石田衣良さんの「坂の下の湖」を読みました。
『坂の下の湖/石田衣良著(日本経済新聞出版社)』という本を読みました。
これもまたブックオフにて200円で購入(*^^*)
この本は、リクルートの「R25」に2008年から2010年にかけて連載されたものに加筆・修正を行なったものだそうです。
時代としては、サブプライムローン問題が発生し、リーマン・ショックへ、そしてそれが世界にも日本にも影響を及ぼし、経済的には大きな危機となった頃です。
さらに、自民党政権が総選挙において大敗し、当時の民主党政権が誕生した時。
そしてその民主党政権がなんとも心もとない政権で国民の期待を大きく裏切りヨタヨタな状態。
そこに輪を掛けて東日本大震災が発生し、なんというのか、夢も希望もないような時代だったのかもしれません。
で、石田衣良さんの文です。
時代は就職難でもあり、先行き不安な若者は新入社員でもこつこつと貯蓄をする。
そして、男子は“草食男子”と呼ばれるタイプが増殖していく。
自分を守ろうとすると、皆が同じようなことを考え、世の中画一的な方向に向かいます。
石田さんが書かれていますが、本の世界も「ひとり勝ちの世界」になってしまったと。
ナンバーワン以外はぜんぜんダメ。第一位の本はよく売れるが、それ以外のノミネート作品はまったく動かない・・。
映画や音楽でも同様のことが起きて、エンターテインメントの未来は暗い・・。
創作の世界の豊かさがなくなってしまうというのです。
個々がひとり・ひとりその場で耐え、自分の力をすこしずつ磨き、いつかやってくる変化の時を待ってと石田さんは呼びかけていました。
このとき石田さんが政治に対して発言していることは、今現在の世の中でもまだ言えることだと思いました。
政治家は、ぜんぜん仕事をしていないと思う。
それは法案をつくったり、国会で審議したり、決議したりという代議士のルーティンの仕事についてではない。
それよりももっと大切な、政治家としての根源にかかわる部分で仕事をしていないのだ。
日本という国の明日の希望をつくりだす仕事をしていない。
それこそ今も昔も、政治のもっとも大切な仕事であるはずだ。
日本という国がなにを目指すのかという明確なメッセージはまるで伝わってこない。
・・そういう政治家っているのか・・。
全体にこの本の文体は“軽い”のですが、でも、「芯」の部分はしっかり力強いと感じる本でした。
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