椎名誠さんの「われは歌えどもやぶれかぶれ」を読みました。
『われは歌えどもやぶれかぶれ/椎名誠著(集英社文庫)』を読みました。
2016年から2017年にかけてサンデー毎日に連載されたもので、2018年に刊行され、2021年に文庫化されたものです。
これが書かれている時点で、椎名さんは73歳になられていて、白内障の兆候がみられたり、長年使われていたワープロ(※PCソフトのことじゃないよ、ワープロ専用機)が三台同時に故障し(もしもの時のために三台も買ってあったのに、夏の高温で同時に壊れたらしい)、でもなんとか修理する人を見つけたり、あとがきではコロナ禍での生活のことなどにもふれられていました。
椎名さんの文に初めてふれたのは、私の学生時代に創世記の「本の雑誌」を見つけたときでした。
その後「さらば国分寺書店のオババ」などの激烈に面白い本と出逢い、今に至るまでたぶん何百冊と読んでいます。
この本では、椎名さんが若い頃から巡ってきた世界の様々な国での不思議な出来事や過酷な環境の話なども振り返られ、私もまるで「あのときはそうだ、こんなんだった」なんて行ってもいないのに懐かしく振り返ったりしました。
また、チベットでは一生の時間は限られているから、大切な今の一瞬一瞬を大切にして、結婚した相手に、もう愛を感じられなくなったら、どんどん離婚してどんどん次の人と結婚する話も書かれていました。
しかもその考え方は女性の方がつよいそうで、出産という大仕事があるので、嫌いになってしまった人に仕方なく自分の人生を捧げ続けていくなんて“愚の骨頂”という考え方のようです。
それはそれで、そんな生き方もあるのだ・・と“目からウロコ”的に驚きました。
日本国内でも、いろいろな食べ物との出会いも書かれていたり、相変わらずの釣りをしながらの酒盛りについても書かれていて、これは読んでいるこちらもワクワクする。
また、アメリカから帰ってきたご長男とお孫さんと一緒に千葉の鴨川に釣りに行く話も書かれていました。
「時は流れているなぁ」と、深く感じました。
しみじみしつつ、また自分が椎名さんのこのときの年齢になったらどうなっているのか思いをはせつつ読了いたしました。
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