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2023/01/31

鮎川誠さんが亡くなった

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ロック・バンド「シーナ&ザ・ロケッツ」の鮎川誠さんが亡くなったことを報道で知りました。
鮎川さんが大学在学中に「サンハウス」というバンドを結成していたのは当時、バンド名は知れ渡っていましたが、私はまだその音を聞いたことがありませんでした。

初めて鮎川さんのサウンドを聞いたのは、たぶん当時ラジオのニッポン放送でやっていたと思われる「スネークマンショー」に「シーナ&ロケッツ(※当時のCDを見ると“ロケット”と表示されている)」の曲「レモンティー」や「ユー・メイ・ドリーム」が掛かりだした頃からでした。

「レモンティー」は、ヤードバーズの「トレイン・ケプト・ア・ローリン」をシーナ&ザ・ロケッツ風にアレンジしたもので鮎川さんのギターは特筆もののカッコよさでした。

“生の”「シーナ&ザ・ロケッツ」を初めて見て、そして聞いたのは、1980年、ニューヨークのパンク・バンド「ラモーンズ」のコンサートが渋谷パルコの西武劇場(※当時の名称)で開催されたときのオープニング・アクトでした。

鮎川さんの「ラモーンズがどんな演奏するのか、俺たちも楽しみにしている」という挨拶と共にシーナ&ザ・ロケッツの演奏が始まり、骨太で硬派で、“剛球一直線”な演奏は凄まじいものがありました。
ラモーンズもそうでしたが、あんなデカい音量でロックを聞いたのは生まれて初めてでした。

「シーナ&ザ・ロケッツ」というバンド名もひょっとすると、ラモーンズの傑作アルバム「ロケット・トゥ・ロシア」と、その中の一番いい曲「シーナ・イズ・ア・パンクロッカー」から取っていたんじゃないのかな、とその時思いました。

鮎川さんがロックに対する考え方や、自身の生き方について語っているのを何度かテレビ・ラジオその他で聞いたことがありますが、不器用だけど、真摯で、そして熱い情熱を感じました。それに先立たれてしまいましたが、奥様のシーナさんへの愛も。

また愛用の黒のレスポール・スタンダード(1969年製・地元の友人から譲り受けたもの)がカッコよかったですねぇ。
鮎川さんはレスポールに「お前は凄いやつだ」と語りかけながらステージに上がっていて、ギターに対する愛情もギタリストならではの深いものを感じました。
何かで見た記憶があるのですが、そのレスポールのテール・ピースが割れていて、それでもなぜかガッシリとネジで留まっていて“気合い”でギターとしての機能を維持しているのではないかと思われるものでした。鮎川さんの魂そのものみたいなギターです。

鮎川さんの訃報を聞き、いろいろなことが思い浮かべられてこのブログに書いてみました。
これからはあちらの世界で奥様のシーナさんと再会し、また豪快なロックを永遠に続けていかれるのだと思います。

 

2023/01/30

「美女という災難/日本エッセイスト・クラブ編」を読みました。

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『美女という災難 -'08年版ベスト・エッセイ集- /日本エッセイスト・クラブ編(文春文庫)』をブックオフで見つけ、読みました。

どのエッセイも面白い話、しみじみとする話、思わず涙する話、懐かしい話、夫婦の話、・・などなど・・が満載でとても良かったのですが、それだけでこの読後感をアップするのも何なので。

上記例のようなお話ではなくて、とても気になったものをひとつご紹介いたします。

日本史研究者で今や誰もが知っている磯田道史先生の「うぶだしや」というタイトルのエッセイです。

「うぶだし屋」とは、骨董品の買い取り業であるが、毎朝、新聞の死亡欄を丹念に見て、亡くなった人の遺品を買い出しに行くという・・そんな職業です。

磯田先生なじみの「うぶだし屋」に出かけると、段ボールに入った表装されていない絵をあさっている人がいて、その人の携帯に電話が入り、その場を外しているときにその絵を見ると、なんとも魅力的な少女(大正時代の山の手の育ちのよさそうな女学生が微笑んている)の絵ばかりだったとのこと。

あさっていたお客が全て買うことになっていたようだが、一枚主人が譲ってくれたとのこと。

その絵は大事にしまっていたのですが、家族からは「あなたが結婚できないのはあの絵をずっと大事に持っているからではないか」などと独身時代の磯田先生は言われていたとのこと。

その絵の裏側を見ると、絵画教室に通っていたらしく、先生の講評が記されている・・。
で、気になって出所をうぶだし屋に聞いてみると・・その家には明治・大正期の政治家の書簡がごっそりあった、さらに調べると、伊藤博文の友人で通信社を創業した社長宅であったとのこと。

絵を描いていたのはその令嬢で、若くして亡くなり、自分がもし元気であればこんな女性になっていたはずだという絵を描いていたのだというのです。

なのでうぶだし屋が買い取った書簡の中には近衛文麿の令嬢に対するお悔み状などもあったとのこと。

で、話は飛ぶのですが、なかなか女性と付き合うことのなかった磯田先生、ある日女性から青山墓地の桜が奇麗だからと花見のデートに誘われよろこんで出かけたとのこと。

誘ってくれた女性は顔は知っていたがそれほど親しくなかった、なのに電話で誘いをかけてくれた。
しばらく歩いて「桜、きれいね」と女性が立ち止まったところで、背後に磯田先生は気配を感じた。
目を移すと、そこにはあの絵を描いた令嬢の名が入った墓石があった・・(・_・;)・・享年二十七歳、昭和九年没」と記されていたとのことです。

今回、これがいちばん衝撃的な話でした。

そして花見に誘ってくれた女性とはそれっきりになったのだそうです。
磯田先生はいまもその絵をもっているとのことでした。

 

2023/01/28

【南先生の玉手箱_0057_あそびの中で育まれる大切な部分】

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私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
今回活字化するのは平成16年1月21日の日付が入った「らくがき」という配布プリントです。
タイトルは「あそびの中で育まれる大切な部分」というものです。


以下、先生の文章です。

《あそびの中で育まれる大切な部分》

学校では児童それぞれの発達、学年に応じてたくさんの学習や行事が計画・実行されている。
日頃の学習は知識を中心とした内容が多いように思えるが、学習や活動を通して身につけてほしい今学習していることのず~っとむこう側に大きな大切な目標がある。

それはひとつ言葉や文章で示すことは難しいのだが、家庭や学校でのあそびや勉強を通して生きる力「生活能力」と豊かな心「感性」を身につけることは大きな柱だと思います。

私ごと、現在の自分をふりかえる時、その力や感性など自分の原点とは子どもの頃の育ち方、学び方が基本になっていることに気がつくことが多い。
お互いに子どもの頃自分の育ち方など客観的に見たり考えたりすることなく夢中にその時を生きてきた。

子どもが子どもらしく、又、望ましい暮らしの環境をつくる責任は大人側にある。
このようなことはいつの時代にも同じことが言えるのでしょう。
今の子どもは、又、若者はどうのこうのとよく話題になることがあるのだが、何かにつけてできないと言うことの理由の多くは体験をしていないことが多い。
頭も体も身につけていくには実際の体験をすることで誰もがあたりまえに分かっていることなのですが、この実体験の場、特に今の暮らしの中には欠けていると思うことが多いです。

昨日、三年生で近所のおじいさん「今関さん」たちが来てくれて簡単なこまつくりをやりました。
時間の都合もあって材料からほとんどの準備をしてくれてありましたが、竹を切る、こまのまん中にちょっと穴をあける、こまに色をつけるなどの体験を楽しみました。

清水君ほか、ノコギリをうまく使う児童は自分で体験のある子、はじめての子でもやり方が分かるとすぐにできるようになりました。

机の上に五個ものせてまわして満足そうな顔、何かいつもとちがう授業は準備もあとしまつもいろいろと大変、でもちょっと前まではこのような体験はあそびなどを通してたくさんできたものです。

あそびや道具つくりを通して自然に身についているべきことが今の時代は難しい状況の中、子どもたちにその時間と場所を与えたいものですね。


以上が先生の文でした。

日々の暮らしの中で、遊びの中で、いろいろな実体験をしながら様々なことを身につける・・などということは上記の文が書かれた16~17年前でもすでに小学校に通う生徒達にはなかなか無いことだったようです。

このあいだ、私、町内会の会合に出たのですが、消防署の方からの防火についてのお話を聞く中で、「現在の市内では焚火をすることは出来なくなりました」と伝えられました。
子どもの頃、焚火をして芋を焼いたりしていましたが、そんなこともう出来ないんですよね。
鉛筆をナイフで削ったり(文房具屋さんに行くと“ボン・ナイフ”などという子供用ナイフが売られていた)することももうないのでしょうか。
そういえばリンゴの皮をむけない子供も多いみたいです。

実体験の大切さを書かれた先生の文を読んで、さまざまなことを思いました。

 

2023/01/27

「すすれ!麺の甲子園/椎名誠」を読んだ。

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『すすれ!麺の甲子園/椎名誠著(新潮文庫)』という本を読みました。
平成20年に刊行されたものの文庫化です。

椎名さんがこの「麺の甲子園」を書いていたのは知っていました。
でもそのとき思っていたのは、全国、数ある麺(ラーメン、うどん、蕎麦、その他きしめんや糸こんにゃくまでエントリーされている)から美味しいものを探訪していくのはいいけど、そんなもん闘わせて意味があるのかな?ということでした。

予選には(一年半かけて全国の麺?を求めて走り回り、食い回っている)、もやしや、葛切り、細切りキャベツまで登場して何がなんだか、どれがどうなっているのかわからん状態もありました。
そんな中、さすが椎名さん、各地区予選をどうにかこうにかやった形にして甲子園出場麺を決めてしまいます。

一日に何杯も麺ものを食べているので、読んでいるだけでもその日の後半はつらそうだし、闘い的には“不利”になったりもしていましたが、そのうち「この本の楽しみ方は、全国にこんなにいろいろな《麺》があり、それぞれにそれぞれの味があり、お店があり、お店を営む人がいて、その地方独特の風土や味わい方があるのだ」ということを読んで楽しめはいいのだ、ということに気付きました。

椎名さんと共通して気になったのは、四国の有名なうどん屋さんがブロックに板を渡したような椅子や、オフィスごみとして捨てられたような机を使ったり、そこにある畑でネギを自分で取ってくるなどの演出があって、皆それを面白がってたくさん集まってくるのだけれど、そのうしろには“御殿”のような母屋が建っている・・それってなんだかなぁ・・ということでした。
私も現地に行ってそのようなものが目に入ると、ちょっと考えてしまうと思います。

また、行列して一時間も待ってラーメンを食べるというのは、もともとファスト・フードであるのになんだかおかしい・・ということ。
これもいつも私が感じていることです。
はっきり言ってそうまでして食べるラーメンなんてあるかなと。
試しに並んで食べてみると、普通か、普通以下であることが多いのです。店員も不愛想だったり、威張っていたりすることも多い。

もうひとつ、蕎麦屋さんですが、東京の赤坂などの高級店の蕎麦の量はいったいなんだこれは!というものが多いです。四・五回箸でたぐると食い終わってしまう。
もともと蕎麦って土地が痩せているところで、なんとか栄養が取れないかという食料だったことを考えると、そういったお店の“気取り方”がどうにも変じゃないか、と思ってしまうのです。そういった店に限ってクラッシックやジャズが流れているのも共通しています。

などと三つばかり“愚痴”っておいて(^-^;結局はこの本、楽しめました。
私が東京勤務していたときによく行った銀座insの超B級スパゲティーもエントリーされていて、椎名さんは「学生アパートのヤケクソ独身スパゲティー」と表現されていました。これまた同感!(*^^*)
麺って、身近なもので、「人が食べたらどう思うかわからんけど、ワシはおいしいけんっ!」というようなものなんじゃないでしょうか。

結論が出たところで今回の読後感はこのへんでおしまいにします。

 

2023/01/24

【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Bags' Groove / 1954》 Miles Davis And The Modern Jazz Giants

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十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、マイルス・デイビス&モダン・ジャズ・ジャイアンツのアルバム、「バグズ・グルーブ」です。
今回、再度聴き直して一部文言等を追加・修正いたしました。

Miles Davis/tp
Milt Jackson/Vibes
Sonny Rollins/ts
Thelonious Monk/p
Horace Silver/p
Percy Heath/b
Kenny Clarke/ds

①Bags' Groove(take1)
②Bags' Groove(take2)
③Airegin
④Oleo
⑤But Not For Me(take2)
⑥Doxy
⑦But Not For Me(take1)

①と②は、有名なマイルスとジャズ・ジャイアンツとのクリスマス・セッション時のもので、「マイルス&モダン・ジャズ・ジャイアンツ」という、このアルバムの兄弟的なアルバムで、あのモンクが途中で演奏を止めてしまう名?演を聞くことができます。

このアルバムでは、いきなりバグズ・グルーブのテイク・ワンとツーを聞くことができます。
“バグ”というのは、ビブラホンのミルト・ジャクソンのあだ名で、目の下の袋状の“くま”を指していたものらしいです。
ただ、いつもこのアルバムを聞くと、バグズ・グルーブって、他のマイルスの“びっちり”と精緻に作り込まれたアルバムに比べ“ダサい”ようなやぼったさを感じるのですが、いかがでしょうか。
後のマイルスのクールでスマートな演奏とはちょっと異なるものだと思うんですけど。
モンクやその他ジャズ・ジャイアンツに遠慮しているわけではないのでしょうが、イマイチすっきりしないように、私には感じます。

それに当時は、他のミュージシャンのアルバムでもよく見かけますが、同じ曲の「テイク違い」が並んでいるのって・・私にはなんだか“ダレる”ような感じがあります。
「何言ってんだ、両方入っているからこその、このアルバムじゃないか」というご意見も当然あるかとは思いますが、こういうのってロックなどのアルバムではCDが出始めた頃の追加ボーナス・トラック以外あまり無いよなぁ、と思うのです。

とは言え、名演は名演、並のアルバムでないことは確かです。他のマイルス作品の完璧さと比べてしまうから色々言ってしまうわけで、バグズ・グルーブ以外の6月に録った曲も素晴らしいものです。ロリンズの曲を何曲か取り上げていますが、どれも味わい深いものがあります。

どなたかが言っていたのですが、4曲目の「Oleo」でサックスのソニー・ロリンズがソロに入ると“イマイチ”な感じなので、ピアノのホレス・シルバーが「しっかりしろ」みたいなピアノを入れているというので、あらためて私もそこに注意して聞いてみました。

たしかに、ロリンズのソロはモタモタ、ノコノコというか、今ひとつな感じで、私にはそこでホレス・シルバーが「もういいよ、オレが入る」という感じでいったんピアノをちょっと入れているように感じました。
あわててロリンズが“それなり”のソロを吹き直すと、「やればできるじゃん!」とホレス・シルバーがそのあとソロに入る・・という感じに聞こえました(#^.^#)

マイルスの作品は、襟元を正して聞かなければいけないようなものが多い中で、このアルバムについては、割りとリラックスして楽しめるような気がします。
気分をゆったりして、マイルス他のジャズ・ジャイアンツの演奏を楽しむのには持ってこいのアルバムかもしれません。

 

2023/01/22

「赤塚不二夫のことを書いたのだ!!/武居俊樹」を読みました。

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『赤塚不二夫のことを書いたのだ!!/武居俊樹著(文春文庫)』という本を読みました。
ブックオフで見つけたものです。2007年発行となっていますので15年以上前なので、著者がこの文を書いている時点では、赤塚先生は入院はされていたもののご存命です。

漫画家、「赤塚不二夫先生のことを書いたのだ」とタイトルにありますが、著者の武居氏が編集者として赤塚先生と35年に渡り連れ添った中で、先生の生い立ちから漫画家になるまでの苦悩、苦闘、担当編集者になってからの先生の漫画がどのように作られていったかの詳細な描写、出版社同士の戦いの中での先生の様子、先の奥さんと再婚後の奥さんの話、先生の仕事場の戦場のような様子、その他女性関係や毎日繰り出して飲んだくれる姿など、内容は多岐に渡り、重く・・、つらく、読んでいるだけでこちらの具合が悪くなってくるようなものでした。

赤塚不二夫先生といえば、私には少年時代から親しんだ漫画がたくさんありますし、アニメ化されたものもいくつも見ていました。
手塚治虫先生、藤子不二雄先生に並び、私の漫画と共に過ごした時間の大切な漫画家です。

先生は終戦後母親、兄弟姉妹と共に満州から帰国しますが、父親は抑留されたままで、後に帰国することになります。
満州でのあまりにも過酷な状況や、引き上げ前後に妹を二人亡くしていることを知り、驚きました。
帰国後もたいへん厳しい生活だったことがわかりましたが、読んでいるだけで気絶しそうに苛烈なことが書かれていました。

東京に出てきてからの仕事の話や、その中で漫画を描き続け、やがて手塚先生に会いに行き、そこからまた苦労して漫画家になるまで・・そこまでで読んでいて倒れそうになりました。

著者の武居氏が赤塚先生の六代目編集者として赤塚先生の仕事場を訪れてからの話は怒涛のように展開し、戦場のような仕事とお酒、アイデアを生み出していく様子が映画のラッシュを見ているように目まぐるしく繰り広げられ、それらが文章化されていました。

出版社同士が先生の連載作品を奪って自分の週刊誌に移動させてしまったりする話も、これを読んで初めて知りました。
これらのことについてここで書くのもいいかもしれませんが、私には赤塚先生がアシスタントとして入れた人たちを成長させ、一本立ちさせ、有名漫画家にまでなるところが一番心に残りました。

実際には弟子をひとり立ちさせると自分の“片肺”がもぎ取れられるようで、たいへんなことになるわけですが、それでもあえてその人のためにそうする姿が大変印象的でした。

人に対してもよく動く人でしたが、レコード会社を作ったり、映画に携わったり、クルーザーを買って、たったの二回しか乗らなかったり、キャンピングカーも一度も乗らないのに買ってしまったり、とにかくよく動きます。
信じていたスタッフに何億円も横領されたりもしましたが、とにかくアグレッシブに行動した人だと思いました。

あのタモリさんも、「私は、赤塚先生の作品のひとつです」と自らのことを先生の弔辞として読み上げていました(実際はアドリブだったらしい)。

プロデュース能力にも長け、創作されたギャグについては日本一だったと思いますし、何と言っても漫画に登場するキャラクターが素晴らしい。
しかも、その秀逸なキャラクターは主人公ではなく、脇役です。

イヤミや、ニャロメ、ちび太、レレレのおじさん、ココロのボス、めんたまつながりのお巡りさん、ダヨンのおじさん、はた坊、最高なのは脇役なのに主人公になっている「バカボンのパパ」・・タイトルは「天才バカボン」で、バカボンが本来の主役なのに・・実に面白い(*^^*)

それに、「シェーッ」をはじめとする流行語的な決め言葉も数々生み出しました。
「これでいいのだ」とか「賛成の反対なのだ」とか「〇〇だ、ニャロメ!」などなど、ほとんど天才的です。
ビートルズも来日時にヒルトンホテルで「シェーッ」のポーズをしている写真が残っています。

これらを思い起こすと、この本の過酷な内容については少し忘れ、笑顔になることができます(#^.^#)

赤塚不二夫先生の作品、私の子供時代をとても愉快なものにしてくれました。
先生、ありがとうございました。

 

2023/01/20

『The Beatles REVOLVER SUPER EDITION を聞く・第四回 ORIGINAL MONO MASTER を聞いてみた』

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前回から間が空きましたが、ビートルズの「リボルバー スーパー・エディション」を聞いてみる企画、続行いたします。あと二枚(#^.^#)
今回は、「オリジナル・モノ・マスター」を一曲ずつ聞いて行きます。


1.TAXMAN

ポールのベースが際立ってよく聞こえます。
ボーカル、コーラスが混然一体となってミックスされ、迫力があります。
ポールの強烈な間奏リード・ギターも鋭く歪み、けっこう過激な印象、“攻めた”ミックスだけど聞きやすい感じがまたいい。


2.ELEANOR RIGBY

モノラルだから当然、オリジナル・ステレオで聞ける冒頭のポールのボーカルの妙な「パン・移動」がありません。
なので、ポールのボーカルもじっくりと聞き始めることができます。
あまりボーカル、コーラスともに“いじって”いないように感じました。
この曲も聞きやすいです。


3.I'M ONLY SLEEPING 

うしろに聞こえるアースティック・ギターの音がよく聞こえます。
ギターの逆回転音もあまりエフェクトが掛かっておらず、“ザリザリ”した感じだと記憶していたこの曲が実に“滑らか”な音質に聞こえ、意外な感じがしました。


4.LOVE YOU TO

冒頭のシタールの音が聞きやすい感じで自然に入っている。
ジョージのボーカルも、ステレオ版よりも余計なエフェクトがないように思われ、これまた聞きやすい。
インドの打楽器の音についても残響音を大げさに付けていない分、楽曲全体を見渡して聞くことが容易だと感じました。


5.HERE,THERE AND EVERYWHERE

ほとんど生音のギターの音もあまりリヴァーブが掛かっていないように感じる。
運指の際の弦の音もわかります。
ボーカルも実に自然でとても心地よいです。


6.YELLOW SUBMARINE

今回、このモノラル盤を聞いてきて、どの曲もエフェクトがあまり掛かっていないミックスだと感じます。
この曲に関してもステレオ盤よりもずっと聞きやすいと感じました。
リンゴのボーカルもより“のどか”に聞こえます。
ステレオだとカンカンいっていたスネア・ドラムの音も実に自然です。


7.SHE SAID SHE SAID

どちらかというと歪みが効いているギターの音が目立つこの曲ですが、やはり耳に刺さるような音にはなっていません。
ジョンのボーカルもやや“丸み”を感じるくらいの音でミックスされています。
私には、オリジナル・ステレオよりもこちらの方が好みです。


8.GOOD DAY SUNSHINE

レコード盤だとB面一曲目の曲に突入。
冒頭歌いだしの音も尖ったところがなく、とても耳に心地よく入ってきました。
ピアノの音もステレオ盤がやや歪み気味に感じたが、こちらモノラル盤は音の輪郭もわかり、またしても聞きやすいです。


9.AND YOUR BIRD CAN SING

印象的なツインリード・ギターの音も、こちらモノラル盤は、艶やかで丸みのある音で入っています。
リンゴの軽快なハイハットとスネアの音も“あたり”が柔らかく、いい音です。


10.FOR NO ONE

この曲に関してはステレオ盤に近い感じで、楽器の音もボーカルの音もミックスされているように感じます。
ホルンの音の強調具合も今までの9曲とは異なり、“攻めて”いる感じがしました。


11.DOCTOR ROBERT

この曲のギターも独特な音なのですが、ステレオ盤よりも聞き取りやすく、輪郭がはっきりとしてエフェクトの強調が適度なところで納められている気がします。
うしろのポールの“ハモり”もよく聞こえています。


12.I WANT TO TELL YOU

ジョージのボーカルも、うしろのコーラスもよく聞き取れます。
ピアノの音も過剰なエフェクトが控えられ、フレーズもよくわかります。
リンゴのスネアはステレオ盤とあまり変わらないくらい強調されています。


13.GOT TO GET YOU INTO MY LIFE

ブラスセクションが入ったこの曲、これは割とステレオ盤に近い各楽器のミックスとなっていると感じました。
インパクトは“ばっちり”です!
ポールのダブルトラック・ボーカルについてもステレオ盤に近いような感じです。
この曲の弾けるような感じを生かしたミックスだと思いました。


14.TOMORROW NEVER KNOWS

テープループによるサンプリングだと言われているリンゴのドラムは、ステレオ盤よりもスネア、タム、バスドラともに大げさなエフェクトがなく、小気味よい印象。
ジョンのボーカルは元々かなりのエフェクトが掛かっているわけですが、過剰なエコーのようなものは控えられ、歌詞もステレオよりはよく聞き取れると感じました。
バックのビィ~ンといっているような音もステレオよりはよく聞き取れて、私にはこのミックスの方がいいなぁと感じました。


「The Beatles REVOLVER SUPER EDITION」、4枚聞いてきましたが、次回は、この企画盤の最後になります。
「リボルバーEP」を取り上げます。ラストも頑張ります(#^.^#)

 

2023/01/18

「異 ISEI 性/角田光代・穂村弘」を読みました。

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『異 ISEI 性/角田光代・穂村弘(河出書房新社)』という本を読みました。
これもブックオフで格安にて入手いたしました。

小説家の角田光代さんと、歌人の穂村弘さんがリレー形式でエッセイを書いているのですが、二人が考察しているのは「異性」「恋愛」についてです。

もう最初っからお二人とも“本音”で、“正直”に異性について語られていますし、互いに質問・疑問をぶつけ合っています。

いくつか私が気になった部分の例を挙げると、例えば別れた相手について、角田さんは次の女に対して自分が連れて行ってもらったレストランなどよりも高級なレストランへ別れた男が連れて行ったら“損”をした気になって許せない。

というようなことを言っていて、私にはこれが理解不能でした。
妻にも聞いてみたのですが、理解不能とのこと・・角田さんの心の持ち方がちょっと変わっているのか・・。

また、角田さんは好きになった相手には、ずっと自分だけを見ていてほしいし、恋愛当初にしていた劇的な愛の行動(突然、歩道橋上で抱きしめるとか、クリスマスの日にサンタの恰好をして窓の外から「今、カーテンを開けて外を見てごらん」などと電話を掛けてサプライズ的行動をするなど)は、自分のことが好きならずっと続けてほしい・・という・・(・_・;)
穂村さんがそのことについて書かれていますが、男としてはそんなこと毎回したら“ドン引き”されたり“キモい”と思われるんじゃないかということで、私も同意見です。

お二人のリレー会話の中で、ドキッとした話題は、男がモノを集めたりするのが好きなのは、例えば別れた後にその別れた恋人を資産目録に載せることがうれしいんじゃないか、“集める”“所有する”のと共通しているのではないかというものでした。

これはけっこう言えているんじゃないかと思いますよ。
もう別れたから関係ないのに、これこれこんな感じの美人でお嬢様だったとか、いろいろ頭の中の資産目録に搭載している男っているんじゃないのかなあと思いました。

私自身についても、若い頃はそんな傾向があったと思います・・・イヤな奴だな・・。
今はそういうの、どうでもよくなりましたが。

角田さんが言うには、女性にはそういう資産目録的な感覚はないんじゃないかとのことでした。
むしろ付き合っている現在が大事で、私の“好み”はこういう人、私が着ているものは、まさに私を表している、私が食事に出かけるところは、今の私の感覚はこういうもの、など、今の私を表現するものであるというのです。
これも言えているような気がします。

お二人が互いに“発見”続きの中、リレー・エッセイはずんずん続いたのですが、これは読み応えがありました。
私が若い頃にこの本を読むことが出来たなら、恋愛中に起こった数々のトラブルや問題はかなり避けられたと思いました(^_^;)残念。

でも、まだわかりません。
これから恋愛することがあるかもしれないので、もう一度読んで“そなえて”おこうと思いましたよ(#^.^#)

 

2023/01/17

高橋幸宏さんが亡くなって

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高橋幸宏さんが亡くなったと報道で知りました。
私が学生時代にドラムを手に入れ、叩き始めて一・二年くらいの頃でしょうか、サディスティック・ミカ・バンドのレコードを買いました。

それは写真を掲載している「黒船」というアルバムでした。
アルバムジャケット裏側に高橋幸宏さんが空中を飛ぶように写っています。
これが高橋幸宏さんのドラム・プレイを聞いた最初の音源でした。

 

 

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アルバム二曲目の「何かが海をやってくる」のドラムは実に“キレ”のいいもので、リズム感が今まで聞いてきたものとは異なるとすぐに感じました。
確実でキレがあるハイハットは、アクセントを入れるときにハーフオープンを使い、それがまたカッコよかった(*^-^*)
スネアもキレキレで、さらにタムの音はズドンと深い音で震えがくるような迫力でした。
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そして「黒船(嘉永6年6月2日)」が始まると、当時としては珍しいというか、最先端な感じに私には聞こえたタイトなリズムが素晴らしかった。

自己流で叩いていた私には大いに参考になるドラムでした。こういう風にちゃんと叩かねば、と心に刻みました。

その後 YMO のドラマーとなったわけですが、私はテクノ・ポップに反応しなかったのでアルバムも持っていなく、有名曲しか知りませんでしたが、高橋幸宏さんのドラムの叩き方には注目していました。
叩くドラム・セットの構成は変わっていましたが、でも基本的にキレがいいことと、あまり大きなストロークで叩かないこと、派手なアクションもしないこと、フィル・インは短いが非常に効果的であることは変わっていないと感じました。

何年か前に木村カエラさんをボーカルにサディスティック・ミカ・バンドを再結成したときの高橋さんのプレイを見聞きしましたが、基本的にその姿勢は変わっていなくて、とてもうれしい気持ちになりました。

私が存じ上げないところで、様々な活動をされていた高橋さん、原田知世さんの映画に出たときにインタビューを受け、「ぼくは知世ちゃんのお父さん役で出ていた」と言ったあとに、「回想シーンなのでスクリーン上では共演していないんです、でも“遺影”として同じ画面には映っていました」とやって笑いを取ったりして、人柄も素敵な方なんだと感じたことを思い出しました。

残された作品は、これからも特にドラマーには大変参考になるものだと思います。
70歳と、まだまだお若かったのにとても残念です。
今、「黒船」を取り出して、また聞いているところです。

 

2023/01/16

『逃避の名言集/山口路子』を読みました。

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『逃避の名言集/山口路子著(だいわ文庫)』という本を読みました。
掲載している写真のように表紙カバーは二重になっていて、薄緑色の本来のものの上に黄色いカバーが掛かっていて、本来なら“帯”の部分を本体の大きさに拡大したような形になっています。
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売れて版を重ね、「これは売れる」と判断して派手目なカバーを二重にして被せたのかもしれません。本来の薄緑色の方が私はいいと思うけど・・・。

読んでみて、私には共感する部分が多々ありました。
ふだんから自信満々で生きている人、大声で話している人、これが正義だと堂々としている人、いつも明るく元気な人、などなど・・そんな人にはおよそ関係のない本です。

すぐに群れたがる人、思考が基本的に「集団」に根ざしている人。
人を出身校、出身地、国籍などで分類することが大好きな人。
こんな人たちにも無縁な本でした。

細かい分類をして、既婚・未婚、子供の有無、離婚経験・未経験、などと人はとにかく分けちゃうのが好きです。
著者は、「個というものをご存じないからできる技なのでしょう」と書いています。
世の中で中心にいる人、組織を動かしている人などに多いから、そうでない人間にとってはつらくて“生きずらい”世の中です。だから人生に疲れてしまうのかもしれません。

この本にも書かれていますが、「恋愛にも良識をもちだす人」がいます。
そんな人は「情熱を知らない人」であると著者は言っています。
私もそう思います。簡単に言うと芸能人の不倫記事などに怒っているような人です。

良識に反しても愛に生きる、という生き方。
これに反論するのは、情熱というものになじみがないんじゃないかと著者は説いていますが、「情熱になじみがない人と恋愛について語ることは時間の無駄です」というのは、まさにそのとおりだと私も常日頃思っていました。

誰かを見下すことで安心する人も今までの人生、社会経験の中で何人もお見掛けしました。
今になればこの著者のようにそんな人を“醜い人だ”と思うことができます。

ためらいもなく「正義」を使う人も信用できません。
そんな人に信用できる人はひとりもいませんでした、今までの人生の中で。

そのような世間から逃れるためには、「自己の世界」をつくらなければなりません、と著者は書いています。
私もこの歳になって、やっとそんなことに気づいて、日々「自己の世界」をつくろうとしているところなのです。

この本に書かれていることは、私の居る“こちら側”の人には沁みるようによくわかる本ですが、そうでない人にとっては、「こんなやつは人間の屑だ」と日頃思っているような人の例がたくさん載っているので、見るのもいやな本だと思います。

ということで、私にはとても良い本でした。

 

2023/01/15

「うさぎ展」に続いて飯岡灯台で行われている「新春飛躍大作展」のご紹介

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昨日は、このブログで表題にあるように、古民家美術館で開かれている「うさぎ展」をご紹介いたしましたが、きょうは飯岡刑部岬展望館で開催されている「新春飛躍大作展」のご紹介です。
調べたらこちらは、1月15日(日)本日が最終日でした(・。・;
もっと早くに私も見に行っていればよかった・・。
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展望館の2階、パノラマ展示室にてそれこそ“大作”、大きな作品含めたくさん展示されていました。
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私の中学時代の美術の先生の作品ももちろんありました。これは古民家美術館の庭園で即興で数十分で描かれた作品です。すごいなあ。
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この展望館の場所は飯岡灯台に隣接していて、飯岡灯台からの海の眺めは絶景です。
あまりのスケールの大きさに圧倒されました。
もっとPRすればいいのにと正直思いました。素晴らしいロケーションなのです。
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ここでの展示については、すでにInstagram経由でFacebookに掲載していますが、それとは別の写真でこちらでもご紹介しています。
本日中にさらにInstagramにて別の写真もご紹介しようと思っています。
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今日が最終日ですが、旭市に近いところにお住まいの方にはぜひ行ってみていただきたいと思います。
ご紹介が遅れて申し訳ないのですが。
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一日の間に旭市三川の古民家美術館での展示、そしてこちら飯岡灯台隣接の施設での展示を見ることができて、とても内容の濃い時間を過ごすことができました。
灯台からの眺めも最高でした。

2023/01/14

ブログでもご紹介、『あさひウサギ展』

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すでにInstagram経由でFacebookにてご紹介した旭市三川の「古民家美術館飯岡」で開催されている『あさひウサギ展』。

今年の干支、「うさぎ」をテーマに旭市の作家の方々が作品展示をしています。

 

 

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私は1月13日(金)に伺いましたが、会場の古民家美術館は不思議と展示会を何度か経て、落ち着いた雰囲気を醸し出しはじめたと感じました。
とても居心地がよいのです。
伺った時間帯に、客は私ひとりだったため、実に優雅で贅沢な時間を過ごすことが出来ました。
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絵画作品だけでなく、人形、フィギュア、糸鋸のようなもので、板に細長い溝を切り出し、遠くから見ると絵に見えるという・・新鮮な印象を与える作品もありました。
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もちろん、私の中学時代の美術の先生の作品もたくさん展示されていました。
先生の作品を創っていく意欲はますます旺盛になっているようで、とてもうれしい!
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1月29日まで開かれています。
旭市に行くことができる方にはぜひにとおすすめしたい展示でした。

次回のこのブログでは、同じ旭の飯岡灯台隣接の施設で行われていた展示についてもご紹介しようと思っています。

 

2023/01/13

中江有里さんの「残りものには、過去がある」を読みました。

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『残りものには、過去がある/中江有里著(新潮文庫)』を読みました。
ブックオフでたまたま見つけたのですが、読んでみたらすごい作品でした。

いくつもの短編が集まってひとつの作品になっています。
それはある二人の結婚式会場に集まってきた人たち、夫婦や親子、独身者、謎の叔母と姪、そして結婚式に来れなかった人、もちろん結婚する二人もそれぞれがそれぞれに今までの人生経験が有り、それぞれの物語を持っていて、それらが短編になり、集合したものがこの作品です。

結婚する二人が中心になっているのかと思うと、スピンオフ的に周囲の人たちの物語が短編になっていて、それがスピンオフどころか完全に感情移入してしまうくらいの濃い内容で、どの短編にも夢中で入り込んでしまいました。

特に新婦と従妹との深刻になってしまった関係が綴られていた短編には、ラストで私は声をあげて泣いてしまいました。
互いに心の中に死んでしまいたいほど苦しいものを持ちながら生きてきた二人の気持ちが一気に溶け出して心が通じ合うシーン、ぜひ読んでいただきたい。

その他どの短編もつらい恋愛や、過去の過ち、人との信頼関係など、全身にそれぞれの登場人物の生き方を感じながら読みました。ドキドキして思わずページを閉じてしまうようなこともありました。

今まで読んできた小説は、主人公と、直に主人公に関わる重要人物中心に書かれていて、それなりに共感しながら読んできましたが、この物語は、「人は皆、誰もが大きな困難をくぐり抜けたり、つらい経験をしたり、哀しい恋愛をしたりしている」のだということが切々と書かれていて、自分の人生に照らし合わせてみたりすると、自分だけではないのだと少しほっとしたり、でも登場人物に共感して切ない思いになったり、なぐさめられたり、勇気づけられたりしました。

なんだか新年早々素晴らしい作品を読めて新鮮な気分です。
よい本を読みました。

 

2023/01/11

下重暁子さんの「年齢は捨てなさい」再度読んでみました。

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『年齢は捨てなさい/下重暁子著(幻冬舎新書)』を四年前に読んでいたのですが、再度読みました。というか、読んだことを忘れていて(^_^;)再度読んだ形です。
自分の読書記録を見て“はっ”としました。
年齢どころか記憶も捨ててしまったようです。

四年前に読んだときもこのブログに感想をアップしていたので、あらためて自分の文を読んでみたのですが、“ひっかかる”ところが今とは異なっていることに驚いたというか、気付きました。

前回と共通してひっかかった部分は、なぜ新聞、テレビなどの報道の際に人物の名前のあとに必ず(〇〇才)とわざわざ入れるのは何なんだ!というところです。
ほんと、一々年齢を「かっこ書き」で入れるんですよね。
誰のために、何のために入れているんでしょうか・・・。

で、今回私が“ひっかかった”部分としては、「老人を型にはめて管理するな」という項目でした。
老人ホームなどへ下重さんが行って感じたことは、入所者を集めて童謡を歌わせたり、ぬり絵をさせるなんて幼稚なことをさせるのでなく、スマートフォンやパソコンの使い方など新しいことを教える機会があっていいんじゃないか、という部分です。

スマートフォンやパソコンなどは、他とのつながりの手段として高齢者には役立つと思うとおっしゃっています。
馴れない高齢者には、若者達が教えてあげてほしいと。

やってみればたいして難しいものじゃないと思うので、私もこれには賛成です。
世界が広がると思うし、いろいろな新しいつながりも出来るんじゃないかと思います。

もうひとつ“ひっかかった”ところは、下重さんが60歳になったときに、お祝いの会などは嫌いなのですが、これが最後と人を集め、美味しい料理をごちそうしたあとに、自分の好きな歌を披露して(ディナーショー的に)、「私の60年とはバイバイです、私には年齢はなくなりました。」と、人生の再スタートをしているのです。

もう一度ゼロ歳から積み上げていくことが出来る、いやここから先は何年経っても60歳、実年齢をつきつけられても、それは他人から見た年齢に過ぎない、とおっしゃっています。
こりゃいいや!私もそうしようと思いました(#^.^#)

というわけで、意を強くしたところで今回の読後感でした。

 

2023/01/10

「プロフェッショナル100人の流儀(珠玉の名言集)」を読みました。

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『プロフェッショナル100人の流儀 -珠玉の名言集-/藤尾秀昭監修(致知出版社)』という本を読みました。
いつもどおりのブックオフで購入。

監修されている藤尾秀昭氏は、月間『致知』編集長で、≪人間学≫をテーマに一貫した編集方針を貫いてきた方とのこと。

この本に登場する100人の著名人の方々は、それはもう立派な人ばかりで、そのお言葉は参考にするには私のような凡人にとって厳しいものばかりでした。

いくつか私が気になったものをあげてみると・・

「地球上で最も必死に考えている人のところにアイデアの神様は降りてくる/森岡毅(ユー・エス・ジェイCMO)」
・・・何度も壁に直面し、その都度、歯を食いしばって、執念でアイデアを振り絞ってきた、泥臭い積み重ねです。と書かれていました。
たぶんこういう人は何百万人にひとりなのかもしれない。凄すぎて私には想像もつかない世界です。

「嫉妬しているうちは本当の福は回ってこない/小出義雄(女子マラソン指導者)」
・・・これはなんだか私にもわかります。自分のことで思い返してみても、“嫉妬”したときというのは、その後ろくなことになりません。素直に「よかったね」と思うと、なぜか物事が好転することがありました。

「信用は使ってはならない、使わなければどんどん増えていく/黒田暲之助(コクヨ会長)」
・・・先方の言葉に甘えて信用を使い出すと、長い年月をかけて血のにじむような努力によって蓄積したきた信用が取り崩されてしまう。お金は減ったらわかるけど、信用は目に見えないだけに減っていることがわからない。信用は使わなければどんどん増えていく。そんなことが書かれていて、「なるほど」と思いました。
溜まっていた信用を使い出した途端に一気に人としての信用を失った人・・何人か見たことがあります。

上記のようなお言葉が100人分、・・読んでいるだけで“疲れ気味”です(^-^;

 

2023/01/08

「お茶席の冒険/有吉玉青(たまお)」を読みました。

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『お茶席の冒険/有吉玉青著(光文社知恵の森文庫)』という本を読みました。
またまたブックオフで格安購入です。

著者は、有吉佐和子さんの娘さんなんですね。
そして小説家、随筆家でもあります。

この本は、お茶席についてということで、茶道に親しむ著者が茶会や教室に出かけて経験したさまざまなことを面白く書かれています。

幼い頃に一度お茶を習っていたのですが、12年のブランクを経て教室に通いだし、そこでの新鮮な経験、茶道の様々な決まり事、失敗経験などをけっこう正直に書かれていて、おおらかな方だなぁと楽しんで読むことが出来ました。

最近、浜美枝さんがやっているラジオ番組で英国の紅茶の作法などについての先生がお話しているのを聞いたのですが、驚くことに英国のアフタヌーンティーの儀式的な作法のようなものは、日本の茶道に影響を受けているのだそうです。

ということで、この本にも書かれていましたが、お茶席での作法というか、決まり事はけっこうたくさんあります。
しかも流派によって左右が逆だったり、手順やその他いろいろなやり方があるようです。
面倒そうだな、とも思いますが、でも以前教育テレビで「茶道」の時間などを興味を持って見ていたことがあるのですが、実に“いい時間”と“空間”を体験できる素晴らしいものだと思っていたのです。

さらに茶室や、使用される道具、掛け軸や花、お菓子など興味は尽きません。

2013年だったか、市川海老蔵さん主演で上映された「利休に尋ねよ」という映画も見ましたが、権力者なども魅了される「茶の湯」は、さまざまなことを含めて奥深いものだと思います。

この本は、失敗談や、著者の楽しかった経験、大変な思いをした経験も愉快に書かれていて、とても楽しめました。
お茶に興味のある方にはおすすめ本です。

 

2023/01/07

【はっPのアナログ探訪_0169: 街の灯り / 堺 正章 ( Single )】

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現在も所有しているアナログ・レコード盤を聞いていく「アナログ探訪」、こちらも新年第一回目、再開いたします。

今回は堺正章さんの「街の灯り」のシングル盤です。
『TBS系テレビ水曜劇場「時間ですよ」主題歌』とタイトルの脇に記されていました。
そうか、「時間ですよ」の主題歌だったんですね。

 

 

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このレコードは近年中古レコード屋さんで手にいれました。
作詞:阿久悠、作曲:浜圭介です。
歌詞カードには、歌詞の他に譜面までついています。今、こういうのは無いでしょうね。
当時の人はこれを見て、ギターを弾いたり、ピアノなどでちょっと奏でてみたのかもしれません。
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さっそく久しぶりに聞いてみました。
堺さんの声は若いっ!
そしてあの時代までよみがえってくるような気がします。
「息でくもる窓に書いた・・」というサビに入ると昔の曲らしく“わっ”と盛り上がります。今時の曲の盛り上がりっ放しみたいなところはまったく無い。

そして、最初のコーラスに戻るとまた静かになる。・・こういう展開の曲はたぶんもう死に絶えてしまって、今後聞くことはないでしょう(T_T)

ついでにB面の「地下鉄の駅で」も聞いてみました。
好きになった人を地下鉄の駅で待つ、というような歌詞ですが、もうこういう光景も見ることはないでしょうね。
遠くから見ていて、憧れる人が通り過ぎるのを見ている・・今現在だと“ストーカー”だなんて言われて取り押さえられるかもしれません(^^;)

A面もB面も、街で暮らす若者のちょっと寂しいような、でも毎日少しだけ“よろこび”がある、そんなふつうの生活が描かれていて、しんみりとしてしまいました。

こういう世界が閉じ込められているので、レコード盤を手放すことができないのです。

 

2023/01/06

【南先生の玉手箱_0056_惻隠の情】

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私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
昨年11月以来となります。体調やその他いろいろなことがあって間が空きました。
今回は、平成16年頃のものと思われる先生の文を掘り起こしてみます。
「惻隠の情について」という私もふだんあまり使わない言葉についてのものです。


以下、先生の文章です。

惻隠の情 = もののあわれを感じ取る気持ち。
      これは人として誰もが持ち備えているものです。

惻隠の情とはもののあわれを感じとること。
このことは本来人は幼い頃から家庭で、地域で、又、学校などで、人や自然とかかわる中で、それこそ自然に身についているべきものであって、今すぐ言われて分かることでもないし、体で自分が体験と言うか感じとって自然に身についているべきことなんですよね。

他を思いやることとは、自分が他から思いやりを感じたりしなければ分からないものなのかと思います。

自分が苦しい思いをしたり、さみしい状態になったり、がまんをしたり、自分がいろんな思いを実際に体験をしないことには、このもののあわれとか、他者の辛さなど分からないのがあたりまえなのかと思います。

目の前のものをよく観察して自分で考えて体を通して感じ取ることが意外に少ない今の暮らしかと思うことが多いです。
子どもが育つ環境の中で命の問題をはじめとして、喜怒哀楽、望ましい感情表現を私たち大人側が暮らしの中で共に表現していきたいものです。

少年犯罪、凶悪事件の数々の責任はもちろん本人にありますが、お互いに成育歴の中で大人側のかかわり「責任」が問われるものでしょう。

ちかごろの子どもは、困ったものだとか、子育てが分からない等大人側の心模様が子どもに大きく影響していること、大人社会の責任に目をむけて望ましい子育てに努力しましょう。

つい先日、電車の中ですごい会話を耳にしました。
うちの子は、わがままでどうにもならない、朝は起きない、食事は勝手に好きなものだけ夜中でも買いに行く、登下校はほとんど毎日車で送り迎え、何言ってもダメ、これも時代でしょうかねえと、まるで世間話しのひとつのようで私ごと口をはさむ間もなく、松尾で降りて、しばらくこのことが頭から離れなかった。

私も二人の男の子の親として中学の頃、長男の反抗期にはとっくみあいのけんかをしてやっと勝ったことを思い出した。
子どもの言うなりで心の教育はできないと思う。
また親が本気になればほとんどこのことは解決できると思うのですが、みなさんお互い子育てに悩みはつきものです。
そして、子どもはみんな大丈夫だと思うのです。

大人側が子どもとのかかわり方、時に本音をぶつけないと、とりかえしのつかないことになります。

『情』は、黒板ですぐ教えられるものではありません。
時間をかけて共に日々の感動体験を大切にいきたいものですね。


以上が先生の文でした。

当時も、日々いろいろな少年犯罪などが報道されていたことが、うかがわれます。
「もののあわれ」を感じ取るには毎日人と接したりする中で培われるものなんだということが書かれていたと思います。

驚いたのは、先生が反抗期のご長男と取っ組み合いのけんかをしたというくだりでした。
そのご長男は私が中学生の頃、先生の家にクラスの男子数人と泊まりに行ったときにいた幼いあの子だ!・・と思い、感慨深いものがありました。
私が「高い、高い」をして持ち上げてあげると大喜びしていたあの子かぁ・・と(^^;)

余談ですが、写真の“蚊取り線香”のように渦巻き状に引かれている線は、このぐるぐると上下左右が次々と入れ替わる文章をなんとか読むために私が引いたものです。
もうねえ、線を引かないと読んでいるだけで“文字酔い”して具合が悪くなってくるのです。しかも、読みながらキーボードを打っているのです。もう大変!!!

先生の遊び心はいいと思うんだけど、これを手にして読んでいた当時の人はよほど我慢、忍耐、探求力のある人だけだと思います。大変な作業でした。途中で何度か投げ出したくなりました(^-^; が、なんとか活字化終えることが出来ました。

 

2023/01/05

「壇蜜歳時記」を読んだ。

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『壇蜜歳時記/壇蜜著(大和書房)』という本をブックオフで見つけ、220円にて購入、読んでみました。

過去に壇蜜日記など、壇蜜さんの本は何冊か読んでこのブログでもご紹介したことがあります。
そのときにも書きましたが、壇蜜さん、文が上手い。
話をゆっくりと積み上げるようにして文章が進み、やがて“がらがら”と崩れるような“落ち”がついていたりする。
しかも無理に作為的な“落ち”ではなく、ふだんの生活をしている壇蜜さんの緩く、ややピント外れな行動が面白い“落ち”となっている。

そして「章立て」は「睦月」から始まって、「師走」で終わる歳時記的なものになっていて、その季節ごとに壇蜜さんの不思議な思考が文になって紹介されています。

この本を読んでいるだけで壇蜜さんはいったい何人の男に“ふられ”たんだろうと思いました。
それもどうしてそんな男と付き合うのか、と思うような男ばかりですが、女性が惹かれる男というのは“やばい”やつか“手前勝手”なやつか、“怠惰”なやつか、“人の気持ちなど察しない”やつばかりです。
そしてそんな男に引っかかったのに、また同じタイプの男に惹かれてしまう・・。

でも、壇蜜さん、本人はラジオで奇跡だと言っていましたが、いい人と結婚されたようで何よりです。

どのエピソードも何ということはないものばかりですが、そこは壇蜜さんの“文の腕”が冴え、面白い話に展開されています。

気になる方はこの本ばかりでなく、壇蜜さんが書かれたもの、一度ご覧いただくとその文才に驚かれると思います。

 

2023/01/04

【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Saxophone Colossus / 1956》 Sonny Rollins

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十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ソニー・ロリンズのアルバム、「サキソフォン・コロッサス」です。
今回、再度聴き直して一部文言等を追加・修正いたしました。

Sonny Rollins/ts
Tommy Flanagan/p
Doug Watkins/b
Max Roach/ds

①St. Thomas
②You Don't Know What Love Is
③Strode Rode
④Moritat
⑤Blue Seven

初めてこのアルバムを聴いたときのことは忘れません。
こんなに胸躍るような気分でジャズを聴くことができるなんて素晴らしいと素直に思ったことを思い出します。
あっという間にアルバムが終わってしまって、もう一度聴きたい・・と即座に思いました。

俗に“サキコロ”などとジャズ好きの人たちが呼んでいる名盤中の“大名盤”です。
一曲目の「セント・トーマス」を聞いて、嫌いだなどと言う人はまずいないと思います。
ちょっとカリプソのようなマックス・ローチのリズムで弾むように始まるこの曲一曲だけで、大満足してしまうほどのいい曲です。
ロリンズの太く、人間味あふれるサックスは最高です。

二曲目のバラードも朗々と吹ききるロリンズの豊かなサックスはジャズの深みや人間の心の奥まで表現しているように感じます。フラナガンの繊細なピアノもこの曲に深みを与えています。

三曲目の“ストロード・ロード”では、ロリンズが豪快にソロを決めています。ローチとの掛け合いもあって楽しめる曲です。

四曲目は言わずと知れた名曲「マック・ザ・ナイフ(モリタート)」です。
ケニー・ドーハムも同一曲を演奏していますが、どちらも素晴らしい演奏で甲乙つけがたいものがあります。
こちらはロリンズの人気曲でもあり、もう自由に吹きまくり、聞いている私も心を解放して完全に身をゆだねてうっとりと聴いてしまいます。
ローチやワトキンスのソロもいいです。ジャズのいいところばかりが目立つ、うれしい限りの演奏ですね。

ラストはロリンズのオリジナルですが、一転してスリリングな展開です。
4人の緊張感あふれる関係の中での『押さば引け、引かば押せ』というような、かけひきのある演奏です。
この曲でぐっとアルバムがラストで締まったように感じます。

 

2023/01/03

『The Beatles REVOLVER SUPER EDITION を聞く・第三回 SESSIONS TWO を聞いてみた』

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昨年から行っていたビートルズの「リボルバー スーパー・エディション」を聞いてみる企画、年が明けて再開することにいたしました。
今回は「CD3」の「セッションズ・2」を聞いてみます。
例によって、事前に情報を仕入れたりはしていません。
初めて聞く状態で、その場で文を打っていく状態でライブ的に感想を書いていきます。
ではスタート!


1.AND YOUR BIRD CAN SING (Second Version)-Take5

ジョンのトークから始まり、かなり初期状態の録音です。
リンゴのドラムもまだいろいろと試行錯誤段階です。でも、フィル・インはけっこうカッコいい!
ツイン・リード・ギターのフレーズも三分の一くらいは出来上がっています。
コーラスは、まだまだ手探り状態のようです。
でも、この曲って、どの段階でもカッコよく聞こえます。


2.TAXMAN Take11

かなり“練れて”いる段階のテイクだと感じました。
ジョージのボーカルもほとんど完成バージョンと変わりありません。
ギターは、まだ余計なフレーズを弾いたりもしています。
ドラムは本番状態とほぼ同じ。
あっ、間奏のポールのリード・ギターはもうバッチリ決まっています。
コーラスはアンソロジーで聞けたようなオリジナルには無いものがちらほら散見されます。
いい状態まで持ってきた感じがします。


3.I'M ONLY SLEEPING (Rehearsal Fragment)

これもアンソロジーで聞けたビブラフォンでしょうか、その音を中心にバックの音を作っている様子が録られています。


4.I'M ONLY SLEEPING Take2

ジョンのだるいボーカルでいろいろ試している感じのテイク。
ギターはまだ、ただコードをちょっと弾いているような印象。
ジョンがいろいろと感想や指示などをしている様子がうかがえます。


5.I'M ONLY SLEEPING Take5

こちらはテンポアップしたテイク。
コードストロークも軽い感じで流している。
ドラムもアップテンポに合わせてストロークも軽くスネアを叩いています。
ボーカルは入っていなく、インストゥルメンタルです。
エンディングは本番と同じような感じを探っています。


6.I'M ONLY SLEEPING Mono Mix RM1

オリジナルにほとんど近い感じのモノラルミックスです。
リンゴのフィルにオリジナルと異なる部分がありました。
テープ逆回転のギターの音も入りどころが異なっているようです。エコーの掛け方も異なっています。
最後の仕上げとチェックに入っているのを感じます。


7.ELEANOR RIGBY Speech Before Take2

弦楽器の音が少し聞こえ、皆でいろいろ話している様子がわかります。
ジョージ・マーティンの声やジョージ・ハリスンの声もはっきり聞き分けできます。
メンバーの四人以外の声も聞こえます。笑い声も。


8.ELEANOR RIGBY Take2

カウントのあとに弦楽器の演奏が始まります。
まだエコーなどを深く掛けていないものと思われます。
本番とちょっと異なる弦楽器のフレーズもあるように感じます。


9.FOR NO ONE Take10-Backing Track

会話のあとに耳慣れたこの曲のバックの演奏が録られています。
こんなにきれいな音だったんだな、と感じました。オリジナル曲のバックはここからもっとコンプレッサーを掛けたようなコモったような音に変化していったと思います。


10.YELLOW SUBMARINE Songwriting Work Tape-Part1

この曲の原型を聞いた感じ。
まだ楽しく愉快な曲調になっていません。
ジョンがアコースティックギターを爪弾き、作曲している段階です。


11.YELLOW SUBMARINE Songwriting Work Tape-Part2

ジョンとポールの声が聞こえます。
ここでもジョンがギターでメロディーや、歌詞も含めて整えている段階です。
オリジナルとはかなり異なる曲調です。海の男の大人の童謡、みたいな雰囲気。
ここからはサウンド・エフェクトふんだんなオリジナル曲の想像はできません。
私、勘違いしていたのですが、この曲はまるでポールの曲だと思っておりましたが、完全にジョン主導なんですね。
ちょっと能天気なオリジナルの雰囲気からすっかりポールの曲だと思っていました。


12.YELLOW SUBMARINE Take4 Before Sound Effects

こちらはリンゴのボーカルがほとんど“生状態”の音で入っているもので、とても新鮮。
コーラスはオリジナルとほとんど同じだと思います。
サウンド・エフェクトも入っておらず、聞いたことのないテイクです。
ドラムも深いエコーなどとは無縁のプレーンな音です。軽いっ!
テンポも速い。


13.YELLOW SUBMARINE Highlighted Sound Effects

アンソロジーで聞けた行進する音とリンゴの語りから始まっています。
サウンド・エフェクトも過剰なくらいキラキラとした音で入っています。波の音やエンジンの音もこれでもかと入っています。
人々のざわめきも過剰なくらいの音量で入っています。
リンゴのスネアもバスドラもかなり強調されています。
ジョンの語りというか、叫びにも近い声もよく聞こえます。
ブラスバンドの大太鼓みたいな音も、ヘッドが震えるような音まで収録されていました。


14.I WANT TO TELL YOU Speech and Take4

スタジオでのトーク音が入っています。
イントロのギターの音もくっきりと録音されています。
リンゴのスネアとバスドラの音がズシン・ズシンと強調されています。


15.HERE, THERE AND EVERYWHERE Take6

かなり“生音”のままのポールのボーカルとギター。
ドラムも叩いた音そのものという感じで録音されています。ストロークも軽い。
これはかなりいいと思いました。このくらい削ぎ落した感じの録音がこの曲のよさを引き立てます。


16.SHE SAID SHE SAID John's Demo

ジョンの声から始まり、アコースティックギターでこの曲がどんな感じか皆に伝えるような録音です。
後の、この曲の変化を考えるとけっこう驚きます。


17.SHE SAID SHE SAID Take15-Backing Track Rehearsal

オリジナルのバッキング・トラックとほぼ変わらないくらいの段階と思われます。
リンゴのカッコいいフィル・インもスタタカ・タンと気まっています。
この曲はリンゴのドラムがリードしていたからこそ、見事な曲調が出来上がったんじゃないかと思わせます。
そしてギターの音色も当時としては出色だったんじゃないかと思います。

 

2023/01/02

「静かに 健やかに 遠くまで/城山三郎」という本を読みました。

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『静かに 健やかに 遠くまで/城山三郎著(新潮文庫)』を読みました。
これもブックオフで110円で見つけたものです。
暮れから読み始めたのですが、新年となりタイトルも新年らしくていいな、と思いつつ本日読了。

城山さんの小説や随筆、インタビューなどの著書から、これはという文を抜き出して集められたものです。
けっこう響く言葉がたくさんありましたし、教訓になるものや、これから心がけねばならないと思うこともありました。

少し私が気になったところをピックアップしてみます。

「塩野七生さんのベネチアの話を読むと、ベネチアは商人国家だが、政治家になって権力を持った人は、そのポストについていた期間、次には休まなくちゃいけないと定められていたそうです。これなんかは、一つのチェックシステムだと思うんです。こうしたチェック機能があったから、商人国家が続いた。日本の社長は、自分の任期を自分で延ばしちゃう人もいますから。けじめをつけない社長は、何かあったら、ほかの役員以上に重いペナルティーをかけてもいいですね。」

という一文です。
どこかの国の指導者などは、自分が偉くなると自分の任期を延ばしたりしているし、どこかの国の首相になった人が辞めたあとも、まるで“院政”のごときふるまいで現行の首相を操っているようにも感じます。
辞めたらもう政治の世界からいなくなってほしい人が多々いらっしゃいますし、「辞めたら後がない」覚悟でその任期に命を賭けてほしいと思う昨今です。

次の気になった一文。

「将軍には将軍の使命があり、参謀には参謀の仕事があり、そして兵には兵の・・・。しかし、真の将軍というものは、兵士以上に兵士のことを知り、まず兵士のために憂える人でなくてはならぬ。兵士に先んじて憂え、その楽しみは兵士より後にすべきである。」

そのおとりです。
最低の将軍は「絶対安全」の場所に閉じこもり、高みの見物に終始する。そして、兵士より先んじて楽しみ、危うしと見れば、兵士より早く遁走する・・。
今や、こんな人ばかりです。
軍事費を倍増し、軍備を拡大し、危うい状況をつくり、いざとなったら自分はどこかで高みの見物を決め込むのでしょう。

長文になりついでに、もうひとつ。

「通勤苦ひとつとってみても、組織の中で生きるとは、たいへんなことである。ときには、やりたくない仕事をやらされ、好きな仕事には就けぬ。顔も見たくない上司に仕え、蹴と飛ばしたい思いのする部下にも耐えねばならぬ。」

なんだか私の人生を振り返ってもらったような気になりました(^_^;)

上記のような文が満載のこの本、とても勉強になり、ぐっと私の心に入り込みました。
良い本でした。

 

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