「麻婆豆腐の女房 -赤坂 四川飯店物語-/吉永みち子」という本を読みました。
『麻婆豆腐の女房「赤坂 四川飯店物語」/吉永みち子著(知恵の森文庫)』という本をブックオフで見つけ、読んでみました。
この本は、2000年に刊行されたものの文庫化です。
著者は「気がつけば騎手の女房」の吉永みち子さん、そしてこの本での「麻婆豆腐」というのは、四川料理といえば「陳建民」と言われるというか誰もがご存知の中華の鉄人・陳建一さんのお父さんのこと。
そしてその女房は、洋子さん。日本人ですが、この本を読んで初めて知った陳建民さんの三人目?の奥さんなのです。
中国の婚姻というのが、日本の戸籍制度ほど厳密になっていなくて、陳さんの最初の結婚とそこでもうけた子供、さらに香港でも結婚して子供をもうけ、次に日本で洋子さんと出会い婚姻、そこで長女と長男(鉄人・建一さん)をもうけています。
重婚?!と思ってしまいますが、前の二人の奥さんは書類上というか、正式には婚姻となっていなかったというのが実際のところだったようです。
この本は、日本での女房、洋子さんが陳さんの放浪癖をなんとかしてくい止めて、日本で初めて家族の良さを認識してもらうために奮闘していく様子を描いたものとなっていました。
また、陳さんがいろいろなお店を渡り歩き、やがて四川料理の第一人者となり、お店もいくつも持ち、料理学校をつくったり、NHKきょうの料理の先生になったりする(私はこの番組の陳さんを見た記憶がある。まな板の代わりに木の切り株のようなものを使っていたのを覚えている)様子を実に鮮明に、目の前で起こっているかのように書かれていました。吉永さんの筆力はただ事ではないと思いました。
陳さんと洋子さんの波乱万丈の人生と仲の良さ、そしてやがては前の奥さんと子供を呼び寄せ、仲良くなる・・という離れ業を展開する洋子さんの生き方、さらに最初の奥さんとの子供に陳さんと国交回復してから会いに行き、そこの子(その時40歳)とも仲良くなっていく様子が描かれていました。
陳さんも洋子さんも幾多の苦境を乗り越えていくのですが、私は陳建民さんのちょっと愉快な感じで料理する姿しか存じ上げなかったので、とても驚いたし、感動もしました。
吉永さんの見事な文で描かれた陳さんと洋子さんの人生模様は、300頁ほどあったこの本を最後までわくわくドキドキしながら読ませてくれました。
とてもいい本でした。
中華の鉄人・陳建一さんをご存知の方にもぜひ読んでみていただきたい素晴らしい本だと思いました。
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