宝塚歌劇・雪組東京公演初日「蒼穹の昴」を観て来ました。
『宝塚歌劇・雪組東京公演(初日)「蒼穹の昴(グランド・ミュージカル)』を観劇してまいりました。
今回の作品は、浅田次郎氏のベストセラー小説『蒼穹の昴(そうきゅうのすばる)』をミュージカル化したもので、ショーは無く、いわゆる“一本物”と呼ばれる大作です。
幕間の休憩を挟んで正味2時間半を彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さん率いる雪組が演じます。
長丁場でしかも一本物、舞台は清朝末期の中国ということで、ドラマチックな展開をうまく表現しないと退屈な作品になってしまうのではないかと思いましたが、雪組は“和物”の作品を演じることが多く、その中で培ってきた「じっくりと芝居に取り組む姿勢」が生かされていたと思いました。
しかも、今回観劇したのは初日。
ドタバタした部分などが見え隠れするのかと思いきや、すでに一~二週間演じてきたような“どっしり”とした印象でした。組子全員落ち着いていました。
さらに専科から京三沙(きょう・みさ)さん、汝鳥伶(なとり・れい)さん、一樹千尋(いつき・ちひろ)さん、夏美よう(なつみ・よう)さん、悠真倫(ゆうま・りん)さん、そして主役もとれる凪七瑠海(なぎな・るうみ)さんの六人が加わり、実に頼もしい重鎮の方々が舞台を引き締めていました。
この人たちだけで舞台が一本作れるような顔ぶれです。
さて彩風さんは、主役のリァンウェンシウを聡明でやさしく、爽やかで、しかも憂国の思い熱く、人格者でもあるという、まさに“難役”を実に自然体で演じていて、“真っすぐ”な感じがするご本人の人柄にも合っていて、いいなぁと思いました。素直な感想です。
相手役の朝月希和(あさづき・きわ)さんも、リィリンリンを丁寧に、そして年齢と共に成長し、変化していく心模様などもうまく演じていました。
二番手男役の朝美絢(あさみ・じゅん)さんも、若気の至りや、妙に達観した部分、美しい心根、いろいろな境遇の人への気遣いなど様々な側面を見せるリィチュンルを見事に演じていました。この人の実力も並外れたものがあると思いました。
すっかり雪組に馴染んできた和希そら(かずき・そら)さんのシュンコイも、男気があり、一途な人物像を描いて見事でした。“男役”のひとつの形をもう作り出していて、雪組に来てまたひとつ大きな存在になったと感じました。
そして、声も“通る”し、歌も上手い、さらにダンスは群を抜いています。
光緒帝を演じた縣千(あがた・せん)さんも、時代と周囲の人々に翻弄される難しい役どころをうまく演じていました。
そして、専科の凪七瑠海さん。李鴻章という重要な役をさすがの演技で見せてくれました。
同期の錚々たる輝かしいメンバーは卒業してしまいましたが、いまだ光り輝いて舞台に立ち、存在感を示し、やはり舞台に立つ姿には自然と光が射しているように思いました。
それに美しい男役です。
その他、舞台衣装も注目すると刺繍の見事さや、大勢の人が居並ぶシーンの豪華さなど、見どころがありました。
舞台装置についても大階段を使った紫禁城の太和殿や、ラストシーンに出てくる船のセットなど宝塚歌劇ならではの大掛かりなものが圧倒的でした。
また重要な場面で「京劇」が演じられるのですが、これも見ごたえがありました。
特に重い衣装を身につけての激しい踊りをこなした朝美絢さんと眞ノ宮るい(まのみや・るい)さんには感心いたしました。
最後のおまけのショー的フィナーレまで雪組らしい派手ではないが、美しく煌びやかな舞台は初日とは思えないくらいの仕上がりでした。
今後さらにブラッシュアップされていくことと思います。
通常の宝塚にはないカーテンコールですが、初日なので三回のコール。
そして最後はスタンディング・オベーションとなり、晴れやかな気分で劇場をあとにしました。
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