「芸人/永六輔」を読みました。
『芸人/永六輔著(岩波新書)』を読みました。
1997年発行のものです。25年前の本。で、またブックオフ。
今どきは「芸人」というと、なぜか“お笑い芸人”のことを指すようで、芸人は芸をする人だから別にお笑いに限らないはずでした。
ずっと以前は役者でも誰でも芸能にたずさわる人を「芸人」と呼んでいたものですが・・。
この本では芸人というものが昔はどういう境遇にあったか、どんな立場にあったのか、厳しいことが書かれていました。
それを読むと、小沢昭一さんの書かれた「芸人」についての著作も思い出し、現在とはまったく異なる芸人像が浮かび上がりました。
要するに、昔はけっこう蔑まれるような存在だったのだと。
うってかわって、今の若い人たちの芸人志向は、「楽して稼げる」という点に集中しているようだと永さん書かれています。
とりあえず有名になれば喰える、だったらテレビで顔を売ろうという単純な構図が出来ているというのです。
それでもって、有名になりたいという夢がかなって有名になっても支える芸は何もないという現実・・と、永さんおっしゃっていますが・・私もそう思う・・。
「何もできない芸人」という芸人が生まれつつあるというわけです。
さらに「とりあえずおもしろければいい」「とりあえず明るくて、何げなくそれを見ていられればいい」という人たちの時代になりました。
永さんは、歌、演技、コメディ、笑いなどの世界は大きな変質を遂げようとしているとおっしゃっています。25年前の話です、この本は古いんだから。
今後、ひとつの歌が、ひとつの笑いが、人生の味わいを深くしたり、感動したり、刺激されたりというかたちで、芸と芸能の世界が展開していくかどうか。
そうして、芸人がどう生きるべきなのか。
・・と、後編で三波春夫さんとの対談の中で結論を見つけようとするのですが、三波さんも今は亡くなり、対談した永さんも亡くなり、結論はどこかに行ってしまったような気がします。
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