「趣味は何ですか?/髙橋秀実」を読みました。
『趣味は何ですか?/髙橋秀実(たかはしひでみね)著(角川文庫)』という本を読みました。
著者はノンフィクション作家で、小林秀雄賞などを受賞されていて、著書も数多い方です。
冒頭に書かれていたエピソード、著者が講演をしたときに、ひとりの女性から質問があり「先生のご趣味は何ですか?」と聞かれ、一瞬頭が真っ白になり「すみません、ない、ような気がします」と答えてしまい、そこから『趣味』とは何だろう??と考え、この本に結びつきます。
その後、さまざまな趣味を持つ人に会いに行き、インタビューをし、実際に著者自身も体験してみるなどするという形でこの本は展開していきます。
坂本竜馬を趣味にする官僚や航空無線の傍受、蕎麦、ヨガ、スタンプ巡礼、切手収集、消印集め、エコを醍醐味にする人、ウォーキング、茶道、ガーデニング、登山・・趣味にのめり込んでいる達と会い、実際の体験もあったりするのですが、著者は細部に渡って聞き取りをしていて、その趣味の内容も事細かに調べています。
でも、私が感じたのは、著者からは「結局、そんなことして何になるの?」っていう言葉が見えてくるのです。
わかりやすく例をあげると、切手収集にしても、カラーカタログが出ていて、日本のみならず世界中の切手がカラーで掲載されているのになぜわざわざ集めてながめたりしているのか・・っていうわけです。
元も子もない・・と思いました。
走ったから何になるの、とか、山に登ったからどうしたんだ、と言われてしまえばそれまでです。
著者が色々な話を聞いたり、経験をした後、この本の最後の方で、まだ何も趣味としてはいない状態でした。
そこで、「するべきことがあるのにまだ何もしていない状態こそ、生きている実感を得られるチャンスだ」というのです。
「人生の味わい、趣味・・・意外なことに、趣味とは何かをすることではなく、何もしないでいる中にあるのではないかと私は思うに至りました」と、結論付けていますが、私にはこれは大きな勘違いだと思いました。
人は、別に何か得ることがあるから趣味としてやっているわけではなく、ただ単に好きだからやっているだけだと思います。
何か趣味から「意味」や「意義」を見出す必要はないのです。
著者のそういう人たちをながめていることで人生の味わいを感じることが趣味なのだという逆説的な結論は、はっきり言って「つまんない人だ」と思ってしまったのです。※ごめんなさい、著者の方。
私もつい最近、「趣味は何なの?」と聞かれ、“うぐぐ”と言葉に詰まりました。
なぜかというと、何から何までが、どこからどこまでが趣味なんだろうと思ってしまったからです。
私がやっているものの中で、一般に趣味と言われるものをあげていったら数百の数になってしまいます。
結局、「趣味は何ですか?」という質問自体が趣味のない人の質問なんじゃないかと思ったのですが・・・だんだんわけがわからなくなってきたので、本日はこれでおしまいにします。
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