【The Beatles 研究室・復刻版】Past Masters ・ Volume Two[A-2]We Can Work It Out
今回は、ビートルズのシングル・ヒット曲でCD発売当初では「Past Masters ・ Volume Two 」に入っていた「We Can Work It Out」の記事を復刻してみたいと思います。
邦題は「恋を抱きしめよう」でした。原題とはかけはなれていますが、当時の付け方だったのでしょうね。不思議と、この曲を聞くと邦題が頭の中に浮かんできたものです。
最初にこの曲を聞いたのは、中学時代で、「オールディーズ」という前期ベスト盤のようなアルバムでした。もちろんレコード盤です。
その中でもひときわ目立つ、キャッチーな曲でした。
“非の打ち所がない”と、当時も思いました。完璧なヒット・ソングです。さすがレノン・マッカートニーの共作です。
明らかに二人の作った曲を合体した感があります。
通常のメロディー部分は、ポール。そして、「Life is Very Short・・・」からのサビの部分はジョンです。
「きっと成し遂げることができる」と、前向きなのはポール。「人生は短い」と悲観的なのがジョン。その後の二人の生き方にも通じるような、それぞれの歌詞です。とても面白い!!
実情はポールの恋人ジェーン・アッシャーがロンドンを離れ、自ら役者として一本立ちするために劇団に入ることにしたことについて、ポールが「それはないよ、僕たちはきっとうまくやれる」と説得というか、泣きついたというか、強引に引き留めようとしたというか・・そんな状態の時に作られた歌のようです。
途中、“ブンチャッチャ、ブンチャッチャ”とワルツになる部分が、この曲の“ミソ”ですが、この部分については、ジョージのサジェスチョンがあったと聞いたことがあります。とすれば、ジョン・ポール・ジョージのコンビネーションが見事に開花した一作と言えるのではないかと思います。
それを見事に実現化したプロデューサーのジョージ・マーティンの手腕もさすがです。
ジョンはハーモニウムというオルガンのような不思議な楽器を弾いており、それが絶妙な効果を生み、さらにタンバリンも大きな効果を得ています。
ビートルズはやること、なすこと、結果的には皆最良の効果を出しています。この曲もその代表的なものという気がします。
英国では、「デイ・トリッパー」と両A面扱いでリリースされ、この曲も1位に輝いています。
米国と日本では、この「恋を抱きしめよう」が単独A面となって、もちろん全米1位に輝いています。
どちらかというと、米国向きな曲であると思うし・・・。
ポールも、ビートルズ解散後のソロ活動のコンサートで演奏しています。よりアコースティックなアレンジで。
やはり、ヒット曲らしいキャッチーな感じは今聞いても素晴らしいものがあります。
いい曲です。
〈追記〉2023/04/19
この曲についても2009年リマスター盤の他、ホームページ作成後に様々な音源が出ておりますので、それらを聞きながら追記してみたいと思います。
Mono Masters Vol.2 収録バージョン
とても落ち着いた感じのサウンドに聞こえる。
リンゴのドラムもタンバリンもあまり出過ぎない感じ。
ボーカル、コーラスも自然に全体のサウンドに馴染んでいるように聞こえる。
Past Masters Vol.2 収録バージョン
左側のドラム、タンバリンの音が際立ってクリアに聞こえる。
ハーモニウムの音もはっきりと区別できるし、ポールとジョンの歌声もとてもよく分離して聞こえる。またボーカルに掛かっているエコーもかなり大きい。
アルバム1(One)2000年リリース盤・収録バージョン
ボーカルへのエコーの掛かりは、薄められ、よりボーカルの“生感”が増している。
アコースティックギターの音がかなり前面に出てきていて、他のミックスよりもはっきり聞こえる。
ハーモニウム(ジョンが弾いていると言われている)の音量を曲の箇所の盛り上がりに依ってコントロールしているように感じた。
全体のバランスがとても良く、これがベストか、と思わせる。
アルバム1(One)2015年リリース盤・収録バージョン
これもいいミックスで、全体のバランスがバッチリ!
ジョンのボーカルがより際立って聞こえる。
サビの「ライフ・イズ・・・」のところから絶妙に真ん中に音が寄ってくるところがこのミックスの特徴のように思った。
アルバム1962~1966(いわゆる赤盤)・・2009年のビートルズ音源リマスター後に出たCD収録バージョン
基本的にパスト・マスターズのミックスと同じ。
盤としての音量が他の曲との兼ね合いで調整されているかもしれない。
でも、聞いてみると何となく異なっているようにも感じる。大きな変更・修正は為されていないが、少しはこの赤盤リマスター作製時にいじっているのではないかと思われる。
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