「日本語八ツ当り/江國滋」を読みました。
『日本語八ツ当り/江國滋著(新潮社)』という本を古本で手に入れ、読んでみました。
古いですよぉ~ ^^; 『「波」昭和61年1月号~平成元年6月号連載』と記されていて、1989年第一刷発行となっています。
新聞記事や、広告コピー、役人の文書、若者の物言い、法律判決文などについて「もう我慢ならん!」っていう調子で(^_^;)書かれています。
驚くことに、今現在でも私が世間の様々な言葉や物言いを聞いて憤慨していることを、そんなにも昔から同様に怒っている方がいらした(^_^)・・うれしかったけど、でも驚いた。
少し例を挙げてみましょうか。
〇こだわる・・・もともと「差し支える」、「さまたげとなる」「あることを気にして、気をつかう」というマイナス・イメージの言葉なのに、“わたし、ラーメンにこだわってるヒトなの”なんて使い方をしているのが、・・我慢できないんですよ、著者も私も(^^;)
〇としている・・・新聞やニュースなどで見聞きする言葉で、今もまだ使われています。
例えば「首相周辺は詳しい話はなかった、としている」などの表現。
著者は「としている症候群」と言っている(^_^;)
〇耳障りな外来語・・・「ここは送りバンド(バント)でしょうね」「巨人フアン(ファン)としては」「ティーパック(バッグ)」「ディスクトップ(デスクトップ)」などなど、これは今でもまったく同じ状況だと思います。
〇「とか」の乱用・誤用?・・・「夜はテレビとか見たり」「ね、ね、ビールとか飲みに行きません?」など、これもあれから幾星霜、変わらない状況です。
上記例示はもっともありふれたものですが、その他もうたくさん書かれていました。
コピーライターがつくった「おいしい生活」のような空虚で中身のないコピーにも噛みついていました。たしかに、そのときも思ったし、今になるとさらにまったく意味のない言葉に余計聞こえてきます。・・ようするに当時、私も踊らされていた・・ということです。
お役人(特に国の)の文章について、そっくり載せていましたが、ほんとうに日本語で書かれているのに、何が書いてあるのかわからない文って今でもたくさんあります。
その他もうきりがないくらい書かれていて、「これは私が書いたのか」と思うほど普段私が嫌いな言葉がたくさん示されていて、溜飲が下がるかと思いきや、2024年の今でも同様な状況に暗澹たる気持ちになるのでした。
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