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2023/05/31

「ジャパニーズ・スマイル/中島みゆき」を読みました。

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『ジャパニーズ・スマイル/中島みゆき著(新潮文庫)』という本をブックオフで見つけて読んでみました。
1987年から1993年にかけて「月刊カドカワ」や、「月刊Asahi」中島さんのファンクラブの会報、その他雑誌や、書き下ろしも含めた中島さんのエッセイが詰まったものでした。

けっこう古い文もあるのですが、中島さんの文はそういう時代感など問題なく実におもしろいっ!(#^.^#)

中島さんの音楽に関しては、シリアスだったり、哀しかったり、慟哭したり、恨んでみたり、希望を感じさせたり、懐かしい気持ちになったり、力強かったりと、いろいろな要素がありますが、文に関しては(深夜放送などのおしゃべりについても)、実に“ありのまま”で、ちょっと傲慢だったかと思えば、小心でオロオロしたり、褒めれば図に乗り、けなされればショボンとしたり、ケチだったり、食いしん坊だったり、乙女だったり、おばちゃんだったり・・(^^;)と、その語り口はどこにもないと感じさせるものでした。

ラジオでおしゃべりしている時など、これがあの歌をつくったあの人なのか?!と驚くことがあるほど“ぽわんぽわん”としていて、“油断と隙だらけ”な感じがしますが、エッセイはそれをそのまま文章にした感じでした。

これもふつうの人には出来ないことだと思いました。
こんな文章は見たことがありません。
独特の“風合い”を示す文章は、まさに名人芸と言えると思いました。

のんびりと足湯にでもつかっている気分になりながら楽しみました。
ほっこりとしていい本でした。

 

2023/05/30

美輪明宏さんの「世なおしトークあれこれ」を読みました。

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『世なおしトークあれこれ/美輪明宏著(PARCO出版)』という本をブックオフで見つけ、ちょっと気になったので読んでみました。2007年発行日となっていますので、かれこれ16年前のものです。

あの美輪明宏さんが『オーラの泉』などのテレビ番組に出て、テレビでの露出も多かった頃に出た本だと思われます。

古い本ですが、今でも私が共感できることが書かれていました。

「日本のオッサンには文化がない」という発言です。

物欲、名誉欲、性欲、食欲を四本立てで生息し、利便性、機能性、経済性の三本柱で突っ張ってきた・・だから文化などはどこかに“置きっ放し”というか、眼中になかったのだと思います。

美術館、図書館、劇場、コンサートホールなどは、世界どこの国でも客の割合は男女半々だが、日本は八割から九割が女性、あるいは若者だけとなっている、とおっしゃっています。

男どもはどこへ行くのか、ゴルフ場、スポーツランドか飲み屋、風俗関係・・。
政財官界、マスメディアも含め、デスク以上が行くところは、料亭や高級クラブ、自分の商売には何の益にもならず、役立つ情報も得られない。
でもって、一般大衆から遊離したところにしか行けない。
現場の若い社員の情報には耳も貸さない。
自分の一週間の仕事のローテーションをこなすだけで精いっぱい、ビジネス関連の本以外は読書もしない。
劇場、音楽界、美術館など、一生に一回か二回行けば良い方・・。
テレビもニュースかスポーツ番組以外見もしない。
世の中がどう動いているかわからない。
ハードの時代はすでに終わり、ソフトの時代に突入しているのに気がつきもしない。

すごいです。ふだんから美輪さんが思っていることなので、矢継ぎ早に一気に書かれていました。

私が仕事をずっとしてきた中で、美輪さんが示した上記の“オッサン”以外にあたるであろう上司はせいぜい一人か二人でした。

地元の美術館から「田中一村」の企画展があるので、東京でのPRをする部署である私の職場に招待券が届き、それを各都市に持って行ってお知らせ方々配布するということがありました。
ついては、うちの部署からどなたか一度ご覧においでいただけるとありがたい、という話になり、いつも“つるんで”いる私の上司と部下が二人で出掛けていきました。

すでにNHKの「日曜美術館」などでも紹介され、話題を呼んでいた企画展でした。

帰ってきた二人に私が興奮して、「どうでしたか、一村の作品」と聞いたら・・

「ただ絵が飾ってあるだけだった」「何が面白いのかわからない」「見に行くやつの気が知れない」「5分で見てきた」・・だと・・。

美輪さんのいう典型的なバカ“オッサン”です。

どんなに早足で見てもあれだけの作品群は1時間では見切れないのに・・5分だと。
美術館内をジョギングしてきたのでしょう。

わるいけど、こんな人間の下で働いているのか俺は・・、とがっかりしたのでした。

そういえば、この上司、私の文書に対して「日本語が間違っている」と修正させようとしたことがありました。
私は、「いえ、私の使い方が正しい使い方です。辞書を確認してからおっしゃってください」というと、辞書を見て・・「あれ?最近意味が変わったらしい」だって。「前からずっとそうです」と思わず言っちゃいました。

中学生でも使わない間違った日本語を使っているその上司に「ちなみに毎月どのくらい本を読まれているのですか」と聞いたら「二年から三~四年に一冊、ビジネス書を読んでいるぞ」と自慢気でした。
「そうですか、私はだいたい月十冊くらいです」と言ったら、異星人を見るような目で見ていましたっけ。

話題がなんだか逸れましたが、ようするにそういうオッサンの文化への無理解がやがて日本の様々なことの衰退に繋がっていくのだ、ということが書かれた本だったのでした。

 

2023/05/28

「帰りたくない!/茶木則雄」を読みました。

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『帰りたくない!/茶木則雄著(本の雑誌社)』という本を読みました。
初出誌の「本の雑誌」と「週刊新刊全点案内」に掲載されたのが1992年~1997年ということで、30年も前の本になります。

ブックオフで200円にて手に入れたものですが、主に当時「本の雑誌」に連載されていたものだったということで、私は当時読んでいたかもしれないが・・覚えがない。

帯にも書かれていますが、本人は・・

家庭より遊びが大事と思いたい!

自他共に認める“ろくでなし”

酒も博打も大いにたしなむ できれば若い娘さんも、たまにはたしなんでみたい

家庭の団らんより、つねに遊びを優先させてきた

家族より自分が大事と公言してはばからない私である

・・などと言いたい放題で、行動はやりたい放題な著者でありました。

読んでいて最初は読者を笑わせようとしてほとんど“つくり話”なんだろうと思っていましたが、この本の途中で「そう思っている読者がいるかもしれないが、内容は“九分九厘”真実である!と、ご本人力強く宣言されております・・。ほんと、ろくでもない人なんだな、と思いました(^_^;)

義父が入院したとのことで、奥さんと現地病院で待ち合わせ、30分早く着いてしまったので財布には当時のパッキーカードが有り、残額も少しなので時間つぶしにとパチンコ屋に入り三時間以上もやってしまい、奥さんは怒りを爆発させます。

麻雀やって負け続け、金が無くとも誘いがかかれば徹夜で勝負。挙句に負けたうえに、帰りの電車で寝てしまい、その路線を寝たまま“三往復”する。

子供の楽器購入のために奥さんが下ろしてきたお金を、留守の間に“ねこばば”し、それでまたギャンブルに行く。そして負ける・・。
子供は泣くし、奥さんは怒り狂うしで最悪の状態。

などなど上記はまだまだ“軽い方”かもしれません。
家族には散々迷惑をかけていますが、そんなことほとんど何とも思っていません。

時代が時代なだけに、私が就職して初めての職場などにも茶木さんのような人はたくさんいました。
職場では、昼日中っから競馬や麻雀の話をしている先輩がいっぱいいた。
当時は土曜日勤務で、土曜日は競馬の話で仕事になんかならないような状況でした。

新人だった私は、「こいつら、どうしようもない」と思いましたが、先輩の命令とあらば、たいがいの言うことはききました。
そうでもしなけりゃ生きていけないような感じだった。
いい時代といえばいい時代なのかもしれないが、やる気はどんどん無くなりました。
あまり思い出したくない。

おっといけない、私の過去の職場はさておき、この最悪な人のお話しは、実に最低最悪の人間の話を本人が書いているわけですが、読者としては笑ってしまいます。
必ず失敗するのに、それに向かってどんどん行ってしまう、こういう人たちはそういうものなんですよね、私もそんな人たちを何人も何十人も何百人も見てきたのでよくわかります。
一番のハイライトは、奥さんの怒り爆発と著者茶木さんに与える懲罰です(^^;)

その罵詈雑言ぶりと、閻魔様に匹敵する懲罰の与え方も、あまりにも素晴らしいので、どうしようもない男どもにもぜひ読んでもらいたいと思いました。

以上です。

 

2023/05/27

映画「ウィ、シェフ!」を見て来ました。

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映画『ウィ、シェフ!Oui,Chef!(La Brigade)/2022年 フランス 監督:ルイ=ジュリアン・プティ 出演:オドレイ・ラミー』を見て来ました。

一流レストランで「スーシェフ」として働く主人公・カティ(オドレイ・ラミー)、自分のレストランを開くことが夢だったが、シェフとケンカして店を飛び出すところから物語が始まります。

それからは新しい職場を探すのですが、なかなか見つからない。
ようやく見つけたのは、移民の少年たちが暮らす自立支援施設でした。

まともな食材も機材も無く、“質より量”みたいな方針にがっかりするカティ。

施設長から少年たちを調理アシスタントとする提案を受けたところから物語は急変、急加速を始めます。

天涯孤独で、人づき合いが苦手なカティも変わりだし、少年たちも最初はまったく興味のかけらも無かったのに、どんどん料理にも作物の取り入れにも一緒に出掛けるようになって、料理の部門ごとにリーダーが出来てひとつのチームとして躍動し始めます。
このあたりが一番見ているこちらもうれしくて、輝かしいシーンが続きます。

 

 

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でも、18歳までに職業訓練校に就学できないと強制送還されるため、少年たちも施設の人たちも、カティも悩みは尽きません。

そこで少年たちに自分の知識と技術を伝え、一流の料理人として育て上げようというカティの情熱と、施設長が考えたカティを校長にした調理師専門コースの新設が浮かび上がり、やがてはテレビ番組にカティのチームのみんなが出演することになり、支援の声が上がり出すという・・感動的なストーリーの映画でした。

そして、この映画自体がとても自然で、力が入り過ぎていなくて、心穏やかに見ることができるものでした。

ちょっと涙ぐんでしまうところもあり、いい映画でした。
カティを演じたオドレイ・ラミーの演技も素晴らしかったし、少年たちは300人以上の若者からインタビューをして選ばれ、要するに“素人”なのですが、それがまた生き生きとして、泣かせる演技までするのでした。

見終わって映画館を出るときにもまだ何か幸せの余韻の残る映画でした。
来てよかった。

 

2023/05/26

毎日のように事故報告のあるダメカード

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先日もこのブログに書きましたが、国が必死に作れ作れと勧めているカード、連日の事故報告です。というか、ずいぶんと長い間報告を受けていたのに発表しなかったものも出てきました。

別人の住民票や戸籍記載事項証明が発行されたり、登録廃止した印鑑証明が発行されたり、保険証替わりになりますと言っておきながら、別人の健康保険記録と紐づけられていたり、年金などの受取り用の口座紐づけが全く違う人に紐づけられていたり、「ポイントが付きますよ、早くカード作ってね」と猫なで声でお願いしていた2万円のポイントまで別人に付与されていたこともわかりました。

こんなカードを作っているお店や銀行などがもしあったら、あなたはそのカードを作ろうだとか、使ってみようと思いますか?と大臣や国の担当者に聞いてみたい。

おそらくまだまだ出てくるでしょう。すでに判っていて発表の時期をどうしようかと困っているものもあるにちがいない。

で、事故発表時には所管しているデジタル大臣や、厚労大臣、総務大臣らの会見では、まるで“ひとごと”の話しぶりです。
「人為的なミスだ」などと説明して、操作した国民や自治体の責任であるかのような言い訳をしていますが、あんたらがトップなのだから、先ずは謝ることが大事なんじゃないのかと思いました。
そして、今、どういう問題がどういう理由で発生していて、今後どういう方法で問題を解決していくのかを説明するのが当たり前のことだと思いました。

もともと人為的にミスが起るようなシステムだから、次々と事故が起るのであって、システム自体の問題を解決せねばならないのに、まったくもって動きが悪い。

このカードは誰のために、何のために作られているのでしょうか。
国民の利便や幸せのためではないことは確かであることがいくらなんでももうわかったと思いますが、やたらとこういうものを他人に推奨したり、自分はもう作ったとか、自分は使っている便利だよ、などという人が周囲にいたら、そんな人には気を付けた方がいいと思いました。

 

2023/05/24

【はっPのアナログ探訪_0173: VENUS AND MARS / Wings ( LP )】

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ポール・マッカートニーがビートルズ解散後にソロとなり、やがてバンドを組み、それがウイングスでした。

当初は“荒削り”な印象の演奏でしたが、アルバム「レッド・ローズ・スピードウェィ」あたりから洗練されてきて、「バンド・オン・ザ・ラン」ではメンバー激減となりつつも、アルバムとしては成功し、そしてこの「VENUS AND MARS」です。

 

 

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新たにメンバーも加わり、ポールの音楽的な“閃き”が開花しているように感じたものでした。
様々な曲調のものがラインナップされ、ポールの“ポップ”ないいところも随所に出ていて、いいアルバムだと思いました。
アルバムジャケット内に、付録のようにシールや、ポスター大の写真が二つも入っていたりの大サービスです。
ジャケット自体も二つ折りで、内側にはカラーでメンバーの写真が・・。
「バンド・オン・ザ・ラン」が大ヒットしたので、このくらいの“わがまま”は軽く通ってしまったのでしょう。

久しぶりにアナログ・レコード盤で聞いてみます。

 

 

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最近は、いつもCD音源で聞くことが多いのですが、やはりレコード盤時代の作品なので全体的に各楽器の音が滑らかにつながっているような印象です。
それとポールのベースの音がとても良く聞こえます。
リッケンバッカーを使っている頃だと思うのですが、この楽器の音質の特徴もよく出ています。

コンサートを観に来ているような設定のアルバムの設えもポールらしく、懐かしい気分でいっぱいになりました。

 

 

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ポールのアルバム全体に言えることですが、意外とアナログ・レコードにも、デジタルの音源にもどちらにもマッチするような音作りがなされていると思います。
当時、特にデジタルをまだ意識していたわけではないと思いますが、きっとポールの好きなサウンドがどちらにも合うものだったのだと思います。

「バンド・オン・ザ・ラン」のアルバムについても、デジタル化した音源はとてもいいのです。

 

 

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今この「VENUS AND MARS」を聞いていると、当時は“キンキン”しているように感じた音が実にまろやかというか、角が取れた音に聞こえます。
キーボード(オルガンか)の音も、とても自然で丸みのある音です。
さらにウイングス特有のコーラスも流れるように、包み込むように、やさしく聞こえてきます。
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「ロック・ショー」「幸せのアンサー」「レッティング・ゴー」「あの娘におせっかい」(※あえて邦題のついているものは当時を思い起こして邦題で書きました。しかし、このアルバムのライナーには「レッティング・ゴー」は「ワインカラーの少女」とは書かれていません。シングル化されたときにこの曲については邦題が付けられたのかもしれません)などの曲が流れてくると、学生時代の自分に戻ってしまいます。
あの頃は、こういう曲が普通にラジオのスイッチを入れると聞こえてきました。
今考えると、とても贅沢な時代だなと思います。
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久しぶりにウイングスを結成したポールの絶頂期のアルバムを聞いて、ウキウキしてしまいました。

2023/05/23

「新聞記者 司馬遼太郎/産経新聞社(著)」という本を読みました。

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『新聞記者 司馬遼太郎/産経新聞社・著(扶桑社・発売)』という本を読みました。
司馬さんが、かつて新聞記者であったということは知っていましたが、どんな状況下で、どういう仕事をしてきたのか、約15年ほどあったその期間の司馬さんについて書かれた文献などにもふれてこなかったので、興味深く読みました。

そしてこの本は、司馬さんが戦後の混乱期に新興の新世界新聞や新日本新聞という今はもうない新聞社を経て、やがて産経新聞社に入り記者生活をしていた頃のことが書かれています。

記者というと、駆け出しの頃は事件を担当し、警察署などを回るのですが、司馬さんは宗教・大学などを担当していたそうです。
それも産経新聞時代から京都にいたので、西本願寺、東本願寺などを中心とした宗教関係の人たちや、京都大学周辺の学問・研究などの関係にも人脈が広がっています。

しかも、寺院や大学内に出来た記者クラブなどに出入りし、その間、多くの本も読めたし、研究することも出来たようです。
知識の塊のような司馬さんの話が何よりも面白い、というのが当時を覚えている人たちの記憶に残っていて、有名な作家などにも「その話をそのまま小説にしたらいいものになる。」などとアドバイスを受けたりしています。

また、その時代に司馬さんが“記者としてのあり方”を説いてくれた先輩二人に出会い、その考え方はずっと司馬さんの心の中にあったということもわかりました。

《新聞記者は、その無名性と新聞の公共性を武器に権力や権威の中枢に容易に接近して取材できる。そこで得られる情報の機密性、意外性は一般人の及ぶところではない。》

司馬さんの直木賞作品「梟の城」の主人公である忍者の行動は、そっくり新聞記者のそれではないかと思われると書かれていました。

出世も求めず、特ダネを取っても無名性の中にただ存在し、記者としての人生を淡々と生きる先輩を最後まで心から尊敬していた様子も書かれていました。

さらにエピソードとして大御所の作家が連載小説の原稿が間に合わず、連載が“落ち”そうになったときに、記者であった司馬さんが空いてしまった一回分をその作家がいかにも書きそうな書きぶりとストーリーで書いてしまい、そのまま載せてしまったエピソードも書かれていました。

その大御所作家が「著者病気のため」などと書かれて空白となった連載スペースを見ようと新聞を広げると、なぜか小説の続きが載っている。しかも面白い。

ということで、その作家は怒らず、「これはいったい誰が書いてくれたのだ」という話になり、司馬さんの筆力に驚いてしまったということです。

などなど、いろいろな話題と共に司馬さんの新聞記者時代のことを書いたこの本、面白く読みました。

 

2023/05/20

「何をしてもうまくいく人のシンプルな習慣/ジム・ドノヴァン」という本を読みました。

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『何をしてもうまくいく人のシンプルな習慣/ジム・ドノヴァン著 弓場隆訳(ディスカヴァー携書)』という本を読みました。

いつもならあまりこのような本は手に取らないのですが、ポジティブに考える方法や、立ち直る力を身につける、などの章立てや項目が気にかかりブックオフ去り際にこの一冊を加えました。

私にとってはちょっとショッキングなLineを受け取った直後にお店に入ったので、そのことが頭から離れず、思わず手に取ってしまった・・というわけです。恥ずかしい話、“うろたえて”いたのです、みっともない・・。

でも、この本で言っていることも一部参考に、自分が思っていることを正直に丁寧にLineの返信をしたら、私が思っていたような深刻なものではもともと無かったようで、結果としては良かったと思える顛末となりました。
・・・よかった。

さて、せっかくのこの本のご紹介なので、少しだけ私が気になった部分について書いてみます。

『私たちは解決のめどが立たない愚問を自分に向かって発している。たとえば、「私はどうしてこんな目にあうのだろう?」とか「なぜもっといい仕事(恋人)が見つからないのだろう?」といった具合。自分に向かってこういう愚問を発することで、幸福を阻害する。』

という部分でした。

答えを見つけようとしても心の中で堂々めぐりを繰り返し、質問の答えが見つからないというわけです。

「それを実現するために自分の取るべき行動は何だ?」という考え方をしなければいけないんですね。
私も今まで“堂々めぐり”的な自問をしていたことが多かった・・と思います。

ついでにもうひとつ。

マーク・トウェインの言葉を「人との関わりを築く」という章の最初に取り上げていたのが心に残りました。

『自分を元気づける一番いい方法は、誰か他の人を元気づけてあげることだ。』

という言葉です。

これは、わかるような気がします。
人を元気づけているうちに、自分自身も元気づけている・・というようなことはあると思います。

たまたま見つけて、あわてて買った本ですが、少し役立てることができました。
ああ、よかった。

 

2023/05/18

江本孟紀さんの「実は大したことない大リーグ」を読みました。

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『実は大したことない大リーグ/江本孟紀著(双葉新書)』という本を読みました。
2014年発行のものなので、大谷翔平選手はまだ日ハムにいる状態で書かれています。

タイトルは割とセンセーショナルな感じですが、大リーグについてそんなに「大したことない」とは書かれていません。
このタイトルを見て買ってみようという人をあてにした、たぶん編集者側が付けたタイトルなんじゃないかと思われます。

実際は大リーグの滑りやすく重いボールや固いマウンド、投手の投球フォームから肘を痛めることが多く、あのトミージョン手術を若くして受ける選手がいる(日本から行った選手もそうなってしまう)ということや、ウエイト・トレーニングに励むメジャーの選手と日本の選手は筋肉の付き方が異なるので、日本人は膝を痛める選手が多い・・などということが書かれいました。

またメジャーには、さらに3A、2A、1Aなどのリーグが有り、数百のチームが存在して、それぞれが利益が出るような経営をしていること、放映権料などの仕組みが日本とは大きく異なり、見習うべきことも多いというようなことも書かれていました。

ただ、大谷にはメジャーに行ったら投手一本に絞った方がいいとおっしゃっていて、まさか大谷が二刀流で活躍し、WBCまで制覇するとは・・江本さんならずとも誰も想像出来なかったのだな、とあらためて思いました。
それだけ、大谷選手がすごい選手なんだと今にして思います。

あとは、今でも江本さんはラジオの解説時などに言っていますが、メジャーの中4日で先発投手5人が投げるシステム、そして100球を境目にして降板する形はむしろ逆に投手にとってきついのではないかということを強調されていました。

当時のダルビッシュ投手も「中4日は絶対に短い。球数はほとんど関係ない。120球、140球投げても、中6日あれば靭帯の炎症も全部クリーンに取れる」と発言していることが書かれていました。
故障のリスクを考えると、メジャーもこのことを検証した方がいいのでは、と思いました。

あとは、プロ野球の地上波中継がどんどん減少していることの理由や、日本人スター選手のアメリカ流出が日本のプロ野球をつまらなくさせるのだ・・ということも書かれていて、江本さんは様々な問題点なども挙げていて、さらに解決方法まで書かれています。
実現はかなり難しそうだし、この本が出た時点から一向に変わったことはなさそうです。

ボールが異なる問題や、メジャーで取り入れられたピッチクロックなどの問題についてもこれからの野球は変化・変更への対応が大変そうです。

 

2023/05/17

自分はまったく使う気にならないカード

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最近の報道を見ていると、国がマイナンバーカードと呼んでいる(人に番号を付けておいて、“マイナンバー”と呼べとはなんとおこがましいことか。“ユア・ナンバー”なんじゃないの・・ということは制度が始まったときから言ってきたけど、誰もそう思わないのか?!)カードを使用して証明を取ったり、保険証として使用すると別人のデータが読み込まれて、別人の証明が出たり、保険証の対象者が別人になったり、挙句に登録廃止した印鑑証明まで発行されてしまったという・・。

保険証にいたっては、数千人単位で対象者を誤認する事故が起きているそうで、これは事故とかそんなことではなくて、システムそのものがまったく駄目なポンコツシステムであるということでしかないと思います。

その事故についての大臣の会見(所管の総務大臣もデジタル大臣も)は、まるで人ごとです。業者が悪いと言わんばかりだが、あんた達がトップなのだから、責任はあんた達にあるんだ、と、誰か会見場にいた記者で言える人はいないのかね。

他人の住民票には、その人の住所、年齢他住民の基本的な個人データが載っているし、戸籍の証明まで誤発行されたとのことだが、そこには離婚歴や実の父・母の氏名や、認知などしていればその事実まで赤の他人に見られてしまうのです。

印鑑証明は主に大きな契約をする時に使うわけですが、廃止したものまで証明書として発行されてしまうとどれほどの被害・影響が出るのか想像できないのか・・。

保険証に至っては、まったくの他人が紐づけられて病歴や使っている薬剤まで見られてしまうのです。こんなこと考えられない。

上記事故を銀行のカードに例えてみると、銀行のカードを使ったら、他人の通帳が表示されて“丸見え”になっている。
あるいは、すでに解約した通帳がまだ生きていることになっていて、本当は残高ゼロなのに通帳解約する前の口座から引き出しが出来たりしたらどうなるんでしょう。
そんな銀行を誰も利用しないでしょう。
それほどあやしいシステムのカードを「たのむから2万円あげるからマイナンバーカードを作ってくださいよ」と国はやってきたのです。

金を払ってでも作ってほしいということは、それほど“おいしい”ものが裏にあるということです。
だって、ほんとうに便利でいいシステムのカードだったら、頼まなくても皆が我先に作るでしょう?!

言いたいことは以上です。
何度も何度も、何百回もこのブログで書いていますが、「カードを作ったぞ」と周囲に自慢したり、「あんたはまだ作っていないのか」などと余計なお世話で国の片棒を担いでいるような人、少しは報道を聞いて反省した方がいいと思いますよ。

私は、ずっとカード作成について固辞してきたのですが、職場での上司の上司の上司から電話が来たり、直接説得に来られたりして「任意」であるはずのものを半ば強制的に申請することになり、カードは所有していますが、しまい込んで絶対に使わないようにしています。
そうでもしないと自分の個人情報が守れないからです、ポンコツシステムから・・。

 

2023/05/15

「歎異抄入門」という本を読みました。

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『「歎異抄」入門 ~無宗教からひもとく~/阿満利麿(あま・としまろ)著(河出新書)』という本がちょっと気になって読んでみました。

「歎異抄」そのものは学生の頃、教科書に出てきて耳にしていましたが、それっきりで、どんなものだろうなどと思うこともありました。
また、最近、休日の早朝にラジオを聞いていると、「歎異抄って何だろう」というような番組をやっていて、寝ぼけながら聞いてみたこともあり、本屋でこの本を見つけたときに、「よしっ、思い切って読んでみよう」と思ったわけです。

この本は、NHKのEテレ「こころの時代~宗教・人生~」で放送された「歎異抄にであう」がきっかけとなって生まれたものだそうです。
だから、ちょっと想像していたものとはちがって、歎異抄自体についてけっこう詳しく解説されていて、「生きていくうえでのヒントになるような言葉と出会えたらいいな」くらいの思いで買ってきたのですが、当てが外れた感じになりました。お勉強する感じなのです。

安易に読み始めたので、ついていくことが出来ない・・(^-^;

ただ、自分がなぜ「歎異抄」に“ひっかかった”か、というのは読んでいたわかったような気がします。

歎異抄に書かれている仏「阿弥陀仏」は、「五濁悪世(ごじょくあくせ)」という人間とその世界の悲惨のただ中に登場してくるということで、五濁悪世については、五通りに分けて説明されていました。
以下のとおりです。

一.戦争・飢饉・疫病が絶えない時代のひどさ。

二.思想の貧弱化、思考力の劣化。

三.人の考え方が自己中心を免れず、自己の価値観にこだわり、世界と人間をより深く考察する意欲が欠けていること。

四.人間自身の身体の資質が低下して、多病となり、精神もまた病む。

五.人間の寿命が短くなる。

どうでしょう、まったくもって“現在”の世界の状況、人々の状況だと思えませんか。
だから、歎異抄が気になって気になって仕方なかったのだと思います。
ラジオなどでも、そのエキスのような部分が語られていたからです。

煩悩についても書かれていて、人が生きてゆく上で不可欠の諸々の欲望が自分の都合に合わせてときに過度になる、という状態、それが「煩悩」ではないか、というわけです。
これについても「同感」です。

結局、読んでみて、今現在の私がまだまだ様々なことに“迷って”生きているのだということがわかりました。
それだけでも少しは読んでみた意義があったように思います。

難しい教えをわかりやすい事例で紹介している本もありそうなので、今度はそういうものを探してみようと思います。

 

2023/05/14

「夫婦という他人/下重暁子」を読みました。

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『夫婦という他人/下重暁子著(講談社+α新書)』を読みました。
いつものとおりブックオフにて安価購入(#^.^#)
読書人の雑誌「本」2017~2018年に掲載されたエッセイ「その結婚、続けますか?」を書籍化し、2018年に刊行されたものです。

下重さんの著書については、このブログでも何冊か既に読後感を書いていますが、私も自分の年齢が上がれば上がるほどその内容が身に染みてまいります(^-^;
今回は、『夫婦』という人類が永年にわたり形成してしてきた形態について、いつもどおり“ガツン”と書かれています。

全編に渡り、下重さんのどちらかと言えば現在社会一般で維持されている「夫婦」という形態に疑問を投げかけている考え方が綴られているのですが、その中で私が気になった部分をご紹介します。

「結婚生活の悲劇は、相手に期待しすぎるから起きる」

というものです。

下重さんは、人に期待しない・・を基本にしています。
家族、親や子や夫・妻も自分と違う人なのだ、と考え(私も近年このような考え方が強くなっています)、期待したら裏切られるのは当たり前で、いちいち傷ついていたのでは身が持たない・・と。

思いがけず向こうが何かをしてくれると、期待していないだけに余計嬉しい・・とも(^-^)・・そうかもしれない。

後半に入ってくると、夫婦でも互いに異性の別の人といろいろな関係を持ってもいいんじゃないか、とか、夫婦という形態の間で子供が出来なくてもそれはいいのではないか、とか、子供を育てる形態についても新たな考え方を書かれていました。

今のこの時代、様々な考え方、生き方、人との関係の持ち方、異性との関係の持ち方、あるいは同性でも同様のことが考えられるし、下重さんがここで書かれていることに時代が追いついてきた感があります。

LGBT関連の法案が与野党で揉めていて、「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」に変更しようとする議員などには考えも及ばない下重さんの考え方が書かれていました。
きっと、変更しようとする議員さん、「あってはならないことが起こってしまいました」という対応で差別をしても逃げてしまいたいんだろうというのが見え見えです。

そんなことがいっぱい書かれていた本ですが、NHK入局当時の一年先輩の野際陽子さんとの想い出なども書かれていました。
初めて知ることがたくさん書かれていて、驚いたり、なんだかしみじみとしたりもしました。

下重さんのかなり“力強い”語調にあふれた本、読み応えがありました。

 

2023/05/12

「好きになってしまいました/三浦しをん」を読みました。

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『好きになってしまいました/三浦しをん著(大和書房)』を読みました。
三浦しをんさんの最新エッセイ集です。

化粧品会社ハーバー研究所の会報誌や、VISAの会報、KITTE丸の内の配布冊子などに連載されたエッセイなどを集めたもので、割と気楽な感じで書かれています。

あまりに気楽な感じなので、三浦さんのふだんの飾らない感じ・・というか“自堕落”な生活が垣間見え、ちょっと呆れる部分(^_^;)もありましたが、それはそれで楽しく読ませていただきました。

けっこう植物が好きだなどと言いながら枯らしてしまったり、部屋に侵入してくる蟻と闘ったり、「芋煮合コン」に参加してみたいと言ってみたり、ありのまま、あるがままの三浦さん、ちょびっと幻滅も感じました(^-^;が、でも文章は面白い!

また、宝塚、EXILE一族、プロレスが三大エンターテインメントだという三浦さんがそれぞれのいいところを力説していましたが、完璧なステージ、我が心を圧倒して「こんな素晴らしいものを見せてくださって、ありがたい」と思わせるもの、有無を言わせぬ実力でなぎ倒し、ひれ伏させてほしいのだ!・・・という気持ちは私にもよくわかります(#^.^#)
私もそれらを求めて宝塚歌劇に通っているのです。まったく同じものを求めて。

そんなこんなで、お茶などで、のどを潤しながら読んでしまいました。
のんびり、ほっこりとした読後感でした。

 

2023/05/11

宝塚歌劇・宙組東京公演「カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~」を観劇してまいりました。

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宝塚歌劇・宙組東京公演『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~(アクション・ロマネスク)』を観劇してまいりました。
コロナ禍に入ってからは極力劇場に行くことを控えておりましたし、今回の公演もチケットも無く、あきらめていましたが、元宙組で現在他組に在籍している方からお声掛けいただきチケットを用意していただきましてトップスター真風涼帆(まかぜ・すずほ)さん、娘役トップの潤花(じゅん・はな)さんの退団公演ともなっている本公演の観劇なりました。
ありがたいです。

真風さんは5年以上トップにいたと思います。独特の男役像を創り上げてきた方だと思いますし、堂々の本格派トップスターになられました。

潤花さんは星風まどか(ほしかぜ・まどか)さんから娘役トップを引継ぎ、2年間くらい相手役をつとめられたわけですが、残念ながら私はコロナ禍の観劇を控えている状況が続き、このトップコンビの舞台を見たのが今回の退団公演が初めてとなってしまいました。
健康状態もずっと心配なことがあったため、仕方ありませんでした。

で、今回の「カジノ・ロワイヤル」は、あの「007」の映画を原作に、宝塚には“持ってこい”、さらに真風さんにも“持ってこい”の作品となりました。
舞台セットももちろん宝塚らしく素晴らしいものでしたし、宙組の“男前”ばかりの男役達のカッコいい立ち居振る舞いは見事!
組子全員の演技も文句なしっ!ストーリーも抜群、脚本・演出は小池修一郎先生なので間違いないっ!(^-^)

娯楽としても楽しめましたし、宝塚の舞台作品としての充実度にも大満足いたしました。

 

 

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真風さんは大人の男、そして女性に対する恋心の素敵な表現、アクションシーンも抜群で、見事に男役の“仕上げ”が出来たように感じました。

潤さんは、若くて希望に燃えて、それに加えて意志も強く、さらに真っすぐな恋愛感情をもつ主人公の女性を上手く表現されていました。とてもいい娘役トップだと思いました。

二番手男役、芹香斗亜(せりか・とあ)さんは真風さん演ずるボンドとカジノでも、諜報部員としても戦うのですが、いやもうカッコいいったらありゃしません(*^^*)
男役二番手という位置に7年以上置かれているかと思いますが、次期トップに決定されたようで、苦労が報われて本当によかった(*^-^*)

特筆すべきは、天彩峰里(あまいろ・みねり)さん。
悪役かと思いきや、悪と善側の間を行ったり来たり、立ち回って、謎めいているうえに自らの意志も強く、さらに可愛い恋心のようなものまで見せるという難しい役ですが、実に見事に演じられていました。

もうひとつ、長年組長をされていた寿つかさ(ことぶき・つかさ)さんも、この公演で退団されるという報があり、寿さんの登場シーンはさすがと思わせました。
またラスト、おまけのショーでもセンターで男役群舞をダンディーに見せてくれ、芹香斗亜さんが歌い終わるところに行って「宙組のあとはまかせたよ」というようなシーンもあり、そのときは万雷の拍手でした。
「すっしい」さん、今まで宙組を力強く、そしてやさしく見守ってくれてありがとうございました。

 

 

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最後の方では、退団するトップ二人のデュエット・ダンス、さらに真風さんがその後にソロでミラーボールの煌めきの中で踊るスペシャル・シーンもあり、涙が自然と流れました。

星組の若手だった時から頭角を現し、独自の男役境地に立った真風さん、素晴らしいトップスターでした。
奇しくも次期トップの芹香さんも星組で若手の頃から頭角を現わしていたのも同じ、組替えで宙組に来たのも同じ、きっとまた独自のトップスター像を見せてくれるでしょう。
トップ退団の寂しさと共に次期トップへの期待もふくらんだ観劇となりました。

 

2023/05/08

【南先生の玉手箱_0060_子ども時代にたくさんかかわること】

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私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
まだまだ続けますよ(*^^*)
今回は、平成17年11月に学校の通信文の裏面に書かれていた文章を活字化してみます。


以下、先生の文章です。

《子ども時代にたくさんかかわること》

図工、美術の研究会に参加して、いろんなお話しがあった。
子ども時代にあそびの中から学ぶ、身につくことは多い。ちょっと前までは、子どもは地域に広くみんなで普通にあそんだり、ものをつくったり、子どもの暮らしの中で道具の使い方や人間とのかかわり方など身につけて成長してきた。

今の子どもや若者がダメと言う言葉を聞くこともあるが、環境と関係が大きく変わった。
あそびを(造形あそび)とか言って、学校の授業に入ってきた車社会、不審者問題などから危機管理、安全指導のわくも多く学校の勉強や活動の中に指導の場面が多くなった。
大人社会が連携をとりながら望ましい子育て教育の方向性をさぐって新しい方針も出されるが本当のところどうなんだろうか。

毎日の学校に楽しく登校して嬉々として活動、感動を伝えてくれている目の前の子どもたちの表面を見ていると、大丈夫と思うことが多い中で、確かにものをつくる道具を使う力、集団で考える、また自分の気持ちでしっかり考えて行動するなど、子どもなりに身についているべきこと、大人になる準備として日常の言動を観察してみると、心配な面も多い。

図工、美術に限らず、すべての面において体験、体感、他人と多くかかわる面でそのチャンス、暮らしの場面が大きく変わった中に子どもが居る。

大人社会が子どもの生活環境をつくる。環境が人を育てる。図工や美術の時間が少なくなったと言っても、造形活動の場は限りなく広く暮らしの中にあるはずです。

先生方、毎日子供と共に楽しく表現や感動、体験を積み上げていってください。

できないじゃなくて、自分に必要な基礎・基本を知らないからできない。

※[研究大会図工の授業、造形活動の中で小学校の展開を見せてもらいましたが、みんないい顔、楽しくとりくんでいました。
子どもの可能性に対して大人側のかかわりが課題。
基本はいつの時代もそう変わらないものです。]


以上が先生の文でした。

相変わらずの中心からぐるぐる回る、目の回る文字の解読と、さらに句読点なし、改行無しの文章の活字化はものすごく大変でしたが、なんとか、たぶんこうだろうというところでアップしようと思います。

当時の先生の文を読んでいると、子どもの様々な遊びや活動の中で道具を使ったりする経験が乏しくなっている様子が感じられました。
また、学校としてやらねばならない仕事の中に社会的な事件に伴う危機管理なども入ってきて、ちょうどそういうことが問題となってきた頃だと思いますので、苦労が増えてきたんだろうな、大変だっただろうな、と思いました。
今となっては、もう学校だけでなく、社会全体が自らの通常の仕事以外に心配りしなければならないことが増えているように感じます。

 

2023/05/07

「日本を腐らせたいかがわしい人々/適菜収」を読みました。

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『日本を腐らせたいかがわしい人々/適菜収著(ワニブックスPLUS新書)』という本を見つけて読みました。

最初に申し上げておきますが、私はこの著者をこの本を書店で見つけるまで存じ上げませんでした。
なぜこんなことを冒頭に書くかというと、このブログを読んだ人や、Facebookなど SNS 経由でこの文を読んだ人から「お前はこんなやつの書いた本を読む人間か?!」などというコメントが入ったりするからです。

私は、初めてお名前を知る人でも、いつも嫌いだと思っている人でも、好きな人でも、本は色々読みます。読まなければその人が何を言いたいのか、言おうとしているのかわからないからです。
なので、たとえ嫌いな人でもその人が何を言いたいのか知ろうとして本は何冊でも読みます。

今回はまったく存じ上げない著者ですが、本のタイトルや帯に書かれているセンセーショナルに見える宣伝文句を見て「読んでみよう」と思ったので読んでおります。

まずは、それをはっきりさせた上で読後感を書いてみます。

ひとつは安倍元首相が山上哲也という犯人に銃撃されたことについてですが、この本で言っている“いかがわしい”と思われる人からよく聞くのは「山上容疑者を英雄視する人が多くいる」という指摘です。でも、そんなこと言っている人なんて私は一人も知らない。
犯罪は犯罪で、罪人は罪人です。

この本が言っているように事件の原因は「家族を破壊した統一教会に対する私怨」だと思うのです。政治的テロだとか、民主主義への挑戦だとかというのとは異なるものだと感じています。

テレビなどの報道を見聞きしていても、「統一教会の話題はもうやめようよ」という人がたくさんいたし、宗教の自由の問題にしようとしている人もたくさんいました。
それらの人たちの発言をこの本では取り上げて“いかがわしさ”の論拠を示していました。

LGBTの問題についても、あの総務大臣政務官を辞めたあの人の発言を拾っていますが、「国が自治体などに少子化対策、子育て支援に予算をつけるのは、生産性を重視しているからで、生産性のあるものとないものを同列に扱うのは無理がある。これは差別ではなく、区別である。このままでは被害者ビジネスに骨の髄までしゃぶられてしまう。」というのがその最たるもので、このような人を抜擢した人たちについても“いかがわしい”人として書かれていました。

また性暴力被害を公表した被害者に対しても、その被害者への中傷投稿に二十五回も「いいね」を押しているという・・(東京高裁で有罪判決が出ている)。

この本では、上記の政務官を辞めた人などは“トカゲのしっぽ”です。
次から次へと現行の政治家達、あやしいコメンテーターなどの名が“いかがわしい人”として挙げられています。根拠を示して。

こういう本を読むのもいいと思いました。
ほとんどのメディアは腰が引けていて、しかもなんとかしてWBCや大谷選手の活躍報道などを増やして風化させようとしているかのように日々過去の問題となったことについての報道が少なくなっているからです。私だって“浮かれて”忘れてしまいそうです。忘れちゃいけないんですけど。

ということで、本屋さんで見かけたらちょっとだけ、誰の項でもいいからチラッと見てみるといいと思います。
そうだよなぁ、あの人、こんなこと言ってたけど、この発言は無理があるとか、空っとぼけているなどと思い出すと思います。

とりあえず読後感はこのくらいにしておきます。

何か言いたいことがある人については、コメント不要です。
ご自分のブログやその他SNSで持論を発表なさってください。

 

2023/05/06

文藝春秋の「巻頭随筆・百年の百選」という本を読みました。

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『巻頭随筆 百年の百選/文藝春秋編(文藝春秋)』という本を読みました。
創刊100周年を迎えた月刊誌『文藝春秋』の創刊号から続いている企画「巻頭随筆」での数ある寄稿の中から選び抜かれた100篇を掲載したものです。
実にページ数は414頁に渡っておりました。

内容は様々。

橋本首相当時の行政改革で、省庁が再編され、その省庁名について国民が日々親しみ、誇りを持てる国家行政機関となるのにふさわしい名称を考えてほしいという尾崎護国民金融公庫総裁の文が載っていて、私も今や“こんなんなっちゃいました”という名称も有り、私も深く同感した生真面目な文も有りました。

かと思えば、読売新聞グルーブの渡邉恒雄氏の文は最初から最後まで自分と日テレの社長だった氏家氏の出世街道自慢話に終始するもの・・誰がこんなの読みたがるのか・・自分だけだろう・・というような文も有りました。

浅田次郎氏が小説家になったきっかけ、子供の頃の担任の先生から「君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい」という言葉がずっと心に残っていて、結局小説家になった話・・どういう気持ちで先生はそんなこと言ったのか・・。

山村紅葉さんがかつて国税局の調査官だった話。
かつての習慣が今でも抜けずに、電話では自分から名乗らないし、頼まれもしないのに、レストラン・バーではテーブル数や回転数、キープされたボトルの銘柄などから客単価を思わず計算してしまう自分に気付く、などの話題が面白かった。

専門的に過ぎてあまり興味を持てない話や、単なる家庭の“グチ”など、玉石混交という感じを持ちましたが、逆にそれが“箸休め”的な効果を出していて、ついに400ページを読んでしまいました。

イモトアヤコさんや、長嶋茂雄さん、小池真理子さん、加藤一二三さんなど、多彩な顔ぶれの執筆陣ということもあり、誰でも気軽に読めるような設えになっていました。
ちょっと“お茶しながら”読み切ってしまいました。

 

2023/05/05

映画「銀河鉄道の父」を見てきました。

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映画『銀河鉄道の父/2023年 日本 監督:成島出 原作:門井慶喜 出演:役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、田中泯、坂井真紀』を見てきました。今日が上映初日でした。

原作となった門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」は、直木賞受賞作ですが、私はまだ読んでいない作品で、この映画で初めて作品にふれることになりました。

で、見てよかったです。
ほんとうに映画らしい映画でした。セットもロケ地も撮影も(ランプの灯りの下での撮影がかなりあったが実に画像がよかった)、多くの人が参列する葬儀・火葬のシーンも素晴らしくよかった。

存命中は作品の評価がまだなされていなく、自分というものは何者だという状態の宮沢賢治の苦悩と生き方を演じた菅田将暉さんは、もう賢治が憑依しているのかと感じるくらいの演技でした。

また、賢治の父を演じた役所広司さんも父としての威厳と、自分には理解できない賢治の行動に“うろたえ”たり、実は賢治の作品に感動している状態でもある複雑な存在である役どころをベテランらしく見事に演じていました。もう、驚くくらい。

また、賢治の妹・トシを演じた森七菜さんも、たぶん苦労されたであろうことは想像されますが、心打つ演技を見せてくれました。
亡くなるシーンではもう私は涙がこぼれ、我慢できなくなりました。
庭に降る雪の美しさが、より哀しさを増しました。

賢治が亡くなるシーンは、原作とは大きく異なったものになっていたそうですが、菅田さん、役所さんの迫真の演技に私の涙の在庫が一挙放出されました。
周囲でもすすり泣きの声が聞こえていました。

役所さん(賢治の父)が菅田さん(賢治)の手を取り、「雨にも負けず」を暗唱するところは、監督が最後までこれでいいのか迷ったシーンらしかったのですが、最高のシーンになっていました。

また、これも原作には無かったそうですが、亡くなった賢治とトシが乗っている汽車に父である役所さんが乗り込んできて、親子ではないような会話をするファンタジーなシーンが挿入されていて、これもとても良かったと思いました。

いい映画を見られて幸せな気分になりました。

 

2023/05/01

「まちがったっていいじゃないか/森毅」を読みました。

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『まちがったっていいじゃないか/森毅著(ちくま文庫)』を読みました。
1981年に刊行されたものの文庫化です。

著者、森毅さんは1928生まれの数学者で、エッセイや評論にもファンの多かった方だそうで、2010年に亡くなられています。
私もお顔はたぶんテレビなどで何度もお見掛けしたことがあると思います。
今回、ブックオフで見つけて、初めてご著書を拝読いたしました。

40年も前の本ですが、書かれていることには今でも納得できるというか、共感することが多く、しかも平易な文章がとてもわかりやすくて親しみやすいものでした。

書かれていたことの多くは、《人と同じでなくともよい》《世間一般で言われている正しいあり方のような生き方をしなくても人生どうにかなる》などということだったと思いました。

また《男はこうあらねば、女はこんな風でなければ》みたいなことも気にせんでいい!ということも書かれていたと思います。

つまり“型どおり”生きていくことについての“つまらなさ”を書いていて、きっちり「これはこう、あれはそうすれば」みたいなことでなく、その間のところを行ったり来たりするような生き方、勉強の仕方、人との付き合い方が“程よい”のだということなのでした。

著者は戦争も経験していて、その時の人々の様子についても、自分がその時思ったことなども書かれていますが、終戦によってまったく逆のことを世間が言い出して、それこそ「こうあらねば」ということが一時にして崩れてしまったことを目の当たりにし、“揺れ動く”人々の生き方、動き方、自分の心模様を正直に書かれていました。

2023年の今、やはり「こうあらねば」みたいなことを言う人が多く、反対意見に対してはとても気が短く、大人げない様子を見せる人が多いと私は感じています。

なんだか“きな臭い”のです。今の政治状況、社会の状況。
この本に書かれていることが今また社会で起こっているんじゃないか、と危惧することになったのですが、選挙の投票率も低く、政治に関心のない人が多く、黙って見過ごしている間に“何事か”が着々と進行しているように感じてうすら寒くなりました。

 

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