角田光代さんの「さがしもの」を読んだ。
『さがしもの/角田光代著(新潮文庫)』を読みました。
またまたブックオフにて100円で購入。
『この本が、世界に存在することに』として刊行されたものの文庫化に際し『さがしもの』と改題されています。
≪本≫がテーマになって話が展開される短編集となっていました。
その本を持っていると、なぜか次々と不幸が起きてしまう・・と思った本を主人公の女性が自分の彼を奪った友人である女性に「彼に渡して」と託してしまい、その後どうなったのか、という話や、古本屋に売った本と巡り巡って外国の旅先の古本屋で再び出会う話、その他不思議な話や、本自体に関することや、よく通った本屋についての想い出に伴う心打つ話、などが編まれていました。
特に男女関係に「本」が介在してくる話というのも、その視点が面白く、またそれに連れてちょっと哀しく、数奇な運命をたどる男女のエピソードが私の心に沁みてきました。
世の中には本というものを、ほとんどというか、まったく読まない人がいます。
それはそれで幸せなことだと思うけど、私が思うには“自分と向き合う”チャンスを数多く失っているんじゃないか、とか、様々な人生経験や、見知らぬ世界などに連れて行ってくれる本というものを知らずにいるのももったいない、などと思ってしまいます・・老婆心ですが。
本を読んで得ることを自らの体験だけで得ることは、ほぼ不可能です。
本によって色々な疑似体験をしておくことで、絶望したり、自暴自棄になったりして犯罪に及んでしまう・・ということも減少するんじゃないか、などとも思います。
ある意味、犯罪防止策として「本を読む」ということを推し進めても無駄なことはないと、私は思うが世間は思わないんですよね、仕方ないけど。
話が大きくそれましたが、でもこの本を読むと角田さんの本に対する思いがとてもよく伝わってきます。
本が好きな人にはジ~ンと心打つ短編集だと思いました。
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