文春ムック「伊集院静の流儀」を読みました。
『伊集院静の流儀/伊集院静著(文藝春秋)』という本を読みました。
いわゆる“ムック本”・・マガジンとブックの中間・・というものでした。
平成23年発行となっていますから、十年以上前の本です。
その内容は“濃く”、写真も多数、東日本大震災時とその後の様子や仙台に住まわれている伊集院さん自身の思い、成人した若者への言葉が何度も書かれ(当時、何年かに渡って書かれたものか)、さらにはさまざまな立場の人からの相談に応え、多彩な方々との対談もありました。
そして二篇の短編小説も掲載されていて、この「少年譜 笛の音」、「親方と神様」は、どちらもつらいことに堪えたり、一途にものごとに取り組んだり、そして不遇の身にある少年にそそがれた義父や職人の親方からの愛情溢れる扱い、やがて少年がどうなっていったのか・・二篇とも読んでいるうちに涙が頬をつたいました。
いい話でした。
この本に書かれていたことで私の心に響いたことを少し書き残そうと思います。
城山三郎さんとの対談の中で、
「国会議員だから国のことをするんだということを公約して当選していく。選挙民にも、この人は国事を託す人、という思いがあるから、進んでボランティアで選挙運動をしてくれる。本来そういう形にならないとおかしいんで、この反対の姿がいまの土下座選挙だよね。ああいうことで選ぶというのは、世界のなかで非常に恥ずかしいことですよね。」
との城山さんの言葉です。今の選挙運動などをどこかの団体に「こりゃ好都合」と喜んで任せて支持率を落としている人達の耳にいれたいお話です。ずいぶん古い発言ですよ、その頃にもう予言しているかのような発言でした。
もうひとつだけ
「二十歳の君の手に。」という文の中に書かれていたものです。
「大半の二十歳の君たちは成人、大人と言われてもこころからうれしいと思っていないんじゃないか。むしろ本音は大人になりたくないのだろう。テレビには毎日戦場が映り、人が死んでいく。君が住む近くで誘拐、殺人が起き、罪のない人が拉致されている。政治家は平気で嘘をつき、法を犯しても金が儲かれば成功者と呼ばれる。金が力で、人の価値まで計れると口にする愚かな輩があふれる。こんな社会を作った大人になりたいはずがない。当たり前だ。」
「価値ある生き方をしている大人はいるのか。誇るべき生き方はあるのか。私は断言する。そういう生き方をしている大人はいるし、生き方はある。今の君たちの目に見えないだけだ。その人たちも、君と同じ年頃、見えない明日を懸命に探り、一人で歩いていたんだ。」
この引用部分を読んだだけで、若い人だけでなく、私も勇気づけられ、気持ちを強くしました。
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