「思想する住宅/林望」を読みました。
『思想する住宅/林望著(文春文庫)』を読みました。
これもいつもどおりブックオフで安価購入。2015年に刊行されたものです。
冒頭の部分では典型的な現在の日本家屋と英国の家屋とその家屋奥に“寄り合い”的に広がる庭について比較して書かれています。
ようするに、一般的な南側に向いてどの家も建てられていて、家の前面には庭があるという日本人がまずは「こうでなきゃ」という家のあり方について・・そうではないぞ・・ということが書かれていました。
英国では、家は皆通りに面して建てられ、その後ろに庭があり、それら庭が寄り合って豊かな緑地が形成されているとうわけです。
英国の都市形成の外枠だけ真似している日本の都市はあるけれど、根本的には異なっているという話から始まったのですが、読んでいる私としては「そんなこと言ったって、南側にこだわる日本人は多いよなあ」などとも思いました。
そして、実際に著者の林望先生が家を建てるにあたっての留意点を様々な観点から考察していくのですが、ほんの一例だけでも下記のようです。
どこに住みたいのか、または住みたくないのか
隣人との関係はどうありたいか
自分の生活形態はどんなものか
自分は何をしたいのか、また何をしたくないのか
昼の生活重視か、夜の生活重視か
夫と妻のあり方はどうするのか、共同参画か、そうではないのか
エネルギーをどう考えるのか
どこで働き、どこで遊び、どこで住むか
どうやって生き、どうやって死ぬか
・・これはほんの一例、氷山の一角で、もう数えきれないほどの考察をしています。
日本の暑さ、寒さにもふれていましたが、関東で比較的寒暖差が少なく住みよさそうな土地もあげられていましたが、これが意外と千葉県の三か所が紹介されていました。
銚子、勝浦、館山です。いずれも海沿いの町になるのですが、津波の心配もあり、その中でもある程度の高台を薦めています。
そういえば、天気予報などを見ていると銚子は、関東の都市部から比べると夏のあいだは三度は低い数字がいつも報じられていました。やはり過ごしやすいところなのか。
最近、私も YouTube で家を紹介するものをいくつも見ていて(自分がこれから建てるわけでもないのに(^-^;)、それぞれの家が持つ“主張”みたいなものにとても興味があります。
最終的には都会か、田舎か、家族のあり方、自分の生き方などが大きくその家に反映されているものと思われます。逆に言うと、そういう家は主張するものが異なっても実に“見甲斐”があるのです。
この本は、家についての考え方に参考となることがたくさん書かれていました。
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