「怒る技術/中島義道」を・・読んだ。
『怒る技術/中島義道著(角川文庫)』を・・性懲りもなく読みました…σ(^_^;)
このブログでは以前に「偏食的生き方のすすめ」というこの著者の本の読後感を載せましたが、あのときは「もうイヤ、うんざり」と思ったわけです。
とにかく怒ることに人生の喜びを見いだし、トラブルになればなるほど、相手がムキになればなるほど“ふるえる”ほどの喜び方をする著者には“あきれ”、“うんざり”し、“怖ろしく”なったのでした。
・・なのにまた別の本を手に入れ、読んでしまった・・。
怖いもの見たさというか、遠くから凶暴で残忍な生き物を見てみたいというか、そんな気持ちなのだと思います。
今回読んだこの本では、前回の著書とは異なり、別のアプローチで「怒り」に取り組んでいます。
人は「怒らなければいかんっ!」というのが一番の著者が言いたいことのようです。
それが、引き籠もる人や、自らの気持ちが充足されない人、極力怒るのを我慢することを生きてきた中で体に染み込ませてしまった人、などにとって、ある意味解決方法になるというのですが・・、ほんとうだろうか。
相手の言っていることを“ひと言一言”分析し、自らの怒りをも事細かに分析し、相手にぶつけるときの効率の良さや、反論されても動じない理論&精神武装についても書かれていました。
怒るといっても、政治や、物価高、世の事件などに対して怒っているのは自分、世間への誤魔化しで、偽善的な行為に著者には映るらしいし、著者がよく怒りの対象にしている「駅のアナウンス」や「照明等の無駄な点灯」「決まり切った定型のお礼状」などについては、相手がどんなに戸惑おうと、相手に何度でも立ち向かい、どんなに性格の良さそうな人でも、優しい人でもトドメを刺そうと全力で、しかも理論的に怒りの刃を振りかざします。
歌舞伎や、その他様々な舞台などを見て、残忍な人やずる賢い人、理不尽な境遇などが物語の中で繰り広げられても、家に帰ってそのようなことが自分に起こりうるのだと常に身構えるようでなければ、そんな輩は掛け値無しのアホだと言うのでした。
・・そんなことはわかっていて、人生の中では何ごとが起こるのかわからないことなど皆しみじみ感じて過しているのだ・・と言ってもこの人は聞かないでしょう、逆に乗り込んで来て“ギタンギタン”にされるでしょう。恐ろしい人だ。
「怒らない」ことをテーマにしてベストセラーになっている本がある中で、この「怒らなければならない」ことをテーマにした本もたぶん売れているのだと思います。
どちらかと言えば「怒らない」方が自分の身体にも精神にも健康上良いと思うのが私です。
怒っているあいだに、怒りを相手に時間をかけてぶっつけているあいだに、もっともっと自分の人生を豊かにする行為や、出来事、人との関係、その他読書や旅行や、楽しいことがいくつもあって、それを体験することに時間を費やしたいと思うのが、今の私です。
私も、多くの怒っている人の相手をする仕事を何種類も何度も経験しましたが、そのほとんどの人が“かまってちゃん”でした。
そういうことでしか、人と接したり、関わり合いになったり出来ないんじゃないかと・・私は思うのですが、こんなこと言ったら何度でも乗り込んで来て、降参しても、謝罪しても何をしても叩きのめすまでやられちゃうんでしょうね。
一生やってるんでしょうね。たぶん心をゆるして語り合ったり、時と空間を過したりするような人は、この人には一人もいないと思う。
私は、楽しく、ゆったり、おだやかに過します。
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