「国民的俳句百選/長谷川櫂」という本を読みました。
『国民的俳句百選/長谷川櫂著(講談社)』という本を読みました。
2008年に第一刷が発行されているので14年前の本になります。
著者の長谷川櫂さんは読売新聞記者を経たのち俳句結社「古志」を主宰し創作活動に専念されている方。妻は新聞のコラムなどで見かけた方だと言っていました。たくさんの著書もあり、この本を読んで俳句に対する知識の豊かさと、気持ちの入れ方がとても深く、俳句への愛情を感じました。
“国民的百選”というくらいですから、私もよく知っている俳句が何句も選ばれているのですが、選ばれたそれぞれの俳句に関連していくつもの、そして何人もの詠み人の俳句も紹介されていて“俳句三昧”な本でした(*^^*)
百選の中から私個人が気に入ったものをいくつかご紹介すると
「秋の夜の猫のあけたる障子かな/細川加賀」
・・・猫好きの私としては実に“いい感じ”に光景が浮かぶ句でした(#^.^#)
「くろがねの秋の風鈴鳴りにけり/飯田蛇笏」
・・・これは秋になって忘れられていた風鈴が鳴ったときの描写なのだと思います。中学の国語のときにたぶんこの句が教科書に載っていて、試験のときに作者の感じたことを書けという問題があったのを思い出しました。
で、先生が授業中に言っていた「作者の感じたこと」を答案に書いたら「×」が付けられていました(・。・;
「秋に風鈴が鳴っている“すさまじい”ものを感じている」などと先生が言っていたのですが、それはちがうだろう・・と思いつつ先生の言った通りに答案に書き、「×」をいただいたのでした。
だから、よく覚えている。山谷先生、どうなってんだよ!
「湯豆腐やいのちのはてのすうあかり/久保田万太郎」
・・・作者の万太郎は妻にも一人息子にも先立たれ、寂しい晩年を送ったそうです。
死の半年前に詠んだこの句、“いのちのはてのうすあかり”がものすごく効いている。心の中にすうっと入ってきました。
「春の夜の女とは我(わが)んす(娘)め哉/其角」
・・・いろいろな解釈がこの本には書かれていましたが、春のある日、其角娘を連れて江戸の郊外へ遊びに出かけ、日が暮れて二人駕籠で帰るところを見かけた誰かが「どこかの女と」とあらぬ噂を立てたのだろう。という状況ではないかというのです。
で、この句を詠んだ其角先生、くやしそうにしながらも実は“何だかうれしそう”だという・・私もそれを読んでうれしくなる、そんな句でした。
というわけで、四句ほどご紹介して、この本の読後感に代えさせていただきます。
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