横尾忠則さんの「死なないつもり」を読みました。
『死なないつもり/横尾忠則著(ポプラ新書)』を読みました。
いつもどおりにブックオフで見つけ、格安購入、2016年刊行の本なので横尾さん80歳の時のものです。
齢を重ねた横尾さんですが、突発性難聴になったり、身体のあちこちが痛かったり、しんどかったりするのは80歳ともなれば当然のことであると思います。
でも、それを“受け入れ”て、戦ったり、克服しようとしたりせずに、そんな状態で何か新しいことができるかも・・という、いわば自然体なのが横尾さんの生き方だと思いました。
「完璧をめざすのではなく、あえて未完にする。未完は明日に続くものだから。」
という言葉も、そうか、そう考えれば「できなかった・・」と悔やむこともないんだな、と思いました。
「美術鑑賞に知識も決まりもありません。夕焼けを眺めるように しばらく絵の前に立って、胸を開けばいいのです。」
これは、私が美術館やいろいろな個展などに出掛けたときにいつもそうしていることでした。
展示されている絵そのものをろくに見ずに、添えられている説明文を熱心に読んでいる人が美術館に出掛けるとよくいますが、まず真っ先に絵の前に立ち、自分が何を感じるかがたいせつだ、といつも思います。
「一日のうちで何もしない無為な時間をどれだけ持てるか。ムダを悪徳と思うような現代において、これは大変に贅沢な過ごし方だと思います。」
いまや「コスパ」から「タイパ(タイム・フォー・パフォーマンス?!)」だなんて言って、ぼんやりする時間などをムダだと思う人がいるようです。もっと人生楽しく、豊かに過ごした方がいいよって、いつも思います。
「病気や怪我は、変化を巻き起こす風のようなもの。その変化を面白がることで、僕はなんとか生き延びています。」
これは、私も今まで生きてきた中で何度も倒れたり、入院したりしていますが、そのたびに身体にも心にも変化が起きて、ある意味“あきらめる”ことによって別の道を見出したり、人生への考え方そのものが変わったことがありました。
病気や怪我をしたことによるマイナス面をいつまでも引きずるよりも、その後の状態で何ができるかを考えた方がよいのだ、とその都度思いました。
横尾忠則さんの動向はいまだ気になります。
ご自身のTwitterや、著書、作品などに今後もふれていきたいと思いました。
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