「静かに 健やかに 遠くまで/城山三郎」という本を読みました。
『静かに 健やかに 遠くまで/城山三郎著(新潮文庫)』を読みました。
これもブックオフで110円で見つけたものです。
暮れから読み始めたのですが、新年となりタイトルも新年らしくていいな、と思いつつ本日読了。
城山さんの小説や随筆、インタビューなどの著書から、これはという文を抜き出して集められたものです。
けっこう響く言葉がたくさんありましたし、教訓になるものや、これから心がけねばならないと思うこともありました。
少し私が気になったところをピックアップしてみます。
「塩野七生さんのベネチアの話を読むと、ベネチアは商人国家だが、政治家になって権力を持った人は、そのポストについていた期間、次には休まなくちゃいけないと定められていたそうです。これなんかは、一つのチェックシステムだと思うんです。こうしたチェック機能があったから、商人国家が続いた。日本の社長は、自分の任期を自分で延ばしちゃう人もいますから。けじめをつけない社長は、何かあったら、ほかの役員以上に重いペナルティーをかけてもいいですね。」
という一文です。
どこかの国の指導者などは、自分が偉くなると自分の任期を延ばしたりしているし、どこかの国の首相になった人が辞めたあとも、まるで“院政”のごときふるまいで現行の首相を操っているようにも感じます。
辞めたらもう政治の世界からいなくなってほしい人が多々いらっしゃいますし、「辞めたら後がない」覚悟でその任期に命を賭けてほしいと思う昨今です。
次の気になった一文。
「将軍には将軍の使命があり、参謀には参謀の仕事があり、そして兵には兵の・・・。しかし、真の将軍というものは、兵士以上に兵士のことを知り、まず兵士のために憂える人でなくてはならぬ。兵士に先んじて憂え、その楽しみは兵士より後にすべきである。」
そのおとりです。
最低の将軍は「絶対安全」の場所に閉じこもり、高みの見物に終始する。そして、兵士より先んじて楽しみ、危うしと見れば、兵士より早く遁走する・・。
今や、こんな人ばかりです。
軍事費を倍増し、軍備を拡大し、危うい状況をつくり、いざとなったら自分はどこかで高みの見物を決め込むのでしょう。
長文になりついでに、もうひとつ。
「通勤苦ひとつとってみても、組織の中で生きるとは、たいへんなことである。ときには、やりたくない仕事をやらされ、好きな仕事には就けぬ。顔も見たくない上司に仕え、蹴と飛ばしたい思いのする部下にも耐えねばならぬ。」
なんだか私の人生を振り返ってもらったような気になりました(^_^;)
上記のような文が満載のこの本、とても勉強になり、ぐっと私の心に入り込みました。
良い本でした。
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