「大往生/永六輔」を読みました。
『大往生/永六輔著(岩波新書)』を読みました。
1994年に第一刷発行となっていて、この本は2016年第96刷となっていますので、長年にわたるベストセラーであることがわかります。
この本もブックオフで購入したのですが、続編の「二度目の大往生」もすでに同店で購入していますので、それについても後日読後感を書こうと思っています。
タイトルどおり、この本は「死ぬこと」について書かれています。
前半は、すでに刊行されていてる「無名人名語録」から、「老い」「病い」「死」についての市井の無名人から得た“お言葉”が集められ、収録されています。
これだけ読んでも今の私の年齢で読むと、“重く”“つらい”・・。
思わず笑ってしまうような“お言葉”もあるのですが、なんだか“泣き笑い”になってしまいます。
そのあとは、永さんの仲間、歌手・淡谷のり子さんの「歌いながら死んでいきたい」という意志から発生したシンポジウムの様子。
さらに映画評論家・淀川長治さんが、毎年「今年の自分の命日」を発表するというおもしろく、不思議な行動についてなど、「死ぬこと」について色々な角度から話題を提供しています。
永さんは「中村八大」「いずみたく」という稀代の作曲家とコンビを組んで「上を向いて歩こう」や「見上げてごらん夜の星を」などを生み出していますが、突然作詞をやめて25年間の沈黙を守ります。
その理由を直接私はラジオから永さんの声で聞いたのですが、この本に書かれていた理由はそれとは異なっていました。わざとそう言ったのか、そのときの気持ちで言ったのかわかりませんが、ラジオでは・・
永さんが中村八大さんに対し、「詞とメロディーの“譜割り”が合わない。せっかくの詞が台無しだ、直してくれ」と言ったら「楽曲はメロディーがすべてで、別に詞の意味が取れなくてもどうでもいい。メロディーさえ良ければそれでいいのだ」と八大さんに言われて怒り、それ以後作詞をやめた。
と言っていたのですが、この本では異なることが書かれていました。
この本には・・
いみずたくさんからは「八大さんの今度の曲の詞はいいね」と言われ、中村八大さんからは「たくサンに渡した詞のようなものを」と言われ、二人と友達でいるためには、自分が作詞をやめればいいと思った。
二人には、いい作詞家の仲間(青島幸男、岩谷時子、山上路夫、藤田敏雄)があるのだから。
ということでした。
前述した八大さんとの“いざこざ”についても、「こういう曲づくりもあるのかと勉強になった」というようなことが書かれていました。
かなりの違いがあるのですが、でも人の記憶や気持ちというものはそういうものかもしれません。
私自身も、過去の記憶について周囲の人から「そうじゃなかったじゃないの」と言われることがよくあります。
いつの間にか自分の気持ちと共に記憶も修正されてしまうのかもしれません。
というわけで、200頁ほどの本でしたが、内容は多岐にわたり、しかも重いものが多く、考え込んでしまうようなことになりました。
続編の「二度目の大往生」は少し間をあけてから読もうと思います。
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