「魚眼漫遊大雑記/野田知佑」を読みました。
『魚眼漫遊大雑記/野田知佑著(講談社)』という本を読みました。
ブックオフでたまたま見つけたのですが、私は今まで野田さんの本を読んだことがありませんでした。
若い頃、アウトドア雑誌「ビー・パル」などに書かれていた文や、作家の椎名誠さんとカヌーに乗って出掛けた様子などは椎名さんの本から存じ上げていました。
それに“カヌー犬”として有名になった「ガク」は野田さんから椎名さんが預かって、いろいろなエピソードがあることも椎名さんの本で読んでいた、そんな感じの状態でこの本を読みました。
読んでみて驚きましたよ。
野田さんはどんな国に行って、どんな人と会っても怖れず(内心はドキドキなのかもしれないが)、スタンスを崩さず、正面から向き合って、どんどんガンガン体当たり的にその国を感じ、味わい、人と付き合っていくことをしています。
椎名誠さんも様々な冒険の旅をしていますが、こちら野田さんの旅は国の体制や、治安などの危険要素満載の中で、同行のカメラマンが尻込みする中、「ま、こんなもんだ」と突き進んで行きます。
そして釣るは、釣るは、しまいには川や湖に飛び込んで捕まえてしまったり、釣っては食い、釣っては誰かにあげたり、釣り尽くし、それら釣果を食い尽くし、様々な政治体制や、お国柄、その国独特のものの考え方、人付き合いの仕方をくぐり抜け、かき分け、あるいは真正面から突破していく野田さんの姿を文章から直に感じて、「こんな頼もしくも、向こう見ずな人がいるものだろうか」という気持ちになりました。
それに、このような面白く、淡々と進んでいくような文体はとても珍しいというか、今まで読んだことがないものでした。
魅力ある文体です。読んでいて楽しいが、次に何が飛び出すんだろうという期待感を抱かせ続けるような文章なのです。
野田さんは「カヌーイスト」っていう新しい言葉を生み出した存在でしたが、川とカヌーの似合う、すごい人でした。※調べましたら、昨年3月に亡くなられていました。この本、読んでおいた方がいいよ、と本棚から呼ばれたのかもしれません。
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