【The Beatles 研究室・復刻版】Past Masters ・ Volume One[B-7]Bad Boy
今回は、「パスト・マスターズ」に収録された「バッド・ボーイ」を取り上げます。
一部の方には、あまり馴染みのない曲かもしれません。
アルバム「 Help ! 」のレコーディング時に録って、結局アルバムには入らなかった曲です。
逆にアメリカでは当時英国オリジナルと全く異なるアルバムが出ていたため、1965年に先に「 BeatlesⅣ」というアルバムに収録されて発売されていました。
イギリスでは、シングルにするという話もあったのですが、リンゴの強硬な反対があったらしく、お蔵入りになり、やっと「 A Collection Of Beatles Oldies 」というベストアルバム的なアルバムに『未発表曲』として収録され、発売となりました。
日本でもこのアルバムは1967年に発売され、私も所有しておりますが、とても素敵なアルバムで、初期から中期にかけての珠玉のアルバムとなっています。
解散後に出た俗に言う『赤盤』よりもずっといい構成です。これがCDで発売されるのを心待ちにしているビートルズ・ファンはきっと多かったと思いますが、『赤盤』があるからでしょう、未発売。
そして、同じく、CD未発表のライブ盤「 Beatles At The Hollywood Bowl (※このホームページ作成時には未発売であったが、その後に再編成されたCDが発売される)」でも曲の途中のおしゃべりの中で、「これはオールディーズだけど」と言ってわずか1~2年前の曲を紹介している様子が入っていましたが、このアルバムのタイトルもわずか数年前の曲をビートルズは“オールディーズ”として扱っているのです。
さて、「バッド・ボーイ」ですが、一緒の頃に録音された「ディジー・ミス・リジー」とサウンドも演奏も似通っています。
そして、ラリー・ウィリアムスのカヴァーであることも同じです。
セカンドアルバムの「マネー」にも演奏が良く似ています。
ジョンはなりふりかまわぬ、腹の底から突き上げるような歌いっぷりで、得意の唱法です。
ジョンのギターもリッケンバッカーで小指を拡げるブルースっぽいフレーズを弾いています。
ボーカルを後から録ったのだと思いますが、同時に演奏するとなるとけっこう難しい演奏かもしれません。
ジョージはギターをダブルトラックで2回被せていて、特有の高くて細くてしかも丸みのある音でなかなかいいフレーズを弾いています。
リンゴは相変わらずの鞭がしなるようなフィルインを決めていますが、シングル発売を反対したところをみると気に入らないプレイだったのでしょうか?
中学生の時に初めて聞いたとき、私もちょっと元々のこの楽曲の持ち味に対して“やりすぎ”(騒ぎすぎ?!)かなと思いました・・・ジョンのボーカルもそんな感じ・・・。
うしろの方でそぉっと聞こえるオルガンも入っていて、これもジョンのハモンドかもしれません。
いずれにしても、アルバム「オールディーズ」の中では、他の曲がヒットソングばかりだったので、ちょっと見劣りする感じの曲ではありました。
〈追記〉2022/10/04
この曲も2009年リマスターや米国キャピトル盤がホームページ作成後に出ているので、それらを聞いてみました。
2009年リマスター盤「パストマスターズ(ステレオ)」
モノマスターズに比べ、音はクリア。
ジョージのギターの音も伸びやか。
突出して何かの楽器の音が耳に残るようなミックスはされておらず、とても常識的できちんとリマスターされたものだと感じました。
2009年リマスター盤「モノ・マスターズ(モノラル)」
楽器やボーカルの分離というよりも、曲全体の勢いを大事に、音が固まってくる印象。
各楽器の音もやや“こもり気味”に聞こえるが、全体的には聞きやすくなっている。
ただもうひとつ“突き抜ける”ような感じがない。
米国・キャピトル盤「BeatlesⅣ」ステレオ
ジョンのボーカルが艶やかに聞こえて、とてもいい感じ。
リード・ギターのフレーズもとてもよく聞こえる。
ジョージがダビングで弾いていると思われるが、ギター二台の音も分離よく両方のフレーズも音色もはっきりとわかります。
リンゴのドラムはやや引っ込み気味。
全体的にまとまりのよいミックスとなっています。
米国・キャピトル盤「BeatlesⅣ」モノラル
聞きやすいが、ジョンのボーカルになぜか霧がわずかに掛かっているような感じがして視界がやや悪いような感じに聞こえる。
ジョージのギターはフレーズ等はっきりと聞こえるものの、ミックスはやや抑えめの音量で、もうひとつ前に出るようにしてもよかったのかもと思いました。
全体的にはちょっと不完全燃焼か。
“内緒盤”の、なんと「オールディーズCD化」モノラル
これが一番じゃないかと思われる音のクリア度だが、全体的にはマイルドなミックス具合となっており、素晴らしい出来上がり(^_^;)・・これでいいのか。
各楽器の音色もベストな感じで、ボーカル、ギター、ドラムともにフレーズもよくわかり、安心して聞く事ができた。
あと、“謎”のリンゴが反対したシングル化について上記を聞きながら考察したのですが、リンゴのプレイは“キレ”もよく、リンゴらしい叩きぶりなので、自己のプレイに不満があったわけではなさそうです。
私もここに書きましたが、曲としてのスケール感というか、“力”がシングルにするには不足していると感じたんじゃないかと思います。
ドラマーって大局観がある人が多いので、リンゴの“正しい判断”だったのだということに結論づけたいと思いますd( ̄  ̄)
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