桂文珍さんの「落語的学問のすすめ PARTⅡ」という本を読みました。
『落語的学問のすすめ PARTⅡ/桂文珍著(新潮文庫)』という本をブックオフで見つけ、読んでみました。
平成2年に刊行されたものの文庫化で、実に33年前の本です。
文珍さんに関西大学から声が掛かり、講師として講義を行っていたときの文字起こし本です。
パート2となっていますので、パート1も当然あったのだと思いますが、ブックオフの棚にはこれしか無かったのでこの一冊を購入いたしました。
関西大学の生徒に落語とはどんなものだという話を時代的にも遡って語り、この頃文珍さんは40歳の誕生日が来たという話をされているので、とても若い!なので、落語の効果音に三味線などの旧来のものからシンセサイザーを使っていたことが書かれていました。
時代は冨田勲さんがシンセサイザー(※ピンクノイズとホワイトノイズをミックスして音を自分で作るアナログシンセサイザー時代)を使った音楽で世界的に話題になっていた頃です。そのことも講義の中でお話しされていました。
ハーモナイザーや、エミュレーターなども併せて使っていたようで、今なら数万円から数千円で出来ることを、アメリカから機器を買い数千万円かけて落語をやっていたようです。
すごい人だなと思いました。
ついでに男はクルマなどの“機械”的なものが好きなのですが、文珍さんは飛行機の操縦免許までこの頃取得しています。
何かに夢中になると一気にいってしまうタイプの人のようです。・・私もそのような側面が少しありますが・・。
講義中、話題はあちこちにどんどん“すっ飛んで”いきますが、ちゃんと最後には話が元のところに戻ってくるのです。
しかもなぜ話題が関係無いところに飛んでしまったかが、わかるように組立られています。
アドリブ的な話ばかりなのに、頭の中で数十分の話の構成が話しているのと同時に組み立てられていることに驚愕しました。
ものすごい頭の回転の早さ、そしてどんどんギャグに結びつけていくところ、さらにその話の中に人生の機微というか、生きていく上で大事なことなどが散りばめられていることに、ただただ感心し、驚いたのでした。
文珍さんの落語は数十年前に大阪に行った時にグランド花月で聞いたきりです。
そのときは結局落語としては語らず、まだ世間的には話がもれていないが、さんまさんが結婚する・・と、観客がどよめくような話をされていました。
その数日後に大竹しのぶさんと結婚したのですが、けっこう話しちゃうものなんだと思いました。こわいものなんて無い頃だったのかもしれません。
一件、のんびりしているような雰囲気の師匠ですが、ピリッと辛口な講義、楽しく読めました。
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