【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Us Three / 1960》 Horace Parlan
十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ホレス・パーランのアルバム、「アス・スリー」です。
今回、再度聴き直して一部文言等を追加・修正いたしました。
Horace Parlan/p
George Tucker/b
Al Harewood/ds
①Us Three
②I Want To Be Loved
③Come Rain Or Come Shine
④Wadin'
⑤The Lady Is A Tramp
⑥Walkin'
⑦Return Engagement
幼い頃に小児麻痺を患ったせいで、右手の薬指と小指が全く動かなくなってしまったホレス・パーランの有名な作品です。彼のプレイはその事実を知る前から私の心をとらえて離しませんでした。同じフレーズが延々と続き、どこがそのループの始めかわからなくなる、幼い頃一人でくるくる回って目が回ったような感覚が呼び覚まされました。
一曲目のドラム(アル・ヘアウッド)のブラシから息をもつかせぬ展開で、ベース(ジョージ・タッカー)のかっこよすぎる絡みが入って来て、パーランのピアノ独特の“くるくる”もいきなり爆発します。
この曲は、パーランのオリジナルなんですね、なのでパーランの世界がこの一曲目からぐいぐいと展開されていきます。
二曲目はしっとりとした味わいのあるピアノです。訥々としたパーランのつぶやきのような曲です。
パーランは、前曲のようなぐいぐい走るような曲もいいのですが、叙情的な曲もとてもよいのです。
うったえかけ、ささやきかけてくるのです。
三曲目はスタンダード曲ですが、バラードとしてのメロディを大切にしつつ、ちょっと黒っぽい、しかも土の香りがするようなリラックスしたプレイを聞かせてくれます。
最後まで続く三人の渋いプレーがとても味わい深い。
四曲目はパーランのオリジナル曲。ベースで始まり、シンバルが入り、ピアノがあたりをうかがうように侵入してきます。いやはやかっこいいこと。
このブルースにパーラン自身がどんどんのめり込んでいきます。
その一挙手一投足に神経を張り巡らすように聴くとこたえられない味わいがあります。
この曲でも途中パーランの“くるくる”目がまわるようなプレイを聞くことができます。
五曲目はパーランが空白の生かし方をいろいろ試せると言っていた曲で、たしかに簡潔なメロディで空間を埋めていくような感じです。
ベースの明快で、豊かなサウンドも聴き所です。
六曲目もスタンダード曲です。パーランはこの曲を何百回も弾いているらしく、一番うまくできると自信を持っているようです。
それ故、堂々としたプレイで、次第にテンションも上がっていきます。曲の中に入り込み、突き詰めていく感じがあります。パーランの“つっかかった”ようなフレーズが独特。
ヘアウッドの乾いたドラムの“粋な”ソロ・プレイも聞けます。
ラストはブルーノートのアルフレッド・ライオンと2枚のトリオ・アルバムを作る約束をしたことに因んだタイトルです。
テーマのメロディが魅力的ですが、インプロビゼイションに持ってこいの曲調で、パーランのオリジナル、思う存分自分のプレイを展開します。
パワー感も伝わってくるなかなか“力”のある曲です。
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