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2022/11/29

「ゆかいな珍名踏切」という本を読んだ。

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『ゆかいな珍名踏切/今尾恵介著(朝日新書)』という本を読みました。
ブックオフで見つけたのですが、著者は地図研究家で一般財団法人日本地図センターの客員教授、日本地図学会専門部会主査などという肩書の方です。

路線名だとか、駅名の「珍名」ならなんとなくわかりますが、「踏切」の名前で珍名を探そうという視点が独特です。
しかも、その珍名から由来を尋ねてご近所の人や通りかかった人に話を聞いたり、図書館などで調べたりということをコツコツと続けていく著者にはなんだか頭がさがります。

で、実際の“珍”踏切名はどんなんだろうというと・・。

「馬鹿曲踏切」「壺焼き踏切」「パーマ踏切」「レコード館踏切」「虚無僧踏切」「洗濯場踏切」「切られ踏切」「ファッション通り踏切」「豆腐屋踏切」「天皇様踏切」「爆発踏切」

・・などなど、“踏切界”には詳しくない(^^;)私が聞いても面白い名前がたくさんです。

なんでそんな名称になったのか現地を訪ねつつ、いろいろと調べて回るわけです。
たぶんこうであろうというところまでは、ほとんどの踏切でたどり着いていました。

馬鹿曲踏切は、現行路線と異なり、以前の路線が大きなカーブを描いていたので、“馬鹿に曲がっていた”ことからそんな名前になっていたり、洗濯場踏切は、かつて湧き水が出ていてけっこう大きな洗濯場があったのだということを近隣の方から聞き出したりしています。

でも、大きな下水管が埋設されたことによって水脈が断たれ、湧き水も止まり、廃止されてしまったのだというところまで突き止めています。
そして踏切近くを探すと、かつて洗濯場であった痕跡まで見つけることに。

それがどうした、という人もいるかと思いますが、私はこういうの好きです(*^-^*)

旅行に出たときなど、地元の人から話を聞いて、「かつてこれこれこういうものがあった、あれが名残だ」などと遺跡のようなものを見せてもらったりすると、「ここにはこんな歴史があったのだ」などとしばし感慨を持ちつつ佇むことがあります。

なので、いろいろな珍名踏切の由来などが徐々にわかってくる過程も楽しくて、面白がりつつ読了いたしました。

今度から踏切を渡るときには、その「名前」を見てみようと思います。
身近なところに意外な珍名踏切があるかも。

 

2022/11/27

宝塚歌劇・雪組東京公演初日「蒼穹の昴」を観て来ました。

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『宝塚歌劇・雪組東京公演(初日)「蒼穹の昴(グランド・ミュージカル)』を観劇してまいりました。

今回の作品は、浅田次郎氏のベストセラー小説『蒼穹の昴(そうきゅうのすばる)』をミュージカル化したもので、ショーは無く、いわゆる“一本物”と呼ばれる大作です。
幕間の休憩を挟んで正味2時間半を彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さん率いる雪組が演じます。

長丁場でしかも一本物、舞台は清朝末期の中国ということで、ドラマチックな展開をうまく表現しないと退屈な作品になってしまうのではないかと思いましたが、雪組は“和物”の作品を演じることが多く、その中で培ってきた「じっくりと芝居に取り組む姿勢」が生かされていたと思いました。

しかも、今回観劇したのは初日。
ドタバタした部分などが見え隠れするのかと思いきや、すでに一~二週間演じてきたような“どっしり”とした印象でした。組子全員落ち着いていました。

さらに専科から京三沙(きょう・みさ)さん、汝鳥伶(なとり・れい)さん、一樹千尋(いつき・ちひろ)さん、夏美よう(なつみ・よう)さん、悠真倫(ゆうま・りん)さん、そして主役もとれる凪七瑠海(なぎな・るうみ)さんの六人が加わり、実に頼もしい重鎮の方々が舞台を引き締めていました。
この人たちだけで舞台が一本作れるような顔ぶれです。

 

 

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さて彩風さんは、主役のリァンウェンシウを聡明でやさしく、爽やかで、しかも憂国の思い熱く、人格者でもあるという、まさに“難役”を実に自然体で演じていて、“真っすぐ”な感じがするご本人の人柄にも合っていて、いいなぁと思いました。素直な感想です。

相手役の朝月希和(あさづき・きわ)さんも、リィリンリンを丁寧に、そして年齢と共に成長し、変化していく心模様などもうまく演じていました。

二番手男役の朝美絢(あさみ・じゅん)さんも、若気の至りや、妙に達観した部分、美しい心根、いろいろな境遇の人への気遣いなど様々な側面を見せるリィチュンルを見事に演じていました。この人の実力も並外れたものがあると思いました。

すっかり雪組に馴染んできた和希そら(かずき・そら)さんのシュンコイも、男気があり、一途な人物像を描いて見事でした。“男役”のひとつの形をもう作り出していて、雪組に来てまたひとつ大きな存在になったと感じました。
そして、声も“通る”し、歌も上手い、さらにダンスは群を抜いています。

光緒帝を演じた縣千(あがた・せん)さんも、時代と周囲の人々に翻弄される難しい役どころをうまく演じていました。

そして、専科の凪七瑠海さん。李鴻章という重要な役をさすがの演技で見せてくれました。
同期の錚々たる輝かしいメンバーは卒業してしまいましたが、いまだ光り輝いて舞台に立ち、存在感を示し、やはり舞台に立つ姿には自然と光が射しているように思いました。
それに美しい男役です。

その他、舞台衣装も注目すると刺繍の見事さや、大勢の人が居並ぶシーンの豪華さなど、見どころがありました。
舞台装置についても大階段を使った紫禁城の太和殿や、ラストシーンに出てくる船のセットなど宝塚歌劇ならではの大掛かりなものが圧倒的でした。

また重要な場面で「京劇」が演じられるのですが、これも見ごたえがありました。
特に重い衣装を身につけての激しい踊りをこなした朝美絢さんと眞ノ宮るい(まのみや・るい)さんには感心いたしました。

最後のおまけのショー的フィナーレまで雪組らしい派手ではないが、美しく煌びやかな舞台は初日とは思えないくらいの仕上がりでした。
今後さらにブラッシュアップされていくことと思います。

通常の宝塚にはないカーテンコールですが、初日なので三回のコール。
そして最後はスタンディング・オベーションとなり、晴れやかな気分で劇場をあとにしました。

 

2022/11/25

「さよならの力/伊集院静」を読みました。

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『さよならの力 -大人の流儀7-/伊集院静著(講談社)』を読みました。
2016年から2017年にかけて週刊現代で初出、単行本化に際し修正・書き下ろしを加え2017に刊行されたものです。

この本のテーマはタイトルどおり“さよならした人”、かつて“さよなら”したこと、“亡くなった人とのさよなら”などについて書かれていました。

伊集院さんは、大学生の頃、弟さんを海の事故で亡くし、27歳という若さの奥さん(夏目雅子さん)も亡くし、父を亡くし、そして東日本大震災で仙台に住む伊集院さんは多くの人とお別れすることになりました。

そういう心に遺された痛み、傷のようなものが時を経てどう心の中で変化していくのか、ということが書かれています。
これは他の伊集院さんの著書でも書かれていることがありましたが、特に突然失ってしまった配偶者や自分の家族などについては、さまざま多くの人がそういうことに遭遇することになる・・そんな人にどんな声を掛ければいいのか、自分に対してもどう考えればいいのか、ということが丁寧に静かに書かれていて、涙してしまうことが読んでいて何度かありました。

それから、小さい頃にいろいろ面倒をみてくれた近所のお兄さん的存在だった人。
その人が中学を卒業してから会っていない、さよならしたきりだ・・ということが書かれていましたが、私にも小さい頃に近所にちょっと悪い感じだけど、でも自転車に乗せてくれて、いろいろなところに連れて行ってくれたり、自分が知らなかった遊びなども教えてくれる“トシ坊”というお兄さんがいました。
そして、やはり私が小学校高学年になった頃にはもう我が家にも遊びに来なくなり、さよならしたきりです。
そんな人が誰にもいたんじゃないかなと思いました。

「さよならだけが人生だ」なんて言葉もありましたが、さよならすることよって人間は何かひとつ乗り越えていくような気がします。
そして人に対してやさしくなれるような気もします。

さよならについてしみじみと考えることになる本でした。

 

2022/11/24

「東京育ちの京町屋暮らし/麻生圭子」を読みました。

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『東京暮らしの京町屋暮らし/麻生圭子著(文藝春秋)』を読みました。
いつもどおりのブックオフで安価にて購入。
2000年7月発行の本です。

著者、麻生圭子さんはエッセイストで、作詞家としても吉川晃司、小泉今日子、中森明菜などの曲を手がけている方だと知りました。

その麻生さんが京都のいわゆる“町屋”暮らしをしようとするのですが、その町屋を借りようとして大家さんに会うと、「町屋かなんか知らんけど、あんたみたいなよそから来た人間がやな、勝手に、そんないい方してるだけや。我々、京都の人間はそんなことば、使いませんな」・・と、初っ端から痛い洗礼を受けます。

ま、一筋縄ではいかないわけで、不動産屋さんから知人、その他あらゆる“つて”を頼って町屋を探し、借りる際の改修をどこまでやっていいのかという条件などの擦り合わせも大変なことになりました。

いったん借りることが出来、契約もきちんとして、その後、夫も含め多くの人の手を借りて床を漆で塗ったりたいへんな作業をするものの、途中で話がご破算になり、苦労が水の泡となることもありました。

しかし、著者、麻生さんの町屋に対する「住んでみたい」という願望は最後まで衰えることはなく、本を読んでいるだけでもこちらが気絶しそうなくらい大変な思いと作業を経て“町屋暮らし”に漕ぎ着けるのでした。

そして、町屋暮らし・・優雅でいいじゃない、と思うと、それは現代の快適な環境、たとえばエアコンや水、給湯関係などが麻生さんが住もうとしている町屋では、昭和三十年代のような暮らしをしなければならないことになるのです。

冬は外と同じくらいの寒さの中で暮らさなければならず、台所などは土間にあり、足の先から芯まで冷たくなるらしく、夏はエアコンもないので当然あちこち開けて暮らすわけで、だから蚊帳を吊るのは当然のこと・・。
冷蔵庫も今どきの大型のものを置く場所もなく、小型で冷凍庫もない生活を選びます。

とうてい現代人には耐え難いような環境かと思いますが、でも、それでも“町屋暮らし”をしたいという気持ちはなんだか理解できます。
現代社会の皆が共有している、いわゆる“便利で快適”な生活よりも大きく深い喜びがきっと町屋暮らしにはあるのだと思います。

掲載されている写真を見ていると、なんだか私も憧れてしまいそうな“豊かさ”を感じてしまいます。

このあいだ、またもブックオフで麻生さんの「京都暮らしの四季」について書かれた本を見つけ、購入いたしましたので、読みましたらまたここでご紹介したいと思います。

今回は、京都の町屋暮らしって、なんだか良さそう・・というところまでの読後感ご紹介でした。

 

2022/11/23

ギャラリー笑虎での強烈で不思議な出来事

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※写真は2016年頃から数年間のものを使用しています。

昨日、私の中学時代の担任で美術の先生がJR飯岡駅併設施設でレコード・コンサートを開き、そこに私が出掛けたことをこのブログで書きました。
そこへ行く途中での出来事を書きます。

上記先生から「来月、横芝光町の“ギャラリー笑虎”でやる個展の作品の一部、大作をギャラリーに既に持ち込んであるから、飯岡に来る途中なのでちょっとのぞいてくればいい」とのことでしたので、レコード・コンサート会場に行く道すがらその“ギャラリー笑虎”に寄ってみたのでした。

 

 

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昨日は火曜日。
先生からは定休日は水・木曜日とのことだったのですが、行ってみると笑虎独特の大きな門は閉められていて、真ん中に印刷したばかりのように見える真新しい貼り紙が・・。
「火・水定休日」と書かれているのでした。

門は閉まっているし、貼り紙はあるしでしたが木製の格子が掛かっている窓から中をのぞいても人の気配はなく、明かりも点いていない。
仕方なくあきらめて飯岡の会場に向かいました。

 

 

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到着して先生に「ギャラリー笑虎の定休日が変わったようです。門も閉じられていて、店は開いていませんでした。」と伝えました。

「えっ、そんなことあるはずがないなぁ。個展の案内葉書にも定休日はもう入れて印刷してしまったよ」と、ギャラリー笑虎に電話してくれました。

 

 

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・・・そしたらね・・・先生から「おいっ、いったい何処に行って来たんだ。笑虎は開いているし、さっき行って来たという時間にはとっくに開店していたって言ってるぞ。それにそんな貼り紙もしていないって。」・・・と。

さあ、たいへんです。

笑虎は毎年先生の個展が開かれ、何度も何度も通った場所です。
第一あんな建物ほかにありません。間違うわけがないっ!

私が見た光景はなんだったのでしょうか。
現実のものではない光景をこの眼で見て、現実ではない状況にあるギャラリーがそこに存在していたことになります。

 

 

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飯岡からの帰り道、再びギャラリー笑虎に行ってみたのですが、開かれた門にもあの貼り紙はなく、直感として午前中に見た感じと違う雰囲気が漂っています。
中に入って馴染みの女性マスターに話を聞こうと思ったのですが、なんだか見てはいけないものを見てしまうような気がして怖くて門から中には入れず、そのまま帰宅しました。

帰宅後も何がなんだかわからず、夜になっても恐怖が襲い掛かり、暗いところに行けなくなってしまいました。

このブログで私の過去の不思議な体験をいくつか書いてきましたが、またひとつ不思議な体験が増えました。
妻に話してみたら、「何か見てはいけないもの、遭ってはならないものがその日にギャラリーに存在していて、緊急回避的回路が動作したんじゃないのかしら」ということで、「そうなのかも」と、今、思いつつあるところです。

 

2022/11/22

中学時代の先生が開いた「レコード・コンサート」に行って来た。

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私の中学時代の担任で美術の先生、特にジャズが好きで、しかもアナログ・レコードでいつも聞いています。
そして、絵画や造形作品の個展も年に数回行っている中、今回は「レコード・コンサート」をJR飯岡駅併設の「ふれあい館」で行いました。
・・先生のバイタリティーは私なんかをはるかに超越して驚くべきものがあります。
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今回使われたスピーカーも異彩を放っていました。

昔のナショナル「8PWT」という不思議なウーファーと同軸上にスコーカーがあるようなスピーカーは、たぶん自作のケースに入り、しかもさらに自作の石膏で固められたホーン型ツイーターが上に乗っておりました・・さらに先生のカラフル・ペイント付き(^^;
で、これがまたいい音出すから不思議なんです。
ヘレン・メリルのモノラル・レコードが素晴らしい音で鳴っていました。

 

 

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そのほかにも、JBLの楕円型20㎝スピーカーがエッジも無かったものをご友人の協力で修理して、これまた自作のケースに入れて、またまたいい音で鳴っていた・・(^_^;)
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そして40年くらい前の電気屋さんの処分品のA&D(アカイ電気と何処かが組んだブランドらしい)のスピーカーが現役バリバリで豊かなジャズを奏でていたのでした。
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さらに壺状花瓶に穴を開けてスピーカーユニットを入れた“陶器スピーカー”もあって・・(^^♪
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最新鋭の今どきのスピーカーの“小洒落た”きれいな音ではなく、どれも気合の入った低音から中音が下から湧き上がるようなたくましい音を出していて、先生もごきげんでしたが、聞いているお客さんも私もごきげんになりました(*^-^*)

いい時間を過ごせて幸せでした。
やはりレコード盤の音はいいし、昔のスピーカーの音もいいっ!!

以上で今回のレコード・コンサートの報告は終わりです。

 

2022/11/21

【はっPのアナログ探訪_0168: 怪物くん / 白石冬美 ( フォノシート )】

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アナログ探訪、今回は珍しく“フォノシート(※この盤のハードジャケットの表面にはそう書いてある。ソノシートなんて呼び方もあったような気がする。)”、アニメ「怪物くん」の歌とドラマ入りです。
ジャケットをめくれば漫画まで入っていました。
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「TBSテレビほか全国テレビ放映中!」と書かれていて、藤子不二雄先生のまたひとつ名作が華々しくテレビに登場したことがわかります。
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A面は「おれは怪物くんだ」というタイトルの主題歌です。
白石冬美さんが歌うと、ドラキュラやオオカミ男、フランケンが「オォ~ッ」って合いの手を入れています。すっかり忘れていました。
さらにもう一曲、「そろた怪物三人組」という曲が入っていて、副主題歌です。
怪物くんのお供の三人の歌が入っていました。
伴奏はクラリネット中心の演奏で、なんだかペーソスのある曲です。
内容は怪物三人が自己紹介するものとなっておりました。
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B面はテレビで放映されていたと思われるドラマのダイジェストが入っていました。
どろぼうが怪物くんの家に入ってしまって、怖ろしい目に遭うというストーリーでした。
無事どろぼうを撃退する話ですが、怪物くんの親友ヒロシくんも騒動に巻き込まれるというもので、短くまとめられておりました。
まるで子供時代に戻ったような気分で聞くことができました。
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このようなフォノシートを、まだ数枚保有していますので、後日またこのアナログ探訪でご紹介したいと思います。

2022/11/20

「私の酒 -『酒』と作家たちⅡ-/浦西和彦・編」を読みました。

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『私の酒 -『酒』と作家たちⅡ-/浦西和彦編(中公文庫)』という本を読みました。
この本は文庫オリジナルで、2016年に発行されたものですが、内容は『酒』という一人の編集者の手で40年の長きにわたり刊行され続けた雑誌の中から名エッセイ四十九篇を収録したものです。

その四十九篇の四十九人の“名だたる”人たち、“錚々たる”顔ぶれには驚くばかりです。
収録されているエッセイの多くが昭和三十年代のものなのですが、今の人たちの酒の飲み方とはまったく異なる豪快なものばかりです。

当時画壇における最高齢者であった横山大観を東京駅長の加藤源蔵さんという方がたずねたときの話を作家の上田広氏が書いている文がありました。

大観氏に長寿の秘訣を尋ねると、「人生長生きするには御飯を食べない方がいいようだね」と言い、では何を食べるのかとふたたび尋ねると「お酒があるでしょう。お酒を飲んでいれば、御飯なんかたべる必要はありません」と答えるのでした(^_^;)

この大観氏の話題を筆頭に、酒は浴びるほど呑むのが昭和三十年代の飲み方であったことがわかります。
この「酒」という雑誌では、酒飲みの番付も作っていたようですが、きっと三役以上の名だたる作家の方々は、収入のほとんどを酒にして飲んでいたような方にちがいありません。
事実、そんなエピソードも書かれていました。
奥さんに家計簿を見せられ、家計の赤字の理由はもちろん“酒代”です(^^;)
だいたい一般の会社の課長さんの給料くらいは酒を飲んでいたのだな、とご本人が書かれていました。
そんなんばっか・・(^^;

深酒で記憶を失ったり、財布をなくしたり、雪の降る中、道で寝てしまったり、電柱にのぼったり、・・読んでいるこっちは面白いけど、当時の周囲の人たちは大変だったろうという話ばかり。

昔の話をたっぷり読んで、笑ったり、感心したりでした。
酒飲みにとって、話の“肴”になるような本でした。読み応えたっぷり!!

 

2022/11/18

【南先生の玉手箱_0055_手づくり体験 二人で百七十歳】

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私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
今回は、平成18年1月25日の日付が入っている「らくがき №52」という通信文から活字化をいたします。
おじいちゃん二人による「凧作り教室」の話題です。


以下、先生の文章です。

<今関さん 手つくり体験 渡辺さん二人で百七十歳>

昨年に続いて松尾からおじいちゃん二人、来校。
低学年凧つくり教室があった。

簡単な凧を自分でつくるなどはちょっと前までは子どもがあそびの中で家庭や地域で普通にみられたことだが、学校にあそび教育などが入ってから、暮らしの中に手つくりの味わいや道具の使い方を知るチャンスがめっきり少なくなった。

時代の変化とは言うものの、子ども時代にあそびを通して身につくものは大きい。

暮らしの中で直接にかかわらなければ何も身につかないままに成長して、大人の時代を生きることになる。

そんな不安を時々感じながらも、子どもたちは日々喜々として楽しく学校や家庭で暮らしている。
無理にとは言わないまでも、簡単なものつくりは生きる力として誰もが欠くことのできない部分です。

お金で買えない心の耕しが今、大変重要な時代にあります。

竹ヒゴつくりから、のり付け、糸つけまで手伝ってもらってその十文字凧にみんな絵をかいて雪が残るグランドをかけまわって楽しそうなひと時でした。

また、今日のために一日一本しかできない竹トンボを本校児童全員につくって持ってきてくれた、ありがたいのひと言ではすまされないとんでもないプレゼント。
子どもたちにあげたいからと、それこそ忘れることのできない宝ものをいただいてしまいました。

※通信文の外枠にそっと書かれていた先生のひとり言・・・生まれながらにして悪人はいないが、人は育ち方、教わり方で、とんでもない奴になってしまう。今関じいちゃんのような人はそういないと思うけど、そんなじいちゃんになりたいものだ。


以上が先生の文でした。

地域の方が子どもたちにいろいろな遊びや、ものづくりを教える機会、現状はどんなことになっているのでしょう。
時代はどんどん変わってネットを利用した人との関わり方が多くなっているような気もしますが、直接お年寄りやいろいろな人と会ってお話を聞いたり、教わったりすることは今でもとても大事なことだと、あらためて思いました。

そして、南先生、「そんなじいちゃんになりたいものだ」と書かれていましたが、今、“そんなじいちゃん”になっています(^_^)

 

2022/11/17

【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Undercurrent / 1960》 Kenny Drew

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十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ケニー・ドリューのアルバム、「アンダーカレント」です。
今回、再度聴き直して一部文言等を追加・修正いたしました。

Kenny Drew/p
Freddie Hubbard/tp
Hank Mobley/ts
Sam Jones/b
Louis Hayes/ds

①Undercurrent
②Funk-Cosity
③Lion's Den
④The Pot's On
⑤Groovin' The Blues
⑥Ballade

この1960年のアルバムには、新しい“風”を感じさせる勢いと溌剌さがあります。
ブルーノートのレコーディングは、ピアノ奏者のリーダーアルバムについて、トリオ編成でなく、管楽器を含むものが多いように感じますが、それは逆にリーダたるピアノ奏者の作曲・編曲能力が試されることになります。
まさに、その能力を発揮したアルバムと言えると思います。

“勢い”だけでなく、知的でセンスあふれるフレーズも随所でみられ、なかなかの作品に仕上がっています。

さらに、このアルバムの作品6曲は、すべてドリューの作曲からなっています。彼の作曲能力も非凡で、そして清新なものがあります。

このアルバムにダイナミックな心地良さを加えているのが、ハバードのトランペットとルイ・ヘイズのアクセントが効いたドラムです。
この両者の演奏も聴きどころだと思います。

全体に軽快感と、センスあふれる快作になっていると思います。


〈追記〉2022/11/17

このケニー・ドリューのアルバムについてブログでホームページを復刻するにあたり、再度聞き直しました。
上記、当初掲載の記事にあるように軽快感もあるし、とても“カッコいい”作品ばかりです。
そして管楽器が入ってくるタイミングも抜群だし、それぞれのフレーズも心地よいものがありました。
まさに「ジャズを聞いている」って感じがします。
いいアルバムでした。

 

2022/11/16

【The Beatles 研究室・復刻版】The Beatles (White Album)[B-9]Julia

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「The Beatles (通称:ホワイト・アルバム)」からジョンの曲「Julia(ジュリア)」を復刻してみたいと思います。
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ジョンが単独で録音した唯一のビートルズソングと思われます。
このアルバム収録曲の中では最後のレコーディング曲となりました。
ひっそりと行われたものだとのこと。
ボーカルはダブルトラック、ギターは2回録音されています。

インドに瞑想旅行に行った時に作られたもので、アルバム中ひとつ前の曲にあたるポールが作った「アイ・ウィル」と同時期のものになります。
しかも同じアコースティック・ギター曲。
二人の気持ちはシンクロしていたのでしょうか。
インドでドノヴァンに教わったスリーフィンガー奏法をさっそく演奏に取り入れています。

曲は、母親とヨーコへの想いを一度に歌っているような曲です。
タイトルは母親の名前、曲中の“ocean child”は、“洋子”をそのまま英語にしたものであることからも、それがわかります。

windy smile 風の微笑み, seashell eyes 貝の瞳, silent cloud 静かな雲, sleeping sand 眠る砂・・などの歌詞はジョンならではのものですが、瞑想旅行中のインドに詩のような手紙をジョン宛に送って来ていたヨーコの影響もあるかも。

「僕の言っていることの半分は無意味だけど、ジュリアあなたに聞いてほしいがゆえ」という出だしの歌詞はたいへん印象的です。
自分を捨てた母親ジュリアは、ジョンが17歳の時に交通事故で亡くなりました。
母親に言おうとしても言えなかったことや、そんな自分をやさしく認めてくれたヨーコに対する静かなつぶやきのような、問いかけのような歌です。
前曲のポールの音楽職人的な曲作りとはまた異なったアプローチです。


〈追記〉2022/11/16

では、この曲についてもホームページ作成後に様々なテイクを聞くことができるようになりましたので、私の手持ちのテイクを聞いてみたいと思います。

「アンソロジー3」に入っているテイク

ギターの爪弾きの練習に近いテイク。
ジョンのボーカルが冒頭に入っているが、そのあとはギターの音のみが生音で入っている。
途中でギターをミスして止まり、ジョンがコントロール・ルームと会話している様子が入っている。


2009年「ステレオ・リマスター」のテイク

ジョンのダブルトラックのボーカルが水の波紋のように聞こえ、とても新鮮な印象。
ギターの音はほぼ生音で、低音部分を利かせてレコーディングされているように感じる。


2009年「モノ・マスター」のテイク

ほとんどボーカルにもギターにも大げさなエフェクトが掛かっておらず、とても自然な感じ。
ステレオ版のようなギターの低音部の強調もない。
ダブルトラックのボーカルも妙なエコー感がなく、ステレオよりも聞きやすいと感じた。
かなり良いテイクだと思う。初めてこの曲を聞いてもらう人にはこのモノラル・テイクが“おすすめ”。


50周年記念盤の「イーシャー・デモ」テイク

ジョンの歌い方が少しオリジナルと異なる。
ダブルトラックのボーカルもエフェクトの掛け方が異なり、曲全体の印象も変わっているように感じる。
ジョンのボーカルは、より“ささやき”感が強い。
ギターの爪弾きは「間違ってもいい、デモだから」という感じで、力強く大胆に弾いている。なので、ミスもあるが、あまり気にならない。
ジョン以外の人の声も複数聞こえる。コーラスをどうしたらいいいか試しているように思う。口笛なども入っている。


同じく50周年記念盤の「セッションズ」に入っているテイク

ギターはコードストロークで弾かれ、「どう料理してやろうか」とジョンが探っている感じ。
「もうちょっと速くしようか」とジョンが言ってからは、スリーフィンガーでギターを弾いている。
ボーカルはささやき気味に歌われている。
やさしい感じで歌ったみたらどうか、という感じで演奏されている。


さらに50周年記念盤の「ジャイルズ・マーティン・エディション」のステレオ・リミックス

ジョンのボーカルがリアルに聞こえ、さらにダブルトラックの方のボーカルも自然に聞こえるようにミックスされている。エフェクトはかなり強く掛けていると思われるが、それが不自然には聞こえない。
曲全体のサウンドが“深い”という印象になっている。
モノ・マスターも良かったが、こちらは技術で良いテイクにした感じがする。

 

2022/11/14

「寿司屋のかみさん サヨナラ大将/佐川芳枝」を読みました。

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『寿司屋のかみさん サヨナラ大将/佐川芳枝著(講談社文庫)』を読みました。
このブログでも何度かご紹介している“寿司屋のかみさん”佐川芳枝さんが書かれた「お寿司屋さんエッセイ」です。

・・でも、今回は芳枝さんが長年連れ添った「大将」が亡くなるというお話が中心となっていて、ちょっと読むのがこわくて書棚からなかなか取り出せずにおりました。

意を決して読んでみましたら、さすが“寿司屋のかみさん”芳枝さん!大将が具合が悪くなった頃からの家族やお客さん、周囲の様子なども書かれてはいるものの、悲しさだけではない“温かい”話題をからめて見事に明るい書きぶりになっていました。

思わず私も涙腺が緩み、涙したところもありましたが、“あたたかい気持ち”になる文章で、ほっとしました。

大将とおかみさんの想い出、そして残されたお客さんと大将の様々なエピソード、さらに二代目大将となった息子さん「豊さん」の頼もしい“つけ場”での姿も描かれていました。
いつものように、おいしいお寿司の描写ももちろんたくさん書かれていて、二代目が亡くなられた大将のお寿司にさらに工夫したものを考案するのですが、その描写も見事で、とてもおいしそうに書かれていました。

芳枝さんの文を読むと、心がなごみます。
読みながら「なぜだろう」と考えるのですが、文章があまりにも見事過ぎてそんな考え事ができないくらい美しく、流れるような文体なのです。

真似は出来ませんが、私もこんな心がやさしくなるような文を書きたいと思いました。

まだまだ佐川芳枝さんの書かれた本(児童文学もあるらしい)は、何冊もあるようなので、また探して読んでみます。
そしてここで読後感をご紹介したいと思います。

 

2022/11/13

「旅だから出逢えた言葉/伊集院静」を読みました。

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『旅だから出逢えた言葉/伊集院静著(小学館文庫)』を読みました。
伊集院さんが旅に出て、そこでその地で出逢った人や出来事から得た言葉について書かれた本でした。

ほとんどが国外に旅をしたときに伊集院さんが感銘を受けた言葉だったのですが、私がいちばん強い印象を受けたのは、伊集院さんの奥様がふともらした言葉でした。

場所は伊集院さんが奥様と出かけたスペイン。
バルセロナの北、モンセラットにある“奇跡のマリア”に義父の長寿を祈りに出かけられたときのことです。

奥様のお父様は担当の医師からの診断よりも、その祈りのお陰か何倍もの歳月生きることができたとのことでした。

敬虔なクリスチャンである奥様(女優の篠ひろ子さん)に「神は君に何かをしてくれるのかね?」と伊集院さんがたずねると・・

「どうなんでしょうか。私は神が何かをしてくださるとは思いません。ただ私はささやかな契約をしているのだと思います。その契約のために祈っているのではないかと・・・。」と応えているのです。

思わぬ答えに、伊集院さんは一瞬、沈黙します。
「私が旅で探していたものへの暗示がこんなに近くにあったことに驚いた」と、夜の仕事場で伊集院さんは振り返っています。

そしてもうひと言、奥様から・・

「何かをしてくださったこということはありません。でも、どんな時も、そばにいてくださいます。」と。

私自身はクリスチャンではありませんが、でも、神様って奥様の篠ひろ子さんがおっしゃっているような、そんな感じでとらえています。

私にとっても神様という存在は、何かしてくれるわけではなく、面倒を見てくれるわけでもなく、でもどこかにいて見守ってくれている、そんな感じ・・。
そうでもなければ、ただひとりこの人生を生きて行くのは厳しすぎるし、寂しすぎます。

そんなことを考えつつ読了いたしました。

 

2022/11/12

【はっPのアナログ探訪_0167: 南国土佐を後にして / ペギー葉山 ( SP )】

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このアナログ探訪始まって以来の『SP盤』です。
このあいだこのブログでリサイクルショップにてレコード・プレイヤーを購入したことを書きましたが、そのプレイヤーには78回転のセレクトが付いていました。
なので、この所有していたSP盤を初めて聞くことになりました(*^-^*)
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SP盤とは、蓄音機で聴くアナログ盤です。
この「南国土佐を後にして」は、ペギー葉山さんのヒット作ですが、SP盤で出ていたのですね。
「78回転盤と45回転盤と両方で発売しています」と書かれているので、ちょうど「蓄音機」から「電蓄」への移行期だったようです。
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これは、16年前の職場の同僚が中古家具屋に行って、ラック類を探していたときにラックの中に入っていたこのSP盤を見つけ、お店の人もそれを知らなかったが、このレコード盤を売ってくれと言うと200円で売ってくれたのだそうです。

それを聞いた私が“交渉”の末(^_^;)50円で譲り受けたものです。
それ以来SP盤を掛けることのできるプレイヤーがなく、今に至るのでした・・。

 

 

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早速先週購入したプレイヤーを78回転に合わせ、聞いてみました。
な、なんといい音じゃありませんか!SP盤独特のスクラッチ・ノイズなんて聞こえやしません。ラッキー(^^♪
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それでもって、写真のように、藤間若葉さんという方の「踊りの振付」まで入っていて、あなた・・踊ることも出来ますよヽ(^o^)丿
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そしてB面には、「ドクトル・ジバンヌ」というペギーさんが日土文化友好協会の招きで当時トルコに行き、主要都市を巡演したらしいのですが、向こうで流行っているヒット曲を日本流にアレンジして歌ったものが入っていました。
これがまた“異国情緒”横溢の良い曲でした。
昔はこんな感じの曲が他の歌手でもあったような気がします。とてもいい。

というわけで、16年越しに所有していたSP盤を聞くことが出来たのでした。
このレコード盤は数々の偶然により私が聞くことの出来た不思議な因縁の音盤となりました。

 

2022/11/11

【南先生の玉手箱_0054_入試おわる】

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私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
今回は平成16年3月8日の日付が入っている「らくがき №46号」という通信文に書かれていたものです。
入試が終わったときの先生の感想のようなことが書かれています。


以下、先生の文章です。

<入試おわる>

中学生から合格の連絡が入る。もちろんおめでたいことですが、数は少ないがその反対もある。

どちらも体験は本人の問題ですが、私ごと過ぎた昔を思い出すこともある。
不合格のショックとは結構大変なものでありますが、あとふりかえってみると自分の道は自分が決める、その中で自分のらしさをどう磨いていくか、いつも思うことだが自分の気持ちひとつで明るくも暗くもなる。

そして自分で評価することが大切であって、他者との比較ではないことが多いのが人生と思ってきた。

いつも思うこと、また感じることは子どもたちは日々実に輝いてその可能性に限りないものがある。

自分も昔そうだったのだろうか、若いということだけでも大きな宝である。
十二日は中学校卒業式、それぞれのらしさがまた大きくはばたいてほしいものです。
大平地区の中学生のいろんながんばりが耳に入ってくる。
登下校の時にちょっとすれちがう子どもたちがこのところ、またひとまわり大きく見える。

「追記されていた文」・・・杉田先生ありがとう。4年2組を中心として大変お世話になりました。
お別れの会、少ない時間の中で子どもたちの気持ちのこもった様子をのぞかせてもらった。
お互いにいろんな出会いがある。
その偶然の出会いにどうかかわっていくか、人と人お互いが思いを寄せることが宝だと思う。
みんなよい子に育っています。


以上が先生の文でした。

卒業式って、自分のことを思い返すと、小中学校は自分の卒業より、上級生を送るために何度も式の練習をしたことばかり思い出します。
今どきはあるのか、ないのかわかりませんが、「送辞」は完全に暗記するまで練習したことを覚えています。

高校の卒業式は覚えていて、すべて終わったあと教室にクラス全員残っていろいろな想い出を語らいました。
誰が音楽室から持ってきたのか、レコード・プレイヤーが運び込まれ、三年間の学生時代に皆が聞いていた曲のレコードが次々と掛けられていました。
クラス委員長がギターを持ってきて、そのあと皆で歌を歌ったのも覚えています。
なんの曲を歌ったんだろうか・・。

という私の記憶を掘り起こしたところで、今回の南先生の文章活字化作業は終了です。

 

2022/11/09

佐野洋子対談集「ほんとのこと言えば?」を読みました。

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『-佐野洋子対談集- ほんとのこと言えば?/佐野洋子(河出書房新社)』を読みました。
これもブックオフで見つけたものです。2013年初版発行となっています。

対談相手は、小沢昭一さん、谷川俊太郎さん、大竹しのぶさん、岸田今日子さん、山田詠美さん、阿川佐和子さん、河合隼雄さん、そして「おすぎ」さんは二回登場しています。
この「おすぎ」さんとの対談が一番強烈でした。

ものすごく“あけっぴろげ”な時があるかと思えば、妙に自信がないような(特に子育て、子供との関係について)時もあり、一般的な女性らしいような行動について興味まったくなし・・というときもあるが、韓流スターに夢中!なんて話題もあり・・佐野洋子さんの様々な姿がうかがえました。

特に男に対する考え方については、山田詠美さんとの対談で、山田さんは一時たりとも男と一緒でなかったことはなく・・男が変わる時でも“のりしろ”をとって(^_^;)次との繋がりを確保するのだという話が出ました。
・・が、佐野さんは「もう男は懲り懲り」みたいな感じがあり、むしろ旅に出たときに一人の寂しさをひしひしと感じるのが逆にいいのだ、などとおっしゃっていました。

ものを書くという仕事については、書くことが自分としての“あたりまえ”のことで、それによってよろこびが満ちてくるとか、表現したいことがあってそれに向かって行くとかそういうことでなくそれ自体が自然なことのように話されていました。

これについては、私もなんとなくわかります。
私も日々ブログ中心にいろいろと書いておりますが、書くこと自体にすごく喜びがあるわけでもなく、書いていくことで自分が生きていると感じる・・そんなことになっています。
これが生活の一部なのです。

けっこう“本音”だらけの対談集でした。
なのでガツンと楽しめました。

 

2022/11/08

【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Joni Sings / ※1950年代》 Joni James

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十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ジョニ・ジェイムスのアルバム、「ジョニ・シングス」です。
今回、再度聴き直して一部文言等を追加・修正いたしました。

Joni James/vo

①My Foolish Heart
②I Don't Stand A Ghost Of A Chance With You
③Stella By Starlight
④A Hundred Years From Today
⑤Song Of Surrender
⑥Everything I Do
⑦If I Were A Bell
⑧My Darling,My Darling
⑨On A Slow Boat To China
⑩I'll Know
⑪Spring Will Be A Little Late This Year
⑫Anywhere I Wander

ジョニ・ジェイムスは、1930年代シカゴ生まれのシンガーです。1950年代に二十歳そこそこの彼女は200万枚以上のセールスを記録するヒットなどを立て続けに飛ばしていたようです。

このアルバムは、ビクター・ヤングとフランク・フレッサーという当時のポピュラー・ミュージックきってのメロディ・メーカーの作品を歌ったものです。いや、実に美しい歌声です。私が生まれる前の、このシンガーに恋してしまうほどの美しく、慎ましやかで、清楚な、そして艶っぽい歌唱です。

 

 

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決して原曲の良さをこわさない、ストレートに歌っているにもかかわらず、個性的で魅力的な、究極の歌い方ではないかと持ち上げてしまいます。

有名な「マイ・フーリッシュ・ハート」や「星影のステラ」「ソング・オブ・サレンダー」などなど、どの名曲も丁寧に、美しく、のびやかに歌い上げています。

1950年代に胸をときめかせて聴いていた野郎ども・・いや、殿方はいまや70代の老人となっているわけですが(※ホームページ作成時)、今現在の私でも胸ときめかせてしまうのです。

 

 

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何年か前にラジオ日本の番組「オトナのJazz Time」で、このジョニ・ジェイムスの歌が掛かり、ジョニのエピソードを当時の司会、島崎保彦さん(故人)が話していたのを思い出します。

ジョニと結婚した男性は、事業家でお金持ちだったらしく、旅先などでもレコード店に寄り、ジョニのレコードがあったら全部買ってしまったんだそうです。
店はジョニのレコードが品不足になり、ジョニの自宅には同じレコードがいっぱい!!

ようするに、だんなさんは奥さんの「ジョニの美しい歌声をほかの男に聞かせてなるものか」と嫉妬して次から次へとお店で見つけた奥さんのレコードを買い占めていたんだそう・・(^-^;・・ものすごい“やきもち焼き”だったんでしょうね。

それほどジョニ・ジェイムスは美人で歌声も美しく、素敵な人だったのでしょう。

今回このブログでホームページを復刻するにあたり聞き直してみたのですが、どこまでも“澄んだ”歌声に私もうっとりいたしました。
ジャズのボーカルというと、どこか“ひとくせ”ある歌い方をするのが魅力だったりするのですが、それとは対極にあるものです。

たまにはこういう“裏の無い”純粋で真っすぐな曲と歌声というものも良いものです。

 

2022/11/07

【The Beatles 研究室・復刻版】With The Beatles[B-5]Devil In Her Heart

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、初期ビートルズが必ずアルバムに入れていた他のアーティストの“カヴァー曲”である「デヴィル・イン・ハー・ハート」を取り上げてみました。

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“ドネイズ”という黒人のガールグループのあまりヒットしなかった曲のさらにB面に入っていた曲をビートルズが取り上げたものなんだそうです。
でも、いい曲だと思います。

原曲タイトルは“Devil In His Heart”で、あちらでは、律儀に女性の歌を男性が歌うときは“His”を“Her”に変換して歌うんですよね。

リンゴのスネア一発とバスドラ二発で「ンタッ・ドンドン」という感じで始まります。これが気持ちいい。

ジョンとポールが「彼女の心には悪魔が住み着いている」と歌うと、ジョージが「でも、彼女は魅力的」と歌う、掛け合いになっています。
コーラスのタイトル部分が妙に歯切れ良く歌われていて、ちょっと面白いです。

目立たない曲を取り上げた割には、非常に魅力的な曲で、初めて聞いたときは、いい曲だと感じて何度も聞いた記憶があります。

甘いギターのフレーズも、とても魅力的ですが、ジョージが弾いていると言われているのですが、ちょっとはっきりしません。
早く入り過ぎたり、やりそこねたりしているのを聞いていると実はジョンが弾いているのではないか、などと思うのですが、果たして・・。
一度聞いてみて判断してみるのも面白いですよ。


〈追記〉2022/11/07

まずはオリジナルのガールズ・グループ「THE DONAYS」の「DEVIL IN HIS HEART」の音源(メキシコ盤)を持っていますので、それから聞いてみましょう。

ドラムのイントロは同じです(*^_^*)
テンポはビートルズよりもかなりゆっくり気味。
ギターのリフも同じですが、プワンプワンとエフェクトが掛かっていて、女性が歌うこの曲にぴったりな感じがします。
歌い方は、ビートルズよりも感情を込めているように感じます。
特にサビのところは“歌い上げ”ています。
聞いてみると、とてもシングルB面の曲だったとは思えません。いい曲(^^♪
だからビートルズも気に入って、録音にまで踏み切ったんだと思いました。


アナログ盤、モノラル・ラウドカット

ジョージのボーカルと他のメンバーのコーラスが絶妙の音量でミックスされていて、コーラス曲であることをかなり意識していると感じる。
ギターもベースもフレーズがよくわかる。
リンゴのドラムの音もキレよく入っている。


シングルCD「ベイビーイッツユー」にカップリングとして入っているバージョン

録音過程のテイクと思われる。
まだジョージの歌が仕上がっていない感じ。
バックのコーラスがジョージを背中から応援しているように感じる。
途中、歌詞のあやしい部分もある。
リンゴのドラムも軽く“さぐりを入れている”ようなプレイになっている。


米国キャピトル盤「セカンドアルバム」ステレオ・バージョン

音はかなりワイルド。ノイズなど関係なく曲の盛り上がりを大事にしている。
心なしかジョージのボーカルが力強く感じる(^-^;テイクは英国オリジナルと同じにもかかわらず・・。
ベースはギターよりもやや引っ込んでいる感じ。
リンゴのドラムもややミックスは控え目。
ギターの音質は艶やか。


米国キャピトル盤「セカンドアルバム」モノラル・バージョン

キャピトル盤ステレオ同様ノイズなど無視して曲の勢いを大事にしている感じ。
だから盛り上がりがとてもいい!
コーラスもかなりノイズ混じりだが、ジョージを盛り上げている。
英国オリジナルミックスよりもベースは引っ込んでいるように感じる。
ギターもボーカルに比べ、やや引っ込んでいる感じがする。


ライブアットBBCボリューム2に入っているバージョン

ジョージはかなり頑張って歌っている感じ。
ジョンがコーラスをしながらジョージを途中で引っ張っていくところがある。
リンゴはかなり力を入れてドラムを叩いている。
ビートルズが観客に「聞かそう」としている意志が感じられるテイク。


2009年オリジナル・リミックス・ステレオ版

ギター、ベース、ドラム共にそれぞれがよく聞こえるミックス。
コーラスではポールの声が比較的よく聞こえる。
基本的にテイクは他と同じなのに、ジョージが必死で頑張っているように聞こえるから不思議。


2009年オリジナル・モノマスター

これはジョージのボーカルが中心にミックスされていることを強く感じる。
そしてポールのベースが曲を引っ張っているように聞こえる。
ギターはリズムギターのカッティング中心によく聞こえる。
このバージョンが一番自然な感じがする。

 

2022/11/05

「おいしい旅 -昼の牡蠣そば、夜の渡り蟹-/太田和彦」を読みました。

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『おいしい旅 -昼の牡蠣そば、夜の渡り蟹-/太田和彦著(集英社文庫)』を読みました。
めずらしく“ブックオフ仕入れ”ではなく(^_^;)新刊として出たときに購入しておいたものです。

2019年発行なので、太田さんのこの「おいしい旅」の文は実に軽快というか、とても自然なものです。
読んでいて流れるよう・・。

日本全国どこに行っても「あら太田さん、いらっしゃい」と言ってくれる人がいて、居酒屋などはすっかり馴染みとなって、その家族の成長に目を細めたり・・、太田さんならではの「おいしい旅」となっておりました。

今回紹介されている倉敷の居酒屋『鬼の厨しんすけ』は、私も太田さんが過去に行かれたときの画像を見て店主の“鬼のしんすけ”さんのお姿は存じておりますが、まさに“鬼”のような容貌なのに、とてもやさしくお客さんに接する姿が印象的。

そこで、サワラの白子やマテ貝、しんすけさんが山からとってきて庭に植えた「タラノキ」からとったタラの芽天ぷらなどを食している様子が実にいい。

京都のジャズ喫茶をたずねたり、角野卓造さんからおそわった町中華をたずねて<冷めん>を食べたり、たのしくておいしい旅はどんどん続いていきます。

そしてそれとともに“地酒”を呑むたのしみはまさにこの世の楽園かもしれません。

コロナ禍が過ぎ去り、私の身体がもう少しよくなってきたら、私もそんな旅に出てみたいと思いつつ、読了いたしました。

 

2022/11/03

【はっPのアナログ探訪_0166: DRESS YOU UP(ドレス・ユー・アップ) / MADONNA(マドンナ) ( Single )】

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今回のアナログ探訪は、マドンナを取り上げました。
“乗りに乗って”いた頃のシングルです。今聞いても勢いがあります。

歌詞カードにある文を見ても、アルバムが既に700万枚を売り上げ、間もなく全世界で1000万枚に達するであろうと書かれています。1985年のことです。

 

 

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サウンドもいかにも80年代なもので、懐かしいというよりも“キレ”の良さや、残響音の独特さがむしろ心地良く感じます。

マドンナ自身の声もなんだか“可愛い”(*^-^*)

当時の“飛ぶ鳥を落とす勢い”だったマドンナを感じながら聞きました。

 

 

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掲載しているモノクロ写真は、レコードに同梱されていたアンケート用紙の表紙です。
よく聞くラジオ局や、購読している音楽雑誌などを聞いています。当時はラジオや雑誌などで海外の音楽情報を仕入れたものでした。私もそのひとり(^-^;

そんな当時の雰囲気を思い起こしつつ、私も“ノリ”ながら聞きましたよ(*^^*)

 

2022/11/02

「大往生/永六輔」を読みました。

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『大往生/永六輔著(岩波新書)』を読みました。

1994年に第一刷発行となっていて、この本は2016年第96刷となっていますので、長年にわたるベストセラーであることがわかります。

この本もブックオフで購入したのですが、続編の「二度目の大往生」もすでに同店で購入していますので、それについても後日読後感を書こうと思っています。

タイトルどおり、この本は「死ぬこと」について書かれています。
前半は、すでに刊行されていてる「無名人名語録」から、「老い」「病い」「死」についての市井の無名人から得た“お言葉”が集められ、収録されています。
これだけ読んでも今の私の年齢で読むと、“重く”“つらい”・・。

思わず笑ってしまうような“お言葉”もあるのですが、なんだか“泣き笑い”になってしまいます。

そのあとは、永さんの仲間、歌手・淡谷のり子さんの「歌いながら死んでいきたい」という意志から発生したシンポジウムの様子。
さらに映画評論家・淀川長治さんが、毎年「今年の自分の命日」を発表するというおもしろく、不思議な行動についてなど、「死ぬこと」について色々な角度から話題を提供しています。

永さんは「中村八大」「いずみたく」という稀代の作曲家とコンビを組んで「上を向いて歩こう」や「見上げてごらん夜の星を」などを生み出していますが、突然作詞をやめて25年間の沈黙を守ります。

その理由を直接私はラジオから永さんの声で聞いたのですが、この本に書かれていた理由はそれとは異なっていました。わざとそう言ったのか、そのときの気持ちで言ったのかわかりませんが、ラジオでは・・

永さんが中村八大さんに対し、「詞とメロディーの“譜割り”が合わない。せっかくの詞が台無しだ、直してくれ」と言ったら「楽曲はメロディーがすべてで、別に詞の意味が取れなくてもどうでもいい。メロディーさえ良ければそれでいいのだ」と八大さんに言われて怒り、それ以後作詞をやめた。

と言っていたのですが、この本では異なることが書かれていました。

この本には・・

いみずたくさんからは「八大さんの今度の曲の詞はいいね」と言われ、中村八大さんからは「たくサンに渡した詞のようなものを」と言われ、二人と友達でいるためには、自分が作詞をやめればいいと思った。
二人には、いい作詞家の仲間(青島幸男、岩谷時子、山上路夫、藤田敏雄)があるのだから。

ということでした。
前述した八大さんとの“いざこざ”についても、「こういう曲づくりもあるのかと勉強になった」というようなことが書かれていました。

かなりの違いがあるのですが、でも人の記憶や気持ちというものはそういうものかもしれません。
私自身も、過去の記憶について周囲の人から「そうじゃなかったじゃないの」と言われることがよくあります。
いつの間にか自分の気持ちと共に記憶も修正されてしまうのかもしれません。

というわけで、200頁ほどの本でしたが、内容は多岐にわたり、しかも重いものが多く、考え込んでしまうようなことになりました。

続編の「二度目の大往生」は少し間をあけてから読もうと思います。

 

2022/11/01

整理した本、第一弾を売ってきた

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先日、PCが不調となり、新調した際にその他の古いPCも片づけ、さらに本についても整理することにしました。

段ボール5箱に詰め込み、さて売りに行こうかと本日ブックオフに出かけました。

たぶん全部で400冊以上あったのですが、数十分の査定の結果は・・。

「お客様、お値段が付いたのは156冊でした。今、レシートが出ておりますが、うんと長いのが出ますのでちょっとお待ちください。」

というわけで、掲載した写真はそのレシートです。・・長い!

査定額は二千円とちょっとでした(^-^;

ま、何かの足しにいたしましょう。ほぼ予想通りの額でした。

まだまだ処分せねばならない本はたくさんありますが、大変なのでまたいつか選んで箱詰めしたいと思います。

レシートは記念にとっておきます(*^_^*)

 

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