはさらに続き、最後のニワトリの鳴き声のあと、ラストのサージェントペパーズ・リプライズ(※「リプライズ」という日本語発音が「リプリーズ」の誤りだという指摘を後年になって聞きますが、当時は「リプライズ」がいろいろな書籍などでも使われていた一般的な言い方でした。私もそれに慣れているので今回使いました。私の持っている旺文社の COMPREHENSIVE という辞書では、「リプライズ」と発音記号が記されており、さらに米国の発音として「リプリーズ」、反復の音楽用語として「ルプリーズ」が例示されています)へと進みます。
〈追記〉2022/08/16
この曲についても、2009年リマスター後にスーパー・デラックス・エディションなども出て音源がいろいろありますので、聞いてみました。
アンソロジー2に入っているバージョン
ポールのベースが中心にブン・ブン・ブイ・ブイとすごい。
リンゴのドラムは、ほとんど完成版と同じ。
ギターはリズムギターがガイド的に入っている程度。
ジョンのボーカルも完成版とほとんど同じ感じです。
2009年リマスター・ステレオ版
ブラス・セクションが右スピーカーに分かれていて、とても鮮明な音。
ジョンのボーカルは、あまりエフェクトが掛かっていない感じ。
左スピーカーのリード・ギターの“鳴き”が強烈に入っている。
リンゴのドラムもクリアに録られている。
あらためて聞いて、“とても聞きやすい”と感じた。決定版!という感じ。
スーパーデラックス・エディションDisc4
モノラルで、ちょっとボーカルもベースも奥に引っ込んだ感じ。
全体に大人しく、各楽器の音の分離もあまりはっきりしていない。
ブラス・セクションの音は、それほど“ひしゃげた”音に加工されていない。
2009年リマスター・モノラル版
各楽器の音のまとまりがよく、分離してよく聞き取れる。
リード・ギターの音も極端に割れるようなところまで強調されてはいないが、ほど良い程度と感じる。
ジョンのボーカルも自然な感じで、エフェクトに過剰な感じはない。
スーパー・デラックス・エディション・ニュー・ステレオミックス
ものすごいベースの圧力。
ドラムもタム、シンバルをはじめ、全てが“ドカーン”と響くようなエフェクトが掛かっている。
バスドラムも、スネアも、やや異常なくらいに過剰なエフェクトが掛かっている。
ブラス・セクションも思いっきりコンプレッサーが掛り、つぶれまくり。
リード・ギターもこれでもかというくらいの迫力に。
ジョンのボーカルは、はっきりと歌詞が聞き取れるが、音はコンプレッサーのようなもので中域に圧縮されている。
スーパー・デラックス・エディションDisc2
ガイド的なリズム・ギターとリンゴのスネア中心のガイドリズムが収録されている。
スーパー・デラックス・エディションDisc2に入っている上記からの続きバージョン
上記のバージョンからのやり直し的にジョンのガイドボーカルが入って再度曲が始まる。
この時点でリンゴのドラムは変拍子対応をスネアやハイハットをうまく使ってやっているのがわかる。
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