俳句を詠んでみる_0085【 終活に 込める霊(たましい) 空蝉(うつせみ)か 】
「自分の死亡届を書きたい」と窓口に来た老人と相対して一句。
【 終活に 込める霊(たましい) 空蝉(うつせみ)か 】
《背景》季語:空蝉[晩夏]
住民関係の届出の窓口にいた時、矍鑠(かくしゃく)とした老人が「死亡届の書き方を教えてください」と現れた。
「葬儀社の方が死亡診断書を持ってくると思うので、それと一体となっている届出書に家族と相談しながら記入すれば書けますよ」と伝えると・・・。
「いや、私の死亡届だ。健康保険の死亡見舞金については、このあいだ聞いてきた。今日は戸籍届出を勉強する」
「ご自身の・・ですか・・?」
「そうだ、家族になんかまかせておけないから、自分で死ぬ前に下書きを作って渡しておく」
「わかりました」とお教えした。
自分が抜け出た殻を見ながら人生を振り返っているような光景だった。
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