「天気でよみとく名画/長谷部愛」を読みました。
私にしては珍しく新刊本です。
『天気でよみとく名画/長谷部愛著(中公新書ラクレ)』を読みました。
今年の2月に発行されたばかりです。
著者の長谷部愛さんは、気象予報士で東京造形大学特任教授、そして私にはラジオの天気予報でよくお声を耳にする方です。
アナウンサーやパーソナリティの会話をよく聞いていて、そこからネタを拾い上げておいて、ご自分の天気予報時には、その話題と天気を“ダジャレ”にして思わず「ウマいっ!」ということがよくある、とても頭の回転が素晴らしい方です。
で、今回読んだきっかけは、新聞の書評でした。
海外、国内の名画に描かれている空、雲、など天候の様子について、気象予報士の専門的な視線であらためて「名画鑑賞」してみる・・というような内容で、実に興味深く面白い取り上げ方でした。
読んでいくと、それこそ実に写実的に空・雲の様子などを描いている画家の話や、イギリスやフランスなどの気候の特徴がよく出ている絵画なども取り上げられていて、今まで気づかなかった鑑賞の仕方が実に新鮮でした。
また、湿気の多いイギリスと昔の日本の共通点などにふれていましたが、統計的数値でいくと、過去には多かった東京の「霧」は激減しているとのこと。
コンクリート・ジャングルと化した東京は、かつての江戸とはかけ離れた様相を呈していることもわかりました。
洋画だけでなく、浮世絵にも「そうだったよな」とあらためて思い出すその地方特有の気象現象などが描かれているものがあって、頁をめくるたびに“目から鱗”です。
雪の結晶なども観察されて、浮世絵の着物の柄に雪の結晶が散りばめられたものがあったりしたのも驚きでした。昔の人たちの観察眼は鋭いっ!
最初は誰もが思い浮かべることができる「フェルメール」の絵から気象との結びつきについて書かれているので、取っつきやすい本でした。
かなりなおススメ本です。
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