猿丸俳句、初めて知って初めて読んでみた
『点滅/榮猿丸(さかえ・さるまる)著(ふらんす堂)』という句集を古本でたまたま見つけ、パラパラと頁を捲ってみたら、「なんだか面白そう」と感じたので、そのときの感覚を信じ買ってみました。
そして読んだらやはり面白かった。新鮮。
付録のように別冊で付いていた冊子には、著者猿丸氏の句が角川俳句賞の選考会で紛糾した様子なども書かれていました。
結局、受賞には至らなかったのですが、氏のカタカナが多用されたり、通俗的なところを詠んでいたり、何でも詠んじゃう、ほかに似たような句をあまり見ないなどの特徴は私にも強く感じることができました。
と、書いてみてもどんな感じなのかわからないと思いますので、私の心にふれてきた句を少し挙げてみたいと思います。
麦酒飲み 弱音はく父 嫌ひでなし
・・・私の父が酒を飲みつつ弱音をはいているのを見たことは無かったが、今の自分は父として弱音をはきそうだな、と思いつつそれも仕方ないよと、この句を味わいました。
みやげ屋の 二階食堂 デザートは柿
・・・ひなびた感じのみやげ屋の二階にある食堂。デザートが柿だなんて、なんだかピッタリで、ちょっと哀愁を感じました。
マフラーの 長しよ 恋の短しよ
・・・私が中学生の時の冬に彼女が編んだマフラーをもらったことがありましたが、次の冬までその恋はもちませんでした(T_T)
炎天の ビールケースに バット挿す
・・・これは強烈なリアル感がありました。昔、草野球をやっていた頃の感じがよみがえりました。
ダンススクール 西日の窓に 一字づつ
・・・これも同じことを実体験していて、三丁目の夕日的に“いいな”と思いました。
汝が腿に触れ ジーパン厚し 夕薄暑
・・・腿とジーパンを持ってきた感性がすごいと思ったし、感触が伝わってくるよう・・。
ストローの蛇腹 コココと 折りて夏
・・・この句のミソは「コココ」だと思います。たしかに「コココ」だが、今まで「コココ」で表現した人なんていたのかな?!と思いました。
ゆく秋や ちりとり退けば 塵の線
・・・ちりとりをパッと持ち上げたときにできている、あの“線”(#^.^#)、句に詠んじゃうんだ、と感心いたしました。
以上、少し面白かった句と、私の感想を書いてみました。
装丁も良く、付録的な冊子も面白い、新鮮な感覚の句集でした。
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