「私の酒 -『酒』と作家たちⅡ-/浦西和彦・編」を読みました。
『私の酒 -『酒』と作家たちⅡ-/浦西和彦編(中公文庫)』という本を読みました。
この本は文庫オリジナルで、2016年に発行されたものですが、内容は『酒』という一人の編集者の手で40年の長きにわたり刊行され続けた雑誌の中から名エッセイ四十九篇を収録したものです。
その四十九篇の四十九人の“名だたる”人たち、“錚々たる”顔ぶれには驚くばかりです。
収録されているエッセイの多くが昭和三十年代のものなのですが、今の人たちの酒の飲み方とはまったく異なる豪快なものばかりです。
当時画壇における最高齢者であった横山大観を東京駅長の加藤源蔵さんという方がたずねたときの話を作家の上田広氏が書いている文がありました。
大観氏に長寿の秘訣を尋ねると、「人生長生きするには御飯を食べない方がいいようだね」と言い、では何を食べるのかとふたたび尋ねると「お酒があるでしょう。お酒を飲んでいれば、御飯なんかたべる必要はありません」と答えるのでした(^_^;)
この大観氏の話題を筆頭に、酒は浴びるほど呑むのが昭和三十年代の飲み方であったことがわかります。
この「酒」という雑誌では、酒飲みの番付も作っていたようですが、きっと三役以上の名だたる作家の方々は、収入のほとんどを酒にして飲んでいたような方にちがいありません。
事実、そんなエピソードも書かれていました。
奥さんに家計簿を見せられ、家計の赤字の理由はもちろん“酒代”です(^^;)
だいたい一般の会社の課長さんの給料くらいは酒を飲んでいたのだな、とご本人が書かれていました。
そんなんばっか・・(^^;
深酒で記憶を失ったり、財布をなくしたり、雪の降る中、道で寝てしまったり、電柱にのぼったり、・・読んでいるこっちは面白いけど、当時の周囲の人たちは大変だったろうという話ばかり。
昔の話をたっぷり読んで、笑ったり、感心したりでした。
酒飲みにとって、話の“肴”になるような本でした。読み応えたっぷり!!
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