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2023/08/12

北尾トロの「男の隠れ家を持ってみた」を読みました。

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『男の隠れ家を持ってみた/北尾トロ著(新潮文庫)』という本を読みました。
この本は、「裏モノJAPAN」に2005年~06年に連載された「こうき心」を改題したものであるとのこと。それの2008年文庫化となっています。

私が過去に読んだ北尾さんの本というと、裁判所の傍聴をしていろいろな事件の裁判の様子や、裁判長の“お言葉”などを拾った「裁判長!ここは懲役4年でどうですか」などがあります。
とても特殊で、“ニッチ”なテーマをピンポイントで突いたような本でした。
覗いてみるとその世界はちょっと意外・・みたいな感覚で面白かった。

で、今回のこの本では、著者は家庭を持ち、結婚後11年目にお子さんにもめぐまれ、それなりに順調な作家人生を歩んでいるのですが、なぜか見知らぬ土地にアパートを一部屋借りて、家庭がありながらそこに住んで、家庭、職場(知人の事務所一角を借りている)、そして一人で住むアパートを行き来しています。

読んでみると、「北尾トロ」という自分を知っている人のいないところで、その「北尾トロ」という肩書というか、定着した人格というか、そういうものを脱ぎ捨てて生活してみたいとのことなのです。

で、実際にアパートに一人住まいをしてみるのですが、ほとんど何も起こらないのです。
ラストの方で、スナックのようなところに行って割と打ち解けた知り合いのような人達が出来るのですが、やがて「北尾トロ」であることが“バレて”しまい、ひと騒動あるくらいでした。

電車に乗ってそのアパートに行くときに、「北尾トロ」というものを脱ぎ捨てる感覚が今までの一人でやってきた仕事と生活の中に無かった、というようなことが書かれ、新鮮な感覚を味わったようです。

でも、この本の中で知人に「仕事上のキャラクターと、日常生活のキャラクターは別にはっきりと切り替わっているわけではなく、その人の人格が双方の場面でにじみ出て、仕事上の人格上にもその人独特のものがにじみ出て、はじめて仕事上でも社会生活上でも“その人”が出来上がっているのだから、分けて考えたり、仕事上のキャラクターを脱ぎ捨てて見知らぬ人ばかりの町に一人住んでみてもあまり意味がない」というようなことを言われています。
私もそう思いました。

だから・・読んでみても全く共感できるところがありませんでした。
北尾さん独特の感覚でやっておられたことだと思いますが、あまり・・意味がないんじゃないかなぁ・・と思いました。

結局、何事も起こらず、北尾さんの中でも特に大きな変化も無かったように読めました。
奥さんが何度か登場するのですが、「女の人がいるの・・」という当然の疑問と、やがてちょっとばかりその行動を理解して「自分さがししてるのね」という、北尾さんがそう思われたくない言い方をされていました。
でも、簡単に言うと「自分さがし」みたいなものだと私も思いました。

何事も起こらず、何の結果も出ず、ただ一人アパートで寝袋にくるまって寝たりする・・不思議な本でした。
だから感想もあまり無い・・。

 

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