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2022/10/30

「思想する住宅/林望」を読みました。

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『思想する住宅/林望著(文春文庫)』を読みました。
これもいつもどおりブックオフで安価購入。2015年に刊行されたものです。

冒頭の部分では典型的な現在の日本家屋と英国の家屋とその家屋奥に“寄り合い”的に広がる庭について比較して書かれています。
ようするに、一般的な南側に向いてどの家も建てられていて、家の前面には庭があるという日本人がまずは「こうでなきゃ」という家のあり方について・・そうではないぞ・・ということが書かれていました。

英国では、家は皆通りに面して建てられ、その後ろに庭があり、それら庭が寄り合って豊かな緑地が形成されているとうわけです。

英国の都市形成の外枠だけ真似している日本の都市はあるけれど、根本的には異なっているという話から始まったのですが、読んでいる私としては「そんなこと言ったって、南側にこだわる日本人は多いよなあ」などとも思いました。

そして、実際に著者の林望先生が家を建てるにあたっての留意点を様々な観点から考察していくのですが、ほんの一例だけでも下記のようです。

どこに住みたいのか、または住みたくないのか

隣人との関係はどうありたいか

自分の生活形態はどんなものか

自分は何をしたいのか、また何をしたくないのか

昼の生活重視か、夜の生活重視か

夫と妻のあり方はどうするのか、共同参画か、そうではないのか

エネルギーをどう考えるのか

どこで働き、どこで遊び、どこで住むか

どうやって生き、どうやって死ぬか

・・これはほんの一例、氷山の一角で、もう数えきれないほどの考察をしています。

日本の暑さ、寒さにもふれていましたが、関東で比較的寒暖差が少なく住みよさそうな土地もあげられていましたが、これが意外と千葉県の三か所が紹介されていました。

銚子、勝浦、館山です。いずれも海沿いの町になるのですが、津波の心配もあり、その中でもある程度の高台を薦めています。
そういえば、天気予報などを見ていると銚子は、関東の都市部から比べると夏のあいだは三度は低い数字がいつも報じられていました。やはり過ごしやすいところなのか。

最近、私も YouTube で家を紹介するものをいくつも見ていて(自分がこれから建てるわけでもないのに(^-^;)、それぞれの家が持つ“主張”みたいなものにとても興味があります。

最終的には都会か、田舎か、家族のあり方、自分の生き方などが大きくその家に反映されているものと思われます。逆に言うと、そういう家は主張するものが異なっても実に“見甲斐”があるのです。

この本は、家についての考え方に参考となることがたくさん書かれていました。

 

2022/10/29

【南先生の玉手箱_0053_成人の日に思う】

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私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
今回は平成18年1月の日付が入っている文で、先生が校長をしていた小学校で配られた「らくがき」というプリントからです。


以下、先生の文章です。

<成人の日に思う>

今年も成人のみなさん、おめでとうございます。

成人の日に限らず、祝日などは決まっていたほうがいいと思うのですが、いろんなところでこちら側とは関係なしに流れが変わっていくことが多い。

一月八日横芝の成人式に参加させてもらって五年前、横中の卒業生たちの晴れの姿を見せてもらった。
当時の先生方からのメッセージを聴きながら五年前の懐かしさや雰囲気を感じた今年の式典であった。

成人式に限らずひとつ人生の大きなくぎり、自ら立ち止まってスタートラインに立つことは大切だと思う。

それぞれがちがう環境や立場でむかえる人生の中で大きなくぎりにある成人その年に私ごと自分をふりかえってみる時、東京で学生だったが、気がついたら成人式はおわっていた。

アルバイトその他生活に追われていたが、別に出席するつもりがなかったか、また何かこだわって成人式そのものを無視していたか、そんな十代後半、今考えれば毎日夢中と言うか、自分のやりたいこと中心に暮らしていたのかと思う。

日本中でたくさんの若者がそれぞれの思いでむかえる成人の日、表に見えず聞こえてこないたくさん悩みをかかえた若者の存在も多い。

私ごと、そろそろ三回目の成人式と言える年の者から若者に伝えたいひと言は、限りない可能性の中に居るうちに、何かに夢中に生きてほしい。
若さは宝もの、輝きは自ら発信するものです。


<あっちこっち>
(※同じ頁に書かれていたこの文も併せて活字化いたしましたのでここに掲載します。)

あっちこっち上下左右、中と外、こっちはしからむこうのはじ、プラスとマイナス、表と裏、入口出口に、東西南北、白と黒など、身のまわりにはたくさんの反対側があって、それぞれにちがった見え方、考え方がある。

これでおしまいと思うところから新しいことがはじまる。

白と黒の間には限りない灰色がある。

時に自分の見方、考え方とちょっと変えてみることで今までとちがった見え方、感じ方ができる。

いつもこっち側から見えていると思っていることが本当のところ何も見えてない、わかってないことにも気がつく。

時に立場や環境に対してむこう側のことを想像する時や空間を大切にしたい。

いろんな場所にうずの中心が存在する。


以上が先生の文でした。

成人の日の文では、若い人に何かに夢中になってくれという思い。そして“あっちこっち”という文では色々な角度、方向から物事を見ることで新しいことが見えてくるというようなことが書かれています。

私も、いまだ忘れがちなことだとあらためて思いました。

日々いろいろな出来事、事件があったり、身の回りでも様々なことが起こります。
それを自分の日々の生活やこれから生きていくことの“糧”にして“生き生きと”していたいと思いました。

 

2022/10/28

【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Off To The Races / 1958》 Donald Byrd

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十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ドナルド・バードのアルバム、「オフ・トゥ・ザ・レイシズ」です。
今回、再度聴き直して一部文言等を追加・修正いたしました。


Donald Byrd/tp
Jackie Mclean/as
Pepper Adams/bs
Wynton Kelly/p
Sam Jones/b
Art Taylor/ds

①Love Come Back To Me
②When Your Lover Has Gone
③Sudwest Funk
④Paul's Pal
⑤Off To The Races
⑥Down Tempo

一曲目から軽快に飛ばします。快速状態で飛ばすドナルド・パードに続いて、バリトン・サックスのペッパー・アダムスが“バリバリ”と割り込んで、もうジャケット写真のクルマにでも乗っているかのように爽快感満点です。
テーマのメロディーもいいっ!

いつも思うのですが、この1950年代後半くらいのレコーディングされた音は素晴らしい。プレイヤーの勢いがこちらまで伝わってきます。
アルト・サックスのジャッキー・マクリーンも余裕の吹きっぷりです。

二曲目は打って変わってスローな曲調。
バードはこうしたスロー・ナンバーも哀調豊かに奏でるのです。好きになっちゃうよなぁ。
トランペットの音色も素晴らしい。

次はウィントン・ケリーのピアノから入り、印象的なテーマが始まるカッコイイ曲。
こうして高らかに鳴るトランペットがバードのいいところです。マイルスのくぐもったような演奏とは好対照ですが、ジャズの魅力はさまざまですからね。
サム・ジョーンズのベースもこの曲にぴったりなフレーズを弾き、曲の展開をぐいぐいと引っ張っている感じがします。

四曲目はソニー・ロリンズの曲。つま先立ちで入ってくるような不思議な入り方のこの曲、テーマに移るときにグッとくるメロディー展開が聞きものです。その後のジャッキーのアルトが大人のジャズを浪々と聞かせてくれます。
この曲もいいです。

五曲目はアルバムタイトルと同名曲。
参加メンバー全員が代わる代わる“いいところ”を聞かせてくれるサービス曲的な感じ。
ウィントン・ケリーのファンである私にはウィントンの冷静だけど“グイグイ”進んでくる感じが好きなのです。
アート・テイラーのドラムで最後は締めてくれます。

ラストは、ダウン・テンポという曲ですが、テンポは快調(^_^;)
トランペットとサックスが二重に奏でるテーマが小粋な小曲です。
ベースのサム・ジョーンズのソロも有り、なんかジャズ喫茶にいるような雰囲気。
バリトン・サックスの艶やかさもこの曲をいっそう魅力的に仕立てています。
ラストまでいい曲ばっかり!(^_^)

[当時のホームページ更新日:2011_06_11  今回追記日:2022_10_28]

 

2022/10/27

【The Beatles 研究室・復刻版】The Beatles (White Album)[D-2]Honey Pie

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
今回は、アルバム「The Beatles(通称:ホワイト・アルバム)」に収録されたポールの曲「ハニー・パイ」を取り上げます。
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1920年代風のジャズの香りが漂うような、優雅とも言えるような、そんなポールの才能とセンスが光る曲だと思います。
ポールはこういう曲が好きなんですよね。

SP盤に針を落としたときのスクラッチノイズとともに始まり、ポールの甘いボーカルでクラリネットとの絡みが絶妙です。

間奏の甘いジョンのギターもなかなかの味わいで、のちにジョージがそのプレイをほめていたようです。
そして、リンゴのドラムはブラシでのプレイで、そんなに難しくはなさそうですが、ジャジーな雰囲気を十分に出しています。

全体に凝り過ぎず、品良くまとめていて、さらに突き詰めずに途中で放り投げたような感じを残したのが素晴らしいと思います。

ポールはアルバム「サージェント・ペパー・・・」では、「ホエン・アイム・シックスティーフォー」で、そしてビートルズ解散後のソロになってからの BBC のテレビ番組「ジェームス・ポール・マッカートニー」では、「ガッタ・シング・ガッタ・ダンス」で、そしてウイングス時代にはヴィーナス・アンド・マーズの「幸せのアンサー」で、この曲のように懐かしくて“曲中曲”のような曲を披露しています。
シャウトしないときの優しいポールのボーカルにはぴったりな素敵な曲ばかりです。

ホワイトアルバムにはなくてはならなかった曲かもしれません。そう言えばあの加藤和彦さんもカヴァーしていました。かなりこのアルバムに近い形でカヴァーされていて、そのバージョンもなかなか良い出来でした。

ポールの佳曲、そして“天邪鬼”のジョンが、ねたみ半分に嫌いそうな曲です。


〈追記〉2022/10/27

この曲についても、ホームページ作成後にリマスターや記念盤などが出ているので、その音源をたどって聞いてみたいと思います。

まずは、「アンソロジー3」に入っているバージョン。

軽くポールがアコースティックギターを爪弾き、歌っているバージョンです。
この段階でもう雰囲気がかなり出ています。セミプロだったポールのお父さんの影響かもしれませんが、ポールはこういう雰囲気の曲を幼いころから聞いていたのかもしれません。

続いて、「2009年ステレオ・リマスター」バージョン。

クラリネットと、ギターの甘い感じの音色がベストマッチしていると思います。
ポールのボーカルもやわらかい音で、曲全体のムードがとてもよいと感じました。

さらに同年「2009年モノ・マスター」バージョン。

ポールのボーカルはほとんど“生音”に聞こえるくらい自然な音になっています。
これもステレオ版リマスターに劣らず、とても聞きやすいいいミックスになっていました。
一番“自然”に仕上がっているのではないかと思います。

さらに、「発売50周年記念盤」のイーシャー・デモ。

とてもラフな演奏だし、ボーカルの歌い方もラフだけど、そのワイルドさが逆に魅力になっているようなバージョン。
ビートルズのメンバーに得意気に「こんな曲つくったよ」と聞かせているポールの姿が目に浮かぶよう。
たぶんジョンだと思うけど、「オー・イェーッ」と掛け声まで出ているのが聞こえる。
・・仲いいじゃん・・。

もうひとつ同じ「50周年記念盤」のセッションズに入っている「インストゥルメンタル」バージョン。

バックの優雅なクラリネットを中心とした演奏とジョンの素敵なギター・プレイの見事なマッチングがよくわかるバージョンとなっています。
けっこう細部にジョンの“気遣いある”ギター・テクニックを聞くことができます。
ボーカル無しで聞いてみると、この曲がもともとしっかりとした素晴らしい曲であることを再認識できます。

最後は「50周年記念盤」のジャイルズ・マーティン編集、本番バージョン

左右の分けもオリジナルとかなり異なっています。
ポールのボーカルが豊かな音に聞こえます。息づかいまでよくわかる。
バックのクラリネット中心の演奏は全体に馴染むようなやさしい音色と音量に調整されている。それが流れるように展開しているのが実に見事です。

 

2022/10/26

野村克也さんの「名選手にドラマあり」を読みました。

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『名選手にドラマあり -脳裏に焼き付くあのシーン-/野村克也著(小学館新書)』を読みました。
2014年発行のもので、これもブックオフで手に入れました。

野村さんの現役時代、あるいは監督時代についても周囲は名選手ばかりだったと思います。
その名選手について野村さんがつぶさに“観察”した様子が書かれていました。

リーグは違っても王、長嶋との対戦はオープン戦や日本シリーズであったわけですが、ノムさん独特のバッターへの“ささやき”戦術は二人には効かなかったそうです。
王さんはささやきを聞くことは聞くのですが、ピッチャーと向き合うとおそろしいほどの集中力でささやきなど頭の片隅にも無くなっていく、・・長嶋さんは逆に質問し返してきたりして、ささやきなど“どこ吹く風”(*^_^*)、やはりものすごい集中力でバッティングするのだそうです。

南海でバッテリーを組んでいた皆川投手と苦手だった左打者用に新しい変化球を模索していく様子などは、捕手としての野村さんが投手と二人三脚で対策を練っていく過程がとても面白かった。
最終的なテストはオープン戦の王さんに試し、見事に内角の新変化球(今で言う「カットボール」)で詰まらせ、「王に通用するなら、どんな打者でも大丈夫」と二人で確信を持った話も書かれていました。
そして皆川さんは苦手な左打者を克服して、通算221勝をあげたのでした。

南海の監督兼選手を“クビ”になったときには、それまで来ていた“盆暮れのつけ届”や、年賀状さえも来なくなったと書かれていましたが、あの阪急・近鉄で監督をされていた「西本幸雄」さんだけは年賀状をくれ、「頑張れ」のひと言が書かれていて、それは野村さんの宝として「今でも大事にしている」と書かれていました。いい話です。

また、野村さんが2002年から三年間、シダックスという社会人野球チームの監督をした頃に感じたことが書かれていましたが、「これほど純粋な野球があったのか」とあらためて思ったとのこと。

社会人野球はトーナメント形式で、高校野球のように“後がない”、プロ野球のように百何十試合のうちの一試合という意識がない。
野球を私物化するプレーも皆無。
個人の成績によって給料が変わるわけではない。
常にフォア・ザ・チームに徹する清々しさは野球の原点のように思えた。
と書かれていて、強く印象に残りました。

“プロ”なのに上記のような「フォア・ザ・チームに徹する清々しさ」を感じる団体がある・・と私は即座に思ったのが「宝塚歌劇団」でした。

人間だから人に対する好き嫌いや、嫉妬、いろいろな思いはあるのかもしれませんが、でもトップスターが下級生でも、自分が端役しか回ってこなくても、トップスターを中心に舞台を最高のものにしようといつも“全力投球”な人たちの集まり、それが宝塚歌劇団です。この歌劇団もいつまでもこの清々しさをなくさないように続いていってもらいたいものだとあらためて思いました。

というわけで、長くなりましたが、野村さんのこの本は人間関係の機微なども描かれていて貴重なものでした。
いい本を読みました。

 

2022/10/24

「寿司屋のかみさん とっておき話/佐川芳枝」を読みました。

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『寿司屋のかみさん とっておき話/佐川芳枝著(講談社文庫)』を読みました。
以前にもこのブログでご紹介した“寿司屋のかみさん”であり、文筆業としてはもともと素人であった佐川芳枝さんのお寿司屋さんのエピソード満載のエッセイです。

相変わらず美味しい“寿司タネ”のお話、そしてそれをどういうふうに“仕事”をしてお客さんに食べてもらうか、さらに独特な注文をするいろいろなお客さんの話もいくつか紹介されていて、今回も楽しく読みました。

前にも書きましたが、寿司その他料理に対する佐川さんの文章表現は舌を巻く上手さです。
他に類を見ない巧みな表現方法は目の前にその寿司や料理が浮かび上がってくるような感じなのです。
それが読みたくて何冊も買ってしまうのです。

・・でも、もう一冊既に購入している佐川さんの本のタイトルは「寿司屋のかみさん さよなら大将」・・読むのがこわい・・。

今回の本も“人との出会い”がたくさん書かれていて、思わず笑ってしまったり、ちょっと涙ぐんでしまうような話題もありました。

PC不調でなかなかブログ更新できませんでしたが、再開の口火はこの佐川芳枝さんのご著書にいたしました。

 

2022/10/20

「脳には妙なクセがある/池谷裕二」を読みました。

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最初にお知らせ。

現在使用しているパソコンが不調となり、更新がままならない状況が続いています。
今、この瞬間は無事動いているのですが、いつ止ってしまうかわからない状態です。
パソコンは新調することにして、現在届くのを待っている状況です。
来週半ばあたりからは、通常に更新できるのではないかと思っているところです。

では、本編。
動いている間に大急ぎでアップします。

『脳には妙なクセがある/池谷裕二著(扶桑社新書)』という本を読みました。
これもまたまたブックオフです。
ま、いろいろと脳の仕組みが影響して人はこんな行動をするのだ、というようなことが書いてあるのです。

いろいろと面白いことが書かれていたのですが、PC不調のため端折って書きます。
気になったのは、珈琲の香りを嗅ぐと、人は親切になるのだ・・ということが実証されているという部分でした。

だから、ショッピングモールなどに珈琲店を入れておくと、通りかかった人たちも心和んで親切な気持ちになるので、そういう意味もあるのではないかということでした。

なんか、「そういえば」という感じがしました。

我が家も『珈琲』が“団らん”を取り持っているような気がするのです。

というわけで、大急ぎで書きましたので、アップいたします。

 

2022/10/17

「天才アラーキー写真ノ方法」を読みました。

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『天才アラーキー写真ノ方法/荒木経惟著(集英社新書)』という本を読みました。
これもブックオフで100円にて入手。

20年も前の本で、荒木さんは還暦を迎えた頃です。
とっても元気でバイタリティーあふれる様子が本いっぱいに広がっていました。

なんというかアドリブで、写真について、自分の撮り方について、そして撮っているときの周囲の人たちの様子、さらにスタッフとのやり取り、時代によってその時々のカメラの選択や整理の方法などを語ったものを文書化したという感じでした。

ほとんど酔っ払っているようであるが、でも被写体と向き合うときにはすごい勢いで迫っていくし、独特の感性が突っ走る感じがわかりました。

使用しているカメラの詳細については、専門家ではないので私にはよくわからないのですが、うまく使い分け、そのときのフィーリングを大事にしていること、カメラの特徴をどう捉えているのかということも書かれていました。

それに、ロケに出掛けるときには、かなり全体の量を減らしてコンパクトにしていることもわかり、実際に屋外などで撮るときには、カメラ一台のみで対峙し、バッグなどは持たず、身軽にして相手に威圧感を与えないような配慮をしていることもわかりました。

私のようなただの写真好きにとってもヒントになる部分が所々に有り、これからカメラを手に出掛けるときの参考にしようと思いました。

 

2022/10/14

「ニホンゴキトク」という久世輝彦さんの本を読みました。

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『ニホンゴキトク/久世輝彦著(講談社)』という本を読みました。
1996年刊行の本です。

「ニホンゴキトク」というのは“日本語危篤”っていうことなんです。

この本が刊行された1996年頃に、「この日本語はもう“瀕死”の状態で“死に絶える”だろう」と久世さんが感じている“日本語”を拾い集め、かつてはこんなときに使われていた、あるいはこんな使い方をするとその様子がとても良くわかったり、感じたりしたものだ・・というようなことが丁寧に書かれていました。
2022年現在、死んでしまったと思われる言葉もいくつかありました。

特に久世さんがその言葉を拾い集めるときに参考にされていたのが、かつて一緒に仕事をされていた向田邦子さんの著者からや、コラムニストの山本夏彦氏の著書、さらに幸田文さんとその娘の青木玉さんの著書です。

久世さんが強調されているのは、言葉や言い回しというものは理屈が通って相手に伝わればそれでいいというものではない、ということでした。

言葉は感じるもの。色気、匂い、肌触り、可笑しみ、のどかさ、涼しさ・・、虚しさ、熱い思い、誰かに告げたい幸せ・・など、いろいろな言葉で伝えたいじゃありませんか(#^.^#)

でも、日本語はどんどん言葉を少なくし“記号化”しているようです。

例示されている言葉で、「英語でなんと言うのだろう」というものがありました。

「できごごろ」「面変わり(おもがわり)」「甲斐性」「生半可」「昵懇(じっこん)」などです。
これに代わる英語ってあるんだろうか?としばし考えてしまいました。正確には無いと思う。

「すがれる」という言葉を知っていますか。使ったことがありますか。
草や木が枯れはじめること、あるいは盛りを過ぎて衰えを見せはじめることをいうのだそうです。
哀れでもの悲しい気持ちがしみじみ伝わってくる・・という。
私がこの「すがれる」という言葉を当たり前のように使っているのを聞いたのは、なぎら健壱さんだけです。言葉の前後関係から意味するところはその時わかりました。
それ以来聞いていないので、もう“すたれ”てしまったのか。
“すたれる”自体も瀕死の言葉か。

「汽車」も使われなくなっちゃいましたね。
昔の歌謡曲にはよく使われていた。
久世さんの理解するところでは、汽車は長距離を走るもの、電車は通勤等比較的近距離を走る列車を当時は指していたとのこと。

汽車の「汽」は蒸気機関のことを言っているのかと思いましたが、でも昔はちがったみたい。
鉄道の歴史を遡ると、鉄道発達初期の頃は、蒸気機関車が長距離を受け持っていたと思われるので、一般的に上記のような理解がされていたのだと思います。

私が思いつくのは「花嫁」「さらば恋人」などですが、1970年代の「なごり雪」でもいきなり「汽車を待つ君の横で僕は・・時計を気にしてる」で始まります。
電車じゃ・・だめだよねぇ(^_^;)やはりこれも“長距離”を意識しているのだと思います。

250頁以上にわたり、いろいろな、“無くなりそう”な日本語について書かれていたこの本、しみじみと読みました。

 

2022/10/13

【はっPのアナログ探訪_0165: 黒ネコのタンゴ・ / 皆川おさむ ( Single )】

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現在このブログでは「ビートルズ研究室」と「Modern Jazz喫茶・頑 固 堂」というかつて作っていたホームページのブログ版復刻作業をしていますが、ほかにも「名盤・珍盤レコード研究」というホームページも作っておりました。

この“名盤・珍盤”については新たに「アナログ探訪」としてやり直していて、かつての文を複刻することはしておりませんでした。

今回、「黒ネコのタンゴ」のシングル盤を取り上げようと思い、以前のホームページの文も複刻してみようと思いました。

なぜこのレコード盤だけホームページの文を複刻しようと考えたかというと、その時ホームページを読んでいただいたB面「ニッキ・ニャッキ」を歌っていた置鮎礼子さんの妹さんが連絡をしてくださったことがあったからです。
連絡いただいた“元”のホームページ上の文章が無くなってしまったのが“心残り”でしたので、今回そのまんまホームページの文を掲載したいと思います。


以下がかつてホームページに書いた内容です。

【ホームページ「名盤・珍盤レコード研究」複刻文】

これは、私が小学生のときに実際に買ってもらったレコードです。とにかく大ヒットした曲です。
これを聞かない日はないというような爆発的なヒットだったように記憶しています。
NHKが紅白にも出場させようとしたのですが、たしか児童福祉法に違反するとかで出なかったこともあったように聞きました。

日本の曲かと思ったら、イタリアで毎年開かれる「ゼッキーノ・ドロ」という子供のための音楽コンテスト入賞曲で過去特に人気のあった曲なのだそうです。今、歌詞カードを見たらそう書いてありました。

当時、おさむ君は区立原町小学校一年と書かれています。

大人にも子供にも、とても楽しい曲でした。
ジャケットにも写っている置鮎礼子さんもよくいっしょにテレビに出ていましたっけ。ニッキ・ニャッキ」という“嫌いな食べ物”が消えてしまう呪文の歌を歌っていました。

おさむ君、昭和38年生まれ、礼子ちゃん、昭和39年生まれと書かれています。
今、二人は何をしているのでしょうか?

・・以上が複刻文章です。

 

 

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で、置鮎礼子さんの妹さんから連絡をいただいた後に私がそのことをブログに書いたのですが、それについても一部抜粋して掲載いたします。
以下が、2009年8月11日の、このブログに書いた文章です。

 

10日のブログに、「おきあい」さんという方からのコメントがありました。

あっ!と気付いたのは「置鮎礼子」さん(ちゃん?)のこと。
私のホームページ「オトナの研究室/名盤・珍盤 中古レコード研究室」に懐かしい『黒ネコのタンゴ/ニッキ・ニャッキ』のシングルレコードについての記述があります。

それをご覧になった、置鮎礼子さんの妹さんがコメントをくださったのです。
いやもう、びっくりです(^o^)

あの可愛い女の子、置鮎礼子ちゃんは、結婚、出産を経て、海外在住中とのこと。
歌っていた頃の思い出話もされるとのことで、忙しかった当時のことを懐かしく思い出されるのでしょう。
元気にされているということで、とてもうれしく思いました。
“おきあい・れいこの妹”さん、ありがとうございました。

ちなみに、レコードジャケットの記載を見てみると、当時、田園調布小さき花の幼稚園へかよっていて、“オシャマ”さん、写真を撮る時には、すぐに“おすまし”をするので、笑顔の写真を撮るのに苦労した・・と書かれていました(^^)

以上です'(*゚▽゚*)'

今回は、複刻オンパレードでしたが、いい思い出です。
私のような単なる歌謡曲の一ファンが書いたものから発生した出来事でしたが、とてもうれしい出来事でした。

 

2022/10/11

池上彰さんと増田ユリヤさんの「メディアをくつる!」を読みました。

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『メディアをつくる! -YouTubeやって考えた 炎上騒動とネット時代の伝え方-/池上彰・増田ユリヤ(ポプラ新書)』という本を読みました。
2021年発行ですから、比較的新しい本です。でもブックオフでは100円でしたので、これは読んでみようと購入。

読んでみたら、あの池上彰さん YouTube を始められていたのですね。私、存知上げませんでした。
相方となっているのは、私も時々池上さんとご一緒にテレビに出ているのをお見かけする増田ユリヤさんで、増田さんは過去、学校の教師をしながらNHKのラジオやテレビの仕事をすることになり、そのとき池上さんとつながっていた経緯があり、お二人はこの本でも、YouTube上でも割と“遠慮なく”やり合っています。

SNS等一切やって来なかった池上さん(本を読む時間がなくなってしまうなのどの理由からとのこと)ですが、テレビの限られた時間の中で語りきれなかった事なども時間の制限なく発表できることなどから増田さんと YouTube を始めます。

で、この本の副題ともなっている「炎上騒動とネット時代の伝え方」という話になるのですが、池上さんがテレビで語ったことに反対意見を持つ人達がその反対意見と関係のない池上さんの YouTube を見つけて、そこに「Bad」ボタンを押しにやって来るというわけです。
で、“大炎上”。

当初は、スタッフ含め、無視するという方法でやり過ごすというやり方がいいだろう、ということになったとのことですが、やがて考え方をあらためて、YouTube の中で真摯に説明するというやり方に変えています。
正攻法でいったわけですが、効果は徐々に出てきて、なんとかなっているようです。

あらためて私もお二人の「YouTube学園」を見てみましたが、政治や国際関係などのテーマ以外にも楽しい話題も取り上げていて、池上さんもちょっと表情が緩んでいます。
こんな感じもいいな、と思いました。

YouTube はじめネットメディアを使い、自らの意見や、そこまでいかなくともいろいろと発信しようとすると、様々なことが起こります。
私も、政府の施策や、政治家の不祥事などについてブログに書き、それをツイッターからも見られるようにリンクを張ったりすると、なぜかツイッター側は自動的にやっているのか、「センシティブな内容を伴うので、セキュリティ設定を変更して閲覧してください」などという警告が出ているのを発見したりします。

たいしたこと言っていないのに、上記のようなことになるので、社会、政治、経済に関する発言については、ツイッターと連携するのをやめました。しても閲覧できなくては意味が無いからです。

まだまだ難しいことがたくさんありますが、私も試行錯誤しながらSNSに関わっていこうと思いました。

 

2022/10/10

「芸人/永六輔」を読みました。

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『芸人/永六輔著(岩波新書)』を読みました。
1997年発行のものです。25年前の本。で、またブックオフ。

今どきは「芸人」というと、なぜか“お笑い芸人”のことを指すようで、芸人は芸をする人だから別にお笑いに限らないはずでした。
ずっと以前は役者でも誰でも芸能にたずさわる人を「芸人」と呼んでいたものですが・・。

この本では芸人というものが昔はどういう境遇にあったか、どんな立場にあったのか、厳しいことが書かれていました。
それを読むと、小沢昭一さんの書かれた「芸人」についての著作も思い出し、現在とはまったく異なる芸人像が浮かび上がりました。
要するに、昔はけっこう蔑まれるような存在だったのだと。

うってかわって、今の若い人たちの芸人志向は、「楽して稼げる」という点に集中しているようだと永さん書かれています。
とりあえず有名になれば喰える、だったらテレビで顔を売ろうという単純な構図が出来ているというのです。

それでもって、有名になりたいという夢がかなって有名になっても支える芸は何もないという現実・・と、永さんおっしゃっていますが・・私もそう思う・・。
「何もできない芸人」という芸人が生まれつつあるというわけです。

さらに「とりあえずおもしろければいい」「とりあえず明るくて、何げなくそれを見ていられればいい」という人たちの時代になりました。

永さんは、歌、演技、コメディ、笑いなどの世界は大きな変質を遂げようとしているとおっしゃっています。25年前の話です、この本は古いんだから。

今後、ひとつの歌が、ひとつの笑いが、人生の味わいを深くしたり、感動したり、刺激されたりというかたちで、芸と芸能の世界が展開していくかどうか。
そうして、芸人がどう生きるべきなのか。

・・と、後編で三波春夫さんとの対談の中で結論を見つけようとするのですが、三波さんも今は亡くなり、対談した永さんも亡くなり、結論はどこかに行ってしまったような気がします。

 

2022/10/09

【南先生の玉手箱_0052_東日本大震災後の自然環境についてひとり言】

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私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
今回の文は、「雑資料」という綴りにあった一文です。他の一緒に綴られた文章から想像するに、おそらく平成18年頃のものだと思います。
戦後数十年と、あの大震災を経過しての自然環境に対するひとり言です。


以下、先生の文章です。

〈ひとり言〉

戦後六十数年、敗戦と復興の中で時代は平和(命)の大切さを実感しながら、物質的な豊かさ、暮しの便利さを求めて経済発展・成長を続けてきた、今、東日本大震災をもって、この100年、日本人ばかりではなく、地球規模で温暖化問題、生命体にかかわる自然環境の破壊状況は、針がふりきれて、危機的、大変な状況が続いている。

広島、長崎にとりかえしのつかない被爆体験をした日本が、今、世界に加害国になってしまった。

現代文明の進歩、発展を100パーセント否定する者ではないけれども、豊かさ、便利さを求めて流れてきた今、何かその姿には勘ちがい、思いちがいが充満し続けている。

暮しをふりかえってみる時、私たちの身のまわりにはちょっと前まで日本の美しく、暮らしやすい四季の中に五感を通して普通にかかわっていたきれいな水、空気、土が宝ものとして存在して、共存の暮らしがあったように思う。

夏は冷たく、冬は温かい地下水、井戸に冷やした夏のスイカはうまかった。
子どもの頃、近所の雑木林や家森にあそんだ中に感じた自然のエアコン、木森をぬけるさわやかな風や陽だまりにあったぬくもり、道路、空き地などで体感した小さい虫たちや植物など命の不思議を見て触って覚えてきた感覚が今は子ども時代から身近にぬりつぶされて五感はすっかり退化してしまったように思うことがある。

この夏にむけてまだ梅雨時と言うのに、毎日30度以上の気温はもう暮らしの限界を超えている。
それだからもっと快適にエコ製品の開発をくりかえす反対にストップ・ザ・便利、勘違いの豊かさを止めてあたりまえを実行していく時代と思う。

30年以上前から身近に姿を消していく雑木林や大きな樹に思いを寄せているけれども、この状況になってもまだ身のまわりで樹木の伐採が優先されての人の暮らしの中、水・空気・土の汚染が続いている。

おおげさなことじゃあない、誰もが普通に考えて、そうだよなあって感じられるうちに将来この先若者たちに豊かな命のバトンを引き継いでいきたい。
それこそ今時代が体験しているとりかえしのつかないことの数々に思いを寄せて、少しでも軌道修正していかなければと思う団塊の世代のひとりです。


以上が先生の文でした。

今回のテーマは、今でも先生に会うと、私に話してくれることです。
この夏も36度なんて熱暑の日が度々ありましたが、人はそんなとき立ち止まって「何かが間違っているんじゃないか」と思わなければいけないのだと思います。

・・なのに、神宮外苑の木々を何千本も切り倒そうとする人がいて、平気です。
自分のことだけ考えているヤツ、自分さえよければ何でもする。
百年かけて人々の手でつくりあげた樹木の自然環境を時間の流れからすれば一瞬の出来事で破壊することに平気な人。・・日本だけではありません、世界にもそんな人が何人もいて、自然も歴史も文化も破壊してそれでも平気な顔をしている・・。
そんなことを今回の南先生の文章を読んでいた考えました。

 

2022/10/08

「枕草子REMIX/酒井順子」を読みました。

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『枕草子REMIX/酒井順子著(新潮社)』という本を読みました。
2002年~2003年に「波」に連載された作品に加筆訂正したもので、2004年に発行されたものです。20年前の作品ですが、ブックオフで200円にて見つけましたd( ̄  ̄)

枕草子というと、あの「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて・・」という第一段の冒頭を思い浮かべるというか・・そこしか知らない(^_^;)っていうのが一般の人だと思います。私もそう…σ(^_^;)

で、この酒井順子さんのREMIXは、枕草子の内部を読み込んでいって、現在の私達に当てはめると、こんなに身近でしかも面白く、しかも清少納言という人そのものにも興味がわいてくる・・そんな本でした。
しかも、著者・酒井順子さんと清少納言の対談(^^;)まで付いている。

枕草子の面白さは、清少納言が貴族ではあるが、その中では身分的に下の方にいて、さらに結婚を二度していて、28歳という当時としては年齢がかなり上であり、さらに本人が美人かというと、美人の枠には入らないが、不美人の枠にも入らないという微妙な立ち位置にいて、でも教養があり、身分の高い人(かっこいい貴族の男性含め)と、和歌や気の利いたやり取りが出来るという、この状態が絶妙で枕草子という「随筆集」が出来上がったということだと思います。

清少納言は、自分が時には意地悪で、時には“自慢しい”であることを自ら認め、そして自分が若くなく、美人でなく、またそう高貴な生まれでもないことも手伝って、すべてを自覚したことにより枕草子全体に漂うあの感じが出ているのだと思います。

なので、自覚の無い人を憎み、自分の立場を心得ずに似合わないことをする人や、自分を大きく見せようとする人を許すことができません。
この立ち位置で現代に随筆を書く人がいれば、当然“ウレる”んじゃないかと思います。特に女性から共感を得るのではないでしょうか。

現代語訳も付いているので、それを読みながら、まるで現在の出来事のように読む枕草子、皮肉が効いている部分や、そうだねぇ・・と納得する部分、また自然や色、音に敏感な清少納言の感性に驚きながら読了いたしました。

私が疎くて、この本の存在をうっすらとしか当時意識していなかったのですが、ブックオフで見つけ、読んでみてよかったと思いました。
またひとつ、知らなかった世界に入ることが出来ました。

 

2022/10/07

【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《New Soil / 1959》 Jackie Mclean

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十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ジャッキー・マクリーンのアルバム、「ニュー・ソイル」です。
今回、再度聴き直して一部文言等を追加・修正いたしました。


Jackie Mclean/as
Donald Byrd/tp
Walter Davis Jr./p
Paul Chambers/b
Pete La Roca/ds

①Hip Strut
②Minor Apprehension
③Greasy
④Sweet Cakes
⑤Davis Cup

いきなり、一曲目から緊張感満点で始まります。
ジャッキーのアルトの音色に私はいつもしびれます。

サックス奏者の中村誠一さんが割と最近ラジオでおっしゃっていたのですが、私も感じていたこと。ジャッキー・マクリーンのアルト・サックスの音は他のアルト・サックス奏者とはまったく異なるものです。
似たような音色で演奏するミュージシャンには出会ったことがありません。
この独特な音色がジャッキーの魅力のひとつでもあると思います。

時間をかけてリハーサルをさせてくれたブルーノートの扱いにたいへん満足していたジャッキーは心ゆくまで自分の音楽を追究し、この一曲目からかっこよさ爆発です。
ドナルド・バードのトランペットも次から次へとかっこいいフレーズを紡ぎ出します。
ピート・ラ・ロカのドラムも実にクール。リズムを刻むシンバルの音もピーンと張り詰めたような音で身が引き締まります。

二曲目も最初から飛ばしまくります。
トランペットとアルト・サックスで始まるこの曲は、いきなりガツンとくるようなテーマで、聞いているこちらも目を覚まして( ̄O ̄;)身を乗り出すように聞く事になります。
大人のジャズ・タイムです!二人の息もぴったりです。
Pete La Roca のリムショット叩きまくりの不思議なドラム・ソロも光ります。ちょっと和太鼓のソロみたいな雰囲気もある。

三・四・五曲目とピアノに起用した Walter Davis Jr. の曲が続きます。
R&Bとモダンジャズがミックスされたような Greasy,ジャッキーは作曲家としてのウォルターDavis Jr.をかっていたようです。
しかも人間としても気に入っていたようで、感じがよくてユーモラスな人間と評しているようです。そして、その人柄のような曲だとも発言しています。

四曲目はこのアルバムで私が一番好きな曲 Sweet Cakes ,ジャッキーとドナルド・バードの印象的な導入部と、とてもいい音で録音されているライド・シンバルにのって吹きまくるジャッキーのアルトは最高です。

最後の五曲目は全員が一体となってラストに突っ走る感じです。
一流どころが集まったこのアルバム、さすがの演奏です。文句の付けようがない疾走感あるプレイに気持ち良くなりました。

このアルバムは私の大のお気に入りで、ドライブにはよくこのCDを持って出かけます。(※ホームページ作成時はCDを持ち出しましたが、今は iPhone に入れてBluetoothで聞いています。時は流れた)
ジャッキーの音を聞いているだけで幸せになれる一枚です。

 

2022/10/05

阿川佐和子さんと大石静さんの対談本「オンナの奥義」を読みました。

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『オンナの奥義 -無敵のオバサンになるための33の扉-/阿川佐和子・大石静(文芸春秋)』という本を読みました。お二人の対談本です。

2018年発行となっておりました。相変わらずのブックオフで200円での購入。
ブックオフには毎度私の読書欲を全うするのを助けてもらっています。ありがたい。

阿川さんが脚本家の大石さんにオファーをして実現した対談本ということですが、お二人のある意味“豪快”?な生き方が文中の遠慮のないやり取りの中でよくわかりました。

しかも、似ているのかなと思っていたら基本的には正反対と言えるくらいの人生観、死生観をお持ちだということもわかりました。

たとえば、大石さんは苦しいこと、苦しいこと、悲しいことこと、苦しいことと、苦しい・悲しいが10ある中でそのうち1度くらいちょっと楽しいことや幸せと感じることがある・・というのが人生なのだという考え(読んでいて驚いたが、私も全く同じ気持ちです)で、阿川さんはその10と1が逆なのです。

人生は、楽しいこと、楽しいこと、ときどき苦しくて、また楽しいことがあって、また泣いて、なぐさめられて喜んで、ちょっと落ち込んで、また楽しくなって喜んで・・というわけです。

身体に良いと言われれば、ホルモン注射をしたり、医師にすすめられれば子宮を取る手術をしてしまったりする大石さん、そしていくら良いからと医師にすすめられたりしても、一ヶ月後くらいに・・と思いつつ結局何年も何もしない阿川さん。
対称的なお二人でした。

そして共通点と言えば「更年期障害」の時期をどうやって乗り越えたかというのは、お二人ともかなり厳しい状況について書かれていました。
男にはわかってもらう必要がある・・とのことでしたが、私の想像以上に厳しいことがわかりました。
かつての私の職場でも更年期障害に悩んでいる方がいましたが、仕事上手助けをしたり、悩み、お話を聞いたりしていたことを思い出しました。まさにお二人がおっしゃっているような状況下にあったのです。

長くなってしまいましたが、もうひとつ大事だなと思った部分がありました。

オリンピック選手だとかアスリートと呼ばれる人達が「夢は必ず叶う」って当たり前のように使うが、気軽に言っちゃあかんのでは、というところでした。

「普通、かなわないでしょ」ってことです (・_・;

人間はどれも尊い命だけど、“身の程”というものがある。
能力にも確実に差があり、それぞれの能力を全開にして、精一杯に生きることこそ尊い、そんな考え方がないがしろにされている気がするというのです。
私も同感。

しかも夢が叶えば幸せなのか、描いていた夢そのものが間違っていたという場合もあるんじゃないか、人それぞれだし、何が幸せかは自分で判断しないと・・ということをおっしゃっていて、今の私にはその言っていることの意味がよくわかります。

そして今、私も、自分の生き方、幸せというものについて少しずつ考えているところなのです。

 

2022/10/04

【The Beatles 研究室・復刻版】Past Masters ・ Volume One[B-7]Bad Boy

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
今回は、「パスト・マスターズ」に収録された「バッド・ボーイ」を取り上げます。
一部の方には、あまり馴染みのない曲かもしれません。
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アルバム「 Help ! 」のレコーディング時に録って、結局アルバムには入らなかった曲です。
逆にアメリカでは当時英国オリジナルと全く異なるアルバムが出ていたため、1965年に先に「 BeatlesⅣ」というアルバムに収録されて発売されていました。

イギリスでは、シングルにするという話もあったのですが、リンゴの強硬な反対があったらしく、お蔵入りになり、やっと「 A Collection Of Beatles Oldies 」というベストアルバム的なアルバムに『未発表曲』として収録され、発売となりました。

日本でもこのアルバムは1967年に発売され、私も所有しておりますが、とても素敵なアルバムで、初期から中期にかけての珠玉のアルバムとなっています。

解散後に出た俗に言う『赤盤』よりもずっといい構成です。これがCDで発売されるのを心待ちにしているビートルズ・ファンはきっと多かったと思いますが、『赤盤』があるからでしょう、未発売。 
そして、同じく、CD未発表のライブ盤「 Beatles At The Hollywood Bowl (※このホームページ作成時には未発売であったが、その後に再編成されたCDが発売される)」でも曲の途中のおしゃべりの中で、「これはオールディーズだけど」と言ってわずか1~2年前の曲を紹介している様子が入っていましたが、このアルバムのタイトルもわずか数年前の曲をビートルズは“オールディーズ”として扱っているのです。

さて、「バッド・ボーイ」ですが、一緒の頃に録音された「ディジー・ミス・リジー」とサウンドも演奏も似通っています。
そして、ラリー・ウィリアムスのカヴァーであることも同じです。
セカンドアルバムの「マネー」にも演奏が良く似ています。

ジョンはなりふりかまわぬ、腹の底から突き上げるような歌いっぷりで、得意の唱法です。
ジョンのギターもリッケンバッカーで小指を拡げるブルースっぽいフレーズを弾いています。
ボーカルを後から録ったのだと思いますが、同時に演奏するとなるとけっこう難しい演奏かもしれません。

ジョージはギターをダブルトラックで2回被せていて、特有の高くて細くてしかも丸みのある音でなかなかいいフレーズを弾いています。
リンゴは相変わらずの鞭がしなるようなフィルインを決めていますが、シングル発売を反対したところをみると気に入らないプレイだったのでしょうか?

中学生の時に初めて聞いたとき、私もちょっと元々のこの楽曲の持ち味に対して“やりすぎ”(騒ぎすぎ?!)かなと思いました・・・ジョンのボーカルもそんな感じ・・・。
うしろの方でそぉっと聞こえるオルガンも入っていて、これもジョンのハモンドかもしれません。
いずれにしても、アルバム「オールディーズ」の中では、他の曲がヒットソングばかりだったので、ちょっと見劣りする感じの曲ではありました。


〈追記〉2022/10/04

この曲も2009年リマスターや米国キャピトル盤がホームページ作成後に出ているので、それらを聞いてみました。

2009年リマスター盤「パストマスターズ(ステレオ)」

モノマスターズに比べ、音はクリア。
ジョージのギターの音も伸びやか。
突出して何かの楽器の音が耳に残るようなミックスはされておらず、とても常識的できちんとリマスターされたものだと感じました。


2009年リマスター盤「モノ・マスターズ(モノラル)」

楽器やボーカルの分離というよりも、曲全体の勢いを大事に、音が固まってくる印象。
各楽器の音もやや“こもり気味”に聞こえるが、全体的には聞きやすくなっている。
ただもうひとつ“突き抜ける”ような感じがない。


米国・キャピトル盤「BeatlesⅣ」ステレオ

ジョンのボーカルが艶やかに聞こえて、とてもいい感じ。
リード・ギターのフレーズもとてもよく聞こえる。
ジョージがダビングで弾いていると思われるが、ギター二台の音も分離よく両方のフレーズも音色もはっきりとわかります。
リンゴのドラムはやや引っ込み気味。
全体的にまとまりのよいミックスとなっています。


米国・キャピトル盤「BeatlesⅣ」モノラル

聞きやすいが、ジョンのボーカルになぜか霧がわずかに掛かっているような感じがして視界がやや悪いような感じに聞こえる。
ジョージのギターはフレーズ等はっきりと聞こえるものの、ミックスはやや抑えめの音量で、もうひとつ前に出るようにしてもよかったのかもと思いました。
全体的にはちょっと不完全燃焼か。


“内緒盤”の、なんと「オールディーズCD化」モノラル

これが一番じゃないかと思われる音のクリア度だが、全体的にはマイルドなミックス具合となっており、素晴らしい出来上がり(^_^;)・・これでいいのか。
各楽器の音色もベストな感じで、ボーカル、ギター、ドラムともにフレーズもよくわかり、安心して聞く事ができた。


あと、“謎”のリンゴが反対したシングル化について上記を聞きながら考察したのですが、リンゴのプレイは“キレ”もよく、リンゴらしい叩きぶりなので、自己のプレイに不満があったわけではなさそうです。
私もここに書きましたが、曲としてのスケール感というか、“力”がシングルにするには不足していると感じたんじゃないかと思います。
ドラマーって大局観がある人が多いので、リンゴの“正しい判断”だったのだということに結論づけたいと思いますd( ̄  ̄)

 

2022/10/03

「世界の日本人ジョーク集/早坂隆」を読みました。

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『世界の日本人ジョーク集/早坂隆著(中公新書ラクレ)』という本を読みました。
2006年発行となっていますので、かなり古い本です。これもブックオフにて購入。

世界の日本人ジョークということで、世界の国々から見た日本人の典型的なパターンをギャグにして笑わそうというものがいくつも例示されているのです。

で、この本が作られている過程でも日本人がどう見られているかがどんどん変化していることを感じました。

以前のパターンでは、日本人の勤勉さを皮肉ったり、製造された製品の完璧さを逆にそうでない国と比較して笑いにしたり、ジョークが通用せず、三日後くらいにやっとわかって笑い出すような設定で笑いにしたり・・そんな感じでした。

でも、この本の終盤になると、上記のような日本人ジョークは影を潜め、アメリカの傘下にいてすっかり国としての形態がおかしくなっていることを揶揄するような・・例えば下記のようなジョークが載っていました。

●信頼できる政党
 日本国民の安全と財産を守る三大政党とは?

 三位・・・民主党
 二位・・・自由民主党
 一位・・・共和党

・・d( ̄  ̄)などというのもありました。

また、日本人が外国からミサイル発射などの様々な嫌がらせを受けても怒らないことをジョークにしたもの、さらにアメリカの人五人が集まると競争が始まり、イギリス人が五人だと議論が始まったり、ドイツ人が五人だとビールで乾杯となるが、日本人が五人集まるとマンガの回し読みが始まる・・などとマンガ・アニメ大国になった日本をジョークにしたりもしていました。

で、この本が発行されてからもう16年が経っていますが、今の日本人はどのようなジョークにさらされるのでしょうか。

日本人は無宗教というのが一般的な理解だが、実は政治の世界では宗教にべったりと染まっている・・なんてのも言われる可能性があります(^_^;)

国葬だ国葬だ、と世界に向けて騒いでいたら、議決を得たホンモノの国葬をどこかの国に先にやられてしまい、急に“しぼんで”しまった感のある儀式についてもジョークにされるかも。

ということで、今回の読後感はおしまいです。
日本人の特徴は割と変化が激しいことを知りました。

 

2022/10/02

千葉市中央区汐見丘で開催されていた《造形あそび4人展》に行ってきました。

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《造形あそび4人展》・・千葉市中央区汐見丘の『ギャラリーどち』で開催されていたものを見て来ました。
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私の中学時代の美術の先生も参加していて、実に自由で楽しい造形展示でした。
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私が最近、オミクロン対応のワクチン接種をしまして、今までは副反応はほとんど無かったのですが、今回はけっこう熱や身体の痛みがあり、最終日一日前の昨日行って来たのです。
ほんとうはもっと早く行ってご紹介したかった。
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内容は、4人の作家それぞれの方が独特の持ち味で作品をつくられ、いやもう楽しかったです'(*゚▽゚*)'
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Instagram経由でも一部写真をご紹介していますし、その他 FacebookPage 「千葉市を東京から応援するって?!」というページでもご紹介しています。
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毎回、驚きとか発見があるのですが、今回は特に4人の皆さん魅力ある作品を展示されていました。
次回行なわれるときには、早めに出掛け、気の向いた方に間に合うようにお知らせしたいと思います。

2022/10/01

東海林さだおさんの「ひとりメシ超入門」を読みました。

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『ひとりメシ超入門/東海林さだお著(朝日新書)』を読みました。
またもやブックオフにて100円で購入。
この本の内容は、1987年1月から週刊朝日に連載された「あれも食いたい これも食いたい」をまとめたものです。
新書版としての発行は2020年となっておりました。

書かれているのはいつも通りの、ふつうの人が考えつかないというか、考える必要のないことを考え、それについてしつこく追求し、実践(実験)してみるというのが基本的な流れの食べ物についての考察です。

釜飯を頼んで、店員から「よく混ぜてお召し上がりください」と言われても、具をひとつひとつ拾いながらつまみとして食べ、最後までかき回さず食べようとするが、店員が近くで待機していて見られているので、ちょっと店員が横を見た瞬間につまみを食べるという方式で食べ進んでみる・・とか(毎度のことだけど私には意味がわからない)、「冷やしきつね」というものに納得がいかず、温かいきつねうんどとは具が違うじゃないか、とか真剣に考え、さらに考えは発展し、冷やし中華があるなら温める中華があってもいい(それがラーメンじゃないのか?!)と、冷やし中華をレンジで温めたりしています。
もう、理解の範疇を超えている。

せっかくのうな重をグシャグシャにかき混ぜて食べたらどうなんるんだろう、なんてのもありました。
そんなことしてどうすんの?!!
でも、グシャグシャにかき混ぜて「“まあまあ”おいしい」みたいな結論になる(T_T)

ファミレスで晩酌をしてみたい・・というのもありましたが、でもこれって酒場ライターの「パリッコ」さんなどが本にしているくらいあちこちのファミレスでやっている人がいるのです。
けっこう嫌われるんじゃないかと書かれていましたが、そこはファミレス界の経営は奥深く、今や居酒屋的晩酌も許容されているのでありました。いろいろな人がいることも世は折り込み済みなんですね。

今までも読んでいて、この人どうかしている・・と思うこともありましたが、くせになるような食べ物への執拗な“食い下がり”が読者の心を引きつけるのでしょう。
今回もまた読んでしまいました。
まだ一冊東海林さんの本をブックオフで手に入れており(^_^;)、またきっとこのブログでご紹介することになるでしょう。・・懲りないタイプですいません。

 

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