「この命、何をあくせく/城山三郎」を読みました。
『この命、何をあくせく/城山三郎著(講談社文庫)』を古本で見つけ、読みました。
この本は、月刊誌『本』の巻頭に「この命、何をあくせく」のタイトルで1999年~2002年に連載されたものに一部加筆して発行されたものの文庫化です。
文中にもありますが、すでに城山さんの奥様は亡くなられています。
城山さんは、執筆活動の間、ときには箱根の温泉に行ってリラックスしたりしていたとのことですが、今まで行っていたホテル・旅館などに行くと奥様を思い出してしまうので行けなくなってしまった・・と書かれていました。
奥様が亡くなられたあと、城山さんが書かれた「そうか、もう君はいないのか」も読みましたが、城山さんにとって奥様はとても大きな存在であったことが今回の本を読んでもよくわかりました。
そして、“静かに”暮らしていきたいという気持ちも伝わってきました。
ただ、時には力強く書かれている部分もありました。
戦争について、
「偉い奴は、厳命はいくらでも出せるのである。不可能なことであっても。」
「国民など、虫ケラ同然に扱わなければ、戦争はできないし、軍隊は成り立たない。」
と書かれていました。
この言葉は今の私たちも胸に刻んでおかなければならないと思いました。
遠藤周作さんや、阿川弘之さんなどの作家についても書かれていましたが、城山さんの文はいつも相手に対する敬意が感じられ、読むほどに城山さんが真面目に作家に、その作品に対峙している様子がよくわかって、しみじみとしました。
人の生き方、その人と一緒に過ごしたときの様子なども自然体で書かれていて、そして自らの参考にしている姿は、私も見習いたいと感じました。城山さんの文を読んでいると、いつものことですが。
いつもながら背筋の伸びるような文でした。
私も自分を戒めながら、そして一歩ずつ前に進むように生きたいと思います。
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