【南先生の玉手箱_0056_惻隠の情】
私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
昨年11月以来となります。体調やその他いろいろなことがあって間が空きました。
今回は、平成16年頃のものと思われる先生の文を掘り起こしてみます。
「惻隠の情について」という私もふだんあまり使わない言葉についてのものです。
以下、先生の文章です。
惻隠の情 = もののあわれを感じ取る気持ち。
これは人として誰もが持ち備えているものです。
惻隠の情とはもののあわれを感じとること。
このことは本来人は幼い頃から家庭で、地域で、又、学校などで、人や自然とかかわる中で、それこそ自然に身についているべきものであって、今すぐ言われて分かることでもないし、体で自分が体験と言うか感じとって自然に身についているべきことなんですよね。
他を思いやることとは、自分が他から思いやりを感じたりしなければ分からないものなのかと思います。
自分が苦しい思いをしたり、さみしい状態になったり、がまんをしたり、自分がいろんな思いを実際に体験をしないことには、このもののあわれとか、他者の辛さなど分からないのがあたりまえなのかと思います。
目の前のものをよく観察して自分で考えて体を通して感じ取ることが意外に少ない今の暮らしかと思うことが多いです。
子どもが育つ環境の中で命の問題をはじめとして、喜怒哀楽、望ましい感情表現を私たち大人側が暮らしの中で共に表現していきたいものです。
少年犯罪、凶悪事件の数々の責任はもちろん本人にありますが、お互いに成育歴の中で大人側のかかわり「責任」が問われるものでしょう。
ちかごろの子どもは、困ったものだとか、子育てが分からない等大人側の心模様が子どもに大きく影響していること、大人社会の責任に目をむけて望ましい子育てに努力しましょう。
つい先日、電車の中ですごい会話を耳にしました。
うちの子は、わがままでどうにもならない、朝は起きない、食事は勝手に好きなものだけ夜中でも買いに行く、登下校はほとんど毎日車で送り迎え、何言ってもダメ、これも時代でしょうかねえと、まるで世間話しのひとつのようで私ごと口をはさむ間もなく、松尾で降りて、しばらくこのことが頭から離れなかった。
私も二人の男の子の親として中学の頃、長男の反抗期にはとっくみあいのけんかをしてやっと勝ったことを思い出した。
子どもの言うなりで心の教育はできないと思う。
また親が本気になればほとんどこのことは解決できると思うのですが、みなさんお互い子育てに悩みはつきものです。
そして、子どもはみんな大丈夫だと思うのです。
大人側が子どもとのかかわり方、時に本音をぶつけないと、とりかえしのつかないことになります。
『情』は、黒板ですぐ教えられるものではありません。
時間をかけて共に日々の感動体験を大切にいきたいものですね。
以上が先生の文でした。
当時も、日々いろいろな少年犯罪などが報道されていたことが、うかがわれます。
「もののあわれ」を感じ取るには毎日人と接したりする中で培われるものなんだということが書かれていたと思います。
驚いたのは、先生が反抗期のご長男と取っ組み合いのけんかをしたというくだりでした。
そのご長男は私が中学生の頃、先生の家にクラスの男子数人と泊まりに行ったときにいた幼いあの子だ!・・と思い、感慨深いものがありました。
私が「高い、高い」をして持ち上げてあげると大喜びしていたあの子かぁ・・と(^^;)
余談ですが、写真の“蚊取り線香”のように渦巻き状に引かれている線は、このぐるぐると上下左右が次々と入れ替わる文章をなんとか読むために私が引いたものです。
もうねえ、線を引かないと読んでいるだけで“文字酔い”して具合が悪くなってくるのです。しかも、読みながらキーボードを打っているのです。もう大変!!!
先生の遊び心はいいと思うんだけど、これを手にして読んでいた当時の人はよほど我慢、忍耐、探求力のある人だけだと思います。大変な作業でした。途中で何度か投げ出したくなりました(^-^; が、なんとか活字化終えることが出来ました。
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