「ぼんやりの時間/辰濃和男」を読みました。
『ぼんやりの時間/辰濃和男著(岩波新書)』という本を読みました。
2010年発行のものです。
著者は、朝日新聞でニューヨーク特派員や編集委員、論説委員など歴任、1975年から1988年までは「天声人語」を担当していた方とのこと。
そんな方です。さぞ忙しい日々を過ごしていたと思いますが(実際忙しかった時の様子も書かれていた)、でもこの本の内容はとにかく“ぼんやり過ごせ”“ぼぉっとする時間を持て”それが自分の人生の「豊かさ」を生むのだと力説されています。
私も特に若い頃は、仕事と家庭での様々な事に追われ、自分が自分でないというか、今は昼なのか夜なのか、自分は何者だ・・というようなまさに“忘我の境地”に居るみたいな時期がありました。
毎日がピンチの連続で、心休まる時間などほとんど無かった。
世の風潮もそんなことは“当たり前”という感じだったと思います。
それで、この本です(^_^;)
著者は、たしかに忙しい時間を過ごしてきたのでしょうが、それでも「ぼんやりする時間」を“価値ある”ものであるとしています。
時間に追われ、効率を追い求め、自らの心はどんどん破壊されていく、そんな日々の生活を過ごしていく中で、「ぼんやりする時間」というものをいかに充実させるか、それには何が必要か、さまざまな書物にヒントを求めて著者自らの体験もまじえつつ書かれていました。
今や、“コストパフォーマンス(コスパって言ってる人が最近多い)”ではなく“タイムパフォーマンス(タイパって言うんだって・・私は使わないけど)”だなどと言って一分一秒でも時間を短くしてパフォーマンスを出すんだそうです。
映画も早送りで見るんだってね、それは人生で一番たいせつな豊かさを自ら捨てていると私は思うけど・・。
そんな時間の節約をして何をしたいのでしょうか。本人もよくわかっていないんじゃないでしょうか。
ゆっくりと映画、お芝居、物語、音楽などを楽しんだり、ぼぉっと自然を眺めているだけでも、それはとても豊かな時間だというのが私の今の考えです。
だから、この著者が書いていることは今にしてよくわかります。昔だったらわからなかったかもしれないけど。
ということで、この本を読んだおかげで、さらに「気持ちをゆっくり」しながら過ごすことの大切さを感じたのでした。
【NowPlaying】秋風 / 城之内ミサ ( Piano Instrumental )
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