【南先生の玉手箱_0049_冬季オリンピックが話題の中、曲技芸の中にある大切な本人らしさを見たい】
私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
今回は、「らくがき」と称していた配付プリント裏側にあった「ひとり言」という、当時の冬季オリンピックを先生が見ていて感じたことを書かれたものです。
中心にある先生の絵は、フィギュアスケートの選手が滑走しているところと、スピンしているところが描かれています。
以下、先生の文章です。
※最初に「但し書き」のようなものが書かれていました。文字が中心の絵の周りをぐるぐる回っているのでとても読みにくいことについてご自分で注意書き的なことを書いています。↓
【ひとり言です。大変読みにくいので、無理をしないでください。定規をあてたりすると何とか読めますが、内容はおまけのようないつものらくがき内容です。】
では、ここからが本文です(^^;)↓
冬のスポーツ冬季オリンピックなどが話題の中、各地でマラソン・駅伝等の催しがテレビ、ラジオ、また新聞を通してたくさん報道されるのを時々見ることがある。
マラソンなど、得意ではないが、長いところを精一杯がんばってゴールする気持ちは良いもので、走った時のことを思い出すことがある。
冬は、特に走るなどの体力づくりに進んでとりくむのが良い。
長い人生の健康つくりに大切な部分かと思っている。
私ごと、小さい頃、体は弱いほうだったが、中学の担任の先生が運動はいいから陸上部にも顔を出しなさいと言われて部活動のかけもちをしたのを思い出す。
どの道でもその中で一番になることはそれこそ何億分の一の確率だが、五体満足にある者にとって、自分の健康体力つくりは自分の責任だと思います。
偶然だが、ちょいとフィギュアスケートに触れて思うことがある。
今年もトリノ・オリンピックが話題になっているが、どの選手を見てもその芸は曲芸的で、普通一般に真似のできる技ではない。
そんな状況の中で各選手の持ち味の他にやたらと難易度とか、点数をつける側の注文が気になる。
これはスケートばかりじゃあなくて、何の分野についても同じことが言えるような気がする。何かの作品展覧会でも、作品そのものからストレートに感じる部分を強く評価してもらいたいのだが、もっとここをうまく表現するとか、こんな色だともっと良い作品になるなど、多くの注文を見る側から出してくるので、作品が本来持っている良さなどが消えていく。
そんな場面に出会うことが多い。
そのものが持っている良さや味を大切に感動そのものを素直に評価の形にしてほしいと思ったりすることが多い。
スケートの世界でも今回のオリンピックに出場はできなくても、他に何百何千人とその競技を通して夢追いかけて魅力的な表現に日々全力投球している若者たちがいる。
人はお互いに誰かのため、また何かのために生かされているのではないことを時に確認しながら評価する側、される側、教える側、こっちとむこうお互いの関係の見直し、気くばりをしていきたいものてす。
何につけても本人らしさが魅力の原点です。
以上が先生の文でした。
トリノ・オリンピックを見ていて感じたことを書かれているので、2006年(平成18年)の文だと思われます。
たしかに先生が書かれているように、もうフィギュアスケートは豊かな表現だとか、流麗な演技よりも、“難易度”“高度な技術”が中心になってきていて、これは他の競技でも同様な気がします。
だから、私はもうフィギュアスケートもそうですが、オリンピック自体もほとんど見なくなってしまいました。
それに“お金”のために開かれていることが近年の事件でも明らかになり、すっかり“冷めて”しまったのです。
そんな今の私のような気持ちを、当時、先生も感じていたのだなと思いました。
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