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2023/06/29

永六輔さんの「老い方、六輔の。」という本を読みました。

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『老い方、六輔の。/永六輔 構成・矢崎泰久(飛鳥新社)』という本を読みました。
平成16年発行のこの本は、永さんとはあの「遠くへ行きたい」という有名なテレビ番組の時代から付き合いがあった「話の特集」編集長の矢崎泰久氏がインタビュー形式でまとめたものとなっています。

読んでみたら、けっこう内容は“濃い”ものでした。
永さんが幼かった頃に病弱で学校に行けず、病院で過ごしていた頃から始まり、その後の疎開先でのいじめを受けたことについて、様々な時代を経て、やがて奥さんを看取ったことから「死」を考えることになり、「死」についても多くの頁を割いて書かれています。

そして今度は自分が亡くなるまでをどう生きるか、どう死ぬか、までを永さんらしくどんどん語って行きます。

また、言葉についての発言も多く、言葉に込める思いが手紙・葉書となって毎日ラジオのリスナーや手紙をくれる人達への年間何万通にもなる「心の通い」となって投函している話も出てきます。

近年、手紙の配達は土日が休みとなり、その週に相手方に手紙が届くようにするには水曜日までに投函せねばならなくなりました。
手紙というものが郵便事業の一番たいせつなものなんじゃないか、と日頃思っていた私には、もう紙に書いた「言葉」はそんなに大事なものではなくなってしまったのだな、とがっかりしていた矢先に、上記の永さんの日々手紙を書くお話しを読んで、・・大事なことだったんだよな、としみじみ思うことになりました。

永さんと言えば旅の話も、もちろん書かれていました。
日本全国いろいろなところに行っていますが、家に帰るのは“旅の合間”だったらしく(^^;)奥さんにはたまに会うみたいなことだったらしいです・・ちょっと信じられませんが、旅先から奥さんには葉書を送っていたとのこと。
旅先か家か、どっちが生活の根拠かわかりません(^-^;

で、奥さんが亡くなられてからも、旅先から奥さんあてに葉書を出していたとのこと。
それを自分が帰宅したときに郵便受けから受け取るわけですが・・どんな気持ちなんだろう。

と、あれこれ書いてしまいましたが、最後には“かかりつけ医”の大事なこと、どういうふうにお医者さんと付き合うか、なども書かれていましたし、自分の具体的な最後についても淡々と書かれていました。

私にもいろいろと心に残る部分がありました。
永さんの本、まだまだストックがありますので、また読みましたら読後感を載せようと思っています。

 

2023/06/28

宝塚歌劇・雪組東京公演「Lilac の夢路/ジュエル・ド・パリ!!」を観てきました。

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宝塚歌劇・雪組東京公演『Lilac の夢路(ミュージカル・ロマン)/ジュエル・ド・パリ(ファッシネイト・レビュー)』を観てきました。

この公演は、雪組の新しいトップ娘役の夢白あや(ゆめしろ・あや)さんの東京宝塚劇場お披露目公演となります。

演目は、ミュージカルの「Lilac の夢路」とレビューの「ジュエル・ド・パリ!!」です。

「Lilacの夢路」は、19世紀初頭のドイツが舞台。
騎士道の精神を受け継ぐドロイゼン家の兄弟の物語なのですが、長男はトップの彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さんが演じます。
新しい産業である鉄道産業を発展させることを夢み、五人兄弟がそれぞれの分野で一定の地位を築いていく中で力を合わせることによって事業を成功させようとするストーリーです。

 

 

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兄弟それぞれが自分の仕事や健康、女性との関係などで悩み、人の苦悩とその中で夢を実現していくことの大切さなどが描かれていましたが、物語の中でやがて主人公の恋人となる新トップ娘役の夢白あやさん、快活で、でも当時の女性の社会での処遇に悩む複雑な女心をうまく演じていました。滑舌もよく、歌もきりっとしていてとても良いと思いました。

主演、彩風さんは宝塚各組トップの中でも独特の存在感がありますが、ますますそれが磨かれてきたように思います。
誰もが応援したくなる真っすぐで男らしいが、時に繊細なところを見せてくれる独自キャラ、容貌の美しさも加えて、もう堂々と新しい“彩風スタイル”の雪組を創り上げてきたと感じました。

それを支える朝美絢(あさみ・じゅん)さんは、これまた男役ながら眼も醒めるような美しさで兄となる彩風さんを支えながら、でも嫉妬してしまう役どころを大人の演技で魅せてくれました。

さらに和希そら(かずき・そら)さんの男気がありながらも心根のやさしい和希さんそのものともいえる人柄を堂々と、そして繊細に演じられていました。もう雪組には欠かせない存在になりつつあります。

専科からの美穂圭子(みほ・けいこ)さんは、謎のストーリー・テラー的な役割を歌を主体に演じてくれて、さすがの説得力ある歌唱を聞かせてくれました。

ストーリー展開にまったくスキがなく、常にドキドキしたり、わくわくして希望を感じたり、恋の展開にこちらも悩ましくなったり、苦難を乗り越えてのラストシーンにも喜びがこみ上げ、満点の舞台でした。

ショーは、雪組の組子たちを「宝石」に見立てた美しいパリのレビュー。
ここでもトップコンビは美しさと煌びやかさ、歌唱もバッチリで、豪華で素敵なレビューとなっていました。

そこにきて、朝美絢さんはパリの雰囲気横溢な身のこなしと、歌唱をキメて、雪組は盤石状態でした。

そして、ダンスでグングン雪組を引っ張っていく和希そらさん。
ショーではその存在感が一段と増していました。

最初から最後まで次々と展開される圧倒的なレビュー、心ゆくまで堪能いたしました。

こちらでも美穂圭子さんの歌唱がフィーチャリングされ、より格調高いショーとなり、全体を見渡しても、いわゆる“中詰め”が何回あるんだろう、と思うほど随所で盛り上がり、こちらもミュージカルとともに満点の出来だったと思います。

いいもの見せてもらいました(#^.^#)

 

2023/06/26

あのカードについて普通の人間でもこれくらいは心配する

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新聞を見たら、内閣の支持率が急落しているそうです。
その大きな理由のひとつには、毎日報告されているマイナンバーシステムの不具合があるでしょう。

私のような一市民でもちょっと想像しただけで様々な不安を感じる事象が発生しています。

顔認証を使っている医療窓口の方々が事前に顔認証のシステムを自分達のカードで試したら別人でも入れてしまったとのこと。これじゃカードの意味がないし、投薬や医療・医師の判断が間違えたり、大きな混乱を今後招くことになりかねません。

口座の紐づけが別人に紐づけされた事象が多発しています。
現状のシステムでは、口座紐づけは誰の口座でも入力できてしまいます。
それは氏名のフリガナについてデータを保有していないからです。突合ができないのです。
住民票については、整理上必ず出生届時にフリガナが登録されているのだから、それを元々利用すればよかったのに、そんなことも考慮されていないということは、まったくシステム当初からやる気がなかったことがわかります。

ということで、今のままでは、自治体等からの給付金が別人に振り込まれてしまう事態も発生してしまいます。

ポイント付与についても別人に付与されているケースが多発しています。
論外です!

漢字氏名についても、「邊」など何種類かある文字については代替文字を使用している上にその処理は自治体窓口で手作業で行っている。住所についても統一した文字の取り扱いが出来ておらず、様々な不具合が発生していることが報道されています。

「世帯」についてのデータも保有していないので、誰と誰が同じ世帯に住んでいるかわからないし、当然「世帯主との続き柄」についても把握していないので、夫や妻、子、父母など関係性がわからないので、個人のみのデータしか保持しない現行システムは、各種給付についても利用するデータが少なく、“デクの棒”状態です。

病院等医療機関ではカードを使った認証さえ出来ずに支払が10割になってしまった人がいる。
これじゃ医療機関は受付だけで大変な時間と労力が掛かってしまう。
さらに別人の保険証に紐づけされた人が多発している。他人の病状が見えてしまったり、間違った投薬が行われる可能性まで出てきました。
窓口には「なるべく保険証もお持ちください」と書かれた貼り紙・・泣けてきます。

年金記録が別人と紐づけされて他人の年金情報が見えてしまう現象も発生しています。
こんなこと考えられないが、それを言っただけで怒り出すマイナンバー信者がいるので間違いを間違いと言えない空気も出てきました。次から次へと問題が出てくるので、対応できなくて“逆ギレ”するのです。手に負えない。

マイナンバーカードを持っていない人の方が住所異動等の手続きは何倍も早いという現状についての報道も無い。メディア側にもいろいろな忖度があるのか。

マイナンバーカード署名用電子証明書の有効期限は、カードそのものの有効期限である10年ではありません。
半分の5年なので、その時点で役所に更新に行かねばならない。
これも知っている人は案外少ないのではないでしょうか。

もうちょっと詳しくいうと

カード取得時には以下4つのパスワードを設定し、覚えなければならない。

①署名用電子証明書暗証番号(数字とアルファベット混じりで6桁~16桁)インターネットで電子文書を送信する際、文書が改ざんされていないかを確認するためのもので、電子申請(e-Tax等)、民間オンライン取引等に利用する。

②利用者証明書電子証明書暗証番号(4桁)インターネットを閲覧する際に利用者本人であることを証明するためのもので、コンビニ交付サービスの利用、行政のWebサイト(マイナポータル)民間のWebサイト(オンラインバンキング)等へのログインに利用する。

③住民基本台帳用暗唱番号(4桁)住民票コードをテキストデータとして利用するための暗唱番号で、住所変更、氏名変更の際にカード情報を更新する際に利用します。

・・もうわかんなくなってきたでしょ。

④券面事項入力補助用暗唱番号(4桁)個人番号や基本4情報を確認し、テキストデータとして利用するための暗証番号で、パソコンで個人番号や氏名住所を確認するためのに使用(勤め先など)するものです。

これらを決めて、それぞれの利用機会に入力が必要となります。
・・正気の沙汰ではないと思いませんか。いい大学を出た役人が考えるとこんなになります。このくらい覚えとけってことか。

これだけ、いろいろ自分で設定させられたにもかかわらず・・・

住民票等の証明が他人のものが発行されてしまう不具合が出た。

登録廃止した印鑑証明が発行されてしまった。

などの考えられないことが起こっています。

今、巷で心配されているのは、口座の紐づけから辿られて口座の凍結、強制的な徴税などがあるのではないかなどということ。ちょっと怖いです。

マイナンバーの規約上は政府は勝手に個人の情報をのぞいて良いと正式に謳っているので、人の懐をあてにした投資の勧めなどもされてしまうのでは、と言っている人もいる。

さらに、これも正式に謳われているが、マイナンバーシステムの不具合により生じた損害については、一切補償しないと声高らかに言っていますので、もうやり放題です。
マイナポイントを貰った人たちは自分の個人情報を2万円で売り払ったわけです。ご愁傷さま。

もっと気になることを言っておきますか。

運転免許証は本人確認によく使われるが、マイナンバーカードと一本化すると、現在カード券面から顔写真や氏名・住所・生年月日・性別の内いくつかを見えなくしようと検討しているので・・それによってカードのみで本人確認が出来なくなります、たぶん。

ついでに免許証の更新時期とマイナンバーカードの更新時期の差をどうするのか、二回別々に更新に出掛けるのか。

券面からの情報が少なくなった場合、交通取り締まりの警察の担当者はカードの読み込み装置をいつも持って歩くのか。
そもそも運転免許証を持っていなくて本人確認に使えるものがないと困っている人にはマイナンバーカードはもってこいですよ、というキャッチフレーズ自体が意味の無かったことになってしまいます。

現在でも携帯電話の通信網や、インターネットの通信網など予期せぬ停止が発生しているが、マイナンバーシステムの通信網が停止した場合、病院も警察も、さらにその他紐づけしようとしているシステムを利用しているサービスが日本中で停止してしまい、社会の機能が麻痺してしまうが、その際の緊急対応をどうするのか。考えていないだろうなぁ・・。

最後に、マイナンバーシステムがハッキングを受けた場合、あらゆるものが紐づけされていると、これまた日本中の機能が停止してしまうのではないでしょうか。
そういったセキュリティーについて十分対応をしているとはとても思えません。
システムは個々にバラバラに存在して活かしておいた方が安全ではありませんか。

以上がちょっと5分ほど頭の中で想像したことです。
単なる一老人市民でもこれだけ考えられますし、心配しています。

総点検をする部署をつくったと大威張りしている首相、大臣他関係者・・・点検しても新たな不具合が発見されていくだけで、それをいくら修正していっても、不具合が出ている原因の改修作業にはなりません。
一旦システムを停止して、根本的な改修方法を検討するのが一番大事だと一市民の私でも考えます。
どこまでお偉い人たちは考えているのでしょうか。
ほんとうに不具合、事故の報道を聞くと暗澹たる気分になります。

 

2023/06/25

「文豪の凄い語彙力」を読みました。

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『文豪の凄い語彙力/山口謠司著(新潮文庫)』を読みました。
もうねぇ、いつもブックオフの100円コーナーです(^_^;)

文豪と呼ばれる方達が使われる言葉にはいつも読んでいて「これは!」と思うような、その表現にはぴったりだと思うもの、聞いたことがないがなるほど絶妙と思うもの、ここでこれを使うか、というような“目から鱗”的なものなどがあります。
この本はそういうものを集めたものでした。

〇すっぽり飯

永井荷風が「一人ッきりの、すっぽり飯はいやだな」と、使っています。
私はまったく知らなかった表現ですが、「すっぽり飯」とは、「汁、湯茶をそえないで食べるご飯、またおかずなしで食べる飯」のことをいうそうです。江戸の言葉だとのこと。
一人きりの寂しい食事の様子を表すのにはたしかに持ってこいな表現だと思いました。

〇生中(なまなか)

内田百閒先生が「貧乏の絶対境は、お金のない時であって、“生中”手にはいると、しみじみ貧乏が情けなくなる」と使っています。
「生中」は中途半端で具合が悪い感じを表すとのこと。
この言葉、私がまだ就職したての頃に使っている先輩がいました。
「なんか、いい感じに言いたいことがわかる面白い言葉だな」と、当時感じたことを思い出します。

〇岨(そば)

島崎藤村が「木曽路はすべて山の中である。あるところは“岨”づたいに行く崖の道であり・・」と使っていたものが例示されていました。
「岨」は、険しい場所を一語であらわすものだそうです。
これも明治生まれの老人が、私がまだ子供の頃に使っていたのを微かに覚えています。
やはり“感じ”が出ていて、良い言葉だな、と思いました。

上記、三つほど気になった言葉を挙げてみましたが、近年、私の語彙はますます減っていくばかり、そして周囲を見回しても全部「ヤバい」で片付けるような人も多い、そんな中、小説を読んだときにでも『いい言葉』に出会って、出来ればそれを使ってみたいな、と思いました。

 

2023/06/23

桂文珍さんの「落語的学問のすすめ PARTⅡ」という本を読みました。

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『落語的学問のすすめ PARTⅡ/桂文珍著(新潮文庫)』という本をブックオフで見つけ、読んでみました。
平成2年に刊行されたものの文庫化で、実に33年前の本です。

文珍さんに関西大学から声が掛かり、講師として講義を行っていたときの文字起こし本です。
パート2となっていますので、パート1も当然あったのだと思いますが、ブックオフの棚にはこれしか無かったのでこの一冊を購入いたしました。

関西大学の生徒に落語とはどんなものだという話を時代的にも遡って語り、この頃文珍さんは40歳の誕生日が来たという話をされているので、とても若い!なので、落語の効果音に三味線などの旧来のものからシンセサイザーを使っていたことが書かれていました。

時代は冨田勲さんがシンセサイザー(※ピンクノイズとホワイトノイズをミックスして音を自分で作るアナログシンセサイザー時代)を使った音楽で世界的に話題になっていた頃です。そのことも講義の中でお話しされていました。

ハーモナイザーや、エミュレーターなども併せて使っていたようで、今なら数万円から数千円で出来ることを、アメリカから機器を買い数千万円かけて落語をやっていたようです。
すごい人だなと思いました。
ついでに男はクルマなどの“機械”的なものが好きなのですが、文珍さんは飛行機の操縦免許までこの頃取得しています。
何かに夢中になると一気にいってしまうタイプの人のようです。・・私もそのような側面が少しありますが・・。

講義中、話題はあちこちにどんどん“すっ飛んで”いきますが、ちゃんと最後には話が元のところに戻ってくるのです。
しかもなぜ話題が関係無いところに飛んでしまったかが、わかるように組立られています。
アドリブ的な話ばかりなのに、頭の中で数十分の話の構成が話しているのと同時に組み立てられていることに驚愕しました。

ものすごい頭の回転の早さ、そしてどんどんギャグに結びつけていくところ、さらにその話の中に人生の機微というか、生きていく上で大事なことなどが散りばめられていることに、ただただ感心し、驚いたのでした。

文珍さんの落語は数十年前に大阪に行った時にグランド花月で聞いたきりです。
そのときは結局落語としては語らず、まだ世間的には話がもれていないが、さんまさんが結婚する・・と、観客がどよめくような話をされていました。
その数日後に大竹しのぶさんと結婚したのですが、けっこう話しちゃうものなんだと思いました。こわいものなんて無い頃だったのかもしれません。

一件、のんびりしているような雰囲気の師匠ですが、ピリッと辛口な講義、楽しく読めました。

 

2023/06/22

宝塚歌劇・月組 東急シアターオーブ公演「DEATH TAKES A HOLIDAY」を観て来ました。

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宝塚歌劇・月組 東急シアターオーブ公演「DEATH TAKES A HOLIDAY」を観劇いたしました。
私が応援している雪組生の方の同期が出演していて、ご配慮いただき運よく観劇できました。

コロナ禍以降、月組を観る機会がなく久しぶりです。
この公演は、2011年にオフ・ブロードウェイで初演され、その後ドラマディスクアワード11部門にノミネート、モーリー・イェストン氏(ファントム、グランドホテル、タイタニック、ナインなどの音楽を作曲)が作詞・作曲を手掛けています。
日本初上演が宝塚歌劇という運びとなりました。

久しぶりに月組を見て驚きました。
全員、歌が上手いっ!(*^-^*)
それに奇麗で美しくて、上品で、極上のミュージカルに出会ったという印象です。

月城かなと(つきしろ・かなと)さん、海乃美月(うみの・みつき)さんの“大人”のトップコンビは歌も芝居もひとつ上のレベルにいる、と感じました。

時代は第一次大戦後、戦闘、飢餓、スペイン風邪のパンデミック後の1920年代。
月城さん演じる死神がロシア貴族になりすまし、イタリア貴族の侯爵家にやってきて、束の間の“ホリデー”を楽しむうちに、人はなぜ生きようとするのか、死とはなにか、人生とは、愛とは・・と考えるうちに海乃さん演ずる侯爵家の娘に出会い、その美しさと瑞々しい生命力に満ちた姿に魅了され、侯爵家以下登場する人達は大変な騒動に巻き込まれていく・・という物語でした。

 

 

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トップお二人は、堂々のトップスターという感じ。歌・演技・身のこなしなど何の心配もなく、うっとりと見惚れました。文句なしです。

侯爵を演じた風間柚乃(かざま・ゆの)さんと執事を演じた佳城葵(かしろ・あおい)さんがお二人でドタバタと笑いを取りながらストーリーテラー的に物語を進めるのですが、お見事でした。会場はお二人の一挙手一投足に笑ったり、心配したりで一気に物語の中に入り込むことができました。

侯爵夫人の白雪さち花(しらゆき・さちか)さんは娘を心配し苦悩する演技も、そしてもちろん歌も抜群でした。

夢奈瑠音(ゆめな・るね)さん、蓮つかさ(れん・つかさ)さんのお二人もシリアスだったり、コメディタッチだったりの演技も良く、さらにお二人ともソロで歌われるシーンはさすがと思わせてくれました。

彩みちる(いろどり・みちる)さん[※そうだ月組に組替えになっていたんですよね]は、専科の英真なおき(えま・なおき)さんと老夫婦を演じ、ラスト近辺のお二人の演技と歌唱では思わず涙するほどの素晴らしい演技を見せてくれました。
この人はほんとうに演技をするために生まれてきたかのような素晴らしいものを見せてくれます。

きよら羽龍(きよら・はりゅう)さん、白川りり(しらかわ・りり)さんらも歌と演技でこのミュージカルを奥深いものにしてくれました。月組、層が厚い!

コロナ禍で宝塚観劇はなかなか出来ずにいましたが、この月組のミュージカルは、あらためて宝塚歌劇の素晴らしさを感じさせてくれるものでした。

月城さん、海乃さんの素敵なトップコンビの作品、また観に来たいです。

 

2023/06/20

映画「青いカフタンの仕立て屋」を見ました。

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映画『青いカフタンの仕立て屋(The Blue Caftan)/2022年 フランス、モロッコ、ベルギー、デンマーク 監督・脚本:マリヤム・トゥザニ 出演:ルブナ・アザバル、サーレフ・バクリ、アイユーブ・ミシウィ』を見ました。

モロッコ、サレの旧市街、海沿いの町にある小さな工房でカフタンと呼ばれる結婚式やフォーマルな席に欠かせない、コードや飾りボタンなどで華やかに刺繍された伝統衣装をつくる職人と、その奥さん、若い弟子のお話しでした。

舞台となっているモロッコの首都ラバトと川一本隔てた古都、サレ。コーランが響く旧市街の市場や大衆浴場、カフェ、食卓に上がるタジン料理などの映像を見ているだけで素顔のモロッコを感じました。

また、色とりどりの滑らかなシルク地に刺繍を施す繊細な手仕事のクローズアップ、伝統工芸の美しさと、登場人物三人の“不思議”だけど濃厚な時間がこの映画の見どころでした。

 

 

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主人公の職人ハリムは、夫を誰よりも理解して支えてくれる妻ミナと暮らしていますが、ミナは病に侵され、余命わずかとなってしまいます。
妻をいたわり、最後の時間を大事にするのですが、実はハリムは男性を愛することもあり、弟子として入ってきた若い職人ユーセフとの関係もだんだんとわかってくるのです。

でも、「愛したい人を愛し、自分らしく生きる」という愛の物語になっていき、三人はミナの病状もあり、やがては一緒に住むことになり・・そこからはこの不思議な愛の物語をぜひ映画館で見ていただきたいと思いました。

上映時間は二時間もあり、ヘヴィーなシーンもけっこうあるので、精神的にもちょっと強いものが必要かもしれませんが、「愛する人にありのままの自分を受け入れてもらう」という美しいテーマが貫かれていて、良い映画だと感じました。
カンヌ映画祭や、アカデミー賞などでも部門賞を受賞しているとのことで、LGBTQ+に関連する法律を通したばかりの日本の議員さんたちにも見てもらいたいと思いました。
あの後退に後退を重ねて出来た法案に賛成した議員さんたちには理解不能なんじゃないかな・・。

ラストシーンは胸に沁みました。多くの人に見てほしいと思いました。

 

2023/06/18

「アガワ流 生きるピント」を読みました。

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『アガワ流 生きるピント/阿川佐和子著(文藝春秋)』という本を読みました。
ブックオフで古本として購入、2021年発行のものですから比較的最近の本です。

内容は、仕事、恋愛、家族、生活について読者からの悩み事を人生相談的に阿川さんがお答えするというものです。
もちろん阿川さんが答えるのですから、ラジオなどでやっている「テレフォン人生相談」のような弁護士さんやその他専門の先生方がお答えする回答とは異なって、阿川さんの人生経験からくる独自の不思議な説得力ある回答が返ってくるのでした。

読んでみて、意外と阿川さんの回答は“実戦的”だと感じました(^^;)

妙に相談者に対してやさしい声も掛けないし、自分が若い頃はこうだった、とか、厳しい結果を覚悟しつつこうしてみなさい、だとか、けっこう私も参考になりました(^_^;)

家族が認知症になったりだとか、介護が必要になったときなどの実際に直面する実例なども挙げられていて、かなりその部分などは真剣に読ませてもらいました。私にもいつ直面する事態かもしれない。

あと、話はちょっと逸れますが、今のマイナンバーカードの不具合というか、事故というか、不祥事というか、こういう事態のとき、上に立つ人の姿勢はこうでなきゃいけない・・ということも、かつていろいろなリーダーと言われる人達にインタビューした経験から書かれていた部分があって、私もそのとおりだと思った部分がありました。

かつてパナソニックで、石油温風器による事故が起きた際の当時の社長のとった態度、行動について書かれていたのです。

すべての商品コマーシャルを中断させて、ユーザーに回収を促す告知CMに切り替えた。
そしてその実行が速かった!
「すべて回収するまで通常のコマーシャルは出しません」という決断をよくぞなさったと感動した阿川さん。

社長の中村氏にインタビューすると、「誰でも失敗するんです。大事なのは失敗したあとの処置。そこで躊躇したらダメですね」とおっしゃったとのこと。
どこぞのデジタル大臣に聞かせてやりたい。

「社内外のコンセンサスを取ってからとか、マスコミに漏れないようにしばらく伏せておこうなどと、姑息なことは考えない。まっすぐに堂々と即座に立ち向かう。トップは誰もが肝に銘じておくべき覚悟だと思います。勇気がいりますけどね。」

「システムの信頼になんの揺らぎもない」だとか「ヒューマンエラーによるもので心配ない」だとか言っている人がいますよねぇ、上記の社長さんの言葉、よく噛みしめて、自分の拙い行動に照らし合わせてみるといいと思いますよ。

というわけで、ちょっと脱線しましたが、阿川さんの人生相談本、興味深く、そして楽しく読ませていただきました。
よい本でした。

 

2023/06/17

横芝光町のギャラリー『笑虎』が閉められることになった。

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私の中学時代の担任で美術の先生「南隆一先生」から電話があり、先生も三十年に渡り年末に個展を行っていた会場である横芝光町にある『ギャラリー笑虎』がこの6月26日で閉じられることになった・・とのことでした。

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私も三十代半ばに先生と再会し、その後は長い付き合いになる中で、このギャラリー笑虎は思い出がたくさんあります。
先生の毎年少しずつ変化する作品にふれるのがとても楽しみだったし、この長屋門型の古い日本家屋のギャラリーを建てた棟梁が自分の建てたこの場所でハーモニカ・コンサートを開いたこともありました。

ハーモニカ・コンサートの最中に大きな地震があり、観客は騒然となりましたが、棟梁から「ジタバタしなくていい、俺が建てた家だ。びくともしない!」との言葉に皆、笑顔になったあの瞬間も思い出しました。

 

 

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先生の教え子であり、私の中学の一年後輩にあたる古今亭菊輔師匠の落語会もギャラリーで行われたことがありました。
爆笑の会場に私もいましたが、後輩なのに貫禄ある堂々とした噺家ぶりに感動したことも思い出します。

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最近では、私がこの笑虎に出掛けた際に、なぜか閉まっていてその日は定休日の旨貼り紙がしてあり、中を覗いてみても明かりもついていなかった。
しかし、そのあと別の場所で先生に会い、「おかしい、今日は開いているはずだ」と電話すると、私が行った時間には開いていてもちろん明かりもついて、お客さんもいた・・という恐怖の出来事もありました。

実は今回、訪れるのも最後になってしまうだろうと、カメラを持ってきてギャラリーを撮影しておこうと思ったのですが、カメラはどうやっても作動せず、やっと動き始めたかと思うと絶対にピントを合わさせない・・という事象が発生しました。
今回掲載している写真はその後仕方なくスマートフォンで撮ったものなのです。スマートフォンは動いた・・。

たくさんの思い出のある、いい会場でした。
あのハーモニカの棟梁が建てた立派な長屋門型のギャラリーは、やってきた人達の記憶にずっと残ると思います。

 

2023/06/16

「わしの眼は十年先が見える -大原孫三郎の生涯-/城山三郎」を読みました。

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『わしの眼は十年先が見える -大原孫三郎の生涯-/城山三郎著(新潮文庫)』を読みました。

これもいつもどおりブックオフで手に入れました。
タイトルにある大原孫三郎という名を見て、あの大原美術館の・・と思いました。
大原美術館には二度ほど行ったことがあるのですが、公のものではないのに、あのコレクションの充実ぶり、素晴らしさには驚いたものでした。

その大原美術館を設立した大原孫三郎という人について書かれたものでしたが、いやもう疲れました、読んでいるだけで。

大地主で小作人を多くかかえる家に育ち、東京に勉学のために行っても、その育ちと財力に目をつけられ、悪い友達?にいいように金をせびられ、大変なことになったり、家に連れ帰られても思想、宗教関係、志を持って孤児を何百人もかかえる人などに関わり、お金はジャブジャブ出ていくのです・・。

それでも地方の一紡績会社を有数の大企業に成長させたり、社会思想の研究機関を設立したり、地元倉敷に東洋一を目指す総合病院を建てたり、いわずと知れた世界に誇る美術の殿堂「大原美術館」を設立したりと、まったくもって休むことも、ひるむこともなく突き進む人物であったことがわかりました。

ずうっと夢を見続ける人ってたくさんいるかもしれませんが、この人は“度を越えて”夢の中に生きているという印象でした。
社会的存在であること、社会的良心を持つことが人生であり、それをゴールとして突っ走った人であった・・と思いました。
次々と艱難辛苦が襲いかかりますが、それを苦労だなどとも感じていないようでした。
だから、読んでいるこちらが“疲労困憊”してしまう(^^;)のでした。

一気呵成で怒涛の人生を感じつつ読了いたしましたが、こういう人ってもう日本には現れないだろうな、と思いました。
志のある人というか、志が低すぎるお金持ちばかりの世の中になり、社会には希望というものが見えません。

政治家でなくとも、立派な志の人、私の残りの人生で見ることができるのだろうか、と思ったのでした。

 

2023/06/14

ポンコツだけど怖ろしいカード

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まだまだ出てくる、毎日出てくる、「マイナンバーカード」の誤登録や、不具合、年金情報などの他人への情報漏洩、口座のひもづけ誤りなどなど・・。
それを謝る大臣たちの謝るというよりも怒っている(^_^;)ような会見はなんでしょうね?!
いつも威張っていて、謝ったことがないからあんなんなっちゃうんでしょうね。

例のデジタル庁担当大臣は、「今後はもう誤登録は起こりません」と言い切ってしまい、まったく根拠のないものだと誰もが思っていると存じます。
逆に誤登録などの問題が今後発生したら、デジタル庁の職員は大臣に報告しずらくなりました。それにより報告が遅れ、さらに後手後手に対応することになってしまいます。

最初っから氏名の「読み仮名」のデータを住民登録から取得しておけばよかったのに、それがなくて口座名義人と登録者のひもづけチェックが出来ず、あらたに漢字から読み仮名を推測するアプリケーションを作製し、チェック出来るようにするという・・考えられない金と時間のムダを本気でやろうとしている。キラキラネームなんか読み仮名推測できませんよ、住民登録されている読み仮名を今でも接続されている住民基本台帳データから取得すればいいだけです。
まったく仕組みがわかっていない人をエラいところに据えてはいけないということが如実にわかってきました。
あと、個人だけでなく世帯の把握と続き柄(夫、妻、子、父、母、子の子など)も住民記録から取得しないと様々な国民へのサービスシステムを有効に動かすことは出来ないでしょう。今は、それが無い・・。

年金情報や、個人の医療情報まで別人のものが見えている事故についても、もしこれが企業のカードだったらその企業は倒産しますよ、何をぼやぼやしているのでしょうか。

そもそも国民全員に個人番号はもう振られているのだから、カード無しでも保険証と個人番号をひもづけさせてしまえばそれで今政府が言っている「医療の向上」は出来ます。
わざわざせっかく出来ている保険証の制度を廃止する必要もなく、個人でカードを取得したうえに面倒な作業もすることもないのです。

さあ、なんのためにカードを作るのでしょうか。ITゼネコンやマイナンバーカードの取り扱いをしている天下り先の団体などに大金が流れ、政党への寄付もそこから何億も来ているとのことです。
ゼネコンから下請け、孫請けなどに中抜きされた金が回り、仕事はズサンになり、そして今の体たらくです。東京オリンピックみたい。

またマイナンバーカードがここのところ多くのものとひもづけされようとしています。
医療や年金、個人口座、やがては買物や読書歴、人そのものの移動履歴・・・カードを持たされた人間は何を考えるかというと、自分の行動や財産、病歴、思想その他あらゆるものが権力者から見えているのかもしれないという疑心暗鬼です。

これがこわいのです。監視していてもしていなくても、国民は自分の行動や発言について遠慮したり、控え目になったりしていくことになります。
それも狙い目のひとつですよ。
もっとも権力者になれば、人間というものは呆れるほどその地位保全に全力を注ぐので、大量のデータを保持していれば、それを見て利用したくなるのは当たり前です。
どこかの国を見てもそうでしょう?!

たぶんマイナンバーカードというシステム、制度は破綻すると思われ(すでに現在の状態が破綻しているが)ますが、注意しないと国民は多額の税金を使われてこのポンコツシステムを維持させられ、財産も口座も思想信条までもが抑え込まれることになります。
もっとこのことをはっきり言える議員はいないのかね、しかもシステムの欠点を技術的な面からも指摘できるような人は。
それが国民のために動いてくれる国会議員だと思うのですが。

きょうの言いたいことは以上です。
みんな何をおそれて言いたいことを言わないのか、そんなことを思いつつ書きました。

 

2023/06/11

遠藤周作の古い講演の活字化「人生の踏絵」を読みました。

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『人生の踏絵/遠藤周作・講演(新潮社)』を読みました。
これもブックオフで見つけたのですが、1960年代から1970年代にかけて、作家の遠藤周作氏が自らの著書とキリスト教についての講演について活字化したものです。

発行が2017年になっていますので、近年、遠藤氏原作の「沈黙」がマーティン・スコセッシ監督で映画化された際に古い講演で「沈黙」などの作品について語っているものを長い年月は経ていますが、活字化したものと思われます。

遠藤周作さんについては、私は中学・高校時代に愉快な「狐狸庵シリーズ」などのエッセイをよく読みました。シリアスな文学としては、「沈黙」と「イエスの生涯」他数点を当時読んだきりです。

バラエティー番組に回答者として出演している時もユーモアあふれる人でしたが、この講演でも内容はシリアスなものながら、所々に(爆笑)と添え書きのあるようなユーモアも交えながらの講演であったことがわかります。

何度も遠藤さんは書かれていますが、キリスト教作家などと言われるが、「キリスト教はいいよ」だとか、本文の筋がキリスト教礼賛の結論に向けて動いていくようなそんな作品を書いているわけではないことと、作品「沈黙」の中で踏絵を踏んでしまう人物について書かれているように、大変な局面で踏絵を踏んでしまうような人、そのときの人間の心の中、葛藤や、その他去来するものについて・・それが自分が書いている作品の大きな部分を占めている、というようなことが講演で語られていたと私には読めました。

ようするに、キリストが、宗教が、なんらかの助けをしてくれるわけでなく、道の方向を示してくれるのでなく、その極限的な状態にするっと入り込んできて、自分というものを見つめるきっかけのようなものになる・・というようなものなんじゃないかと書かれていたと私には読めました。

そこで、ハッと思い出したのは、ジョン・レノンがビートルズを解散して出したソロ・アルバムの中の曲「GOD(神)」で、「神というものは、私たちが自らの“痛み”を感じるときの“物差し”のようなものだ」と歌っていることでした。

似ている感覚なんじゃないか、と思いました。

私たちが人生の中で様々な苦悩を抱え、傷つき、苦悶し、自らを見つめなおすときには何らかの指標のようなものがそこに存在していると、私も今までに何度か感じてきました。
それがこの講演で語られていたことの中にあったのではないか、というのが今回この本を読んでの一番の感想です。

ジョンもビートルズ時代を経て、ソロになり、自分のことを赤裸々に語る曲を作るにあたって、あのような歌詞が生み出されたのではないかと思いました。

いつも本を読むと、今まで霧がかかっていたようなことが少し見えてきたりします。
それが私の読書するときのモチベーションとなっているのです。

 

2023/06/10

映画「テノール! ~人生はハーモニー~」を見て来ました。

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映画『テノール!(TENOR) ~人生はハーモニー~/2022年 フランス 監督:クロード・ジディ・ジュニア 出演:ミシェル・ラロック、MB14、ロベルト・アラーニャ』を見て来ました。

主人公アントワーヌ(MB14)は、ラップが趣味で下町に兄と住み、寿司のデリバリーのアルバイトをしている青年。
配達先のオペラ座でレッスン中の生徒に見下されたときに、思わず仕返しにしたオペラの歌真似がなんとプロも驚く歌唱力と美声!

教師のペラ(ミシェル・ラロック)は、その場でほれ込み、再度出前をアントワーヌに頼んでやってきたところでスカウト。
そこからは、少しずつオペラの魅力にひかれていく主人公の今までのラップを中心とした下町の仲間やガールフレンド、兄などとの関係がおかしくなって悩みが深く、大きくなってしまうのでした。

 

 

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主役を演じたMB14は、ラップの技術もさることながら、オペラのテノールとしての歌唱も見事なところを見せてくれて、とても驚きました。
本人役で出ているロベルト・アラーニャのテノールの歌声にも見劣りしません。

旧来の友人や兄との関係悪化に伴う苦悩の中、熱心に指導してくれる先生ペラとの関係まで“ぎくしゃく”してきて、どうなるのだろうと思っていると、最後はクライマックスのオーディション・シーンでの熱唱が大きな感動をもたらしてくれました。

心が熱くなる素晴らしい音楽映画でした。
この映画も見てよかったと思えるいいものでした。

 

2023/06/09

すごいタイトル「妻がどんどん好きになる」を読んだ。

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『妻がどんどん好きになる/梶原しげる著(光文社)』という本をブックオフで見つけ、あまりの“衝撃”のタイトルに驚き、買っちゃいました^_^;

梶原さんは、私の認識ではラジオ局のアナウンサーであった頃の印象が強く、のちにテレビなどでも局の枠を越えて活躍をされ、やがてフリーになり、かなり忙しい日々を送られていたことがこの本を読んでわかりました。

そして上記のようにあちこちで引っ張りだこになった梶原さんは、仕事一筋の生活に突入してしまい、奥さんや子供たちを“ないがしろ”にしてしまった・・ということが書かれていました。

さらにマンションを買い替えたりして住居も移転することを繰り返したりもしたのですが、奥さんが黙っていることをいいことに“やりたい放題”だったとのこと。
よくある仕事ばかりが人生のほとんどを占めているような男になってしまったのでした。

そして、奥さんが大病を患い、一緒に病院に行くと先生から「あなたは一緒に暮らしていて、奥さんのこの状態に気づかなかったのですか。何をしていたんだ。」と叱られてハッとし、そこから今まで奥さんが自分をはじめ家族のためにどれだけ苦労してきたか、文句のひとつも言わず頑張ってきたか、いつも世間的なことに疎かった自分を支えてくれたのは奥さんだったと気づくのでした。・・読んでいて、「遅すぎる」と思いました、私(^_^;)

それからは、仕事も生活も変えて、奥さんとの時間を大事にする様子がいろいろなエピソードを含めてたくさん書かれていました。
手をつないで歩くなどしたこともなかった梶原さんは、今では病気で足元がおぼつかない奥さんをささえ、病院その他一緒に出掛けます。

新婚当時よりも、奥さんが好きだと思った・・と書かれていて、「そうか、それでこんなタイトルだったのか」と思いました。

我が家でも、梶原さんのところとは逆に私が倒れ、入院し、半年もかけてやっと普通の生活ができるようになり、その後は一進一退の状態が続き、今も良くなりはしましたが、時々体調を大きく崩すことがあります。

私は、仕事でIT部門に異動になったときに、一日中キーボードを打っていたら両手の皮膚がボロボロになってしまったことがありました。ずっとプラスチックに接触していたのが良くなかったとお医者さんから言われたのですが、その後も両手は治りはしたものの、時々ひどい状態になっていて、最近妻が、朝のひとときに手をクリームをつけてマッサージしてくれるようになりました。

おかげさまで、かなり状態は良くなったのですが、毎日妻が私の手を握っていることがとてもいいことなんだと気づきました。

梶原さんが日々奥さんと手をつないでいることで、夫婦間の大事なものを感じているように、私も似たようなことを感じているのです。

全国の仲のいい夫婦も、そうでない夫婦も、たまには手を握り合うことをおすすめいたします。きっと何かを感じると思います。

この本のタイトルを見たときに、梶原さん、大丈夫か?!と思ったけれど、大丈夫じゃなかったのは私だったのかもしれない。

 

2023/06/08

「墜落!の瞬間 -ボイス・レコーダーが語る真実-/マルコム・マクファーソン」という本を読みました。

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『墜落!の瞬間<THE BLACK BOX> -ボイス・レコーダーが語る真実-/マルコム・マクファーソン[編著]山本光伸[訳](ヴィレッジブックス)』という本をブックオフで見つけ、読んでみました。

要するに記録資料として残されている旅客機等のボイス・レコーダーの音声を聞いて、今までに起こった航空機事故の真実の様子をまとめたものです。

28件の事故についてボイス・レコーダーの音声を文字に起こしているのですが、その中にはあの日本航空123便(御巣鷹山にジャンボ・ジェットが衝突したあの事故です)の事故記録も入っていました。

様々な事故の様子について読めば読むほど個々の事故原因はそれぞれがそれぞれに異なっていることに驚きました。

飛行機を“洗機”して、そのとき計器にデータを送るセンサー部をマスキングして行い、洗った後にそれを外し忘れ、翌日の離陸前の外観点検でもチェックがもれてしまい、離陸後に計器が全滅、速度も高度も方向も乗員は把握することなく最後まで努力するのですが、墜落、というような気の毒な事故もありました。

着陸前に乱気流が一定の高度で発生していると、管制から連絡があり、十分に注意して着陸態勢に入ろうとしたにもかかわらず、ダウンバーストのような急激な乱気流で墜落してしまった事故。

機長、副操縦士、客室乗務員、皆がリラックスして安定した航行をしていたのに、突然エンジンが壊れ、落下、残りのエンジンも不調を来すという最悪の状態に陥り、機内が地獄のような様相になってしまった事故。

航行中に機器の不調を感じ、マニュアルを副操縦士が読みながら必死に対応する様子なども克明に書かれていました。

もっとひどいものには、航行中の火事や、経年劣化・金属疲労などの原因から客室の天井が飛んで外れてしまった事故などもありました。

いずれも機長、副操縦士、航空機関士などがなんとか冷静になろうとしながら、必死の対応をしているものばかりで複雑な気持ちで読むことになりました。

ほんのちょっとした「うっかり」・・が大事故に・・というものもいくつかありました。
規模はまったく違いますが、自分がクルマの運転をする時にも「だろう」運転や、「油断」した運転、「調子に乗った」思い上がりの運転など、注意しようと思いました。

「人類への戒め」がたくさん例示された本でした。

 

2023/06/07

トラブル続きのカードもシステムもいらない

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毎日毎日、トラブルの報が出てくるマイナンバーカード、今度はデジタル庁にカードと紐づけされた口座が本人以外のものであり、還付手続きが出来ない事象が発生していた(2月の時点で)のに、報告が無かったと大臣が会見していました。

その間、何の対策もせず、今に至り謝罪の会見となりますが、どう見ても「私に報告が上がって来なかったのだから私のせいじゃない・・」と言っているようにしか見えませんでした。
報告も出来ず、対応・対策も取れない組織となっている責任は一番上にいるアンタにあるんだ!と、報道メディアの人で言えるような気概のあるジャーナリストはいないんでしょうかね。

私が把握している2年ほど前でも、マイナンバーシステムは、通信容量も足りないし、処理能力も著しく低く、操作性は数十年前のシステム並みのものでした。

またシステムは家族の把握が行われておらず、個人単位でしかデータの紐づけが出来ない、氏名の「フリガナ」のデータも保持しておらず、これが口座との紐づけ時に誰の口座でも紐づけされてしまう結果を生んでいるし、もともとそれが入力出来てしまうシステムの設計自体がお粗末です。

また、氏名の「漢字」についても、市町村などのシステムはきめ細かくデータを持っているが、マイナンバーシステムでは、渡辺さんの「辺」なども数十ある文字パターンをつかさどることが出来ず、代替文字処理を職員が手作業で行っている。
高橋さんの「高」でさえ、いわゆる“ハシゴダカ”も認識できないし、マンション名などに使われる「Ⅱ」や「Ⅲ」なども処理出来ず、職員が手作業で代替処理している。

証明書の出力も別人のものが発行されたり、廃止した印鑑証明まで出てしまったり、保険証についても別人と紐づけされ、猫なで声で「ポイントあげるからお願いですカード作って」と懇願していたのに、全くの別人にポイント付与したりの事故も発生している。

こんなポンコツカード、どうやって信用しろというのでしょうか。
皆、もっと怒った方がいいと思うけど、自分に被害が及ぶまではのほほんとしているのかもしれません。・・人に被害が出たということは、自分への被害がすぐそこにやってきているということですよ。

カードを作るのは任意だと言っておきながら、保険証無くしちゃうけど、カード無いと困るよ、保険の資格証明でしのごうとしたら、お医者さんで余分にお金を取っちゃうよ・・って、こんな“あこぎ”なやり口は“堅気”の人がすることじゃないでしょう。

国民全員に番号は振り終えたのだから、システム上だけで色々な処理や業務、作業をやったらよかろうに、何がなんでもカードを作らせようとするのは、その裏に「たくらみ」があるのだな、というのはどんなオトボケさんでもわかると思います。

個人情報(口座情報を含め)を“されるがまま”の状態にして売り払う(たったの2万円分のポイントと引き換えに)のなんか、まっぴらごめんです。

何度も何度も何度も書いていますが、ひどい目に遭ってからでは遅いからで、国が作った規約を見てみると、「明らかに重大な過失が認められない限り、国は責任を取りません」と明記されています。重大な過失をあの大臣を見て認めるとは誰も思わないでしょう?

ということで、単なる一市民においてもこれくらい普通に考えているのだという記録を残すため書いてみました。

これでまた三年後に「新マイナンバーカード」を作るぞとアナウンスしています。
今でも自分のお尻を拭くことが出来ないお粗末な人達が、三年後にいいもの作れるはずがないでしょう。

 

2023/06/06

横尾忠則さんの「死なないつもり」を読みました。

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『死なないつもり/横尾忠則著(ポプラ新書)』を読みました。
いつもどおりにブックオフで見つけ、格安購入、2016年刊行の本なので横尾さん80歳の時のものです。

齢を重ねた横尾さんですが、突発性難聴になったり、身体のあちこちが痛かったり、しんどかったりするのは80歳ともなれば当然のことであると思います。
でも、それを“受け入れ”て、戦ったり、克服しようとしたりせずに、そんな状態で何か新しいことができるかも・・という、いわば自然体なのが横尾さんの生き方だと思いました。

「完璧をめざすのではなく、あえて未完にする。未完は明日に続くものだから。」

という言葉も、そうか、そう考えれば「できなかった・・」と悔やむこともないんだな、と思いました。

「美術鑑賞に知識も決まりもありません。夕焼けを眺めるように しばらく絵の前に立って、胸を開けばいいのです。」

これは、私が美術館やいろいろな個展などに出掛けたときにいつもそうしていることでした。
展示されている絵そのものをろくに見ずに、添えられている説明文を熱心に読んでいる人が美術館に出掛けるとよくいますが、まず真っ先に絵の前に立ち、自分が何を感じるかがたいせつだ、といつも思います。

「一日のうちで何もしない無為な時間をどれだけ持てるか。ムダを悪徳と思うような現代において、これは大変に贅沢な過ごし方だと思います。」

いまや「コスパ」から「タイパ(タイム・フォー・パフォーマンス?!)」だなんて言って、ぼんやりする時間などをムダだと思う人がいるようです。もっと人生楽しく、豊かに過ごした方がいいよって、いつも思います。

「病気や怪我は、変化を巻き起こす風のようなもの。その変化を面白がることで、僕はなんとか生き延びています。」

これは、私も今まで生きてきた中で何度も倒れたり、入院したりしていますが、そのたびに身体にも心にも変化が起きて、ある意味“あきらめる”ことによって別の道を見出したり、人生への考え方そのものが変わったことがありました。
病気や怪我をしたことによるマイナス面をいつまでも引きずるよりも、その後の状態で何ができるかを考えた方がよいのだ、とその都度思いました。

横尾忠則さんの動向はいまだ気になります。
ご自身のTwitterや、著書、作品などに今後もふれていきたいと思いました。

 

2023/06/05

【The Beatles 研究室・復刻版】Please Please Me[A-3]Anna (Go To Him)

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。一部修正を施してはいますが、ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。十数年以上前の文なので細部の表現・事実関係についてはお見逃しください。
今回は、デビュー・アルバムに収録されていた曲でジョンがボーカルを取っている「Anna(Go To Him)」の記事を復刻します。
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アーサー・アレキサンダーという黒人R&Bシンガーのカヴァー曲です。
この曲は1957年という説と1962年という説があってはっきりしませんが、アメリカでリリースされた曲で、ベスト40にもはいらなかった曲だったそうです。それをビートルズが見事にオリジナルかと思うくらいの出来でカヴァーしました。

特筆すべきはジョンの歌手としての実力で、どう聞いても風邪気味の声でコンディションが悪いのに、瑞々しい歌唱です。
しかも、録音時には22歳くらいだったと思いますが、大人の歌い方で、なかなかここまで歌い込める歌手はいないというくらい、哀愁まで漂わせています。
すでに、デビューアルバムにして、一級品の歌手としての実力を示しています。

この時点では、ポールにかなり水をあけている状態だったと思います。ただ、初期の曲だとジョンかポールか判別できないような歌いっぷりの曲もあり、この曲では語尾がちょっと舌足らずな感じがポールにちょっと似ています。そりゃ若いですから仕方ないかもしれません。

ビートルズは仮に作曲能力が無かったとしても、このジョンのボーカルとポールとジョージのコーラスで、コーラスグループとしてだけでも、きっとヒット曲は4~5曲は飛ばしていたのではないかと思います。
コーラスグループとしても卓越した実力を持っているのが、R.ストーンズなど他のロックバンドとの違いだと思います。

この曲でもポールとジョージのコーラスが入っていて新人グループとしてはなかなかの出来です。

ギターはジョージが低音弦をたぶんピックで弾き、高音弦を指でパラランと弾く奏法を見せてくれます(これもカントリーの大御所チェット・アトキンスの奏法を使ったらしいです)。
ポールはまあ普通のボンボンベース、ジョンはアコースティックギターのJ-160Eのようですが、よく聞こえません。

ただ、リンゴはこの曲独特のリズム(のちのラバーソウルでの「イン・マイ・ライフ」でも聞かれる“ズッ・タ・ド・・・タ・ドン・ドン”と聞こえる)をちょっと心もとない感じで叩いています。
イン・マイ・ライフでは、切れの良い素晴らしいリズムキープだったのですが、わざとジョンの心情が良く出ている曲の内容に合わせてたよりなく叩いているとは思えないので、このリズムは人からこうしろと言われて叩いたのか、自分でこうしようとして、未消化だったのかどちらかではないかと思います。
しかし、オカズの部分は素晴らしい切れで叩いています。

※このリンゴのドラムに関しては、下記の追記でオリジナルのアーサー・アレキサンダーの録音からそのドラム演奏を聞いて新たに知ったことが出て来ましたので、そちらもご覧ください。

だだのカヴァー曲ではなく、ジョンのシンガーとしての実力とビートルズの引き出しの深さを示した曲であると思います。


〈追記〉2023/06/05

この曲についても、ホームページ作成後にリマスター音源や、BBCのライブ音源が出ていますので、それらと、オリジナルのアーサー・アレキサンダーの音源も入手していたので併せて聞いてみます。


アーサー・アレキサンダーのオリジナル音源

メキシコ盤CDが手に入ったので、聞いてみました。
ドラムのリズム・パターンは、リンゴと同じパターンであったことが判明しました。
私はてっきりポールか誰かのアイデアであのリズム・パターンになったのだろうと思っていました。驚きました。
収録されているドラム自体の音は、実にハイハット、スネアともにキレがいいと感じました。
オカズ(フィル・イン)もリンゴが叩いているものとよく似ているので、リンゴはオリジナルに倣ったものだとわかりました。リンゴ独特の“くせ”が出たものかと思い込んでいましたが、これも意外やオリジナルに忠実だったことがわかりました。
ボーカルの切々とした歌い方についても、ジョン独特の歌い方かと思い込んでいましたが、オリジナルの歌い方に倣っていたことが判りました。全てが意外でした。
つまり、オリジナルが実にしっかりとした素晴らしいものであることがわかったのでした。


オリジナル・ステレオ2009年リマスター盤

ビートルズ初期のステレオなので、ボーカルとコーラスが右スピーカーから出ているパターンのマスターです。
ジョンの情感こもるボーカルがとても印象的。
ポール、ジョージのコーラスもアーサー・アレキサンダーのオリジナルに入っていた女性コーラスに倣っていて、とてもカッコいい。
全体的には、ボーカルを中心にミックスされているとも感じました。
リンゴのリズム・パターンは、ハイハットのハーフ・オープンが入る部分があり、そこがアーサー・アレキサンダーのオリジナルのドラムとは異なっていることに気づきました。
これはリンゴのドラムのカッコよさが出た部分でした。


モノ・マスター盤収録のミックス 2009リマスター盤

聞いてすぐに自然なミックスだと思いました。
ジョンのボーカルにけっこうエコーがかかっているようにも感じました。
エコーは、コーラスにはあまりかかっていないように聞こえます。
モノの方がジョージのギターがよく聞こえます。


オン・エア・ライブ・アットBBC

おとなしい演奏で、ポールのボンボン・ベースが目だってよく聞こえます。
ジョンは、手抜き無しのうったえかけるようなボーカルを披露。
リンゴのドラムは、音量的にはうしろに引っ込んでいるくらいの感じです。
リズムパターンもオリジナル録音のものにはこだわらず、流れにのって叩いていて、フィル・インもその場のアドリブ感が強い。


米国キャピトル盤「アーリー・ビートルズ」モノラル・バージョン

ジョンのボーカルが実に生き生きとして収録されている。ちょっと驚くくらい。
息づかいもわかるくらいの臨場感が出ています。
ジョージのギターも爪弾きがよくわかります。
リンゴのドラムもハイハット、スネアともにキレのよいいい音で入っています。


米国キャピトル盤「アーリー・ビートルズ」ステレオ・バージョン

こちらもジョンのボーカルが生き生きとしている。
ジョンのボーカルに限っても、モノラルよりも制御されたミックスであると感じました。
とても生きの良い音で、スタジオのミキシングルームでモニターしているような気分になるくらいの臨場感があります。
全体的には、ボーカル中心で、ドラムはちゃんと入ってはいるが、少し後ろに下がっているくらいのミックスになっています。
ジョージのギターは艶やかな音色で鳴っています。

 

2023/06/04

北方謙三さんの「生きるための辞書 -十字路が見える-」を読みました。

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『生きるための辞書 -十字路が見える-/北方謙三著(新潮社)』という本を読みました。
これもまたブックオフで格安で見つけました。
週刊新潮に2017年~2019年にかけて掲載されたものの単行本化です。2020年刊行。

北方さんは1947年生まれですから、もうけっこうなお歳なわけですが、すごいです、前にグングン進んでいく、そして火中に飛び込み、様々な国で様々な経験をしていく・・なまじの精神力や体力では追いつかないような、そんなエピソードと共に“生き抜く極意”を記した一冊となっていました。
読んでいるこちらの肩に力が入ってしまった・・。

ただでさえ政情不安な国に出掛けて行っては、その国の真の姿は表向きの街の姿を見ているだけではわからないと、あやしいお店のあやしい人にあやしい女がいるようなところを紹介してもらって、行ってみるのです。

あやしい女と部屋に入っても、“そういうこと”はせずに、話をしたり様子を伺ったりして、さらに実際のその国の国情のようなものまで感じ取っているのです。
“そういうこと”はしなかった、と書かれていますが、それは・・そうなんでしょう。

読んでいくと、結局その調査というか視察というか、北方さんの行動は物書きの仕事に結びついていくようです。
表面上の出来事や出会ったものを“のっぺり”と書いたって、読者は面白くないですものね。特に北方さんのファンにとっては。

海の生き物の食べ方についても、ご自分で船に乗って出掛け、船上で調理したり、実にくわしく、寿司屋で無茶な注文をして、嫌がられるかと思いきや、「そこまで知っているのか」と逆に大将と仲良くなったりもしています。

男から見たら(女性から見てもかもしれないが)、実に魅力ある人だと感じました。
でも、私のようなインドア派で臆病で、根性なし^_^;には、とても付き合えるような人ではありません。
死ぬまで“ハードボイルド”な方なのでしょう。

あまりにもゴツゴツ、ゴリゴリしたその感じに途中からだんだんついていけなくなりましたが、ざらざらとしたこの男っぷりに惚れてしまうような人には決して長編とは感じない345ページでしょう。

・・私は、ちょっと疲れた・・。

 

2023/06/02

俵万智さんの「未来のサイズ」を読みました。

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『未来のサイズ/俵万智著(角川書店)』を読みました。
これもまたブックオフにて格安で手に入れました。2013年から2020年まで、足かけ八年の第六歌集となるものです。

2020年の歌については、やはりコロナ禍での出来事、世の中の様子などが多く詠まれていました。

私が気になったのは、あの韓国での高校生の修学旅行中に客船が沈没してしまった事故についてのものがいくつかあった中で、そこから連想された歌でした。

〇シルエット海辺に浮かび原発は出航しない豪華客船

あの客船については、客室を増やすために増築を重ね、事故は起こりうる状態であったにもかかわらず、それまで何もなかったのがただ幸運だっただけなのに、原因はあとから判るであろうにそのままにしておいた、そうなってしまったときに、ほんとうの悪いひとたちが現場にはもういなかった・・などの状況が思い浮かべられます。

で、そこから原子力発電所を動かぬその客船であるとしているのです。辛辣です。

つい先ごろ、条件を満たせば60年は稼働できるとしたこと、10年停止していてもそれは稼働年数にはカウントしないとした法律が成立したことを思い出します。

ことが起きたときには、実はそんなことは“とうにわかっていた”とあとから言うつもりなのかもしれない。

次は

〇何一つ答えず答えたふりをする答弁という名の詭弁見つ

よくニュースなどで見る光景です。聞かれたことには答えず、日本語だが何を言っているのかわからない言葉ではぐらかしながら答える大臣にいつもあきれます。
また、問題となっているとどまるところを知らないマイナンバーカードの事故についても、「ヒューマンエラーである」と、入力している人が悪いかのような言いっぷりで、自分は悪くないというご立派な方もいます。
ヒューマンによる入力のエラーではなく、責任者なのに謝らず、説明せず、改善に真っ向から取り組もうとせず、責任も取らないその男自体が「エラーを起こしているヒューマン」なのです。
だからエラーなのは、その一人のみです。

続いて

〇健康のためなら死ねるというように平和を守るための戦争

・・^_^;平和のためなら軍事費を倍増し、戦争もいとわない・・自分でやってて、何も矛盾に気づかないのだろうか、といつも思います。

最後に

〇動詞から名詞になれば嘘くさし癒しとか気づきとか学びとか

読んでいてハッとしました。私がいつもなんだか気持ち悪いと思っていることに回答を得たような気がしました。
「癒し」「気づき」「学び」・・そうなんですね、名詞にすると突然“うそっぽく”なってきます。そして、名詞になると使っている人は議員に多く、特に選挙演説の時などによく聞くようになります。きっと口から出まかせの“嘘”をついているのかもしれない。

ほんとうは、今回取り上げたもの以外にとても気持ちのよい歌や、心模様を詠んだ歌、流行っているものについての俵さんの目のつけ方がわかる歌など面白いものがたくさんあるのですが、今回は私が特に気になったものを取り上げてご紹介しました。

とても気持ちが強くなる歌集だと思いました。

 

2023/06/01

映画「パリ タクシー」を見て来ました。

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映画『パリ タクシー(Une belle course)/2022年 フランス 監督・脚本:クリスチャン・カリオン 出演:リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン、アリス・イザーズ』を見て来ました。

これから見る人は“ネタばれ”があるので映画を見てからこの先を読んでください。

パリの街を走るタクシーの運転手(ダニー・ブーン)に依頼があり、92歳のマダム(リーヌ・ルノー)が一人で暮らすことが出来なくなり、施設に連れて行くことになるところから物語は始まりました。

 

 

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マダムはタクシーに乗ると、ゆっくりと今までの人生を振り返り、思い出し、運転手に話しかけます。

「ちょっと寄り道してほしい」ということで、マダムのパリでの思い出の地を巡ることになります。

初めてキスをした時の甘い経験や、結婚してからの夫の暴力に苦しむ話(回想シーンはアリス・イザーズが演じる※美人です!)、自分や子供への暴力に耐えかねて夫にとんでもない仕返しをして裁判で有罪となり・・・などと運転手のダニー・ブーンも想像出来ないようなことが次々と語られます。

最初は無愛想だったダニー演じる運転手も、心を開き、打ち解けて様々な思い出の地を二人で訪ねて施設に着いたときには日付も変わってしまうのでした。
ダニー・ブーンも自ら妻との出会いから今までのこと、現在の生活の苦しさなどを心を許して語り出しました。

二人のタクシーの中での会話は実に奥深く、示唆に富み、人生の辛さ、苦しさ、愛の尊さ、人としてのよろこび、などが語られます。様々な回想シーンと共に。

 

 

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もうラストの驚きの展開が始まり、どんどんシーンが進んでいくうちに一緒に見ていた妻も、私も涙が出てきて、それをハンカチで抑えながらラストを迎えました。

とてもいい映画でした。
あちこちで泣いている人がいました。
今回も見てよかったと思える映画でした。ものすごくおすすめです。

 

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