【南先生の玉手箱_0053_成人の日に思う】
私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
今回は平成18年1月の日付が入っている文で、先生が校長をしていた小学校で配られた「らくがき」というプリントからです。
以下、先生の文章です。
<成人の日に思う>
今年も成人のみなさん、おめでとうございます。
成人の日に限らず、祝日などは決まっていたほうがいいと思うのですが、いろんなところでこちら側とは関係なしに流れが変わっていくことが多い。
一月八日横芝の成人式に参加させてもらって五年前、横中の卒業生たちの晴れの姿を見せてもらった。
当時の先生方からのメッセージを聴きながら五年前の懐かしさや雰囲気を感じた今年の式典であった。
成人式に限らずひとつ人生の大きなくぎり、自ら立ち止まってスタートラインに立つことは大切だと思う。
それぞれがちがう環境や立場でむかえる人生の中で大きなくぎりにある成人その年に私ごと自分をふりかえってみる時、東京で学生だったが、気がついたら成人式はおわっていた。
アルバイトその他生活に追われていたが、別に出席するつもりがなかったか、また何かこだわって成人式そのものを無視していたか、そんな十代後半、今考えれば毎日夢中と言うか、自分のやりたいこと中心に暮らしていたのかと思う。
日本中でたくさんの若者がそれぞれの思いでむかえる成人の日、表に見えず聞こえてこないたくさん悩みをかかえた若者の存在も多い。
私ごと、そろそろ三回目の成人式と言える年の者から若者に伝えたいひと言は、限りない可能性の中に居るうちに、何かに夢中に生きてほしい。
若さは宝もの、輝きは自ら発信するものです。
<あっちこっち>
(※同じ頁に書かれていたこの文も併せて活字化いたしましたのでここに掲載します。)
あっちこっち上下左右、中と外、こっちはしからむこうのはじ、プラスとマイナス、表と裏、入口出口に、東西南北、白と黒など、身のまわりにはたくさんの反対側があって、それぞれにちがった見え方、考え方がある。
これでおしまいと思うところから新しいことがはじまる。
白と黒の間には限りない灰色がある。
時に自分の見方、考え方とちょっと変えてみることで今までとちがった見え方、感じ方ができる。
いつもこっち側から見えていると思っていることが本当のところ何も見えてない、わかってないことにも気がつく。
時に立場や環境に対してむこう側のことを想像する時や空間を大切にしたい。
いろんな場所にうずの中心が存在する。
以上が先生の文でした。
成人の日の文では、若い人に何かに夢中になってくれという思い。そして“あっちこっち”という文では色々な角度、方向から物事を見ることで新しいことが見えてくるというようなことが書かれています。
私も、いまだ忘れがちなことだとあらためて思いました。
日々いろいろな出来事、事件があったり、身の回りでも様々なことが起こります。
それを自分の日々の生活やこれから生きていくことの“糧”にして“生き生きと”していたいと思いました。
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