聞いてみた The Beatles/1962-1966 赤盤 Disc1(2023 Version)
ヨーコから渡されたジョンの歌入りカセットテープをもとに「ナウ・アンド・ゼン (Now And Then)」というビートルズとしての新曲が発表され、その際かつて「赤盤」「青盤」と呼ばれた前期・後期のビートルズ・ベスト盤がリミックスされ、しかも追加曲も入って発売されました。
・・ファンとしては手に入れるしかない(^_^;)ということで、購入に至りました。
これからこのブログで、全部で4枚のディスクがあるのですが、一枚ずつ実際に聞いた感触をアップしてみようと思います。
まずは「赤盤」のディスク一枚目から始めます。
事前に何か情報は入れておりません。私が直に聞いた感じをそのまま書きます。
さあ一曲目の「ラブ・ミー・ドゥ」からです。
01 LOVE ME DO
2023年 ニュー・ミックス。
このミックスはリンゴがドラムを叩くシングル・バージョンを基にしたもののようです。
ボーカルだけ抜き出してトラックを分けることが出来るようになったからか、真ん中からボーカルが聞こえてきますが、ミックスはステレオ状態になっています。
オリジナルのマスターテープはこのシングル盤用のものに限って廃棄されてしまい、2009年のリマスター時にはレコード盤から“盤起こし”したと記憶していますが、あらためてデジタルでニュー・ミックスされたことはとても感慨深いものがあります。
ポールのベースもよく聞こえているし、2009年 リマスターではアルバム・バージョンよりも“もっさり”と聞こえたリンゴのスネアドラムの音も少し修正が効いているように感じました。
聞いた感じは、ボーカルとコーラスの音がバックの演奏から浮いているような感覚が残り、少し違和感がありました。
02 PLEASE PLEASE ME
2023年 ニュー・ミックス。
2009年 リマスターの方が“生き生き”としていたように感じました。
ドラム、ギターの音ともにやや精彩を欠いているような印象。
整え過ぎな感じがするなあ・・。
真ん中に来たボーカルがなんだか“そらぞらしい”ような浮いているような感じに聞こえました。
不思議だけど、AIを使って分離するとそんな影響が出てしまうのか、と感じてしまう。
この曲の“生きのよさ”みたいなものがスポイルされてしまったというのが正直な感想です。
ラストのエコーが強烈にかかっているボーカルが“ふっ”とエコーが途切れるように感じる不自然な部分も発見しました。きっと編集操作上どうしようもないことだったのだと思いますが。
03 I SAW HER STANDING THERE
2023年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。
この曲を追加したのは正解だと思います。
ビートルズのメンバーにとって“自信”のある曲だし、解散後もポールやジョン、その他様々なミュージシャンも取り上げているし、名曲です。
この曲については、割とうまくミックスが出来ているように感じます。
ボーカルと演奏の一体感を感じる。
真ん中に来ているリンゴのドラムの歯切れも良くミックスされていて、勢いがあります。
04 TWIST AND SHOUT
2023年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。
これもベストアルバムに追加されて当然の曲だったと思います。ナイス選曲です。
ジョンのボーカルがやや遠慮気味にミックスされているのが残念。
間奏のリードギターがあの“パキパキ”する感じが弱まっていて、それも残念。
全体にワイルド感が減少していると感じました。
全編に流れていた“ざわざわ”とした感触がなくなり、良く言えば丁寧なミックスがなされて、雑音的な要素は除去されたという感じです。
05 FROM ME TO YOU
2023年 ニュー・ミックス。
ギターの音は、運指の様子がわかるくらい臨場感があるが、もともとのちょっと過剰なくらいのエコーその他のアンプから出てくるドキドキするような雰囲気の音が減ってしまった感じがします。
ボーカルについても“ごわんごわん”いってたリヴァーブみたいな音はあまりしなくなっていました。
ベースの音は思ったよりも強調されておらず、ボンボンと平凡に鳴っていました。
06 SHE LOVES YOU
2023年 ニュー・ミックス。
これも最新技術を用いてうまくボーカルの位置を処理したようです。
でも、アルバム「1」で聞けたような勢いある感じはあまり感じられません。
それからオリジナルでは明らかに音質が劇的に悪くなっているつなぎ目がありましたが、それはアルバム「1」同様、うまくわからないくらいに調整されていました。
リンゴがタムで「ドンドコ」リズムを叩き、盛り上げる部分については、ちょっとタムの音が引っ込み過ぎと感じました。
07 I WANT TO HOLD YOUR HAND
2023年 ニュー・ミックス。
これもリンゴのドラムをもっと強くしていいんじゃないかと思いました。
バスドラムももっと強調しても大丈夫だと思います。きれいなミックスにしたいのはわかりますが、やはり全体的に勢いがもうひとつです。
08 THIS BOY
2023年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。
この曲の追加もなかなかいい選曲だと思いました。
映画「ハード・デイズ・ナイト」のシーンなども思い出すし、初期のライブフィルムなどでも見かけたビートルズの絶妙なコーラス曲です。
ミックスもうまくいっていると感じました。
とても自然な印象になっているし、余計な残響音も省かれているように思います。
09 ALL MY LOVING
2023年 ニュー・ミックス。
これも自然に感じるミックスだと思いました。
ジョンのジャララ・ジャララという三連のカッティングもよく聞こえるし、この曲も余計な残響音が少なくなっていると思いました。
10 ROLL OVER BEETHOVEN
2023年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。
この曲の追加も“納得”です。
ジョージのボーカルと、ギターが楽しめる、そしてビートルズらしいリズミカルで仲の良さを感じるハンド・クラップがとてもいい。
この曲のミックスも自然に感じます。
リンゴのバスドラはもっと“やり過ぎ”なくらい強調してもこの曲に合っていたかも。
間奏のギターの音量もいい感じで上がっていて芸が細かいと思いました。
11 YOU REALLY GOT A HOLD ON ME
2023年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。
この曲も今回の追加曲ですが、ベスト盤にこれを入れたのはちょっとマニアック、でもファンにはうれしい選曲です。
ミックスは“モノラルっぽいステレオ”という印象。
ジョンのボーカルもいい声で入っています。
リンゴのシンバル・レガートはもうちょっと強調してもこの曲に合うんじゃないかと思いました。
12 CAN'T BUY ME LOVE
2023年 ニュー・ミックス。
これも“モノラルっぽいステレオ”ミックスという印象です。
ギターの音も“割れる”ことなく耳に心地良い。
リンゴのハイハットの音もうまく抑制されていました。
13 YOU CAN'T DO THAT
2023年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。
これも今回アルバム追加曲ですが、素晴らしい選曲だったと思います。
ジョンのボーカルもいいし、バックの追いかけてくるようなコーラスも良く、ギター・リフもカッコいい!
ビートルズらしい“生きのいい”、ワイルドな曲です。
ステレオの広がり方も不自然な部分がなく、聞きやすいと思いました。
ボーカルも、それぞれの楽器も適正な音量と配置になっているように感じました。
今回この曲が入ったのはかなりな“ヒット”だと思います。
14 A HARD DAY'S NIGHT
2023年 ニュー・ミックス。
これもモノラルチックなステレオ・ミックスと感じました。
全編に流れるチャカチャカ・ポコポコというボンゴの音はもっと大きい方がこの曲の“大騒ぎ感”が増したのに、とも思いました。
リンゴのスネアとハイハットも、もうちょっと前に出てきた方が良かったかも。
AMラジオで聞いているみたいな感じが出ているように思い、それはこの曲の時代的な背景も考えると正解だったんじゃないかと思いました。
15 AND I LOVE HER
2023年 ニュー・ミックス。
ボーカルへのエコーのかかり方がやさしい感じで、自然です。違和感なし。
アコースティックギターの音も“そっと置かれて”いるような感じで、しみじみとさせてくれました。
妙に強調された部分もなくて、良いミックスだと思いました。
16 EIGHT DAYS A WEEK
2023年 ニュー・ミックス。
これも“モノラルっぽいステレオ・ミックス”だと思いました。
けっこう元気良く聞こえるようにミックスしたくなる曲だと思いますが、実に抑制が効いている。
リンゴのアクセントを入れるような部分のドラムは、もうちょっとガツンと強調した方が良かったかも。
17 I FEEL FINE
2023年 ニュー・ミックス。
ジョンのリード・ボーカルもバック・コーラスも丁度良いバランスで入っています。
ギターの音には余分なリヴァーブは除かれているように感じました。
ギター・プレイの様子もよくわかり、いいと思いましたが、この曲のサビの部分からのワッと広がりを見せるところでは、何か工夫があっても良かったのではないかと思いました。
18 TICKET TO RIDE
2023年 ニュー・ミックス。
ジョンのボーカルの“歌いっぷり”がよくわかるくらいクリアに聞こえます。
ちょっとメタリックなギターの音はもっと強調して、ジョンがかつてインタビューで言っていた「最初のヘヴィーメタル曲だ」という感じにしてもらえるとなお良かったと思いましたし、リンゴのぐいぐい引っ張っていくドラムのスネアとタム、バスドラの音はもっと上げてしまっても良かったと思います。
19 YESTERDAY
2023年 ニュー・ミックス。
ギターの音質も音量も適正かつ自然です。
弦楽四重奏の音もしずしずと抑制が効いてミックスされています。
ポールのボーカルにも過剰なエコーはかからず、全体的にとても自然です。
やればいろいろやれるところを我慢して名曲を自然に仕上げた“大人ミックス”でした。
以上が、2023年版のビートルズ・ベスト赤盤 Disc一枚目をざっと聞いた印象です。
次回は赤盤の二枚目に突入です。
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