「わしの眼は十年先が見える -大原孫三郎の生涯-/城山三郎」を読みました。
『わしの眼は十年先が見える -大原孫三郎の生涯-/城山三郎著(新潮文庫)』を読みました。
これもいつもどおりブックオフで手に入れました。
タイトルにある大原孫三郎という名を見て、あの大原美術館の・・と思いました。
大原美術館には二度ほど行ったことがあるのですが、公のものではないのに、あのコレクションの充実ぶり、素晴らしさには驚いたものでした。
その大原美術館を設立した大原孫三郎という人について書かれたものでしたが、いやもう疲れました、読んでいるだけで。
大地主で小作人を多くかかえる家に育ち、東京に勉学のために行っても、その育ちと財力に目をつけられ、悪い友達?にいいように金をせびられ、大変なことになったり、家に連れ帰られても思想、宗教関係、志を持って孤児を何百人もかかえる人などに関わり、お金はジャブジャブ出ていくのです・・。
それでも地方の一紡績会社を有数の大企業に成長させたり、社会思想の研究機関を設立したり、地元倉敷に東洋一を目指す総合病院を建てたり、いわずと知れた世界に誇る美術の殿堂「大原美術館」を設立したりと、まったくもって休むことも、ひるむこともなく突き進む人物であったことがわかりました。
ずうっと夢を見続ける人ってたくさんいるかもしれませんが、この人は“度を越えて”夢の中に生きているという印象でした。
社会的存在であること、社会的良心を持つことが人生であり、それをゴールとして突っ走った人であった・・と思いました。
次々と艱難辛苦が襲いかかりますが、それを苦労だなどとも感じていないようでした。
だから、読んでいるこちらが“疲労困憊”してしまう(^^;)のでした。
一気呵成で怒涛の人生を感じつつ読了いたしましたが、こういう人ってもう日本には現れないだろうな、と思いました。
志のある人というか、志が低すぎるお金持ちばかりの世の中になり、社会には希望というものが見えません。
政治家でなくとも、立派な志の人、私の残りの人生で見ることができるのだろうか、と思ったのでした。
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