「北の富士流/村松友視」を読みました。
『北の富士流/村松友視著(文春文庫)』を古本で見つけ、読みました。
掲載したこの本の表紙の写真、北の富士さんらしい“いい写真”で、この表紙を見て買ってしまいました(^-^;
私が知っている北の富士さんは、ちょうど玉ノ島と北の富士が同時に横綱昇進した頃からです。
当時、子供の頃の私には、足の長い、華のある、そしてスピードとパワーを同時に持つ力士という印象が残っています。
そして玉ノ島は横綱昇進とともに玉の海と改名し、とても強い横綱になりましたが、もちろんその最大のライバルは北の富士でした。
この本には、北の富士さんの幼い頃から、親兄弟との暮らし、友達とのエピソードなどから書かれていて、それが陽気で、ちょっとのことではへこたれない子供時代として描かれ、今も変わりないような気になりました。
要するに皆に“愛される”人柄なんですね、昔から。
玉の海さんとのライバル関係は、玉の海さんの現役中の死去によって突然終わってしまうのですが、そのときの人目をはばからず声をあげて泣く北の富士さんの様子も書かれていました。
二人は相撲ではしのぎを削っていましたが、とても仲が良かったようです。
私の記憶では、「玉ちゃん、玉ちゃん」と言って仲良くしていたという新聞記事があるのですが、この本には「島ちゃん、島ちゃん」と呼んで仲が良かったと書かれていました。
ご本人の浮き沈みの激しい現役時代の話とともに、その後親方として千代の富士、北勝海という横綱を育てた名伯楽でもあることも書かれていましたが、北の富士さんご本人だって十度の優勝を果たした大横綱であることも書き添えておきます。
この本には、実録的なことがまとめられてもいるのですが、周囲の人たちの話、エピソードから北の富士さんの人としての魅力について、ということが一番書かれていました。
いいエピソードをここで書いてしまうのはもったいないので書きませんが、誰もが好きになってしまうようなお話しが満載でした。
著者、村松さんと銀座のクラブ「姫・三階カウンター席」でのコースターによる文通の話と、再会したときに北の富士さんの手元に残されていたコースターをどうしたのか、などという心温まるエピソード、ぜひ読んでいただきたいです。
現在、北の富士さんは、NHKの解説を休まれておられます。
もう一度ぜったいに復活していただきたいという願いをここに書いて、この本の感想を終わりにします。
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