「君のいた時間/伊集院静」を読みました。
『君のいた時間 -大人の流儀-/伊集院静著(講談社)』を読みました。
私にしては珍しく新刊本です。
先日、伊集院さんご自身がラジオに出演され、この本のことについて大竹まことさんからインタビューを受けているのを聞いたので、すぐに書店に行き、買い求めたのです。
この本は、伊集院さんのご自宅で飼っていた犬「ノボ」との長いつきあいと、その死について、そしてノボのほかにもお兄ちゃん犬や一緒に過ごした友達犬もいて、三匹とも長生きはしたのですが、亡くなってしまいます。
担当編集者から「ノボ」について本を書いてほしいと言われたときは、伊集院さん「そんなもの書けない」と断ったようですが、結局今回読んでみたらとてもいい本になっていました。
奥さんから書いてくださいと言われて最終的にこの本になったわけですが、亡くなった犬達にとっても、そして伊集院さんにとっても、家族にとっても、さらにペット・ロスに日々哀しい思いをしている人にとっても“いい本”になっていたと思いました。
伊集院さんがこの本の中で書かれていますが、人が暮らしている中で、安堵を得るなんてことはそんなにあるものではありません。
人は少し間違うと不安をともなう領域のすぐそばで生きているのだろう、ともおっしゃっていて、それは多くのひとがそうなんだと私も感じました。
そんな不安を解消してくれたり、忘れさせてくれるのが家族や友、隣近所・・などなど自分以外の人です。
私も訊かれることがありましたが、「しあわせとはなんだと思いますか」なんて訊く人がいます。
よくわからないです。
でも、安心や安堵を感じるあたりに「しあわせ」のにおいを感じるってことがありませんか。
この本に登場する犬達がそんな「しあわせ」に一番近いものを感じさせてくれていたのだということが読んでいてわかりました。
誰かをしあわせにする・・なんてだいそれたことは考えずに、まずは心配をかけなさんナ・・と伊集院さんはおっしゃっています。
ささやかなしあわせに“めぐりあう”ヒントがここに書かれていたと思いました。
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