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2023/12/31

「バイバイバブリー/阿川佐和子」を読みました。

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『バイバイバブリー/阿川佐和子著(文春文庫)』を古本で見つけ読んでみました。
2017年に単行本として発刊されたものを改題して2021年に文庫化したものです。

著者、阿川さんはそのときの状況で実体験としてバブルを経験しておらず、経験した人たちからの信じられない当時の話にびっくりしたり、作家としていわゆる“缶詰”を高級ホテルで経験したり、過去の彼氏からのプレゼントは捨てるか否か、五十代にして初めてゴルフを経験してすっかり“ハマって”しまった話、私も読んでいてびっくりした意外と平気に“下ネタ”話をしたり、いろいろな阿川佐和子という人を発見いたしました。

阿川さんて、けっこう臆病なのかと思うと、そうでもなくかなり大胆だったりするのもあらためてわかりました。

それにしてもいつも感じるのは、阿川さんの文の“ウマさ”です。
導入部では、はっきりしない阿川さんの態度や考え方が出てきて、やがて誰かがアドバイスして、試してみる、そこで失敗するが、いろいろ試行錯誤する中で阿川さん独自の作法や方法・技術などを身につける・・という展開はあまりにも見事!

今回も「おもしろぉ~いっ!」と読んでいるうちにあっという間に読了いたしました。

これが今年最後に読んだ本となりました。

全てこのブログに読後感想を書いていますので、数えてみると今年一年で131冊読みました。
一か月に11冊ペースで読んだことになります。
思い出に残るようなものや、強く印象に残る本もありました。
来年もこのペースで読み進みたいと思います。これが日々の楽しみです。

皆さん、よいお年を!

 

2023/12/30

「あべこべ感覚/アルボムッレ・スマナサーラ」を読みました。

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『あべこべ感覚 -役立つ初期仏教法話7-/スリランカ初期仏教長老 アルボムッレ・スマナサーラ著(サンガ新書)』という本を古本で見つけ、読んでみました。

古本屋で見つけ、パラパラと頁を繰ってみたらちょっと興味深かったので読んでみました。

読んでみれば、難しいような、易しいような、でもなんだかわからない・・(^_^;)みたいな感じで、なかなか捉えどころというか、そういうものが見つからないまま読み進みました。

で、途中でこんなことかな・・と思ったのが・・

生きているもの、つまり人間にとって「生・老・病・死」「憂い・嘆き・苦しみ・悲しみ・悩み」というものは皆が皆、人全員がそれらをセットにして生きているのだということ。

生きる・・っていうことはそういうことなんだということ・・。

年をとり、病気になる。死ぬ。
憂いや嘆き、悲しみ、悩むこと、それが生きるということ。

でも、我々凡人の社会は、病気にならぬようにという宗教でもあったら人気が出てしまう。

で、お医者さんなどにいって、自分が「死につつある」とわかっただけで、人というものは悪いことをしなくなってしまう。

なんとかして自分が満足することを優先していた人、自然の流れに逆らってまで頑張っていた人、人を脅したり、騙してまで商売をする人、戦っている人、それらを見ても“自分は死につつある”とわかると・・なにもそこまでしなくてもいいんじゃないのか・・という気分になるのだということが書かれていたのだと思います。

悪いことなどしなくなってしまう、そんな人になる。

今、戦争をしている人や、裏金づくりにいそしんでいる人、何がなんでも何兆円かかっても万博を開こうとする人、など・・「自分がもうすぐ死ぬ」となったらどうするんでしょう。

などと私如きが少しでも考えることになったのは、この本のおかげです。
二日間で読みましたが、自分に良い影響を与えてくれたと思う本でした。

 

2023/12/27

磯田道史さんの「日本史を暴く」を読みました。

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『日本史を暴く -戦国の怪物から幕末の闇まで-/磯田道史著(中公新書)』を読みました。
前回のこのブログでお伝えしたとおり、またもや新刊です。私にしては珍しい(*^^*)

相変わらずですが、著者・磯田道史さんの歴史の裏側への探求力と意欲には驚きます。
あれが気になる・・と思ったらすぐに古書店などに赴き、資料となる古文書を探し出します。

そういうものが残っているんだ・・というような内部的な文書や、組織末端に居た人が残したものなど、“誰かが何処かに”保存しているものです。
磯田さんも文中で書かれていますが、それが今はインターネット上に残る文になっているわけで、貴重な歴史的資料となっているんだと感じました。

前にもこのブログに書いたことがあるのですが、私もそんな気持ちで世間で起こった出来事についてどう思ったかなどをここに書き記しています。
その時代の庶民はあの事件のときにこんなことを思っていたのか・・と、いつの日か誰かが見てくれるんじゃないかと思って・・。

この本の中では、信長の遺体の行方について考察する資料となる文がいくつか紹介されていました。
決定的なものとなるものはありませんでしたが、それでも灰の中から遺骨を探す様子が書かれていたものや、信長自らが首を取られたり、遺骨を探し当てられたりされないようにしたこと、その他、多方面の“遺骨の行方”についてヒントとなる文書が存在することを知りました。
それらを併せて眺め読んでみても様々な考察が出来て興味深いものです。

忍者の教科書的な文書が発見され、読んでみると、意外や潜入に失敗して周囲を包囲され、絶体絶命のピンチに立ったときの対処方法などに重点が置かれていたり、面白いのです。

最後の女性天皇の「譲位」の様子がつぶさに記されている文書もありました。

孝明天皇の病床記録も残されていて、最後の数日に食べたものと、その量、さらに便がその都度どのようなものであったか、までが書かれていました。
疱瘡にかかり、いったんは食欲が戻り、便通も通常であったのにわずか一日二日で食べた量が少なくなった様子や、吐くものもないのにえずいた様子、便も少なくなり・・と、ひょっとして一時は回復したのにその後毒殺?!と思われるようなことも書かれていました。

文書にして残される記録というものは、実に貴重だし、歴史の証拠となるし、“改竄”などもってのほかだと感じました。

今やその貴重な公的文書まで改竄、廃棄などを平気でするような役人や暗躍する国会議員がいるようですが、それは自らの立場を危うくし、やがては国自体を滅ぼすことになるということがわからぬような輩のすることです。

磯田道史さんの本は、まだ何冊か手に入れているので、また読みましたら読後感をここに書こうと思います。

 

2023/12/24

聞いてみた The Beatles/1967-1970 青盤 Disc1(2023 Version)

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ぶっつけ本番で、新しいミックスのビートルズベスト盤 赤盤・青盤を聞いてみる企画。
今回は後半の青盤に移って、Disc1 からです。


01 STRAWBERRY FIELDS FOREVER

2015年 ステレオ・ミックス

この曲に関しては今回のニュー・ミックスではありません。
それでも2015年にリミックスしたもので、テープ速度を落としたジョンのボーカルなどもクリアに聞こえていますし、バックのブラス・セクションや弦楽器などもかなりクリアです。
途中からリンゴのドラムが“ドコドコ”と騒々しくなってくる部分に関しても雑音的な成分は無く、とても良くクリアに聞こえます。


02 PENNY LANE

2017年 ミックス

これは、記念盤が出たときのミックスだと思います。
この曲についても色々なテイクやミックスが存在していますが、とても各楽器、ボーカルともよく整理されていると思います。
いわゆる“マルチ”と言われるテープがこの時期のものとして残されているのだと思いますが、ミックスするときにも少しは楽になったのかもしれません。
全体的に聞きやすいミックスです。


03 SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND

2017年 ミックス

これも記念盤のミックスです。
冒頭の切り裂くようなギターの音もバッチリと決まっています。
バックの観衆の声もどよめき感が出ています。
ボーカルもバックのコーラスもよく聞こえます。
リンゴのフィルインもよく聞こえ、いいミックスです。


04 WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS

2017年 ミックス

ポールの高音部を使ったベースのフレーズもよく捉えられています。
ドォ~ンというリンゴのタムのフィルインもカッコよく入っています。
けっこう視界が開けるようなスカッとした感じの仕上げになっていると思いました。
おぉっ、リンゴのスネアの音も打音そのものと残響音もよくわかります。
なかなかいいです。


05 LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS

2017年 ミックス

以前出た「イエローサブマリン・ソングトラック」のミックスなどでは過剰なタムタムの残響音があったり(けっこう好きだったけど(#^.^#))しましたが、ここでは“程よく”なっています。
途中、ジョンのソロで歌う部分がちょっと不自然な左右の音の移動があり、そこでは音質も突然変わったりしていて、なんだろう?という部分も有り。
バックのポールのコーラスの声もちょっと“つぶし気味”にコンプレッサーが掛かっているような感じもありました。
やや不自然なミックスでした。


06 WITHIN YOU WIYHOUT YOU

2017年 ミックス そして今回新たにアルバム追加された曲。

このジョージのインド音楽的なところを前面に出した曲をベストに新しく入れたのは賛否ありそうですが、私は「賛成」派。
楽器もインドだし、メロディーもインドだけど、ビートルズにとって、そしてサージェント・・というアルバムにとってもエポックメイキングな曲だと思うのです。
アルバムのB面冒頭でいきなり聞いたときにも違和感がなかったのが不思議なくらい。
あえてこの曲を入れたのは良かったと私は思います。
ミックスも不自然な部分も無く、聞きやすいと感じました。


07 A DAY IN THE LIFE

2017年 ミックス

このベスト盤ではアルバムに入っていた効果音が冒頭になくて、曲自体をクリアに聞くことができるのが、昔このベスト盤が出たときの“売り”でした。
リンゴの深い残響音が入ったフィルとクラッシュ・シンバルの音は、割と抑えめです。
オーケストラがぐわぐわと盛り上がっていくところについても大げさな感じのミックスはしていません。
ボーカルがポールに変わったときの音質もエコーはかなり控え目になっています。
あのアルバムに入っていたちょっと狂気をはらんだような感じは出ていません。
これは好みの問題かもしれないです。
だからオーケストラの細部の音もけっこう聞き取れます。
ラストピアノ三台の「ダァ~ン」後の残響もやや抑えめな感じがしました。


08 ALL YOU NEED IS LOVE

2015年 ステレオ・ミックス

この曲についてはいくつもミックスが有り、私が持っているアナログ盤でも「マジカル・ミステリー・ツアー」と「イエロー・サブマリン」では全く異なるミックスでした。
デジタル化されたあとにも、「イエロー・サブマリン・ソングトラック」だとか、「Love バージョン」だとか・・(^_^;)・・もうどれがどれだか私もわからないくらいです。
このミックスは2015年のものですが、冒頭のジョンのボーカル部分は私の持っているアナログ盤とは全く異なっています。
間奏のジョージの“尻切れトンボ”なリードギターについては、その部分をちょっと音を絞って隠し気味にしていました(^-^;
サビに入ってジョンのボーカルは割とエコーなど控え目だし、バックのコーラスも引っ込み気味。
大騒ぎのオーケストラなどもこのミックスではそれほどでもない・・。
無難な大人しいミックスだと感じました。


09 I AM THE WALRUS

2023年 ニュー・ミックス

これはニュー・ミックスですね!
ジョンのボーカルはクリアだけど“歪み”はきっちりと残し、“らしさ”はうまく出しています。
リンゴのスネアのバシバシいう感じもよくぞ残してくれました。
バスドラムはドシドシ感増量してます(^.^)
テープなどを使った効果音もオリジナルミックスの良さを残しています。
「ググーグジュブ」のところのボーカルは聞いたことがないようなテイクじゃないでしょうか。
ラストの音も今まで聞いたことのない斬新なテイクが加わっています。
かなり驚きましたが、この曲らしいチャレンジングでアグレッシブなミックスでした。
これでいいっ!と思いました。


10 HELLO,GOODBYE

2015年 ステレオ・ミックス

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」というベタなギターのフレーズがめっちゃクリアに聞こえます。
バックコーラスもはっきりくっきりと聞こえます。
間奏時のリンゴのカッコいい“乱れ打ち”部分はやや音量抑えめです。
キャッチーなこの曲によく合った、明るくクリアで聞きやすいミックスだと思いました。
ピアノの音も残響音まで拾って強めにしてあるのにも気づきました。


11 THE FOOL ON THE HILL

2023年 ニュー・ミックス

ポールのやさしく歌う感じがよく出ていると感じました。
ピアノもギターもリコーダーも“角が取れて”ふわふわと聞きやすい感じです。
全体のバランスが良くて、この曲の特徴がよく聞き取れるいいミックスだと思いました。


12 MAGICAL MYSTERY TOUR

2023年 ニュー・ミックス

イントロから何かちょっと違う感じがします。
ニュー・ミックスらしい色々やっている感じがどんどん出てくる。
バックコーラスの音も今までと異なる。
ベースも固い音でよく聞こえるし、間奏のブラス・セクションも音が全然違うっ!
リズムギターの音も、刻みの様子がよくわかります。
意欲的なミックスで、これはこれでいいと思いました。


13 LADY MADONNA

2015年 ステレオ・ミックス

全体にあちこちに色々な楽器の音が散らばっている感じがして、やや落ち着きません。
モノラルの方が・・いいかも・・。
ギターの音をもっとワイルドに前面に出してきてもいいかも。
パラフィン紙を口にあてて、パッパッパーとやったバックコーラスも、もっと聞こえるようにした方がよかったと思いました。
もともとのミックスや残されたテープに入っていたマルチの音が整理するには困難な感じだったのかもしれませんが、もうひとつ聞きやすさが足りないかな、という感じがしました。


14 HEY JUDE

2015年 ステレオ・ミックス

ポールのボーカルで始まる部分の声は自然な感じでよく聞こえます。
バックコーラスは、ひとり一人の声がわかるような感じでよく聞こえます。特にジョージの声とわかるくらいジョージの声が聞こえます。
リンゴのタムでのフィルはやや控え目。
最後の盛り上がる“ヘイジュードの繰り返し部分”は、オリジナルとはかなりバックコーラスのミックスが異なっていると思います。それぞれの声がよく聞こえます。
ただし、あの何の音も“一緒くた”みたいな大騒ぎな感じは薄れたかもしれません。
判定はむずかしいけど・・オリジナル・ミックスの方が私は好きです。


15 REVOLUTION

2023年 ニュー・ミックス

これは新しいミックスです。
リンゴのバスドラムとジョンのボーカルが覆いかぶさってくるような感じで大迫力です。
ギターの炸裂音は、音色がオリジナルと異なり、ややトーンを絞ったような感じにしていますが、これも新しく感じてこれはこれでいいと思いました。
間奏時のジョンの息遣いもよく拾っています。これもなかなかいい感じ。
ワイルドだけど、メーターを振り切って“歪み過ぎ”みたいなところはなく、大人なミックスでした。高得点!です(*^^*)

 

2023/12/23

阿川佐和子さんの新刊「話す力 -心をつかむ44のヒント-」を読みました。

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『話す力 -心をつかむ44のヒント-/阿川佐和子著(文春新書)』を読みました。
またもや古本ではなく、この12月に第一刷発行の新刊です。
本屋でちょっと立ち読みしたら“おもしろそう”だったので思わず買ってしまいました。

阿川さんと言えば「聞く力」ですが、この本は「話す力」。
読んでみてすぐに思ったのは、人の話を聞くためには、その人に話してもらわねばなりません。
話してもらうためには、聞く立場のこちら側から話しかけて相手の気持ちを和らげて、話しをしてもらう雰囲気、関係をつくっていくことが大事なのだ・・そんなことが第一に書かれていたと思います。

この本では、阿川さんが政治家や有名人が討論するような番組の司会をしたときなどに、緊張する中、出演者の方から番組開始前に思わぬことを話しかけられ、自分がリラックスできた話などもふんだんに例として示されていました。

つまり自分が話しやすい環境をつくってくれた人から学んだこと、そして今度は自分がインタビューなどをするときにそれを利用して相手にリラックスしてもらったことが書かれていたのです。

これが実にわかりやすい。
「聞く力」が、あれほどのベストセラーになり、ふつうだったら調子に乗って“高い所”から・・ようするに“上から目線”で小難しいことを書きたくなりそうですが、そうではなく、誰が読んでもすぐに「なるほど自分もやってみよう」と思うようなことが次から次へと書かれているのです。
阿川さん、すでに名人の域に達している・・と思いました。

得意満面に自慢することもなく、うまい流れで展開していました。

また、男性と女性では相手方への話し方は異なることも書かれていました。
これは重要で、特に職場での会話、会議などにはその使い分けがかなり有効であると思いました。
具体的な方法については、この本を読んでみてください(#^.^#)

またいい本に出逢えました。

次に読む本もこれまた新刊を予定しています。
読了後にまた感想をアップすつもりです。

 

2023/12/22

「遺言未満、/椎名誠」を読みました。

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『遺言未満、/椎名誠著(集英社文庫)』を読みました。
私にしては珍しく新刊です。2023年11月第一刷発行となっています。

椎名さんは、1944年(昭和19年)生まれなので79歳になられています。

以前、このブログで「ぼくがいま、死について思うこと」という椎名さんの著書をご紹介したことがあるのですが(2016年頃だったか・・)、そのときは、今まで死についてさして深く考えずに世界のあちこちを旅したり、仲間と釣りに行ったり、キャンプしたり、自由奔放にそれこそ椎名さんらしく生きてきた・・でも、「自分も死ぬのだ」とハタと立ち止まった様子が書かれていました。

で、今回のこの新刊では、“より具体的”に、自分よりも若いのに亡くなってしまった友人や大切な人たちのことを振り返ったり、どうやって死んでいったのか、自分はどういうふうに死んでいくことになるのか、葬儀はどうすればいいのか、世界の葬儀、埋葬はどんな状況なのか。

奥さんは一歳下で、互いに墓をどうするか、墓自体がいらないのではないか、どうしよう・・そうだ遺言も書かねばと友達の弁護士に相談したり、とにかく今回は“切羽詰まった”感じで「死」と「葬儀」について考えている椎名さんでした。

この本で椎名さんも書かれていますが、「最後に葬送の列」を見たのはいつだろうという一文もありました。
そういえば、私も、もう何十年も「葬送の列」というものを見たことがあまりません。

椎名さんの記憶に残っている千葉県内で見た葬列では、「ドラ」やシンバルのような形をしたジャラジャラ鳴るものを『ジャン・ボン』と鳴らしながら列が進んでいく様子が書かれていて、「葬儀そのものを<ジャン・ボン>と呼んでいたようだ」と語られていました。

私の地元でも、同様の楽器のようなものを鳴らし、葬儀のことを<ジャン・ボン>と呼んでいたことを思い出しました。

この本を読んでいくうちに、私も自分の今後のことを考えました。
妻とも話すことがあるのですが、果たして「墓」というものが必要なのか、ということまで話し合っています。

椎名さんが世界で見てきた葬儀や、様々な「死」について書かれたこの本。
あらためて自分の今までの生き方、そして今後の死に方について考えるきっかけとなるものでした。

 

2023/12/20

映画「きっと、それは愛じゃない」を見てきました。

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映画『きっと、それは愛じゃない(WHAT'S LOVE TO DO WITH IT ?)/2022年 英国 監督:シェカール・カプール 脚本:ジェミマ・カーン 出演:リリー・ジェームズ、シャザド・ラティフ、エマ・トンプソン、シャバナ・アズミ、サジャル・アリー』を見てまいりました。

こういう良さそうな映画は、相変わらず千葉劇場での上映です。
主人公の女性は、ドキュメンタリー監督として頑張っている。でも、私生活ではダメ男ばかりを好きになり、恋の連敗中・・。

久しぶりに再会した実家のお隣さんの男性は幼馴染。

男性はパキスタンからの移住者で、映画はそのお隣さんの家で豪華絢爛なインド映画のようなダンスが繰り広げられる(極彩色の衣装や照明がすごく、ゴージャスでこれだけ見ても驚くようなシーンだった)ところから始まりますが、幼馴染の男性は、「これから親が選んだ相手と見合いして結婚するのだ」と主人公の女性に話をしてびっくり、今の時代にそんなことが・・と。

 

 

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そして主人公のドキュメンタリー監督の女性は、その幼馴染の男性が見合いをし、結婚するまでの軌跡を次回作として追いかけることを決め、男性にいやいや承諾させる。

ドキュメンタリー手法で取材を続ける主人公と幼馴染(互いのファーストキスの相手だった)は、激しく揺れ動く心模様を見せ、見ているこちらも「いったいどうなるんだろう」とハラハラ・ドキドキな展開。

やがて幼馴染の男性は見合いをし、結婚も決まり、結婚式にも主人公の女性は取材に行く。

見合いの相手の女性の心模様も複雑だし、パキスタン人の男性の家族それぞれの実際の心の中も見えてきて、この映画は単なる恋愛と宗教的戒律や人種の問題を表面的になぞるようなものではなくて、現代の世界で起こっている「愛と結婚」の問題に迫る、心に深く響くようなものとなっていました。

私も見終えて、これは多くの人におすすめしたい作品だと感じました。

映像的にも素晴らしいし、主役お二人の男女の演技も、それを囲む脇役陣の演技もとても良かった。
今年も最後の最後にきて、良い作品とめぐり逢いました。

 

2023/12/18

「私の銀座/銀座百点編集部編」という本を読みました。

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『私の銀座/「銀座百点」編集部編(新潮文庫)』という本をブックオフで見つけ、読んでみました。

昭和30年(1955年)に創刊された「銀座百点」。
銀座に店舗を持つ百店が結成した「銀座百店会」が発行するもので、銀座の情報だけでなく、文化を表現することを重視していたものだそうです。

この冊子の連載から向田邦子の「父の詫び状」、和田誠の「銀座界隈ドキドキの日々」池波正太郎の「池波正太郎の銀座日記」などが生まれたということです。
ようするにすごい冊子というか、権威あるものになっていったものだったんだな、というのがわかりました。

この本には司馬遼太郎、松本清張、三島由紀夫、城山三郎、藤子不二雄A、松本幸四郎、森田芳光、児玉清、里中満智子、林真理子・・など錚々たる顔ぶれの方々が銀座に関するエッセイを寄せています。その数六十人!

それぞれの方が銀座に対する思いなどを書かれていますが、「銀座は大人の街だ」と憧れていた若い頃から、やがて銀座を闊歩する自分に気づいて感慨深い思いをする人。
どうにも銀座は気に入らないという人。
あの店、この店を思い出し、今はもう無い・・と懐かしむ人など、有名人の方々が綴る銀座への思いは実に面白く、興味深いものでした。

私にとっても銀座はちょっと身構えてしまうようなところでしたし、今でもちょっと尻込みするような場所もあります。
この本に書かれていた「大人の街」という印象が一番多くの方々が感じていた印象だったのですが、私もそんな気持ち。

二十代半ばの頃に年上の彼女が連れて行ってくれたのは銀座の「ライオン」というビアホールでしたが、何にも知らない“お上りさん”の私には「すごいなぁ、大人の人達がゆったりと楽しんで麦酒を飲んでいる」などと思ったものでした。

銀座プランタンで買物したり、今や移転して三代目となったカレーの「ニューキャッスル」なども思い出します。

博品館劇場でミュージカルなどを何度か観たことも思い出します。

それから二十数年後に東京勤めとなり、銀座にもよく足を運ぶことになったときには、ああ、あのとき見たあのビルはここだ。あの店はこんなだったのか。などと時の流れを感じました。

人それぞれに、それぞれの銀座があると思いますが、この「私の銀座」は、自分のそんな気持ちに照らし合わせて読んでいくと、とても面白いものになると思いました。

 

2023/12/16

ブログからも『南 隆一 絵画・造形展』のご紹介

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既に facebook から直接一度ご紹介していますが、こちらブログからも表題の絵画・造形展のご紹介です。

『南 隆一 絵画・造形展』12月11日(月)~25日(月) AM 10:00~PM 4:30 (休:12火・19火・20水・21木) あさひ さわやかホール(千葉県旭市イ1775)で開催されています。

 

 

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南隆一先生は、私の中学時代の担任で美術の先生でしたが、先生が76歳になられた今も仲良くさせていただいています。
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毎年、暮れに先生は横芝光町の「虎笑」というギャラリーで絵画・造形展を三十年に渡り開催されていました。
「笑虎」は今年閉館となり、今回から会場を旭市のさわやかホールに変えての開催となりました。
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先生の絵画・造形に対する情熱、アグレッシブな姿勢は変わらず、むしろ生徒だった私の方が衰えを見せる・・(^_^;)というあり様です。先生、すごいっ!いつも尊敬しています。
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今回の会場は広く、会場内で「ワークショップ」もやっていて、“石ころ”に絵を描いたり、そのほかにもらくがき的に絵を自由に描ける場も設けられていました。
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どんな人にも同じく、やさしい笑顔で対応している先生。
やってくる人達からいろいろな話が出て、花開いたエピソードなども紹介してくれたり、通常の作品展とは異なるゆったりとした時間が流れる空間となっていました。

会場内はゆっくりお茶なども飲めるようになっていました。
お時間がありましたら、ちょっと覗いてみていただきたいです(*^^*)

 

2023/12/14

「ツバキ文具店の鎌倉案内」を読みました。

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『ツバキ文具店の鎌倉案内/ツバキ文具店編(幻冬舎文庫)』という本を読みました。
書き下ろし作品ですが、小川糸著「ツバキ文具店」と続編「キラキラ共和国」に登場する実在のお店や神社仏閣を紹介するものとなっていました。

鎌倉は私も何度か元職場の上司に連れられて行ったことがありますが、荘厳で寂静感があり、風情もある神社仏閣や、興味深いお店、また景色のよい場所、建物も豊富で、実に魅力あるところでした。

そんな鎌倉のここぞという場所を紹介してくれる本となっていました。

まだ行ったことのない「ザ・バンク」という、もともとは銀行だった建物を改装してオトナのバーになっているところも、とても気になりました。
今度鎌倉に行ったらぜひ寄ってみたいところです。

美しい禅寺の「建長寺」も行ってみたいところです。
裏山に続く境内を抜けてハイキングコースがあるというのですが、そこも歩いてみたい(#^.^#)

週にたった二日の営業という増田豆腐店も気になりました。
シンプルな豆乳プリンもあるということで、それも一度は食べてみたいし、昔ながらの豆腐も食べてみたい。

そうこうしているうちに実際に地図を見てなんとか近いうちに鎌倉行きを実現しようとしている自分がいますが、今、外国人の方達は鎌倉に大勢来ているのでしょうか。
ただでさえ、日本人だけでも“ごった返し”ていたのに、もっと人が増えてしまったら・・と思うとそれがとても気になる。

せっかくカメラも最近新調したので、鎌倉の街並みを撮りながら散策してみたいものです。

それに、この本にも何軒か載っていましたが、カレーのお店もいくつかあるようです。
それも試したい(*^^*)

実現したら、また写真と共にこのブログに載せますね、そうそうこの本も持っていこう(^_^)

 

2023/12/13

「麻婆豆腐の女房 -赤坂 四川飯店物語-/吉永みち子」という本を読みました。

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『麻婆豆腐の女房「赤坂 四川飯店物語」/吉永みち子著(知恵の森文庫)』という本をブックオフで見つけ、読んでみました。

この本は、2000年に刊行されたものの文庫化です。
著者は「気がつけば騎手の女房」の吉永みち子さん、そしてこの本での「麻婆豆腐」というのは、四川料理といえば「陳建民」と言われるというか誰もがご存知の中華の鉄人・陳建一さんのお父さんのこと。

そしてその女房は、洋子さん。日本人ですが、この本を読んで初めて知った陳建民さんの三人目?の奥さんなのです。

中国の婚姻というのが、日本の戸籍制度ほど厳密になっていなくて、陳さんの最初の結婚とそこでもうけた子供、さらに香港でも結婚して子供をもうけ、次に日本で洋子さんと出会い婚姻、そこで長女と長男(鉄人・建一さん)をもうけています。

重婚?!と思ってしまいますが、前の二人の奥さんは書類上というか、正式には婚姻となっていなかったというのが実際のところだったようです。

この本は、日本での女房、洋子さんが陳さんの放浪癖をなんとかしてくい止めて、日本で初めて家族の良さを認識してもらうために奮闘していく様子を描いたものとなっていました。
また、陳さんがいろいろなお店を渡り歩き、やがて四川料理の第一人者となり、お店もいくつも持ち、料理学校をつくったり、NHKきょうの料理の先生になったりする(私はこの番組の陳さんを見た記憶がある。まな板の代わりに木の切り株のようなものを使っていたのを覚えている)様子を実に鮮明に、目の前で起こっているかのように書かれていました。吉永さんの筆力はただ事ではないと思いました。

陳さんと洋子さんの波乱万丈の人生と仲の良さ、そしてやがては前の奥さんと子供を呼び寄せ、仲良くなる・・という離れ業を展開する洋子さんの生き方、さらに最初の奥さんとの子供に陳さんと国交回復してから会いに行き、そこの子(その時40歳)とも仲良くなっていく様子が描かれていました。

陳さんも洋子さんも幾多の苦境を乗り越えていくのですが、私は陳建民さんのちょっと愉快な感じで料理する姿しか存じ上げなかったので、とても驚いたし、感動もしました。

吉永さんの見事な文で描かれた陳さんと洋子さんの人生模様は、300頁ほどあったこの本を最後までわくわくドキドキしながら読ませてくれました。

とてもいい本でした。
中華の鉄人・陳建一さんをご存知の方にもぜひ読んでみていただきたい素晴らしい本だと思いました。

 

2023/12/12

聞いてみた The Beatles/1962-1966 赤盤 Disc2(2023 Version)

20231125_red_002

ちょっと間が空いてしまいましたが、ビートルズのベスト盤、赤盤・青盤の「赤盤」ディスク2枚目について事前情報無しの“ぶっつけ”で聞いてみた感想を書いてみようと思います。


01 HELP !

2023年 ニュー・ミックス。

新しいミックスらしく、ボーカルはセンターにきています。
バランス良く楽器も配置されているように思います。
ただ、Disc1 でも感じた曲があったのですが、少しボーカルが演奏に比べて“浮いて”聞こえるような印象があります。
また、やや高音が抑えられているような感じもしますが、モノラル録音の音の方に“寄せ”ようという意図があるのかもしれません。
2009年のリマスターや Loveバージョンに比べると、ちょっと“もっさり”とした音に感じましたが、これはこれでいいのかも。


02 YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY

2023年 ニュー・ミックス。

ジョンのボーカルが際立つようにミックスされていると思いました。
曲全体のムードが“霧が掛かった”ような感じになり、ボブ・ディラン的な雰囲気が強くなったように思います。
今までとは異なる曲想になったように思います。


03 WE CAN WORK IT OUT

2023年 ニュー・ミックス。

ポールのダブルトラック・ボーカルに違和感はありません。うまくセンターに寄せられています。
また、リンゴのバスドラムの音の強調がなかなかいい味を出しています。
ハイハットの音もリンゴの右腕の“技”がわかるような感じにクリアに聞こえます。
ジョンのバックコーラスもクリアでよく聞こえます。
アコースティックギターの音はもう少しボリュームを上げてもいいかも。
でも、全体的に聞くとこれもいいミックスになったように思いました。


04 DAY TRIPPER

2023年 ニュー・ミックス。

エレクトリック・ギターの左右の広がりがなかなか新しい感じに聞こえました。
ピッキングの様子もよくわかります。
ボーカルもバックコーラスも勢いを感じるようにミックスされています。
リンゴのドラムがセンターでリズムを重厚に刻む様子がこれも新鮮。だが、タムロールなどの音量は控え目にされていて、リズム中心のミックスと感じました。


05 DRIVE MY CAR

2023年 ニュー・ミックス。

ポールのダブルトラック・ボーカルに違和感なし。
ギターはもうちょっと高音をキツイくらいにミックスしてもこの曲らしかったかもしれません。
リンゴのバスドラムの音はもう少しモコモコ感を減らしてもいいかも。シャープさに欠けたように感じました。


06 NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)

2023年 ニュー・ミックス。

ジョンのボーカルが真ん中にきているのが新鮮。
シタールとギターが「左」と「右寄りセンター」に別れ、これは効果的に聞こえました。
今まで気づかなかった“サビ”の部分のリンゴの“バスドラムのみ”の音がなかなか良かった。


07 NOWHERE MAN

2023年 ニュー・ミックス。

ギターの音はもっと高音のトーンを効かせた方が良かったかも。
リンゴのドラム、ハイハットとスネアの音はクリアにもっと強調して良かったかも。
ボーカルはクリアに聞こえ、センター位置にあって違和感なしです。
全体にもっと“ザラついた”感じを出してもいいと思いました。


08 MICHELLE

2023年 ニュー・ミックス。

ポールのボーカルがとても自然で、近くで歌っているように感じました。
ギターの音量はもう少し上げてもいいかな・・と感じました。間奏での音量ももう少し。
逆にリンゴのリズムはキレよくミックスされていて、これはこれでいい感じに聞こえました。
ラストにきて、突然ギターの音がクリアになり音量が上がっている・・。

09 IN MY LIFE

2023年 ニュー・ミックス。

センターのジョンのボーカルがとても自然に感じました。
ギターの微妙な爪弾きまで聞こえるようになっていて、少し驚き。
ベースの音にも同様な印象を持ちました。
間奏のジョージ・マーティンのキーボードも良く聞こえました。
新しいミックスなんだな、とすぐに感じるミックスでした。


10 IF I NEEDED SOMEONE

2023年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。

今回新たにアルバムに追加された曲ですが、ジョージの代表的な曲のひとつでもあり、日本公演でも演奏され、ジョージが弾いていたリッケンバッカーが印象的な良い曲です。
追加してよかったと思います。

ボーカル、コーラス、ギター、ベース、ドラム全てが一体になって音が飛んでくる印象になりました。
ボーカル、コーラスとも息遣いもわかるようなミックスは今までにない新しさです。


11 GIRL

2023年 ニュー・ミックス。

ジョンのボーカルがより近くに来た感じです。
うったえかけるような歌い方に沿ったミックスになったと思います。
オリジナルにあった雑音含む“ざわざわ感”は無くなり、自然に聞くことができるように思いました。


12 PAPERBACK WRITER

※2022年 ニュー・ミックス。

これは2023年ミックスではなくて、2022年のリボルバーの記念アルバムを作成したときの最新ミックスです。以下19曲目のトゥモロー・ネバー・ノウズまでミックスはそのときのものです。

とても安定したミックスで、音はセンター寄りに集中されています。
曲のブレイク時の残響音も抑えられています。
とても聞きやすい!
ボーカル、コーラスにも不自然感は無く、それぞれの楽器もいいバランスでミックスされていました。


13 ELEANOR RIGBY

※2022年 ニュー・ミックス。

もちろん、冒頭のポールのボーカルが不自然な“パン”で、“ぐにゅっ”とスピーカーを移動する部分は修正されています。
弦楽四重奏の楽器も左右に振り分けられていて、それにも違和感は感じません。
実に安定したミックスとなって、安心して聞いていられました。


14 YELLOW SUBMARINE

※2022年 ニュー・ミックス。

リンゴのボーカルは自然。
リズムをリードするバスドラムも適度な“ドスドス感”でバッチリです。
バックのコーラスも絶妙なバランス、そして効果音もきれいに入っていて良いミックスだと思いました。
間奏時の船員の会話のような部分も話している言葉も聞き取れ、良いと思いました。


15 TAXMAN

※2022年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。

この曲はあらたにこのベスト盤に入ったのですが、「そうか、今まで入っていなかったのか」とちょっと不思議に思いました。
でもオリジナル・アルバムで聞いて一曲目がこの曲だという衝撃を味わう方が当時は良いと考えたのかもしれません。

これもジョージのボーカルがクリアによく聞こえ、曲を引っ張るポールのベースも申し分のない音で入っています。
バックのコーラスも実にクリア。
間奏のポールのリードギターもピーキーな部分もよく強調していてとてもいい!
リンゴのスネアもキレがいいっ!
ドライブ感のあるいいミックスでした。


16 GOT TO GET YOU INTO MY LIFE

※2022年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。

この曲をアルバムに追加したのは良かったと思います。
ビートルズ解散後もメンバーがコンサートで取り上げられていたこともあるし、ファンにはお馴染みの佳曲です。

ポールのボーカルに過剰なエフェクトはなく、聞きやすいし、耳に心地よい。
ブラス・セクションも程よいバランスで安定したミックスだと思います。
リンゴのバスドラムもスネアもキレよく良い音でした。


17 I'M ONLY SLEEPING

※2022年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。

テープの逆回転を使ったり、ジョンのボーカルもちょっといつもと違う歌い方、コーラスのふわふわした感じもいつもと異なる。
そんなこの曲を新たに追加したのですが、ニュー・ミックスを試したくなるような曲だと思います。
アルバム中でとても良い曲とは思いませんが、でもジョンのチャレンジングな曲を入れたのはよかったのかもしれません。

ミックスは比較的安定したもので、テープエフェクト部分も違和感なく聞くことができるし、コーラスもやや温かみを感じるくらいの音になっていて良いと思いました。
リンゴのスネアは、オリジナルでも何か固い板のようなものを叩いているかのような音で入っていますが、過剰な反響音もなく、うまくミックスされていると思います。
ポールのベースはやや丸みというか、温かみも感じる音になっていて、この曲には“合って”いると思いました。


18 HERE,THERE,AND EVERYWHERE

※2022年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。

この曲もファンにはお馴染みの良い曲で新たにアルバムに追加されてよかったと思います。

全体にマイルドなサウンドにして、ナチュラルサウンドのギターの音はやや角を取ってオリジナルよりも聞きやすい感じになっています。
リンゴのドラムは割と控え目になっていますが、この曲には合っていると思います。
ダブルトラックのポールのボーカルも甘い感じがよく出ていました。


19 TOMORROW NEVER KNOWS

※2022年 ニュー・ミックス。そして今回新たにアルバム追加された曲。

この曲も過激な曲ですが、このアルバムへの追加は良いと思います。
ビートルズが革新的なサウンドに向かう途についた曲で、この曲からサージェント・ペパーズ・・に流れが変わったように思いますので、ナイス選曲です。

ジョンのボーカルに過剰に掛かっていた感じがしたオリジナルのエフェクトは、このミックスではかなり控え目になっています。
サウンド自体の過激さは抑えめですが、逆にこの曲が落ち着いて聞いてみても革新的で良い曲だったのだとあらためて感じさせるミックスでした。
今や公然の事実となったリンゴのドラムがテープによるサンプリングだという事実ですが、その音も“乱れなく”いい感じで入っています。


ということで、新しいミックスのベスト盤「赤盤」の二枚目のディスクを聞いてみました。
次はいよいよ「青盤」。
青盤の方は、過去に記念盤が出て、近年のそのミックスが多いのですが、あらためてこのベスト盤の曲順で聞いてみるのも面白いかもしれません。
ご期待ください。

 

2023/12/11

『あさげー in 飯岡 Vol.2 展望水滸展』を見て来ました。

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すでに Instagram から facebook を経由して表題の美術展をご紹介する写真を載せたのですが、こちらブログ経由からもご報告を。

旭市の芸術家の人たちが催す芸術祭の第二弾ということになっていて千葉県飯岡灯台にある飯岡刑部岬展望館パノラマ展示室にて開催されたものでした。
いただいたチラシを見ると二十名の作家の方々が参加されていました。
そこには、私の中学時代の美術の先生、南隆一先生も参加されていました。

 

 

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皆さんそれぞれ独自の作品を出されていて、ちっとも飽きることなんてありませんでした。
12月2日から10日までという短い期間だったので、すでに終了してしまったのですが、また2025年には『旭の芸術祭 2025』として開催予定があるとのことでした。

私は8日金曜日に伺ったのですが、お客さんは切れ目なく詰めかけているような状態でした。
そして皆さん楽しそうに会話されていました。
ちょっと美術館や一般のギャラリーで開催されている美術展よりも和やかな雰囲気で、作家とお客さんのやり取りの様子も楽しそうでした。

 

 

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出展されている作家さんには、これで生計を立てている方もいらっしゃるだろうと思いましたが、今、世の中では政治家が裏金をつくり、妙な理由をつけて“だんまり”状態です。
インボイス制度を強行し、細かいところまで申告させ、ギリギリの状態の人からも徴税をしようとしていることを思い出しました。

申告もせず、大金を納税することもなく、懐に入れる“輩”・・。
そんな人たちに、この芸術祭を見せたいと思いましたが、でもそんな“輩”には芸術などまったくわからないものでしょう。
美術館などにも行ったことがないんじゃないでしょうか。

 

 

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すこしは市井の様子を感じつつ街に出て、そして芸術にふれたり、ひとつのことをコツコツとやっているような立派な人たちにふれて心の浄化をしてほしいと思いました。

パノラマ展示室から海を見ていて、しみじみとそう感じたのでした。

 

2023/12/10

とげぬき地蔵尊「高岩寺」に行ったときの話

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12月3日に落語会を聞きに巣鴨に行ったお話しを書きましたが、そのとき当然ながら「とげぬき地蔵尊」にも行ってみようということになりました。

商店街沿いに大きな門があり、すぐに場所はわかったのですが、不心得な私、すっかり油断して“物見気分”で入ろうとして、持ってきたカメラ『PEN』の電源を入れたのです。

すると・・驚いたことに電源は入れど、モニター画面は真っ暗!
何度も電源を入れ直したのですが、カメラの状態を表示する数値などは表示されても、画像は一切表示されません。まだ買ってから数か月の新品です。
何度も何度も試みましたが、駄目でした。

「はっ!」と気づきました。
神社仏閣やその他霊的な場所で、何かモノが見えたり感じ取ったりする人間にはよくこういうことがあると本で読んだばかりの妻が教えてくれました。

「お前が気楽に入ってくるような処ではない」と言われているのだ、と思いました。

あわてて、不心得をわびて、真面目にお参りしますと手を合わせると・・カメラの画像表示は復活しました・・。

 

 

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ということで、今回の写真の中には一番肝心な『とげぬき地蔵』のお姿は撮っておりません。※初代のお地蔵様はタワシで長いことゴシゴシされたので、ほとんど形が無くなってしまい、現在は二代目がその役目を果たしているのです。お姿は地蔵ではなく、観音様となっておりました。

今は、タワシではなく、皆さん持参したタオルで自分が痛くて治したい部分を洗っているのでした。
私もその写真は撮らずに、自分が首から右腕にかけて痛みが激しいので一生懸命持参したタオルで撫でました。

 

 

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かなりの行列になっていましたが、やはり気軽にお参りするような場所ではありませんでした。皆さん必死に自分の痛いところを水を掛け、タオルで必死に撫で洗いしていました。

帰りの電車に乗った頃には・・・あら不思議、さっきまであんなに痛くて物を持つのにも激痛が走っていたのに、痛みは消えておりました。

あれから一週間、まだその効果は消えておりません。
残念ながら妻は腰痛持ちで腰を撫でたのですが、いまだ効果が出ておりませんが(^-^;

 

2023/12/09

「人生ノート/美輪明宏」を読みました。

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『人生ノート/美輪明宏著(PARCO出版)』という本を見つけ、読んでみました。
1998年刊行で、1983年の「獅子の座布団」からも一部抜粋・加筆をしているので内容としてはかなり古いものになります。
巻末に掲載された美輪さんの写真も若く、男性とも女性ともつかない不思議で魅惑的なものになっていました。

さて、この本は美輪さんが日頃感じている人生上のモットーというか、こういうふうに心がけていれば、こんなふうに覚悟していれば、人生の荒波をなんとか乗り越えられますよ、という感じのものになっていました。

読んでいて、私もそんな気がする・・と思った部分があります。

最近のスピード時代の人間は結果を急ぎ過ぎる。
すぐ効果が出ないとダメだと思います。
楽あれば苦あり、苦あれば楽あり、努力なしでは何事も成功しないようにこの世の中は出来ている。

でも、なんとまあこの世の中は、人になりきれないで動物のまんま年を重ねていく人の多いことでしょう。
もっとひどいのは、人の方角へ近づかず、けだもののほうに近づいている者も多いようです。困ったものです。

と書かれていました。
この本が刊行されてから25年、現在はよりそんな状態が深刻化しているように思います。


それから気になった部分をもうひとつ。

政治家も官僚も商人もみなみなすべて、精神的栄養失調の重病人です。
その証拠に、あらゆる演劇や音楽界や美術館に定期的に足を運んでいるそれらの人たちを、みなさん見かけたことがおありですか?

これもまた年月を経て、今現在が最もひどい状態だと感じます。
裏金や、無理強いのインボイス制度、性被害を起こした興行界のドンなど、上記重病人の症状が出ている人たちではないでしょうか。
演劇や音楽、美術にふれて少しは人としての心を持てるようになればよいと思いますが、そのお顔を見ていると、そんな感じの人は皆無です。

その他、特に夫婦というものはどういうもので、どう人生を過ごして行けば良いのかという部分に多くが割かれていましたが、これは読んでいてそのとおりだと思うことが、そして思い当たることがいくつもありました。

古い本ですが、とても生きるということに参考となる、しかも面白い本でした。
278頁、三日で読了いたしました。


【NowPlaying】 オトナのjazz time / DJ:沙理 ( ラジオ日本 )

 

2023/12/06

巣鴨に落語を聞きに行ってきました。

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このあいだの日曜日に、巣鴨に出掛け落語を聞いてきました。

『第七回 おひろめ寄席/於:巣鴨地域文化創造館』
皆さん、アマチュアで落語をやっている方々。
私は、そういう落語会を初めて聞きに行ったのですが、驚きました。
小噺とかではなくて、「鼓が滝」や「厩火事」「品川心中」など寄席に掛かっているような噺を堂々と“フルサイズ”で語られて、それがまたプロ同様に心を揺さぶられるような立派なものでした。

 

 

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今回出かけるきっかけとなったのは、出演されている「神栖亭 世喜音(かみすてい・せきね)」さんこと関根真弓さんからこの会の案内をいただいたからです。

関根さんとは私の中学時代の美術の先生の個展会場で初めてお目にかかり、その後竹久夢二美術館で関根さんが語りをされていた「銚子浪漫ぷろじぇくと公演 夢二ひと夏の恋」という竹久夢二が関根さんの地元銚子でひと夏を過ごした様子を語るという公演を拝見して感動したところからfacebookなどでやり取りするようになりました。

銚子のお寺でも夢二の語りを聞きに行って、その後落語を習い始めたと聞き、そのアグレッシブな行動にはただ驚くばかりでした。
都合がつかなくて何度かその後の落語会に行けなかったのですが、今回念願かなって妻と巣鴨まで出掛けたわけです。

 

 

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神栖亭世喜音さんの今回の出し物は「厩火事(うまやかじ)」。
髪結いをやっている奥さんが仲人で相談に乗ってくれる旦那のところに亭主の不実を嘆きに行くところから物語は始まり、ほんとうは亭主が大好きだけど、でもほんとうに自分を大事に思っているかどうしたら試せるのか・・と旦那に相談して出された案を実際にやってみる話。

世喜音さん、見事に髪結いをやっている奥さんの気持ちがあっちにいったり、こっちにきたりの様子を時にはヤキモキするような表情で、また愉快な感じで演じ、私、唸っちゃいました。
とても良かった。

 

 

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皆さん、それぞれの噺が持っている独特の雰囲気や、肝心な部分を巧みに表現されていました。
すごいなぁ・・というのが正直な感想でした。

またお誘いがあったらぜひ出かけたいと思いました。
落語は、人間そのものの可笑しみを豊かに表現して見せてくれる日本人のお宝だと思いました。

 

2023/12/05

「京都でひっそりスピリチュアル/桜井識子」を読みました。

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『京都でひっそりスピリチュアル/桜井識子著(宝島SUGOI文庫)』という本を古本で見つけ、読んでみました。

著者桜井識子(さくらい・しきこ)さんは、ブロガーで文筆家、霊能者の祖母と審神者の祖父の影響で幼い頃から霊や神仏の世界を身近に感じて育ったそうです。

やがて自身も霊能力を持ち、神仏の声を直接聞くことができるようになり、全国各地の神社仏閣、霊山、パワースポッなどを訪れながら、神仏を感知する方法、スピリチュアルな世界の仕組みと恩恵などを書籍によって伝えるようになったとのことです。

で、私がこの本を読もうかというときに、妻もこの著者の本を今まで何冊も読んでいたことがわかりました。
妻からの「とてもわかりやすくて面白いよ」との言葉に私もワクワクして読みました。

2018年発行ですから古本といっても、情報はそんなに古くはありませんでした。
この本では、京都の神社仏閣を訪れています。

事前の知識なしに読むと、識子さん(1962年生)が境内などに入り、ご本尊やいくつかの社などの前にくると神様やその他霊的な存在が語りかけてきて(その語りかけも文語調でなく、わかりやすい現代の口語に近い感じで書かれている)、自らの存在がどういうものなのかや、願い事をかなえてくれるのか、それともいろいろな条件があってそのうえで相談を聞いてくれるのか、など、とても面白く書かれています。

識子さんも相手によっては、失礼な質問をしたり、無邪気な話かけをしたりで、スピリチュアル本とは思えない楽しい本でした。
しかも、訪ねていくのは京都の有名な神社仏閣も多く、「ぜひ私も行って、神様とお話ししてみたい」などと思ってしまうのでした。

「そんなのウソだよ、信じられない」という読者も多数いると思いますけど、でも、私自身もこの10月から11月にかけて出雲大社、日御碕神社を訪れたときにけっこう何者かの存在を感じました。

日御碕神社からは、明らかに呼ばれていた感覚があり、訪れたときには「来たな」という雰囲気を感じましたし、その神社の裏側の山の上にあった稲荷神社まで行くと、強烈な霊気を感じ、実際に気温までかなり低くなり、私が声に出して話しかけると私に向けて葉を落として返事をしてくれたり、ということがありました。

出雲大社に行ったときも、本殿裏側の塀の外にもただならぬ神聖な霊気が漂っていて私も動けなくなるくらいの霊的な力を感じました。
隣にいた妻は「この裏側に来たら涙が出てきて驚いた」と言っていました。
あそこもすごいパワースポットでした。
以前、仕事での出張の途中、ささっと回ったときには何も感じなかったのに。

というわけで、桜井識子さんのこの本は、とても面白い本になっていました。
あまり何かを感じない人でも、興味深く読むことができる、とてもいい本だと思いました。
かなりな“おすすめ本”です。
また識子さんの別の本も読んでみたいと思います。


【NowPlaying】 I'll Take Romance / Jeri Southern ( Jazz Vocals )

 

2023/12/02

「しあわせのねだん/角田光代」を読みました。

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『しあわせのねだん/角田光代著(新潮文庫)』を読みました。
2005年に刊行、2009年に文庫化されたものです。

だから話題的にはワープロからパソコンに入れ換えたときの騒動など、時代を感じさせる話題もありますが、基本的に著者角田さんの強烈で独特なものの考え方や行動などが書かれているので内容的には面白く読みました。

角田光代という作家がどういう人だったのか、けっこうご本人が剛球ストレートに書かれているので驚きました、私。

風呂は嫌いだし、お肌の手入れなどは「何を世の女たちがしているのかさっぱりわからん」ということで、なんだかわからないけどデパートに行って高いクリームを買ってきて体中に塗りたくったが、ものの4分で終わった・・・30分から一時間はお手入れをしているとのたまう世の女はいったい何をしているのか?と考え込む・・。

30歳くらいになるまで好き嫌いが激しく、キノコや魚介類その他幾種類もの食材を注文して出てきた料理からどんどん除いていく姿も衝撃的でした。

食べ物を並んでまで待つことなんて我慢できず、イライラすることもしょっちゅう。

待ち合わせすると、待ち合わせ場所には20分前に来ていて、5分でも相手が遅れると様々なことを考えだし、勝手に考えた理由で怒り出したり、心配したり、自分が待ち合わせ時間を間違えていたんじゃないか、などとあらゆることを考えだしイライラはどんどんつのり、爆発寸前になるのでした。

家電は嫌いだと言いながら、実際に大手家電量販店に行くと、あれもこれもということになり、家に入らない冷蔵庫を買ってしまったりもする。私が家族だったら体が持たない人だと思いました。
こうしてエッセイを読んでいる分には笑って読んでいることが出来るのですが、もしも家族だったらちょっと手に負えない人だと思いました(^_^;)

20歳にもなっていたのに、母親が病気になり「お金がない、困った」というと「銀行に行けばいいのに」と発言し、母親を“超がっかり”させるのでした。

その後も一人暮らしになったときに、母親から「何かあったらこれを使いなさい」とカードを渡されると、月40万円も使いだし、怒った母から取り上げられたり・・。

豪快な人でした・・(こんな人だとは思わなんだ)・・。

読み進むと、だんだん通常の人達の考え方や行動が理にかなっていて、世の中の動きはこうなっていたのか、と角田さんは気づきはじめます(^-^;

そんな角田さんを読書によって見守っているような気分になりつつ読了。
人ごとだから読んでいられた、思わず吹き出した、という本でした。

 

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